美原融の発言 (内閣委員会)

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○美原参考人 大阪商業大学の美原でございます。
 お時間をいただきましたので、特定複合観光施設区域整備法案に関し、若干意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 まず御理解いただきたいのは、マスコミではこれをカジノ法案と呼称してございますが、これはカジノ法案ではございません。あくまでもIR整備法案でございます。
 IRとは一体何なのでございましょう。世界規模の会議施設、展示場、宿泊施設、劇場などの観光施設とカジノ施設を、数を制限して、一体として整備し運営する、こういうものでございます。単純に、カジノ施設単体をどこにでも無制限に認めるような考えではございません。かつ、カジノ部分というのは、IR施設全体のわずか延べ床面積の三%以内で、ごく一部。さらには、IRが設置できる区域を三つ以内に限定して、カジノ施設もこの区域においてのみ一カ所について認められるという考え方になっております。別途、規制機関から免許を得た場合には、カジノを設置、運営できる、こういう構造になってきているわけです。
 考えてみてください。九七%以上がカジノ外の集客施設でもあるわけです。ということは、条件的には極めて厳格でございまして、高規格施設への投資が前提になる場合、事業者にとっては大きな負担になりましたために、カジノ部分を無制限に認めるという法案では絶対あり得ないわけでございます。
 集客効果につきましては、かなり誤解があるようでございます。非カジノ部分が圧倒的に多いというのがこのIR施設の現状でもございます。施設としてもコンテンツとしても魅力的な非カジノ施設は、カジノ以上に大きな集客効果をもたらすということが現実ではないかと思います。ただし、収益的にはカジノ部分は高い事業性が期待できるために、非カジノ部分を財政的に支えるということが好まれているという現状になるのではないかと思います。
 このように、魅力のある施設群とカジノ施設を組み合わせて、地域と数を限定して、地域開発、地域振興、来訪客増、あるいは雇用、税収増を図るという政策でございますが、カジノ施行の許諾と地域再開発、地域振興を組み合わせた政策手法として、一九九〇年代以降、例えばオーストラリアの各州、あるいはニュージーランド、米国の各州、シンガポールなどのさまざまな先進諸国で実践され、定着している政策でもあります。いずれもこれらの国においては成功しているという実態があります。
 また、競争環境下で、公平、透明な手法により地域と事業者を選定する手法も実践されており、我が国におけるこのIR整備法案も、これら諸外国の経験を踏襲する考え方に基づいているということが考えられるのではないかと思います。
 カジノは、先進諸国では健全、安全、安心な、成人が自己責任で楽しむ遊興の一つでもあります。しっかりとした規制と監視の枠組みがあれば、健全なエンターテインメントでしかないことが先進諸国では実証されているということが事実ではないかと思います。マフィアとか反社会勢力の介在というのは先進諸国では半世紀前の事情でございまして、現在では一掃されて、上場企業が参入する健全な産業でしかないということを御認識する必要があります。
 さまざまな懸念事項が指摘されておりますが、これを縮小化する施策、実践の手法というのは現実に存在しており、先進諸外国でも実践されているベストプラクティスが存在しますので、これをうまく取り込むことにより、安心、安全な施行を提供することは法治国家である我が国でも当然可能であるというふうに考えております。
 このIR制度でございますが、極めてユニークな制度かつ厳格な制度で、グローバルスタンダードに準拠しているということを御理解いただきたいと思います。
 制度上の仕組みとしては、IRを所管する国土交通大臣が区域認定のための基本方針を一定期間後に定めて、これをもとに都道府県が実施方針を策定、その後、公募手続により民間提案を募り、まず民間事業者を選定するステップに入ります。
 都道府県等は、事業者を選定し、当該事業者と共同で区域整備計画を策定し、この計画を政令で定める一定期間に国土交通大臣に申請するという手順をとります。
 大臣は、提案を審査、評価し、推進本部の意見聴取を経て、区域整備計画を認定する。ただし、上限は三つの区域認定まで、こういうことになってございます。
 区域認定を受けた都道府県等と民間事業者は実施協定を締結し、協定の締結に当たっては主務大臣の認証を得るということになっております。
 この後、民間事業者は初めてカジノ規制機関に対して免許を申請して、一定の審査を経て、初めてカジノの施行が可能になる、こういう複雑な手順を踏むことになっております。
 このIR認定制度とカジノ免許、規制制度の二つの制度が存在し、国土交通大臣とカジノ管理委員会という二つの機関が、重複的におのおの、IR、カジノを監督、規制するという仕組みは、世界でも類例のないユニークな制度と思っていただいて結構ではないかと思います。すなわち、IRの公共性を国土交通大臣が所管し、カジノの健全性、安全性をカジノ管理委員会が担保する、こういう仕組みになってきているわけでございます。
 かつ、区域認定の公平性、透明性を担保するとともに、地域社会の合意形成を全ての前提とし、都道府県等と民間事業者による区域整備計画及び実施協定が事業の基本的枠組みを構成する、こういう仕組みになってきているわけでございます。
 カジノに関しては精緻な規制と監督の仕組みとなっており、世界の類似関連法規制と比較しても、遜色のない、国際的標準にかなったものと評価できるのではないかと思います。
 本則二百五十一条、附則十六条という大変な大法律になりますが、これは、区域認定の公平性を担保するとともに、施行の健全性、安全性を期すために必要不可欠な規定が盛り込まれているからであり、世界でも最も厳格なレベルにある制度であることは明らかであります。
 類例を見ない厳格な制度と規制、施行の枠組みにより、全ての構成員が廉潔性チェックの対象になるなど、一般産業とは全く異なる、高いコンプライアンス意識と厳格な規制が産業全体に求められる異例の規制産業になるということを理解する必要があるのではないかと思います。
 かつまた、OECD諸国の中では、日本は、最後にカジノを施行する唯一の先進国でもあります。諸外国の先進事例や慣行を踏まえて、よい側面を積極的に取り入れるとともに、顔認証技術とかAI、ディープラーニングなど世界の最先端技術を、実際のゲーム施行や、あるいはその監視、監督、規制に取り入れることができる環境に我が国はあるわけでございます。公共性、安全、安心を完璧に履行できる諸条件が整っているのが我が国の現状ではないかというふうに考えます。
 IRは大きな経済効果をもたらします。これを、ゼロサムゲームで、所得の移転効果ではないかとする御議論がございますが、これはいかがなものでしょうか。IRは、その整備に必要な数千億円以上の民間投融資、建設資材需要と建設需要がもたらす大きな経済浮揚効果、直接間接的に数万人の新規雇用、消費が地域社会にもたらすスピルオーバー効果など、あるいは、国際会議やイベントなどの内外来訪客の招致とこれがもたらす消費など、大きな経済効果をもたらすことは明白でもあるわけでございます。カジノを含むIR全体の経済効果に着目すべきでしょう。カジノだけに注目してはいけません。IRがもたらし得る大きな経済効果を評価して、IRの存在意義を認めるべきではないかというふうに思います。
 IRは、健全なエンターテインメントの産業の創出につながる要素もあるわけでございます。
 最後に、国民の関心事には適切な対応をし、制度のみではなく、実践のあり方を踏まえた継続的な対応が必要なことを喚起したいと思います。
 依存症などの国民の関心事でございますが、これに対しては、絵にも描きましたが、重複的、ふくそう的な対応が制度的枠組みとして設けられているのがこの法案の特徴になります。
 この問題は、エビデンスに基づかない極めて感情的な議論も多くて、しっかりとした調査に基づき、実態に即した問題への対応が必要であります。効果的なのは、対象となり得るリスクのある主体への安易な資金のアクセスを絶対やめさせること、入場させないこと、やらせないことでもあります。
 ただし、これは、制度の枠組みではやはり不十分でございまして、これをうまく機能させるには努力が必要でありまして、国、自治体、あるいは民間施行者、利害関係者等による連携協力による実践と協力がまず大事なのではないか、こういうふうに思います。
 残念ながら、この分野での調査研究は、我が国では全く貧弱でございます。世界のベストプラクティスの中には参考となる側面もあるわけでございまして、効果的な制度の実践に関しては学ぶべき点は多いのではないかというふうに思います。
 一九九〇年代以降、先進諸外国におけるカジノを含むIRに関する制度構築は、経済的好機を志向する施策、すなわち、観光振興、地域振興、雇用、税収増と、社会的施策としての国民や地域住民の関心事への対応、例えば社会的危害縮小化施策とか、責任ある賭博施行にかかわる施策などでございます、これをうまくバランスさせることによることが制度上の必須の要件になっているということが言えるのではないかと思います。
 我が国においても、この二つの考え方をうまくバランスさせることによって、先進諸外国に匹敵し得る、世界最高レベルの規制と監督を実施することは不可能ではないわけでございます。
 最後に申し上げますが、IRとは、地域活性化、地域振興、観光振興に資する重要な政策ツールであるとともに、これをうまく活用すれば、周辺地域や広域経済圏においても来訪客の往来を通じて大きな経済効果をもたらす効果的な政策ツールの一つでもあるわけです。カジノだけに注目した議論はおかしいと思います。IR全体の経済効果、集客効果にもっと注目すべきでございます。
 また、カジノは、厳格な規制、監督、監視があれば、健全、安心な、成人による自己責任に基づく娯楽であって、顧客自身が時間の経過やゲームの帰結を楽しむものでもあるわけです。これを提供する行為は、決して、マスコミが言うように、不幸を呼ぶビジネスではありません。楽しい、おもしろいからこそ、施設への内外の来訪客による集客が実現するのであって、行ってみたいとする魅力のある施設、コンテンツがあり、初めてIRは機能するわけでもございます。
 IRとは、観光振興、地域振興に資する一つの効果的な手法、あくまでもプラスアルファの観光資源を豊かにする要素、こういうふうにお考えいただくのが適切ではないかと思います。IR整備法案というのはこれを実現する効果的な枠組みである、こういうふうに考えております。
 以上で、意見を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 119604889X02320180531_002

発言者: 美原融

speaker_id: 1185

日付: 2018-05-31

院: 衆議院

会議名: 内閣委員会