青木秀樹の発言 (農林水産委員会)

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○青木参考人 失礼をいたします。
 私は、岡山県の県北の小さな村であります西粟倉村という村の村長をさせていただいております。
 西粟倉村は今非常に、ある意味地方創生の流れの中で、少し都市の方から若い人の移住がふえたりというような現状があります。
 そういった流れがいかにできたかといいますのも、実は平成の大合併の折に、我々の南には美作市という六カ町村が合併した市がございます、そういった中で、合併の枠組みに入っておりましたけれども、途中で合併をいわゆる避けた、合併協議会から離脱をいたしまして、住民の意思を問うたわけですけれども、合併しないという決断をしました。そういう中で、では、今後この村が、財政も非常に貧弱な中でどうやって生き延びていくのかということになりました。
 そこで、我々の村の約九五%が山であります。そのうちの八五%が人工林、つまり村の八〇%が人工林なわけです。
 当時、今もそうでありますけれども、人工林、非常に市況が低迷をしておりまして、そういったものに、林業に頼って生きていけるという状況では非常になかったわけでありますけれども、我々は、考えてみると、この村が今後、この九五%森林の村が、この森林が全く役に立たないで、動かないで我々の将来が描けるはずはないというふうに思いましたし、そして、考えてみれば、約五十年たっているその森林をこのまま諦めてしまって我々の村の未来があるのかということを考えますと、やはり我々のやるべきことは、この森林を、先人がつくったこの森林をしっかりしっかり、あと五十年かけて仕上げて、しっかりとした美しい価値のある山林に仕上げることによって我々の村はきっと生き延びていけるんだろうというようなことで、百年の森林構想というふうに銘を打ちまして森の整備に取りかかったわけであります。
 この百年の森林構想、事業といいますものが皆さんのお手元に配付されているというふうに思います。
 この百年の森林事業の特徴といいますのは、これは西粟倉村に存在しますいわゆる人工林に手を入れる、つまり整備をするということでありますけれども、この財源としましては、村の財源を使うしかなかったわけです。村の財源がなぜ使われたかといいますと、多かれ少なかれ住民のほとんどの皆さんが山を所有されていた。小さい山もあります、本当に小さい山もある。そういう多かれ少なかれ住民のほとんどの皆さんが山を所有されていた、そこに村の財政を投入したということであります。民有林に村の税金を投入した、ここが非常に特徴的だというふうに思います。
 森林整備は、零細の所有者がたくさん集まっておりますので、基本的には、同じ財政を投入するにしてもやはり考えなければいけません。それは、やはり集約化をすることによってその施業コストを、最低、要するに低減をするということを心がけなければいけませんし、また、通常の流通における伐採、搬出、あるいは市場への運送、あるいははい積み料、手数料、こういった大きなコストを削減しなければ、やはり税金を使う手前、許されないというようなことだろうということで、施業コストの削減と流通コストの削減、こういうことに取り組んできました。
 この西粟倉村百年の森林事業の図をごらんいただきたいと思いますけれども、森林所有者から、役場が事業主体となりまして、皆さんに、山を預かる。ここ十年ほどの長期契約ということで預かるわけですけれども、やはり皆さん、御年配の方が多いですから、本来はもっと短い方がいいというふうにおっしゃられる方もあるんですけれども。
 村としましては、まず作業道をつけて、そして劣勢木の間伐から入ります。いわゆる邪魔になるものを間引くという作業から入っていかなければ将来に美しい山が残りませんので、そういったことを主体に施業を進めてまいります。その施業の方は森林組合がすることになります。
 そして、森林組合から、販売、ここを、株式会社森の学校、これは実は、都市の住民でありました若者が、ここの部分を受け持とうということで、市場にそれまで持っていっていたものを、この株式会社森の学校が全部買い取ります。そして自社の工場で製品をつくる。特に、ここも非常に特徴があります。従来のハウスメーカーさんとかへの材料の提供も一部ありますけれども、ほとんどが間伐材を自社工場で、都会の、しかも若い人向けの商品につくり変えて販売をする。そういった、今までなかなか考えつかなかったような流通というものを彼らは考えて、それを成功させています。当初五人ぐらいで始めた会社でありますけれども、現在は三十名というようなことであります。
 村としましては、当然、材木を使ってくれる、そして流通をさせてくれる、そして全くそこには流通コストがかかっていないというようなことで、結果、村がその売上げを所有者さんにお返しができる。
 所有者さんは、まず劣勢木間伐ですからそんなに大きな収入はありませんけれども、一定の収入が確保できたというようなことで非常に喜んでいただける、そして百年の森林事業にも大変に御理解を示していただけるというようなことで、うまく回っているというふうに思っておりまして、この西粟倉村百年の森林事業が今般の森林経営管理の法案のベースにしていただいているというところは非常にありがたかったかなというふうに思いますし、我々が取り組んできたことがこういった形で一つのモデルになっているということが、私にとっても非常にありがたいことだというふうに考えているところです。
 そこで、我々がここ十年来やってきたわけでありますけれども、この森林管理法案に対して若干気になるポイントがありますので、それを手短に述べたいというふうに思います。
 まず、経営管理実施権というものがありますが、現在、西粟倉では、村役場が事業主体となって森林整備を進めております。経済林も循環林も村がまとめて管理をしている状況であります。
 経営管理実施権につきましては、民間事業者だけではなく、西粟倉村のように、行政もその実施権が持てるようにした方がよりいいのではないかというふうに考えております。西粟倉村に限らず、これまで市町村や林業事業体が独自に行ってきた既存の集約化の仕組みが、法案適用後も適用できるようにするべきであるというふうに考えるからであります。
 次に、経営管理実施権の設定についてでございます。
 西粟倉村では、各森林所有者の所有面積が極めて小さく、複数人の私有林を同一の管理者がまとめて経営しなければ、施業が困難であります。その中で、別の事業体が管理する場所が歯抜けに生じるというようなことで、集約化に支障が出るのではないかと懸念をしております。そうした歯抜けが生じないように、経営管理実施権を設定する必要があるというふうに考えております。
 さらに、先ほども少し述べましたけれども、経営管理権につきましては上限五十年となっております。また、公告から五年以降に、所有者からの申出により取消しが可能となっております。この五年で取消しが可能というふうにしますと、長期の森林整備計画が立てにくうございます。
 西粟倉村では齢級の平準化等に取り組むことが必要でありますけれども、長期を見据えた森林計画を行うため、森林管理委託契約は十年ということにしております。それでも、契約をもらった森林をまだ全ては施業できていない、これが現状でありますので、ここのところは、やはりどうしても申し添えておく必要があろうというふうに思っております。
 木材の地域外流出ということで、我々のところは、自分のところの木材を全部地域内で回しているわけであります。そして、林業の六次化が図られているという状況であります。
 そういうところにおいて一つ気になっていますのは、木材の販売については、森林施業を行った林業事業体に全てお任せをされております。多くの場合、木材市場へ販売されると思います。西粟倉村では木材の六次産業化に取り組んでおり、搬出された材を、市場を通さずに、独自のルートで村内の業者を中心に販売をしております。
 例えば、新たに経営管理実施権を得た事業者が地域外で販売することで、場合によっては、これまで地域で木材が回っていたところが、地域から流出をしてしまうというようなことが起こる、こういったことが懸念をされるところでございます。
 最後になりますが、費用、これは、西粟倉村の年間百ヘクタールの施業をするのに、大体三千万から四千万の費用をかけております。一般会計から繰り入れている状況であります。ここで、今度の森林環境税ですか、そういった財源ができることは非常にありがたいというふうに思うわけでありますけれども、しかし、この森林環境税の配分状況と、それから今我々が実際に使っている財源、これを比べますと、圧倒的に、実質使っている財源の方が大きいわけです。
 つまり、どういうことかといいますと、山側にはこの森林環境税が果たしてしっかり手当てされるのかといいますと、人口要件、そういったものがたくさんありますので、山側には人口はありません。したがって、非常にその配分が少なくなるのではないか、では余り意味がないのではないかというふうに懸念をするところでございます。
 以上、ばらばらに、取りとめもなく申し上げました西粟倉村の取組が、少しでも皆さんのお役に立って、そして、私の経験が、よりお役に立てる法案により確実になっていくために役に立てばというふうに思い、この時間、皆さんに御報告を申し上げました。
 大変ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 青木秀樹

speaker_id: 1003

日付: 2018-04-12

院: 衆議院

会議名: 農林水産委員会