土肥一史の発言 (文部科学委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○土肥参考人 ただいま御紹介を頂戴いたしました土肥でございます。
 委員長から十分間、冒頭、意見を述べる機会をいただきましたこと、厚くお礼を申し上げたいと存じます。
 今回、皆様に御審議をいただいております著作権法等の一部を改正する法律案、これは大きく四つの柱から成っておるかと思います。柔軟な権利制限規定の導入、それから教育の情報化の推進、さらに障害者の方々の情報アクセスの改善、そして著作物のアーカイブの利活用の促進、こういう四つの柱かと思います。
 本日、私以外の参考人としてのお二方のお顔を拝見すると、恐らく、柔軟な権利制限規定と、それから障害者の方々の情報アクセスの改善、これについて集中的にお話しになるのではないかと思いますので、私はまず、教育の情報化と、それから著作物のアーカイブの利活用の促進、このあたりを中心にお話をして、そのほかの点は質疑の中でお答えさせていただければというふうに思っております。
 まず、教育の情報化についてでございます。
 今般、いわゆる三十五条の同時授業公衆送信に加えて、新たに、異時授業公衆送信という授業形態を権利制限の対象とするという提案がなされているように承知しております。
 この異時授業公衆送信という形態なんですけれども、同時授業公衆送信とは違って、補償金というものを組み合わせて設計されておるわけでございます。
 この点、教育という公益性の高い利益からいたしますと、若干、委員の先生方の中には違和感があるのではないかなというふうに拝察申し上げておるわけでございますけれども、例えば、教科書あるいは学校教育番組の放送、こういったものについては既に補償金の対象になっておるわけでございます。
 確かに、三十五条一項の複製のところ、それから同時授業公衆送信のところ、これは補償金はついておりません。おりませんけれども、先生方に思い出していただきたいんですけれども、現行法は昭和四十五年に生まれております。その当時、複製機器はどうであったか。
 ゼロックスの九一四、キヤノンの写真型のコピー機、こういったものがようやく出たころでございまして、当時の初等中等教育局長の通達によると、学校における複製機器というのは、ガリ版、こういうものが指定されておるわけでありまして、お若い方には全然この状況はちょっとわかりにくいかと思うんですけれども、私などは、そのガリ版で先生がコリコリ書かれておったのをよく承知しております。ですから、その当時の著作物の利用というのは、おのずからわかるわけでございます。
 ところが、いわゆる同時授業公衆送信は今から十五年前にできましたので、これは確かに、もうデジタルネットワーク環境は大きく変わっておりまして、現在に近いものがあったわけでございます。これが入るときに補償金はついておりません。
 これは何でついていないのかということなんですけれども、これは同時授業でございますので、要するに、教室で先生が授業をなさる、それを、例えば病気その他の理由で学校に行けない、病院のベッドの上でクラス仲間と一緒に授業を受けるという際に、先生が教室で紙媒体の資料を配ったりなさる、それをネットでも配信を受ける、こういうことを想定しておりましたので、三十五条一項と同様に、同時授業公衆送信については無償にその当時はなっているというふうに理解をしております。
 そもそもという話なんですけれども、現在、授業で先生方が教室で使われる例えばホワイトボードとかあるいはマジックインキとか、あるいはネット環境を整えるための機器であるとかプロバイダー契約とか、こういったものはみんな対価が必要なわけであります。
 さらに、先生方がお話しになる中では、当然クリエーティブな授業内容なんかをおやりになるんだろうと思いますけれども、そういうクリエーティブな授業内容なんかも考慮した上で俸給なんかは決まっていて、何がしかの部分はそういうものも見込まれているのではないかと私は思うんですね。しかし、なぜ著作物だけが無償なのかというと、これはよくわからないところでございます。
 審議会のレベルでの資料の中に外国の事情なんかも紹介されましたけれども、英国、ドイツ、フランス、オーストラリア、あるいは隣の韓国なんかの状態を見ますと、いわゆる日本の三十五条の中の授業形態について、全部若しくは一部が補償金の対象になっております。
 そういう状況を踏まえますと、審議会の委員の中には、当然これは、複製を含めて、三十五条全体を補償金の対象にすべきではないかという意見が非常に強かったわけであります。
 しかし、結果として、異時授業公衆送信のみを補償金の対象にしたわけであります。これはなぜかといいますと、当然ヒアリングを受けるわけですけれども、関係団体の方に来ていただいて、委員会のときにいろいろな御意見を伺うんですが、言われたことは、先生方が今までやられていることを変えないでほしい、現場が混乱することだけはちょっとやめてくださいというようなことを切実に訴えられまして、それなら、新たに入るところの、いわゆる異時授業公衆送信のみを補償金の対象にするという案にまとめることで、いわゆる制度全体をソフトにテークオフさせるということを考えたわけでございます。
 補償金の制度そのものも、今現在、教育利用のための著作権管理準備協議会ですか、何かそういう管理準備協議会という場がございまして、そこの中で、先生方にもあるいは教育機関の設置者にも父兄の方にもなるほどと思っていただけるようなそういう補償金の制度、システムを策定していただいていると思いますので、そういうことも織り込んでいただいて、ぜひ今回の三十五条の法改正案に御承認といいますか賛成をいただきたいというふうに、まず一点、思っておるところでございます。
 私、三十五分から始めましたのであと三分ぐらいあると思っておるんですけれども、それで、二つ目に申し上げたいのは、著作物のアーカイブの利活用の促進なんですが、これは現在四十七条で、小冊子によって、作品の展示者は展示物の紹介、解説をすることができるということになっています。それを今度は、この時代に合わせて、デジタル端末でもってそれができるというふうにしているわけです。ここは普通のところでありますが、大事なところはこの後でありまして、いわゆる美術館や博物館及びこれに準ずる政令で指定するものは、所蔵する作品の所在を広く国内外に発信できるという規定になっております。
 これは文部科学委員会でございますので、ユーロピアーナの意味合いというのはよくお聞きのことだと思います。ヨーロッパには、加盟二十八カ国の芸術作品を統合して、そこのワンストップのポータルサイトに入っていけば何でもわかるというような仕組みができているやに聞いております。日本もこれができるわけです。
 つまり、国内外に日本の美術作品、写真作品、美術の範囲というのは非常に広うございますから、そういう広い日本の著作物、権利が切れたもの、権利がまだ残っているものもトータルにして発信をして、日本にはこういうすばらしいものがあるということを、例えば国もできるんですね、要するに政令で指定することによって。そうすることで、ぜひとも、近い将来、これがなるほど日本版ユーロピアーナだなと思っていただけるようなものを構築していただければと思っておるところでございます。
 ちょっと、もしかしたら時間が来ているんだろうと思いますので、以上で私の意見にかえさせていただければと思います。
 ありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 119605124X00620180411_002

発言者: 土肥一史

speaker_id: 4316

日付: 2018-04-11

院: 衆議院

会議名: 文部科学委員会