佐藤主光の発言 (予算委員会公聴会)

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○佐藤公述人 おはようございます。よろしくお願いいたします。
 私の方からは、きょうお配りしております報告資料に基づきまして、まずは平成三十年度予算について、それから、続きまして、残された課題としまして、財政再建の問題について取り上げさせていただきたいと思います。
 最初の方に、本日の報告の概要として三点挙げさせていただいております。一点目は、平成三十年度予算にかかわるお話ですけれども、量とかマクロと書いていますが、全体としての評価。それから二番目が、質、ミクロと書いていますけれども、予算の効率的な配分に関する評価ということになります。最後の三点目が、今申し上げました、残された課題といたしまして財政再建を取り上げさせていただくということになります。
 まず、量に対する評価ということになりますけれども、いろいろな評価があるとは思うんですが、全体として言えるのは、人づくり革命とか、それから生産性革命といった新たな財政需要に対応しながらも、当初目標として掲げていた、例えば、社会保障に関しましては三年間で一・五兆円の伸びにとどめるとか、一般歳出でも一・六兆円程度にとどめるといった、当初の目標はある程度実現することができた、そういう評価になるかと思います。
 二番目のミクロに関してになりますけれども、これは、私自身、今、内閣府さんの経済・財政一体改革委員会の方に参加させていただいているんですけれども、そこで出てきていますのが、やはりワイズスペンディング、つまり、歳出の効率化ですかね、めり張りのある予算配分に向けたボトムアップの改革というのが推し進められているところであります。
 具体的にそこで強調されているのが、後で紹介させていただきますけれども、見える化、つまり、今の財政状況あるいは現状、地域間での違いといったものを明らかにしていくということを通じて改革マインドを醸成させていくという、そういったことが狙いになっているわけです。
 あと、これも最近の流行語になってきていますけれども、EBPMといいますけれども、証拠に基づく、つまり、しっかりとしたデータに基づく政策形成というのをしていこうという、そういったこともこの一体改革の中では強調されているものであります。
 最後の、残された課題というところですけれども、やはり長い目で見て、我が国の財政状況というのは逼迫しているわけであります。御案内のとおり、高齢化に伴い社会保障も増加を続けているわけでありますので、やはりここは、せっかく経済状況もよいときでありますので、堅実な、着実な財政の健全化を進めていくべきではないかということ、その点についてきょう述べさせていただければというふうに思います。
 一枚おめくりいただきまして、では、平成三十年度予算の全体像、マクロに関してですけれども、これはもう言うまでもないことですけれども、歳出、金額自体は九十七兆円と非常に大きな規模になってはいるんですが、それは高齢化に伴う社会保障の増加とかもありますので。
 そういう中におきまして、経済・財政再生計画の目安であります、三年間で社会保障関係は一・五兆円、それから一般歳出では一・六兆円の伸びに抑えるという、この目標は何とか達成できているということ。それから、全体として経済が好調だということもありまして、国債の発行額も減少、プライマリーバランスも改善の方向にあるということなんだと思います。
 特に、今回評価させていただきたいのは診療報酬の改定のところでありまして、本体部分はプラスになりましたけれども、薬価については大幅なマイナスということで、全体として診療報酬の伸びを抑えることができた。これが社会保障関係費の伸びの抑制につながったということになるのかと思います。
 次をめくっていただきますと、そこにマクロとミクロという項目が出てくると思うんですが、小さいページで申しわけないですが、五ページというところですけれども、ここまでの話が歳出の全体の話ですけれども、ここから私、特にきょう時間をかけてお話しさせていただきたいのがこのミクロの部分でありまして、財政のまさに構造改革と言われるものであります。
 歳出の伸びを抑える、つまり、三年間で社会保障関係費を一・五兆円の伸びに抑えるというのがある種の数値目標とすれば、いかに赤字をつくらない体質に財政を転換していくか、これが財政の構造改革に当たるということになるわけです。
 具体的に、では、どのようにしてこの財政の構造改革を進めていくのかということで、今政府が取り組んでいるのが経済・財政一体改革ということであります。その中においても、特に歳出改革という言葉で語られることが多いですが、それが六ページのところに、今回の予算編成の基本方針というところでもちょっと述べさせていただいているとおりです。
 一ページめくっていただいた方がよろしいかと思うんですけれども、歳出改革といたしまして、経済・財政一体改革におきましては、社会保障につきましては、例えば、薬価制度の見直しであるとか、あと、かかりつけ医の普及といったもの、これによって、全体として社会保障のめり張りのある配分を進めていこうということになります。そういうことを唱えておりますし、社会資本整備に関しては、PFI、特に上下水道、この後もうちょっと議論があるかもしれませんが、上下水道のPFIを特に進めていきたい、そういう狙いがあります。
 それから、私自身は地方財政の専門家でありますけれども、地方行政改革の中におきましては、トップランナー方式といいますけれども、地方交付税の算定におきまして、従来は、自治体が行政サービスを丸抱えしていることを前提に交付税の基準財政需要を算定していた、必要経費を見積もっていたわけですが、これを、民間委託とか指定管理者制度とか、こういったより効率的な運営、これを前提にした算定に変えていこう、そういうのがこのトップランナー方式ということになるわけです。
 こういった個別分野における効率化を進めていくというのが、経済・財政一体改革の中における歳出改革ということになるわけであります。
 御案内のとおり、この歳出改革、実は、その下のスライドにありますとおり三つの柱から成っておりまして、公共サービスの産業化、まさにこれがPFI、PPPの推進を含むものであります。
 それから、インセンティブ改革、今申し上げたトップランナー方式であるとか見える化を通じて、頑張る自治体や頑張る当事者たちを応援する、そういう仕組みづくりをしていこうということになります。
 最後のところにイノベーションというのが出てくると思うんですが、公共サービスのイノベーションというのは、まさにこの見える化を通じて現状を明らかにして改革マインドを醸成しようということ、そして、きちんとエビデンスに基づいてPDCA、政策評価を回していこう、こういったものが歳出改革の三つの大きな柱になるということになります。
 裏面をめくっていただきますと、九ページのところで、参考までにという形で一体改革の特徴というのを取り上げています。
 時間に限りがありますので要点だけ申し上げますと、従来の財政再建との違いは、やはりまずは、ボトムアップであるということ、現場の創意工夫を促す仕組み。例えば、地方創生などはその一つだと思います。それから、現場の頑張りを引き出すということ。それから、最終的にはワイズスペンディングにつなげていく、それが改革の狙いとして挙げられているということなんだと思います。
 見える化、見える化と言われてもなかなかぴんとこないところもあるんですけれども、見える化というのは何かというと、例えば、住民一人当たりの医療費とか住民一人当たりの後発医薬品の普及であるとか、あるいは自治体のPFI、PPPの取組状況とか民間委託の進捗状況とか、こういったものを地域間で比較できるようにする。
 もちろん、東京と北海道というのは全く経済状況が違うわけですから、これ自体の比較に意味はありませんけれども、類似団体、近隣自治体であるとか、人口規模や経済力、財政力が似通った自治体同士での比較を通じて、これは地方自治体の方々に対するアピールが主なんですけれども、やはり自分たちの取組が、これまでの取組が今のままでいいのかどうかということについて問題意識を持ってもらう。ある意味、自分たちの抱えている課題、こういったものに気づいてもらう。課題に気づけば課題に取り組む、そういうインセンティブになりますので、改革が進みやすいということになるわけです。
 見える化を通じて何をしたいかといいますと、私が理解する限りは、やはり上から言われたから改革をするのではなくて、自分たちで問題意識を持ったから、課題発見したから、それの課題解決に向けて取り組む、そういう形で財政の歳出の効率化を進めていきたいというのが、この見える化の最終的な狙いなんだと思います。
 もちろん、住民に対する、あるいは国民に対する説明責任を果たすというのもあります。従来、行政サービスの水準とか財政の現状というのは、なかなか国民の目には見えないところがあったわけですので、そういったものも明らかにしていくということなんだと思います。
 このあたり、今、内閣府の方でもホームページでデータベースの整備を進めていますが、入院日数であるとか、あるいは病床数とか、かなり顕著に自治体間あるいは地域間での違いというのも明らかになっておりますので、それらを改革の原動力、推進力にしていくということになるのだと思います。
 裏面をめくっていただきますと、あとは簡単になんですが、優良事例というのもあります。
 いろいろな自治体さん、これはまさに自治体さんの話になりますけれども、自治体はかなりいろいろな取組をしておりまして、私がちょっとかかわっているのが町田市なんですけれども、東京都の町田市などは業務改革などを率先して進めておりますし、あとICTの利用を進めている、そういう自治体さんもあります。かなり、そういう優良事例を横展開していくという点においても、この見える化、現状を明らかにしていくというのが役に立つのかなというふうに思うわけです。
 それから、ことしに入ってといいますか、今年度と言うべきですね、特に重視され始めているのがEBPMであります。エビデンスに基づいて物を考えていこう、エビデンスに基づいて政策を形成していこうというのがまさにEBPMということになるんですけれども、そのための統計改革、そういったものを含めてデータベースの整備といったことも進めていくということになるんだと思います。
 さて、最後に、私の方で強調させていただきたい、かつ、きょうの多分論点になると思うのは、やはり財政再建というところだと思います。
 裏面の方の、小さい字で十三ページというところからになりますけれども、二〇二〇年度のプライマリーバランスの黒字化目標というのは残念ながら未達成になると思いますけれども、やはり着実に財政を健全化させていくというのは、これは急務なんだというふうに思います。
 特に、その下の図で描いている、よくワニの口なんというふうにやゆされますが、歳出と税収の乖離というのが、これは国の一般会計ですけれども、歳出と税収の乖離というのを、これを将来的に埋めていく、正確にはプライマリーバランスを黒字化させていく、そういう方向で財政再建を進めていくというのは、やはり、日本のこれからの社会保障の持続可能性、それから、人づくり革命なんてせっかく言っているわけですから、未来への投資というのを着実に実行させていくという点においても、やはり必要なんだというふうに思います。
 財政の健全化というときに、これも申し上げなきゃいけないのは、なぜ必要かというときに、理由は二つあると思うんですね。
 一つは、やはり将来にさまざまな選択肢を残していくことです。借金がたまっていて借金で首が回らないという状況を未来に残すということは、未来の世代が、自分たちの創意工夫に基づいて予算とか財政をマネージできないということになります。やはり未来の世代に対して機会を、彼らが、自分自身の国のあり方、財政のあり方を決める、あるいは社会保障のあり方を決める、そういう機会を残しておくということは必要なんだと思います。
 もう一つは、実は、やはり、最近言われる南海トラフも含めて、大規模自然災害と言うべきですね、台風もあり得ますので、大規模自然災害、あるいはリーマン・ショックのような経済危機、そういった緊急事態に対して柔軟に対応できる、その余地、バッファーを残しておくということなんだと思うんですね。
 なぜ借金を返済しなきゃいけないか、財政をなぜ健全化しなきゃいけないかというと、実は将来借金をするためであるという考え方もあるわけなんです。借金がたまっている状況で、追加的に、今一千兆円を超えていますので、国の借金は、それでさらなる借金を、大規模災害の後、あるいは経済危機、あるいは地勢的なリスク、危機の後にやろうと思ってもなかなか難しいわけですので、ある程度借金をコントロールできる、自分たちの日本経済の身の丈に合うレベルに合わせておくということが必要なのかなというふうに思います。
 ちょっと裏面をめくっていただきますと、十五ページの上の方にあるのは基礎的財政収支の推移です。これは内閣府さんが出しているものですので、これは参考までになんですが。
 といいながらなんですが、なかなか財政再建の議論が前に進まない理由としまして、大きく二つあると思うんですね。
 一つは、奇策と言うと語弊があるかもしれませんけれども、最近、痛みを伴う財政再建をしなくても財政は健全化できると。例えば、脱デフレをすれば健全化できる、あるいは日銀が国債を全部買ってくれれば健全化できるとか、あるいは何もしないと実はインフレは自然と起きるというのは、これは去年、シムズ教授という方が言って有名になっちゃいましたけれども、何かそういう奇策にちょっと飛びつくところがあって、私は、別にこういう考え方を一〇〇%否定をする気はないんですけれども、しかし、我々はギャンブルをやっていいかということだけはやはり問われると思うんですね。
 私が申し上げたいのは、堅実な財政再建を進めていくということなんだと思います。経済成長に頼る、あるいはインフレに頼るというと変ですけれども、そういったものはある種ギャンブル的な要素を含みますので、そこはある意味、堅実な財政再建にはならないのかなというふうに思います。
 では、堅実な財政再建とは何ですかというと、結局、自分たちがコントロールできるものは何かを考える必要があると思うんですね。つまり、国として決められるもの、それは例えば、消費税率は国が決められる、歳出の規模は国が決められるわけです。つまり、プライマリーバランスは国が決められるんですね。ですから、自分たちが決められる手段を講じて財政再建をしていく、これが堅実な財政再建というものになるのかなというふうに思います。
 時間が限られておりますので、ちょっと次を飛ばして、最後のページというか、済みません、小さいページで十九とか二十と書いているところで、財政再建を進めていく上の留意点としての二点目を挙げさせていただきたいと思うんですけれども、やはり格差の問題です。
 財政再建、それはヨーロッパの経験を踏まえても、緊縮財政が社会的な弱者の切捨てにつながっては、これは、財政再建に対する政治的な支持を損ねるだけではなく、社会の分断を招くという点において、あるいはポピュリズムの台頭を招くという点においては、全く望ましくないわけであります。
 したがって、この財政再建とあわせて我々が粛々と行うべきは、日本のセーフティーネットの改革ということになります。
 具体的にと言われると、例えば、社会保障におきましてはよく言われるんですが、これまでの年齢別の支援体制から、能力別、つまり、困っている人への支援体制。つまり、例えば若い世代であっても、所得が低い、ワーキングプアの方々に対する支援とか、母子世帯あるいは子育て世帯に対する支援といった形で、やはり本当の社会的な弱者に対する支援というのは、これは財政再建とあわせて行っていくべきものなんだというふうに思うんですね。
 この国というのは、どうも成長を志向すると成長ばかりになるし、財政再建を言うと財政再建ばかりの議論になるし、再分配の話をするとなぜか再分配ばっかり言うんですけれども、三つは同時にやらなきゃいけないこと、どれかを選択してやることではなく、同時に進めるべきことなんだというふうに思います。
 冒頭で紹介した経済・財政一体改革の狙いも、決して財政再建だけが狙いではなく、やはり経済の成長と両立させるというのがまさに一体改革の趣旨ということにもなります。やはり再分配の強化というのと財政再建というもの、これもあわせて実施していくということ、これを我々は留意するべきことだと思います。
 それとの関連でいきますと、その上の方の段落にありますけれども、平成三十年度の税制改正におきまして、これは税制の話になりますけれども、個人所得税につきましては、基礎控除の拡充とあわせて、給与所得控除の引下げ、公的年金等控除の縮減といった措置が図られております。
 もちろん、新しいライフスタイルというか、フリーランスの方々を含めた新しい働き方に対応した税制改正という面もありますけれども、基礎控除の拡充とかそういったところは、特に再分配機能の強化というのも所得税改革の柱でありますので、再分配機能の強化というのも念頭にあるということなんだというふうに御理解いただければと思います。
 時間になりましたので、私の話は以上でありますけれども、今回の平成三十年度の予算、総じて言えば、まず、財政再建に向けた一歩なんだというふうに思います。やはり歳出の伸びを抑えられたというのは、これはかなり評価するべき点だと思います。
 ただ、これから問われてくるのはその歳出の中身でありまして、めり張りのある、いわゆるワイズスペンディングにつながるような歳出改革を進めていくということ。その中におきまして、特に地方自治体に対する働きかけということになるんですけれども、見える化改革というのは非常に肝になると思います。で、最終的に我々は堅実な財政再建を進めていくべきではないかということ。
 それをもちまして、私の報告とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 119605262X00120180221_002

発言者: 佐藤主光

speaker_id: 5117

日付: 2018-02-21

院: 衆議院

会議名: 予算委員会公聴会