松田修一の発言 (経済産業委員会)

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○参考人(松田修一君) おはようございます。参考人の松田でございます。このような機会をいただきまして、どうもありがとうございます。
 私は、公認会計士そして大学の教員を長い間勤めておりましたが、ベンチャー支援を一貫して行ってまいりました。その間の経験を踏まえて、今日は三ポイントに絞って参考人意見としたいと思います。
 お手元にレジュメがございますので、それに従って説明したいと思います。
 まず、ローマ数字のⅠでございますが、「失われた二十五年」というのが書いてございます。これは平成のバブル崩壊後の二十五年ということを意味しておりますが、その間に、二〇〇〇年当時、非常に日本の起業家社会実現ということが盛り上がってまいりました。大学発ベンチャー一千社計画、そしてマザーズの開設、そして、創業・ベンチャー国民フォーラムという国民的な運動体もございました。そこの提言委員長を私が担当いたしまして、Ⅰにございますような提言書のかがみでございますが、作ってまいりました。
 まず、広い裾野の起業家社会をつくるということで、コミュニティー型・自己実現型創業の拡大ということと、そして、日本に海外から付加価値をもたらすような価値創造型・先端技術型ベンチャーの輩出ということでございますが、そこで、大きく中身としては、教育改革、組織風土改革、制度インフラ改革ということを提言していますが、実は今議論になっているのはまさにこれと内容はほぼ同じでございまして、その頃から中身については余り変化していないということが失われた二十五年でございます。
 それから、ローマ数字のⅡでございますが、開業率が長期低迷しているということが言われていまして、これはGEM、グローバル・アントレプレナーシップ・モニターという世界六十か国が参加している調査の結果のランキングで、いつも言われているものでございますが、日本はなかなか五%開業率が上がらないと。二〇〇一年から二〇一五年までのデータをまとめたものの非常にコンパクトな資料を一ページの下に書いてございます。
 年齢別の起業家予備軍の日本の割合、これがTEAと言っていますが、そして起業家を評価する割合、そして起業したいというときに知識、経験があるかという割合、そのデータが載っております。一番大きい問題は、十八歳から二十四歳の若者が圧倒的に日本は低いということであります。特に、知識、経験、能力の指標というのが、先進国が三〇%にもかかわらず日本は六・六と、いかに起業家教育ということが、自立する教育、生きていく教育、稼ぐ教育というのを小中高も含めて、大学も含めてやっていなかったということの証明であります。
 しかし、光がございまして、一番右の方のデータが、その若い人たちで起業家教育を受けた知識があるという方々から、先進六か国以上に日本の若者は会社を起こしていく、起業していく割合が一三・一に対して一七・六というふうに高いということであります。ですから、起業家教育をすることによって、背中を見て学ぶということができなくなった現在に学校教育がいかに大事かということをここでは意味しています。
 そのような状況で、二ページに参りまして、希望の光というのが今見えております。それを六ポイントほど申し上げたいと思います。
 一番最初は、最高の教育を受けた知的ハングリー精神を持った方々がベンチャーを今起こし始めたということであります。大学院の修士及びドクターを出た方々が起業を始めています。
 そして、グローバルアントレプレナーリーダーということを大学教育の中でもやっていくということが、やっとスタートし始めました。五年経過しております。
 そして、大学の研究成果を研究のためではなくて社会実装していくという仕組みが、これも五年間、既に試行的に行われておりまして、大企業とのオープンイノベーションのつながり、連携ということも今開始されております。
 そして、これは都心部だけではございませんで、地方でもきらりと光る技術というのが多くございますが、それに対する面白いビジネスモデルに対する支援というものも今開始されています。
 そして、一千万程度の小規模のファンディングにつきましては、クラウドファンディング、そしてまた株主コミュニティー制度と、こういうふうなことで資金調達が可能になっています。今、仮想通貨での資金調達ということも始まっております。
 そして、地方自治体が活性化のためにいろんな起業システムというものを運営しております。
 しかしながら、これは希望の光の若干の光でございますが、大きなうねりになっていないということが今の大きな課題でございます。
 ローマ数字のⅢでございますが、少なくとも、過去と比べたら三倍速では遅いかも分かりませんで、五倍速か分かりませんが、グローバル化とスピードということが世界を席巻しておりまして、それに日本がどう対応しているかというのが今回の大きなテーマであろうというふうに思っています。四ポイントまとめてお話ししたいと思います。
 まず一ポツでございますが、ICTセブンシスターズ、これは米国アップル、アルファベット、こういうふうなものと中国のアリババ等々が入りますが、この急成長の中で日本はどんどん今置いていかれているというふうなことがございます。
 これは何を意味しているかというと、そこの表にございますように、第四次産業革命においては、従来型の縦型の業種別分類の動きとしてはもう既に遅れてしまっているんじゃないかと。むしろ、その縦型の業種に対して横串刺しを差し込んでいくという新しいビジネスモデルが、まさにプラットフォーム事業ということで動き出しているということであります。こういう大きなうねりに対して、日本で即やらなければいけないことが二つございます。
 ①でございます、まず。ユニコーンベンチャー、まあ時価総計、未上場で一千億ということを言われていますが、リアルテック、技術をベースにしたこういうメガベンチャーを毎年十社ぐらいは最低日本は輩出したい。どんどんどんどん、今約二百社ぐらい世界ではあるかと思うんですが、日本には今一、二社しかございません。
 それから②でございますが、既存の上場会社の収益力が余りにも低過ぎる。世界水準というのが経常利益率やROEが一〇%以上でないと世界では残っていけないということで進んでいますけれども、この収益力の低い産業構造をどう直していくかと。これは産業再編というような問題に関わっていくかと思います。
 そして、従来、二、三十年のことを見ていますと、日本は技術で勝って、そして市場が急成長し始めると負けていくと。③でございますが、半導体や液晶に代表されますようなことがずっと起きてきたのをどのように転換するかと。残された期間というのがそう長くないということでございます。
 二ポツに参りまして、そのような大きなうねりをサポートしようとしますと、市場や顧客や株主との対話を進めながら長期資金を、いかにリスクマネーを確保していくかとかということが非常に重要でございますが、リスクマネー確保につきまして、世界で主要国が、多くの国々が既に行っていますソブリン・ウエルス・ファンドというものが日本にはございません。ないという前提でどのように進めていくかということが重要になるかと思います。
 そういう意味では、この資金というのが、長期資金はユニコーンテック型のベンチャーと将来の産業構造の組替えに投資対象を絞るということになるんだろうと思います。
 そして、ユニコーン育成には最低二桁、あるいは数百億という三桁の投資が必要でございますが、そのような大型のファンドを持っている会社というのは、日本には一、二社しかまだございません。
 じゃ、日本にお金がないのかと。決してそんなことございませんで、③と④でございますが、個人と企業のストック相当ございます。そして、多くが銀行預金のままマネタイズしていない、これをいかにリスクマネーへ流していくかということであります。そして、我々の年金であるGPIF、約百六十二兆円のファンド総計でございますが、このオルタナティブ投資といいますか、リスクマネーへの資金供給を少し枠を増やしていくと。こういうことで相当対応できるのではないかということを思っています。
 そして、ユニコーンというテック系ということを考えますと大学というのは非常に重要になりますが、日本の大学の知財というのは世界と比較して余り独立していません。自由に大学で使えない、共同研究によって、その一方の共同研究者側に多くの制約が掛けられていると。これは大学が自己資金を持っていないということでありまして、エンダウメントと書いてございますが、開発のための少なくとも基金というのを大学は今つくっていく、早急につくっていく必要がある、そのための税制が必要であろうということであります。
 そして六番目でございますが、ユニコーンというのが大学発ベンチャーから出てき始めました、やっと出てき始めました。しかしながら、大学がダイレクトにエクイティーに出資をしていないものですからロイヤリティー収入しか入らない。ロイヤリティー収入の百倍ぐらいの時価総額が付くわけですが、そこに参入できない。大学が自ら大学発ベンチャーに対してエクイティー投資をしていく、リスクをしょわないでしていくということの知恵がこれから出し合いになるんだろうというふうに思っています。
 いずれにしましても、①から⑥のことをうまく運用しようと思いますと、テクノロジーですから、世界標準の発想で動かなければいけないというふうなことになりますと、リスクマネーを運用、長期資金の運用者に世界のトップ人材が日本に参画していただかなければいけない。そのときに重要なのはインセンティブ、報酬をどう払っていくのかというのが今の体系の中では全く解決できていないというふうなことがございます。
 これが二ポツでございますが、三ポツに入りまして、その中核、長期資金の中核に今現状なっているのが産業革新機構でございますが、今回新しい法案ではここに投資機構というふうに名前が変わってくるわけでございますが、民間主導型で困難な産業構造の転換だとか、今のユニコーンベンチャーに対する成長資金を出していくと。これが民業を圧迫しないというのが今までの条件なんですが、民業圧迫ではなくて民業強化の誘い水になるというぐらいの気持ちで進んでいく必要があるのではないかというふうに思っています。世界のスピードに付いていくには当然そういう発想が必要だろうと思います。そのためには従来の方法と組織構造を変えていく必要があるんだろうと。
 ここに「ガバナンス機能を活かした二重構造の組織づくり」というふうに書いてございます。まず、ホールディング会社と投資ファンド、投資の実行というのを二段階に分けていく必要があるということになるかと思います。
 そして、ホールディングについては直接投資も可能なんでしょうが、投資ファンドにはどんどん、認定をした投資ファンドについては民間企業を加え、そして海外資金も入ってくる、海外からも是非それに参画したいと、こういうことができるような仕組みをつくっていく必要があるというふうに思っております。
 そして、投資ファンドの期限というのは非常に長うございますので、四、五年でリアライズするわけじゃございません。やはり、最低十五年は必要だろうというふうに思っています。
 そして、国のお金も使うわけですから、情報開示どうするんだという大きな議論ございますが、年に二回しっかりと開示する必要がありますが、これは国際的な会計基準がこういう投資ファンドについてもございますので、そのルールにのっとった開示ということになると思います。そういう意味では、投資した一社一社の成果があったとかなかったとかそういう議論ではなくて、包括的に日本の最終的な国富に貢献しているかどうかという視点から、包括的、長期的な視点での開示ということになるかと思います。
 それにしましても、そういうファンドを運用する専門家ということがどうしても必要になるわけでございまして、⑤にございますように、技術でも勝ってビジネスでも勝ち続けられるような産業構造や事業構造をハンズオンできる専門家というのがまだ日本には少のうございますから、海外も含めて人材を入れていく必要があるかと思っております。
 四ポツ目でございますが、二〇二五年、最近ちょっとこういうふうな言葉が出てまいっております。二〇二五年ということを考えたときに、完全に団塊の世代が後期高齢者になってしまうという大変な時期でございます。それまでにいろんなイノベーションの日本における固有のやり方というのを仕上げておく必要があるだろうと思います。そういう時間がないということでございますが、その方法につきまして何ポイントかここに書いてございます。
 まず第一でございますが、「「プロジェクト型サンドボックス制度」の活用」ということが書いてございます。これは、規制があって、既存の規制にとらわれることなく新しい技術だとか新しいビジネスを実証実験をすると。その実証実験をしたいという方々が参加者として手を挙げて、じゃ、どの程度の期間でやるのかということを限定をして、そして、そこにおける問題点をまた直しながら新しい挑戦をしていくという仮説検証スピードということになるかと思うんですが、これを速めていかない限り世界のスピードには付いていけないと思います。この仮説検証スピード、スタートアップのベンチャーにはほぼ使われておるわけですが、世界の伝統的な企業もこういうことを使い始めております。
 それから、②でございますが、各省庁いろんな知恵を出しながらベンチャー支援を行ってまいりました。しかしながら、ベンチャー企業については少人数運営でございまして、どこの省庁とどのように関係すると自分にとって一番いいかということを考えたときに、どの省庁とも付き合わなければいけないとなるとこれは大変なことなんでありまして、そういう意味では、ベンチャー支援は省庁の垣根を越えて国の一元的窓口ということを是非つくっていただきたいというふうに思っております。
 ③でございますが、IoTやAIやロボット、これもコアのところへいきますと、全てデータをどう活用してそれをマネタイズしていくかという社会になってきたと。こういうふうなことで横串刺しということのビジネスになってくるんだと思いますが、その制度設計が日本では非常に遅れている。日本が逆に先進国として進んできた、いろんなルールの枠を超えて進み始めましたので、これをどうするかということになるんであろうというふうに思います。
 ④でございますが、とはいえ、日本の中小企業、全国に相当力ある方がおられます。そして、そこで新しいビジネスを開発されています。新しいビジネスを開発して、それをどこが購入してくれるのかと。もし購買ニーズがあるとすれば、政府、自治体、公共機関が購買枠を必ずこういうことに対して門戸を開いていくという、出るくいを伸ばす地方自治体の仕組みも含めて考えていく必要があるんではないか。二〇〇〇年の半ばには随分これ運動体というのは動いたんですが、いつの間にか消えてまいっております。
 それから、⑤でございますが、今ネットの上で新しいビジネスがどんどん入っていますし、個人間取引も多くなっています。それで、個人開業という方々が非常に多くなっていますが、このネット上の個人開業の取引の捕捉というのが現状ではほとんどできておりません。ですから、開業率というのは実質相当高まっているんじゃないかということを考えていますが、いずれにしましても、事業を開始した人たちは納税義務意識をしっかり持てるような仕組みというのが必要になると思います。
 それから、六番目でございますが、最後でございますが、海外の受入れ、海外の有能な方々の受入れをしない限り日本はもうもたないというのも確かでございます。是非、そういう施策を積極的に考えていただけたらと思います。
 以上、二つの法律の改正に関する参考人意見を述べさせていただきました。どうもありがとうございました。

発言情報

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発言者: 松田修一

speaker_id: 9412

日付: 2018-05-15

院: 参議院

会議名: 経済産業委員会