川上資人の発言 (経済産業委員会)
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○参考人(川上資人君) そうですね、まず、二〇一七年の十月だったと思いますけれども、ロンドンの雇用裁判所では、ウーバーの運転手は労働者であるという判決が出ております。したがって、ウーバー社としては、割増し賃金、残業代、それから最低賃金、それから年休権、これを与えないといけないというような決定が出ていたと思います。
それから、アメリカのカリフォルニア州では、今クラスアクションが起きておりまして、ウーバーの運転手さんたちが、自分たちはウーバーの労働者である、指揮命令下にあるので雇用関係がある、したがって我々がその事業のために支出した経費、これを返してくれと経費償還請求の訴訟を起こしておりまして、まだ判決まで至っていないんですけれども、クラスアクションですので原告数が三十八万五千人に上るんですね。みんなウーバーの運転手です。クラスの認定をするに当たって、裁判所はその労働者性を認めています。労働者ということで一くくりにできるので、三十八万五千人の運転手さんたちは一つのクラスであるというふうにされています。
そのほかにも、個別の労災等の訴訟で、アメリカ、イギリスにおいて労働者性が認められています。
それから、昨年だったと思いますが、そのロンドン雇用裁判所の判決を受けて、アメリカのフィナンシャル・タイムズは、ウーバー社に雇用責任を課す判決は妥当である、それだけ指揮命令下に置いて働かせて、それで彼らの労働によって莫大な利益を上げているのであるから、その雇用責任を負うということは当然であるというような社説がフィナンシャル・タイムズにも掲載されて、これは日経新聞にも紹介されています。
したがって、やっぱりウーバーなりライドシェアの事業モデルの問題というのは、今までずっと安全管理なりの、道路運送法上の同じ土俵の上で、何で同じ土俵なのに同じルールを守らなくていいんだとか、そういった安全管理上のお話はさせていただいていましたが、確かに、労働法制上からおいても、労働法上の責任を守らなくていいので、そういった点からも莫大なコストを削減できるという、そういった事業モデルというふうになっているわけなんですね。そういった二つの側面から規制を守らなくていいというふうに彼らは主張しているおかげで、それによって非常に安い運賃が可能となっていると。そうすれば、利用者としては、その裏に何があるのかというのを知らなければ取りあえず百円でも二百円でも安い方がいいわけですから、当然それは利用者にとっては安い方がいいということになります。
しかし、その裏で、じゃ誰が泣いているんですかという調査をすると、結局労働者、運転手にしわ寄せが行って、それは同じ土俵で争わされているタクシー運転手もそこで泣かされるし、ウーバードライバーも同様であるということで、例えば、今年の三月九日のブルームバーグの記事では、スタンフォード大学の調査結果、それからそれに反論しているウーバー社側の調査結果、これを総合的に評価したとしても、ウーバードライバーの平均時給は良くても十ドルだというふうに言っているわけです。このブルームバーグの記事では、八・五五ドルか九・六八ドルか十ドルぐらいだというふうな報道がされています。結局、これは今年の一月二十七日の日経新聞にも書かれていましたけれども、このようなシェアリングエコノミーモデルの下で働く人が増えれば、賃金の、何というんですか、どんどん安くなる、賃金の低下が起きるという記事はこれ載っているんです、日経新聞でも紹介されているわけですね。
それは、経産省が雇用によらない働き方の研究白書みたいのを、昨年だったと思いますが、出していますが、その統計からも明らかなんです。結局、フリーランスなりの人たちの年収レベルというのは三百から四百万ぐらいです。さらに言えば、プラットフォームのような、こういったITのところで仕事を取っているような人たちの年収は二百万円台というふうになっています。あの白書は、そのまとめだけ読んではいけなくて、生のデータをちゃんと読まないと、まとめではすごくいい結論になっているんですけれども、生のデータはそういうふうになっていないので、そこは注意して見るとそういうことがよく分かる。
そうすると、結局、この規制、先ほどの質問で、規制というものはその便利さを犠牲にする側面もあるという観点も確かにあるかもしれませんけれども、その規制をじゃ取っ払ったときにどうなってしまうのかというと、例えばこのライドシェアの問題に関して言えば、労働者の収入の低下が起きて、結局そうすれば消費が冷え込みますからGDPが減っていく、それに対して、当然投資家なりの収益は非常に大きくなります、労働分配率が下がりますので。あと、もっと言えば、もしここでライドシェアを解禁したとしても、得するのはウーバーなりの世界的にプラットフォームを持っている会社だけですよ。結局、そのビッグデータをウーバーなりのアメリカの企業に持っていかれるだけなので、何にも得しないですよ。
それに対して、この日本で、今フルタイムで旅客運送をやって、家族を支えて、子供を大学にやっている人たちは、みんな十ドル足らず、千円前後、それから年収三百万円前後の職業になってしまって、今フルタイムでそうやって生活を支えている人たちはいなくなり、ウーバーイーツというものが今東京で行われていますが、ウーバー社の別のサービス、これは法に抵触しないのでやられていますが、ベトナム人の留学生の配達員が非常に増えています。そうすると、これ、ライドシェアを解禁するということは、当然ウーバーが一番市場を圧倒的にシェアを占めることになりますが、そこで多分、運転手さんとしてはウーバーイーツで起きているような状況になると思います。そうすれば、彼らにとっては、時給十ドルぐらいだったら、千円ぐらいだったらいいかという話ですから、そういった低賃金のパートタイム労働者を増やしてこの国は豊かになるのかという問題もあるんじゃないかと思います。
以上です。