秋山哲男の発言 (国土交通委員会)
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○参考人(秋山哲男君) 中央大学の秋山と申します。
今回、この法案の一部改正につきまして、皆さん方のお手元に一枚の紙が行っていると思いますが、これを基にお話をさせていただきたいと思います。
今回、法案ができるまでの経緯を簡単に最初御説明させていただいて、今回の法案の成果と、そして今後の課題ということで三つに分けてお話をしたいと思います。
最初に、今までの成果というのは、一九八一年の運輸政策審議会、そこからスタートして、そして二〇〇〇年に交通バリアフリー法ができたというところがございます。その二〇〇〇年の前にできた理由は、アメリカがADAという障害者アメリカ国民法というのができて、そしてイギリスはDDAという障害者差別解消法というのができて、それが一九九〇年と九五年ですが、その後、二〇〇〇年に日本が初めて交通バリアフリー法を作りました。
今回の法案は、バリアフリーにおいて着実に成果が上がっているというふうに私は見ております。その一つとして、黒いボッチの最初のところですけれども、基準が一定の効果を上げている例を大都市の鉄道で見ますと、エレベーター、多機能トイレ、ブロック等は九割方できていると。ただ、地方はやや遅れぎみというところがございますけれども、例えば鉄道駅は九三・七%の駅が段差が解消されているとか、それから人口の多い関東運輸局では九六・三%の整備が進んでいると。
その結果、ベビーカーで移動する人たちが、今まで自動車で移動していたのが鉄道に相当乗り換えてきたという現実がございます。そのことによって、一方で、かなりエレベーターが混雑して障害者が使いにくくなるというようなことだとかが起きています。
また、多機能トイレという障害者専用のトイレも、そのことによって、そういったベビーカーの方々とか荷物を持った人が増えたために使えなくなって、機能分散化を図るというようなマイナス効果も一方で出ているというところがまず第一点です。
それからもう一つは、先進的な模範となる設計が出てきているというところも特筆しておきたいと思いますが、中部国際空港というのは十年ぐらい前にユニバーサルデザインで設計をしました。それを基に羽田国際ターミナル、TIATも二〇一〇年に設計完了してスタートをしました。今は見直しをしている最中ですけれども、こういったところがスカイトラックスというイギリスの民間会社の評価の中では高い位置にあります。
例えば、ここに書いてございますけれども、スカイトラックスで、最もクリーンな空港で羽田が一位で、中部国際空港が二位になっています。これについては、総合評価も恐らく五位以内に入っていると。この二つは、ユニバーサルデザインで最大限の努力を払って造り上げた空港ということで、今でも見劣りがしない段階にあります。
そういう意味で、次の段階が②のところで、新しい参加型の成果が今醸成中というのが、これは、府省連絡会議で街づくり分科会を務めていまして、私、座長をやっていたんですが、そこで成田空港がオリンピックに向けて最大限ユニバーサルデザインで頑張りたいということで、今、一日一回八時間ぐらいの議論を通して、ワークショップを十何回続けて指針を作っている。それは何かというと、実は人材教育なんですね。人材が教育ができると、設計もおのずとユニバーサルデザインの、レベルのかなり高い水準でキープができるというところが先進的な模範となる設計が出てくるゆえんというところです。
そして、今回の法案の成果ですけれども、理念という部分というところは、障害者の権利条約、二〇〇六年に批准されて、それから日本が一三年に調印したと思うんですが、これについて、やはり受け止める形で理念をつくり上げていったというのが第一点だと思います。
第二点がハードとソフトの一体的整備、ソフトを加えたところに意味があると。バリアフリーというのは、やはりハードだけではどうも成り立たないというところが今まで見てきたところです。
特に、視覚障害者の命を守る観点から努力が必要かなという例えばの例ですけれども、ガイドの支援システムももう一方で必要だろうと。本当はホームドアを全部できればいいんですが、まだできるまでには十年、二十年と時間が掛かるわけで、その間に視覚障害者を本当に部分的に誘導するシステム、例えばユージンという米国でやられているトランジットホストというのがあるんですが、これは、障害者がバスに乗り換えて、言語障害の人で車椅子の人を誘導して、運転手にどこどこまで行きますということを伝えていく、そういう仕組みはユージンでやっていました。これは十年ぐらい前に調査行ったときに分かっていたことです。
それから、ICTがこれだけ普及しているのに視覚障害者の支援システムをつくってもいいんじゃないかと思っておりまして、特に、例えばメトロで妊産婦の人が座れるようにという実験をやりましたけれども、これは非常にいいことで、視覚障害者が駅に来たときに、不特定多数ではないんですが、会員となった人が、手助けをしてくれる人をそこでボタンを押すだけでスマホで呼び出すことができるというような、今そこまで技術が進歩しています。こういう技術を使うことをやれば、ハード、ソフトの一体的な整備でもっと前に進むんではないかというのが二点目のお話です。
三点目は、まちづくりと地域の取組でございますけれども、今回、今までは、基本構想は、駅及びその周辺とか福祉施設が多いところとか限定的に一キロ四方ぐらいでやってきたんですが、それが都市全域で拡大して、もっと緩い浅いマスタープランを作って拡大していこうと、入口を強化していこうという流れは賛成でございまして、今なかなか基本構想が進んでいないという点ではいい政策かなと思います。
それから、もう一つ大事なことは、他の分野、都市計画の立地適正化だとかマスタープランだとか、あと地域公共交通網形成計画とか地域包括ケア、こういったものとの連動性が弱いんですね。ここをもう少し一体的に計画できるように、市町村等の努力がちょっと必要かなというふうに思っております。
三つ目ですけれども、移動の連続性、安心の連続性を確保するのに、鉄道駅のバリアフリーはかなりできた、道路の段差はできたと、それを連続的につないでいくという努力がこれから必要なんでしょうねというところが三点目のお話でございます。
③の道路のガイドラインですが、二〇一二年から市町村に条例で移したことによって道路の自治体の動きが本当に見えなくなってきたということと、それから自治体同士の共有する場がなくなってしまったのかなという感じもしますので、ここは少し考えて努力する必要はあるかなというふうに思います。
それから、四点目の利用しやすさですけれども、ICTの役割ですけれども、ICTというのはICTだけ独立でやっていいものかという、部分だけではなくて、施設サインとか案内サインだとかあるいは人的支援だとか、総合的に対応してこそICTが生きてくるということを考えますと、ICTについてはそういった総合的に基本的な計画を立てておく必要があるだろうというふうに思います。
以上のことから、今後の課題として二つだけ申し上げておきたいと思いますが、やはり、ユニバーサルデザインあるいはこういったバリアフリーを進めるためには人材育成の必要性が極めて高くて、やはり形式的なワークショップ、障害者が参加してさえいればいいんだというようなことで進めていくのではなくて、もう少し実を取っていくやり方が必要だろうと。理念を具体化することとかハードやソフトの一体的な整備を推進するためには多様な人の人材教育が必要であると。多様な人というのは、管理者とか駅員だとか設計者とか利用者だとか障害者だとか。例えば空港で整備するときに、空港の職員のための整備も本来は必要なんですね。職員のためのバリアフリーも大事なので、そういった多様な人に対して対応するんだということが必要だろうと思います。
二つワークショップの事例を書いていますが、一つ目は、羽田で三年間ぐらい、当事者と専門家参加型のワークショップをしました。このことによって、羽田は車椅子の着脱式でアイルチェアになってシップまで行ける、そういうものを生み出したり、あとは視覚障害者向けのガイドドッグのトイレを設けたりとか、それからボーディングブリッジが段差なしのものを設けたりとか、そういう結果が出てきました。それから、トイレについては、左利きと右利きの多機能トイレを出してきたりというようなこと。それから、聴覚障害者は、エレベーターでボタンを押せば、聴覚障害の人がもし降りてもガードマンが飛んできてただいま火災ですと案内をする、そういうシステムもつくりました。参加をすることによってそういうことが可能になってくるというのが一つ目のワークショップです。
二つ目の、当事者参加と専門家と事業者参加とここあえて書きましたけれども、これは成田空港でやり始めているんですが、事業者参加というのは、やはりユニバーサルデザインを担保していくときに、事業者がかなり自分の中にユニバーサルデザインが体質化されないと継続性が持てないので、そういう意味で、事業者が参加すると自然にそこはユニバーサルデザインになっていくんだということで、成田では一日八時間を十三回やって指針を作って、今度は具体的な設計の段階に入りまして、今、その中で最初にできたものはカームダウン室という、カームダウン室というのは、知的障害者が心が落ち着かなくなって大騒ぎするような場面があった場合にそこのカームダウン室に入って静かに過ごせるという、そういったものでございます。そういうものがこれから次々に出てくるだろうというのが成田空港の事例です。
それから二番目に、ICTに対応した、バリアフリーに対応した仕組みづくりなんですが、ICTが見えないために、何かの乗り物では八十四種類出ているというのも聞いています。そうすると、八十四種類出たらAを使ってBを使って、Cを使って、全部アプリを入れないといけないという、そういうのは一つにしないといけないというのがあります。
それから、国土交通省の総合政策局で、坂村先生、東洋大学の先生ですけれども、情報のICTの歩行空間を誘導するシステムを開発しているんですが、こういうのがなかなか広がっていかないので、是非こういうものをしっかり広げていただきたいなというのもこれからの要望です。
そして、ICTについては変化が大きいので、私も何か所か実験をしてきましたけれども、なかなか実験場所を得るとかそういうのもお金も掛かったりいろいろしますので、できるだけ普及を急ぐためにもあらゆるところで実験をやっていただくとよろしいかなというふうに思います。
以上が私の意見陳述ということで、ありがとうございました。