國島芳明の発言 (国土交通委員会)

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○参考人(國島芳明君) 高山市の國島でございます。
 私からは、高山市のユニバーサルデザインのまちづくりについてお話をさせていただきたいと思います。
 資料、何部かあっておりますが、ユニバーサルデザインのまちづくりという資料を御覧いただければと存じます。
 本日は、都市の概要、ユニバーサルデザインの考え方に基づくまちづくりの取組状況に続きまして、都市における主な成果と課題、それらを踏まえた一層の推進に向けた国へのお願い事項などについてお話をさせていただきます。
 おめくりください。市の概要でございます。
 高山市は平成十七年に合併をいたしまして、東京都と同じくらいの広さの面積を持つ市になりました。人口は、残念ながら微減をいたしておりまして、直近では八万九千人くらいの都市でございます。
 高山市では、江戸時代から残る町並み、伝統文化、飛騨のたくみの技など優れた地域資源を有しておりますけれども、四十年以上も前から市民と行政が一体となってこれらの地域資源を生かしたまちづくりを進めてきたところでございます。これらの取組が功を奏しまして、ミシュランとか、あるいは文化庁の日本遺産、さらにはユネスコの無形文化遺産など、相次いで選出をしていただいたところでございます。
 おめくりください。
 おかげさまをもちまして、観光客の入り込み者数は増加傾向にございまして、平成二十九年は四百六十万人のお客様に来ていただきました。そのうち外国人の旅行者につきましては、折れ線グラフで示しておりますが、宿泊者ベースで五十万人を超すなど急速に増加をしておりまして、長年の取組にわたる成果が現れたものと考えております。
 ユニバーサルデザインのまちづくりへの取組でございます。
 平成八年頃から、資料に記載の背景などを受けまして、障害者によるモニターツアーなど数多くを行いまして、その結果に基づく道路の段差解消や多目的トイレの設置など、バリアフリーのまちづくりを積極的に進めてきたところでございます。それらの取組を進める中で、そもそもバリアを生まないまちづくり、ユニバーサルデザインの考え方に基づく誰にも優しいまちづくりへの取組へと発展したという経緯がございます。
 おめくりください。
 平成十七年には条例を制定いたしまして、市の基本方針として、誰にも優しいまちづくりを進めることを明確に示すとともに、市民や事業者への参画、ハード、ソフト両面からの取組の推進、事業者による取組への認証制度などを設けたところでございます。
 また、バリアフリー法第十四条第三項に基づきまして、建築基準を強化しております。従来二千平方メートル以上の建築物は適合義務があるところを、私どもは建築物の種類に応じた上乗せ、横出しを行いまして、例えば、学校や保育所などであれば規模にかかわらず基準適合を求めているところでございます。また、施設内の通路の幅などですけれども、施設の構造や配置に関する基準についても独自基準を付け加えさせていただきまして、誰にも優しいまちづくりの推進が一層図れるよう官民連携による取組を進めているところでございます。
 おめくりください。
 平成十八年には推進指針を作成いたしまして、条例の理念に基づいた考え方などを市民の皆様に分かりやすく伝えるための冊子にまとめて様々な場面で活用いたしているところでございます。
 取組の具体例でございます。道路空間の整備ということで、狭い道路では、段差解消とともにカラー舗装によりまして走行車両の減速を促す、あるいは、そういうことを効果を持つ歩車共存型の道路の整備を進めております。そのほかにも、グレーチングの網目を細かくしたり、街路整備、あるいは歩行者安全施設の整備、またお休みどころの整備なども計画的に進めているところでございます。
 おめくりください。
 公衆トイレについても町歩きに非常に重要なアイテムでございまして、写真で御覧いただけますような多目的トイレなどを順次整備をしております。
 行政施設は数が限られておりますので、民間施設のバリアフリー化を促進いたしております。改修費の二分の一を市が助成するなどの支援制度によりまして、官民連携したハード整備を進めております。また、タクシーなどの公共交通に対しても同様でございます。
 おめくりください。
 ソフト面での取組、主に言語や習慣などでバリアがあると考えられる外国人への対応といたしましては、独り歩きができるまちづくりを推進するために、十一か国語の外国語ホームページの開設や無料WiFi環境の整備を行いまして、外国人の受入れ環境を整備するほか、災害対応やマーケティングにも役立たせていただいております。パンフレットは、多言語で国ごとに見ていただく、人の心を捉えるように作り分けているところでございます。
 おめくりください。
 その他の受入れ環境整備といたしましては、店舗の看板やパンフレット、メニューなどの外国語表記に対する助成、おもてなしの心を伝える研修会の開催、四か国語による多言語案内看板の整備、観光ガイドの育成などの取組も進めているところでございます。
 十六ページのところは、高山駅周辺整備の関係でございます。
 おめくりください。
 将来を担う子供たちへの啓発で大変重要と考えているところでございます。子供たちにも分かりやすい資料を配りまして各学校で授業に取り上げてもらうほか、市の職員による出前講座の実施などを行いまして、高山市の大切にしているまちづくりの考え方や困ってみえる人を思いやる気持ちなどを学んでもらっております。
 主な成果でございます。平成八年に高山市が取組を開始した頃、これは市の総合計画の基本理念と同じでございますが、「住みよいまちは、行きよいまち」、これを基本理念といたしまして、そのことの推進が魅力ある町につながっていくといったまちづくりの考え方が一定程度実を結んだものと考えております。
 おめくりください。
 具体的には、先ほども御紹介しましたが、ハード面では、町中の回遊性の向上、誰でも使いやすい施設設備、民間施設の整備促進などが図られました。ソフト面では、来訪者へのおもてなしにつながっているところでございます。これらの取組は、市民や事業者の皆様にも当たり前になってきたということが非常に大きいことだというふうに感じております。
 こちらは外国人の宿泊数の推移でございますけれども、御覧のように急速に伸びているところでございます。
 おめくりください。二十一ページでございます。
 一方、市民にとって暮らしやすい整備によりまして、市民満足度の向上や地域への誇りや愛着につながっているものと考えております。左の写真は市内に二か所ある伝統的建造物群保存地区の一つでございますが、道路のバリアフリー改修を始め景観に配慮した側溝整備、無電柱化など歴史的町並み再生整備を広範囲に行いまして、住民の皆様からも大変好評をいただいております。周辺では民間住宅の外観改修が進むなど、町の魅力が住民の皆様方の手によって進められていくというふうに感じております。
 高山市における課題を御紹介させていただきます。当市の取組の開始から十年余りが経過いたしまして、主に三つの視点で課題があるものと考えております。
 一つ目は、過去からの課題といたしまして、当市では市内一律の基準としておりますが、厳格に基準を適合させるようにしますと、例えば、価値の高い町屋建築の改修が行えなかったり、あるいは登山道にある山小屋のトイレまで段差解消を求めたりすることがございまして、歴史的価値や自然の趣を重視した考え方に立った見直しが課題となってきております。
 二つ目は、おめくりください、現在の課題といたしまして、肢体不自由な方の円滑な移動を確保する施設整備を中心としてこれまで取り組んでまいりましたけれども、認知症や発達障害、LGBT、外国の方など、暮らしにくさを抱える人たちへの視点はまだ不十分でございます。また、例えば道路の段差解消を進めた場合、白杖をつかれた視覚障害者には、頼りとする凸凹がなくなり逆に不自由するといった例も出てまいりました。このため、あらゆる人が快適に過ごせるためには、ソフト、ハード両面からの施策の検討が課題となっているところでございます。
 三つ目は、未来志向の課題といたしまして、先ほどお話がありました、AIやIoT、ロボットなどの最新技術への対応についてでございます。人口減少や高齢化なども更に進むと予測される中、サービス水準や量の確保を図るため、これらの最新技術を積極的に活用することも課題となってきているところでございます。
 おめくりください。
 以上のように、当市の誰にも優しいまちづくりにつきましては、独自基準の対象や程度の妥当性、制度内容の過不足、支援制度や学習指導の有効性などを分析、検証を行いまして、市民や団体の皆さんとも議論を深めながら、国の制度改正なども踏まえた抜本的な見直しを進めているところでございます。
 最後に、一層の推進に向けてということで幾つかお願いをさせていただきたいと存じます。
 まずは、制度内容についてでございます。
 地方自治体によっては取組の程度に差がある現状の中、国における制度見直しに際しましては、地方の意見を十分に踏まえた内容としていただきたいということでございます。
 具体的には、マスタープラン制度を創設されるに当たっては、例えば重点区域の設定を義務化しないなど、自治体の裁量を働かせられるよう自由度を確保していただきたいと存じます。また、先ほども市の課題で申しましたけれども、歴史的価値のある建物や施設のスタッフが支援を得られるような場合については適合義務を緩和するなどの考え方を示していただければ、実務を担う地方にとっては大変有り難いと考えているところでございます。
 次に、支援制度でございます。
 地方における取組の支援についてのお願いでございますが、特に外国人へのおもてなしの向上、将来を担う子供たちの取組など、ソフト面の取組が大変重要と考えております。例えば、アドバイザーの派遣や事業費の助成等の支援制度を御検討いただきたいと存じます。
 また、先ほども申しましたAIなどの最新技術の活用にあっては、地方都市に多少のハンディキャップがあることも考えられます。地方都市にあっても最新技術に触れられるような情報提供、企業と自治体のマッチングなどについても推進していただければ大変有り難いと考えております。
 また、積雪寒冷地においては冬季の積雪への対応も重要課題でございます。除雪対策には最大限努力しておりますが、財源にも限りがあるところでございます。また、ユニバーサルデザインの視点からも、雪対策についてハード、ソフト両面における地方の取組を支援する制度、これらを創設についても御検討いただければ有り難いと思うところでございます。
 最後に、市民の声から印象的な言葉を御紹介させて終わらせていただきます。
 都会のように便利ではないが、便利になってほしいとは思わない、高山らしさを失うことなく、不便なところは人と人とのつながりでカバーすればよい。この言葉が示すとおり、一番大切なものはやはり人の心でございます。飛騨高山が長く受け継いできた他者を思いやるおもてなしの心であると考えております。これからも、この考えを基軸に据えまして、市民の皆さんと取り組んでまいりたいと思います。
 以上で説明とお願いとさせていただきます。ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 國島芳明

speaker_id: 26822

日付: 2018-05-17

院: 参議院

会議名: 国土交通委員会