崎山美智子の発言 (国民生活・経済に関する調査会)

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○参考人(崎山美智子君) 本日は、このような機会を設けていただき、ありがとうございます。
 私は、公益社団法人滋賀県手をつなぐ育成会の崎山美智子です。どうぞよろしくお願いいたします。
 手をつなぐ育成会は、主に知的障害の子供を持つ親の会として活動しています。当会は、滋賀県では障害福祉の父と言われた糸賀一雄氏の力添えにより、六十五年前の昭和二十八年十月に発足いたしました。糸賀氏の「この子らを世の光に」という福祉理念の下に、保護者の相談活動から始まりました。これまで保護者の運動団体として活動してまいりましたが、現在、障害当事者の、障害があっても地域で普通に暮らしたいという思いを大切に育て、自立への手助けはもちろんのこと、当事者がいかに生まれ育った地域で支援を受けながら生きがいのある生活ができるようにと活動しています。
 長い活動の中、今、親の高齢化と子の高齢化により様々な課題が生まれています。また、情報あふれるこの社会、若い親は、人間関係の希薄さから、我が子の障害の受容すらできず、毎日の生活に追われ、情報の渦の中でもがきながら子育てをしているのが現状です。
 課題の一つに就労があります。
 今日は、私どもが知的障害者の団体ということで、数字としては、知的の数、数字を就労実態として挙げさせていただいています。
 障害者の就労として、一般就労と就労継続支援A型については、労働関係法令の適用を受け、労働者とされています。雇用契約を結び、法的にも最低賃金が保障されています。就労継続B型やその他は、福祉サービス利用者等の扱いとして、賃金も工賃との名目で支給され、月額一・五万円は目標値としまして、少ないところでは月三千円という事業所も少なくありません。
 参考までに、一般就労では、約六十三・一万人、そのうち、知的障害者は十五万人、身体障害の方は四十三・三万人、精神障害の方は四・八万人とこの二〇一六年の資料には書かれています。平均賃金ですけれども、一般就労では、月額賃金が、知的では十・八万円、身体障害者の方は二十二・三万円、精神障害の方でも十五・九万円というふうになっています。
 就労継続支援A型では、約五・五万人の方が働いていただいています。うち、知的障害者の方は二万人です。身体障害者の方は一・一万人、精神障害の方は二・四万人となり、平均月額賃金は、知的の方で六・六万円、これはほかの身体障害の方、精神障害の方も大体平均六・六万円と聞いております。
 就労継続支援B型、これは先ほど言いましたように、雇用契約を結んではなく、訓練という形を取らせていただいているところの事業所です。働いていただいている人数としましては二十万六千人ということで、うち、知的障害の方は十一万三千人というふうになっています。身体障害の方はぐっと減りまして二・六万人です。精神障害の方で六・六万人。平均月額賃金は、目標としていますのが一・五万円というふうになっています。
 障害者の目標法定雇用率も二・二%に引き上げられました。しかし、知的障害の雇用はまだまだ低迷と言わざるを得ません。比べて、就労継続B型での就労は、知的の方が全体の半数以上となっています。多くの知的の方は、福祉就労に落ち着かなければ仕方がないという実態が見えてまいります。
 近年、就労支援事業所の課題として、障害当事者がその適性に応じて能力を発揮して、一般就労への定着や、工賃、賃金向上、一般就労への移行に更に促進しなければならないところです。また、障害当事者である利用者の高齢化、重度化が進み、生産能力の低下から工賃向上が困難になってきています。
 そのような現状の中、就労継続A型の突然の廃業が問題になっています。滋賀県におきましても、この二月に事業所A型が突然閉所したケースがありました。原因は、制度の問題もあったり、利用者と関わる指導員の人材不足もあったり、利用者の高齢化があったりといろいろですが、働く場を突然なくしてしまった利用者の戸惑いと落胆、将来への不安は計り知れません。
 これからの就労支援には、障害理解の取組を積極的に推進していかなければと思っています。特に、障害特性の多様化により、地域での地道な活動が必要となってきています。本人が自分の望む人生を実現するために、障害特性を含めた本人理解の必要性を感じ、私どものような親の会や他の障害者団体がこの障害理解のための活動に取り組み、力を入れていこうとしています。この動きは、私どもの上部団体であります全国手をつなぐ育成会連合会によりまして、現在、疑似体験を通じ、障害理解のためのキャラバン隊が次々と各地で結成されております。
 支援機関においては、近年の障害者増加に伴う就労希望者の増加、それを想定した就労機関の充実を図っていただき、障害当事者にとって、希望に沿った、またその障害特性に合った仕事を長期に安定的に続けられるようにお願いしたいところです。また、体力、気力等が徐々に低下していく中高年齢層の障害者がその能力に応じた働き方ができるような支援の仕組みを考察していただきたく、お願いしたいと思います。
 余談ですが、知的障害者の老化については、実年齢よりも十年から二十年早く進むと言われています。私が運営していますグループホームの利用者の中で、私と同い年の利用者がいらっしゃいます。支援する側とされる側ですが、とても同級生とは思えないくらい認知能力が、また体力も低下が著しく最近では見られています。
 このように、障害のある子供の就労をまた陰で支えてまいりました保護者の高齢化が深刻になってきています。障害のある本人の、朝起きて、起床から身支度、通勤の準備、また出かける玄関の前ですらチェックをする、ともすると通っている支援事業所までの送迎まで担っている保護者もいらっしゃいます。就労環境を何十年と支えてきた保護者です。進路の決定、就労先の決定、地域とのつながりなども保護者が支えてきました。本人の生活全般をコーディネートしています。必ずしも本人の思いを一〇〇%代弁しているとは言い切れませんが、可能な限り本人の希望と目標に基づく支援をし、生活の見守り役を果たしてまいりました。
 親の会活動の歴史から見ましても、教育の義務化、これは一九七九年でしたが、養護学校ができて四十年。学校卒業後の行き場がなく、行き場のないその現状から、働く場をつくろうという親の動きで作業所作りに励みました一九八〇年代。当時、作業所を作った親たちは大体四十歳から五十歳代、それから三十五年ほど経過しています。障害者である子供たちは四十歳から五十歳代、親は七十歳から八十歳代になってきています。就労を支えてきた親の役割は、どういう形でつないでいくのでしょうか。
 今、親たちは、親亡き後の問題に直面しています。一昨年、滋賀県手をつなぐ育成会では、六十五歳以上の高齢期家庭へのアンケートを実施いたしました。結果として、親亡き後の不安として、住まい、金銭管理、身上監護を不安材料として挙げられました。
 ただ、この不安の解消には積極性に欠けるところがあります。本人の日常生活の見守りや権利擁護に対する不安はあるものの、漠然とした不安の中で、なかなか改まって相談に行くというふうなケースが少なくございます。身近に相談する仲間もつながりが薄くなりつつあり、亡くなる先輩のお母さん方もいらっしゃって、なかなか孤立化の方の現状が進んでいる状況です。
 就労を支えることは本人の生活そのものを支える生活支援であるという、そういうふうに思います。親亡き後は、複数の支援が連携して支える仕組みが必要となってまいります。相談支援、また法的支援、生活支援がお互い牽制し合いながら支えることで、身近な地域の方々も本人を支えてくださるような関係づくりができればと願いながら、私の御意見とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 崎山美智子

speaker_id: 26116

日付: 2018-04-11

院: 参議院

会議名: 国民生活・経済に関する調査会