西尾忠男の発言 (財政金融委員会)

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○参考人(西尾忠男君) 定期航空協会で企画委員会委員長をしております西尾忠男でございます。
 本日はこのような機会をいただき、航空業界として御出席の先生方に国際観光旅客税に関する意見を述べさせていただくことができますとともに、深く感謝申し上げます。
 まず、定期航空協会について簡単に申し述べさせていただきます。
 定期航空協会は、我が国航空運送事業の健全な発展を促進することを目的に設立され、現在、我が国の重立った航空会社十五社が加盟している航空の業界団体でございます。本日御審議いただく国際観光旅客税は、出国行為に課税されると伺っております。したがって、国際線を運航し、本税を国に代わり徴収し、お客様に代わり納税する航空業界を代表して、使途や具体的な活用方法について、これまでも関係各所に要望をさせていただいております。このような立場から、本日は意見を申し上げたいと思っております。
 まず初めに、観光に関する航空業界の基本的な認識を申し上げます。
 御存じのとおり、今日の我が国経済に対して訪日旅客がもたらす影響は非常に大きく、観光産業は既に我が国の経済の成長を支える不可欠な産業へと成長を果たしていると考えております。この中にあって航空業界は、明日の日本を支える観光ビジョンで掲げられた、観光は真に我が国の成長戦略と地方創生の大きな柱であるという政府のお考えに賛同し、拡大する世界の観光需要、特に近隣アジア諸国からの観光需要の取り込みを図ってまいりました。その結果、昨年は、訪日外国人旅客数が過去最高を記録し、外国人旅行消費額も四兆円を超えるに至っております。
 加えて、二〇二〇年には四千万人、二〇三〇年には六千万人に訪日旅客を増加させるという政府目標の実現に向けて本邦航空業界も様々な取組を進めているところでございます。特に地方創生、すなわち訪日旅客の経済効果を地方に波及させるという点においては、航空ネットワークを活用し訪日旅客を地方へ誘客するために、訪日外国人向けの割安な特別料金を用意して、都市部だけではなく地方への訪問を動機付ける、また航空会社として、訪日需要そのものを喚起するために、JNTO、日本観光政府局等とともに海外において日本の地方の魅力をPRする等、多種多様な取組を進めております。
 加えて、観光産業というのは大変裾野の広い産業であり、我々のような輸送サービスはもちろんのこと、飲食や宿泊を始め小売、農林水産業など、様々な産業に影響が波及する極めて重要な産業であると考えております。少子高齢化などの影響で大幅な経済成長が難しいと予想されている中、今後の日本経済にとって観光産業の発展は不可欠です。もちろん、我々航空業界としましても、より一層の観光産業の発展、ひいては日本経済の発展に貢献をしてまいりたいと強く考えております。
 さて、今申し上げましたように、ビザ発給要件の緩和を始めとする政府の外国人旅行者の訪日の促進施策によって順調に伸びてきた訪日旅客数ではございますが、今後更に訪日旅客数を増やそうという中で、空港を取り巻くハード、ソフト両面で様々な施策が必要だという状況も明らかになってきております。これらの問題を解決し、日本が更に成長を遂げるためにも、観光産業を飛躍させる新たな財源が必要だという話の中でこの国際観光旅客税が創設されるものと理解しております。
 国際観光旅客税は、我々の要望も受けていただいた結果、受益と負担の関係が明確になっております。また、利用者利便の向上に財源が活用されると伺っております。そして何よりも、当財源を活用した施策により訪日旅客が増加することは、航空業界はもちろん観光産業全体にとって大変喜ばしいことであり、国際観光旅客税法案を成立させていただくことは航空業界としても望ましいことだと考えております。加えて、来年二〇一九年にはラグビーワールドカップ、二年後の二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催が予定されており、これら国内で開催される国際的なイベントに対して訪日旅客を受け入れる体制を充実させることは必須であり、そのための財源の確保の必要性は理解できるものであります。
 定期航空協会としましては、昨年の夏に国際観光旅客税、当時は出国税と仮に呼ばれておりましたが、本税の創設の検討が始まった初期の段階より、どういう形で観光財源を確保し、仮に税として徴収するのであれば使途をどのようにすることが望ましいかということを具体的に要望してまいりました。具体的に我々が国際観光旅客税の使途に関してこれまでどのような要望をさせていただいてきたか、お話しさせていただきます。それは、受益と負担の関係を明確にしていただきたいという一点に尽きます。つまり、負担者である国際旅客が裨益する使途としていただきたいということです。
 この要望については、二〇一七年十二月二十二日、観光立国推進閣僚会議において決定いただいた国際観光旅客税(仮称)の使途に関する基本方針等についてにおいて、受益者負担である旨を明らかにしていただきました。加えて、さきの参議院本会議において、国際観光旅客税の使途を規定する外国人旅客の旅行の容易化等の促進による国際観光の振興に関する法律の一部を改正する法律案を可決していただきました。この点について、改めて先生方に御礼を申し上げます。ありがとうございました。
 また、この税をどう活用していくかということで、国土交通省航空局や観光庁を始め関係各所の皆様と議論させていただいてきたところであります。航空業界からの要望としましては、繰り返しになりますが、税の負担者である国際航空旅客の理解を得られる使途としていただきたいということです。特に、観光旅客のみならず、ビジネス旅客や日本人出国者からも理解を得られる使途に財源を活用いただきたいと希望してまいりました。これらを実現するために、当財源は、空港環境の飛躍的な向上、特に全てのお客様がストレスなく快適に利用できる先進的な空港利用環境の実現に活用すべき財源であると定期航空協会は要望してまいりました。
 これを具体的に申し上げますと、生体認証技術を活用したスマートエアポートの創設ということになります。この国際観光旅客税(仮称)の使途に関する基本方針等についてに示された、ストレスフリーで快適に旅行できる整備の環境、受益と負担の関係から負担者が納得を得られること、先進性が高く費用対効果が高い取組であること、そういう基本方針にも合致するものであると理解しております。
 では、生体認証技術を活用したスマートエアポートの創設とは何かということでございますが、これは、空港において国際線航空機に搭乗するまでのチェックポイント、すなわちチェックイン、荷物預け、保安検査場の入場チェック、出国検査、そして搭乗ゲート等を全て自動化し、その上で、個人の顔を鍵とすることで手ぶらでストレスなくチェックポイントを通過する仕組みを構築し、空港をストレスなく利用していただこうという考えです。
 現在は、これらのチェックポイントにおいて係員が作業を行い、本人確認のために都度パスポートや航空券を提示いただくなど、お客様にお手間をお掛けしております。また、それらの確認に時間を要することから、お客様をお待たせして御不便をお掛けする結果となっております。現在の訪日旅客数の人数でもお客様に御迷惑をお掛けしておりますが、これが訪日旅客四千万人、六千万人となった際のお客様のストレス、快適性の毀損は想像に難しくありません。
 では、どのように変えるかと申しますと、チェックインの際にお客様の顔情報とパスポート情報、航空券情報等を取得して一つの情報にまとめます。そうすることで、次のチェックポイントである手荷物預けや保安検査場の入場などにおいて、お客様はパスポートや航空券を取り出すことなく、御自身の顔を鍵とすることで全てのチェックポイントの通過が可能になります。また、係員が確認することがなくなりますので、チェックポイントを通過する時間の短縮にもつながりますし、省人化による人手不足対策としても有効であると考えます。つまり、生体認証技術を活用することで、空港混雑の緩和が実現するとともに、パスポートや航空券をその都度提示するストレスからお客様を解放し、先進的な世界で一番便利な空港サービスの提供が可能になると考えております。
 この空港利用環境の実現は、訪日旅客のみならず、日本人出国者にも非常にメリットのあることだと考えております。加えて、訪日旅客の方々に日本の空港は便利だ、ストレスがないと感じていただくことで、訪日リピーターも増やせるのではないでしょうか。
 現在、世界で最も先進的とされている空港の一つにシンガポールのチャンギ国際空港がございます。この空港で昨年、最新のターミナルがオープンいたしました。しかし、この最新ターミナルビルでも、各チェックポイントではパスポートを利用した旅客の本人確認を行っております。しかしながら、我々は、パスポートを使うことなく顔認証のみ、手ぶらで本人認証を行う空港利用環境の実現を要望しております。したがいまして、日本においてこれまで申し上げてまいりましたような技術を活用した空港が実現すれば、政府が目指す観光先進国として、世界に誇る非常に先進的な空港サービスを世界の方々に提供することが可能になると考えております。
 こうした技術は、スマートなセキュリティー検査など先進的な空港サービスの実現を視野に、本年一月には、国土交通省、全国空港ビル協会、定期航空協会が合同で第一回空港イノベーション推進官民連絡会を開催させていただきました。官民連携した航空イノベーションの推進に、引き続き定期航空協会としても取り組んでまいりたいと考えております。
 また、お客様をストレスから解放するという意味においても、航空券に上乗せして徴税するオンチケット方式が合理的であると考えます。他国においてもオンチケット方式での徴収は事例がございますし、徴収と納付において他国と同様の枠組みを活用することで、航空会社はお客様に御負担を強いることなく、特別徴収義務者として役割を果たすことができるのではないかと考えております。
 最後に、航空業界として政府にお願いしたい点を一点申し上げます。それは、税の導入に関する周知を十分に行っていただきたいということです。やはり、税を負担されるお客様への周知というものは大変重要であると考えております。特に本税は、国内だけではなく、訪日を検討している海外のお客様に対して税が新設されたことや税額等を周知し、全ての訪日旅客に御理解いただくことが必要でございます。この点に関して、日本を含めた全世界的な広報活動について、航空を始めとする事業者とともに、政府として税の導入までに十分な御対応をいただきたいと希望しております。
 以上、本税を国に代わりましてお客様から徴収し納税する航空業界の立場を代表し、意見を述べさせていただきました。
 本日は、貴重な機会を頂戴し、誠にありがとうございました。

発言情報

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発言者: 西尾忠男

speaker_id: 13193

日付: 2018-04-10

院: 参議院

会議名: 財政金融委員会