竹村公太郎の発言 (資源エネルギーに関する調査会)
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○参考人(竹村公太郎君) ありがとうございます。竹村でございます。
私は、現在、NPOの日本水フォーラムの代表理事を務めさせていただいております。十六年前まで、国土交通省の河川局長を退官しまして、今はもう完全に気分は民間人でございます。
本日は水力発電についての活用策ということでお話しさせていただきますが、私はずっと河川をやっていました。河川とダムをやっていました土木エンジニアです。土木技術者です。そのために、最初から水力へ行ってしまうと我田引水のような話、イメージを持たれてしまうといけないので、私は、なぜ水力が大事だという考え方を今日プレゼンするかというところに至った考え方を簡単にお話しさせていただきます。(資料映写)
これが経産省が、二ページ目ですけど、経産省が発表している世界各国のエネルギー自給率でございます。
この図はちょっと八百長でして、日本が大きくしているんですね。韓国が一八%だけど、日本は六%なんですね。本当はこれを韓国の三分の一にしなきゃいけないんです。何でこんなことをしているのか全く分からないんですけど、私は。本当に分からないんです、これは。韓国の三分の一なんです、日本のエネルギー自給率は。
この六%の文明国は必ず滅びます。これは歴史を見ると、エネルギー自給率六%の文明は必ず滅びるんです、歴史的に見ると。ということを、世界の歴史といっても皆さんぴんとこないから日本の歴史で簡単に言いますと、この図がコンラッド・タットマンが作った日本の森林伐採の図です。真ん中の真っ赤っかのが奈良時代後半の森林伐採エリアです。つまり、奈良時代、奈良盆地でもう木がなかったという証拠なんです、これは。紫のところが戦国時代に木を伐採した、能登半島、伊豆半島まで来ているんですね、なかったということなんです。つまり、戦国時代、もう関西には木がなかったということです。イメージとしてはこんなふうなことです。
これは比叡山です。これが高松です。実は、青森から、これは私、恣意的にこれを持ってきたんじゃなくて、青森から九州まで、昭和年代、丸裸でした。これは、もしどうしても青森の丸裸の写真見たいというなら、私に言っていただければお渡しできます。
これ、日本全国が丸裸だったんです。なぜかというと、全てのエネルギーを、化石エネルギーを戦争に投入したからです。これは昭和天皇のお話で「昭和天皇独白録」という、今でも売っております、文春文庫で。さきの戦争は石油で始まり石油で終わったという、天皇の侍従たちにお話ししたことが文春文庫できちんと書かれております。
つまり、あの戦争は石油戦争だったと。陸軍の統帥権がどうのこうのという人間模様で語られますけど、私は基本的にエネルギー戦争だったと。あのインドネシアの石油が欲しかったんです。ヒトラーはバクーの発電所が欲しかったんです。バクーの石油が欲しかったんです。結局、日本は当時はアメリカに頼っていましたので、当時の日本の自給率は、石油の自給率は七%でした。ちょうど今と同じです。この七%の日本が、アメリカに首を絞められて窮鼠猫をかむ形で戦争に突入してしまったということでございます。
これが、現在、経産省のホームページ見て皆さん御承知だと思いますけど、エネルギー可採年数、石炭があと百年、石油があと五十三年、ガスが五十六年。三・一一以前は、この石炭が三百年ぐらいだったんです。三・一一以降は百年になっちゃいました。あっという間に、急激に石炭が少なくなっています。つまり、今生まれた赤ちゃんが五十歳になったときには、もう石油とガスがないんです、この日本は、このデータに基づくとですよ。私じゃないですよ、これはエネ庁の判断ですから。つまり、今生まれた赤ちゃんが五十歳になったときは、途方もない大混乱の文明になっているということが想定できます。
一つの証拠が、これはスタンフォード大学のエイモス・ヌル教授が巨大油田の発見の経年経緯を、経過をやったんですが、この一九六五年、一九六五年が重心ですから、もう巨大油田は一九六五年に人類は発見し終わったということが言えます。もう既に、血眼になっていますけど、発見されておりません。
次、この図が各国の石油産出と消費の図なんですけど、世界で一番石油産出が多いのはアメリカです。これは、皆さんが意外とびっくりされると思いますけど、アメリカです。そして、一番使っているのもアメリカです。これ見ますと、今石油が余っているというのは、ロシア、そしてイラン、イラク、サウジ、UAE、クウェートです。ですから、この非常に極めて厳しいところが石油が余っていて、それを私どもがどうにかしてもらっているという実情です。
つまり、これからの石油とガスの取り合いは、アメリカと、アメリカはもう需要量大きいですから輸入していますので、アメリカと中国と日本とEUが化石エネルギーの取り合いをするというような状況が十分考えられるわけです。
で、私どもは一体どうしたらいいんだと。太陽エネルギーしか私はないと思っています。太陽エネルギーは無限で膨大です。もう無限で膨大と言っていいです。でも、決定的な弱みがあります、この太陽エネルギーには。単位面積当たりの密度が薄いんです。どうやってこの単位面積当たりの薄いエネルギーを集めるかが実は各技術開発の焦点ですが、いよいよ水に、水力に入っていきます、これからは。
これは国土交通省が作っている国土の分布図でございますが、真ん中が国土のシェアですけど、左右に人口だとか資産が書いてありますけど、国土交通省の河川局が作ったグラフは、これは何かといいますと、日本の七〇%は山だと、で、高台がちょっとあると。高台というのは、大体、今、国会があるような、こんな台地ですね。で、一番下の方に低平地があると。ここがいつでも水害が起きるよ、そこに人口の五〇%と資産の七〇が集中しちゃったと。こんな危険な先進国はないんですけど、こんなふうな危険なんだよという説明なんですけど、逆に見ますと、逆にこの図を見ますと、僕たちの大都会の背後には山が控えているということなんです。
山は何かというと、単位面積当たり薄いエネルギーの水、これは雨もそうですが、雨も単位面積当たりが薄いんです。下町にばしゃばしゃ降っても、水があふれるだけで、何にもエネルギーじゃありません。この雨が山に降ることによって、この雨が山、山岳地形によって集められて、大都会に供給していく、つまり電気として供給されると。つまり日本列島は太陽エネルギーに囲まれた国なんです。それを最初に言ったのはグラハム・ベルです、明治時代に。
その話はちょっと先へ置きまして、次のこの図なんですけれども、じゃ、なぜ水力発電が各電力会社撤退しちゃったか。高いからです。これが三・一一以前のデータです。電事連のデータです。三・一一以降はいろんな数字が出ちゃっていまして混乱していますので、三・一一以前にいわゆる電事連が何を考えていたかよく分かるんですけど、水力はこんな高いよと、ほかの石油、石炭、LNG、そして原子力、こんなに安いよと。だから、もう十三円も、こんな三〇%も高いんじゃやっていられないということで、各電力会社は水力発電から撤退しました。
でも、この中の燃料費のシェア見てくれということなんです、この図は。つまり、水力はただなんです。ところが、これから石油、石炭、LNG、原子力はちょっとパスしまして、この三つの化石エネルギーは止めどもなく高くなっていきます。この十年、二十年じゃないんです。五十年後にもう可採なくなるんですから、簡単に取れる石油、ガスが。ということは、途方もなく膨大にこれが価格が上昇していくという前提となると、これを今のうちにただの水力をやっていくのが一番ベストだねというのが私が考え方です。
ただし、日本列島は非常に弱点を持っています。滝のような川なんです。大体、世界の川と比べてみましても日本の川は滝のようでして、そうですね、多摩川ですと、東京の多摩川ですと、上の日の出で降った雨が大体その日のうちに東京湾に帰っちゃいます、日帰りです。一番大きい利根川であっても、みなかみ町でばあっと降った水が銚子に出てくるのに大体二泊三日ぐらいですね。それしかいてくれないんです、日本国内に。だから、雨が多い雨が多いというのはあれうそなので、あっという間に海に戻ってしまう雨しかないんです。
それをためておくのが実はダムなんだよということでございます。ですから、ダムは太陽エネルギーの貯蔵庫なんです。それを言うと環境の方に非常に、竹村また嫌なことを言うと嫌がられているんですけど、私は本気でそう思っていますので、このダムがあるからこそ、水をためて、それを使い勝手のいいエントロピーの小さいエネルギーにできるんだということでございます。
整理しますと、日本の水力発電は、これはちょっと論理が飛んで申し訳ないんですけど、日本はアジア・モンスーンの北限にあって、非常に水が多いんです、世界的に見ても。地理は、周りに海に囲まれていますので、海に囲まれているというのは太陽エネルギーの原資である水に囲まれているということです。そして、地形としては七〇%の山地で、日本列島そのものがエネルギーを集める装置なんだということです。
社会的な平等な脊梁山脈、これは何かと申しますと、北海道から九州まで脊梁山脈がありまして、全ての市町村に川があるんです。こんな国はないんです。全ての市町村に流れている水があるんです。それは全部エネルギーなんです。ですから、全ての市町村にエネルギーがあるということは、こんな公平な国家はないと断言できます。もちろんカナダとかそういうところはありますけど、それは山岳地帯にあるんであって、日本のような全ての市町村に流れている水があるなんということはないんです。
そして、貯蔵装置としては、ダムは太陽エネルギーの貯蔵庫ということで、過去、先輩たちがダムを、私も含めてダムを造ってきましたので、このダムを上手に使おうというのが今日の最後の私の考え方です。つまり、新しいダムを造ると言うと、竹村またあいつはダムを造りたいんだなと思われてしまいますので、私は、既存のダム、今あるダムを有効に使ったらすごいポテンシャルあるぞということをお話ししたいんです。
なぜこんなことを言うかというと、エネ庁の方々は、これからの水力発電のことを考えるときは一切国土交通省や農林省のダムを無視しています。ほかの行政に手を突っ込むことはタブーなんです、霞が関では。ですから、エネ庁の方々は、いいんだよ、国土交通省のダムに手を突っ込んでくれよと言うと、びっくりしちゃうんですね。
つまり、今日私がお話ししたいのは、各省庁の縦割りの行政の枠外した、全て今あるダムを徹底的にエネルギーに使っていったらどうかという提案でございます。
まず、全てのダムに発電機を付けてくれと。うそだと思うんだけど、発電機がないダムがいっぱいあるんです。それを付けたらどうかと。
それと、ダムの運用変更です。ダムの運用変更というのは、もう少しダムを水ためていいじゃないかと、なぜもう少しためられないんだと。
なぜためられないか、一つ理由があります。昭和二十九年に洞爺丸事件が起きまして、二年後に多目的ダム法というのができたんです。そのとき先輩たちは、台風がどこにいるか分からない、どこに行くか分からないという前提で、洞爺丸事件のダメージを受けていましたので、その二年後に作った特定多目的ダム法というのは台風がどこにあるか分からないという前提で作ったんです。ですから、このダムに必ず今年百年の洪水が来るぞという前提なんです、全てのダムが。それは、今はもう一週間前から分かっているんだから、台風の進路は。だから、もうちょっとためておいていいんじゃないの、今あるダムの、あと五メーターためただけで物すごい大きなポテンシャルがありますというようなことがダムの運用変更です。
あと、ダムのかさ上げをしてくれと。ダムのかさ上げというのは、古いちっこいダムのところに大きいダムを造ってしまう、簡単な話です。
そして、下流調整池でピーク発電をやってくれ。これは何かというと、本ダム、この図であります本ダムがありまして、本ダムでピーク発電するんです。そうすると、どんと水が下流に流れてしまって大変なことなので、本ダムの下流にちっちゃい三十メーターぐらいのダムを造るんです。その小さいダムで、本ダムでぼんと発電したピーク発電の流量をためて、二十四時間掛けてゆっくり出すんです。
これ、別に難しいことじゃないです。私が宮ケ瀬ダムの所長をやっているとき、このシステムをやりました。今、神奈川県の厚木にある宮ケ瀬ダムは昼間ピーク発電どんとしています、三時間ぐらい。そして、百何十メーターのダムですけど、下流に三十メーターのちっこいダムを造りまして、そこで水をためて、そして安定的に下流に、厚木の方に流しているというのが宮ケ瀬ダムでございます。日本で唯一直轄ダムで造ったダムでございますけど、国交省が、そういう、やろうと思えばできるわけでございます。
そんなふうなことをして私が仲間たちと試算した結果が、既存のダムだけで、新しいダムを造らないで、活用だけで三百七十万キロワットできるよと。これは非常に極端な案でして、全てのダムを発電をナンバーワンのプライオリティーにしろという考え方なんです。
だから、概念を変えなきゃいけないんです。つまり、五十年後にはそういう概念になるだろうという前提です、私は。五十年後はもう化石エネルギーはなくなるんですから、五十年後のダムの、最もプライオリティー高いエネルギーになるはずです。私が死んだ後で、私は予想するだけですけど、そうした場合、どれだけポテンシャルがあるかということをカウントしただけでございます。
つまり、水力発電を前提とした操作をして、水道だとか農業用水はその後の従属で使ってくれと、もし足りない分は、それはほかのところでため池造ろうじゃないかというような考え方です。治水に関しても同じです。治水はいろんな様々なメニューがありまして、まだまだ幾らでもやることがありますが、エネルギーに関しては私は選択肢はそれほどないと思っています。
ここで、三百七十万キロワットできるよと言うと、皆さん、既存のダムだけで原子力発電所が五個分できたねと喜んでくれるんです。そうじゃないんです、これは。分散型なんです。北海道から九州までの各市町村ができるようなレベルの小さな発電、水力発電も含めた統計ですので。つまり、この東京が維持するには、あと黒四ダム三つぐらい造らなきゃ駄目です、この利根川で。そんなことできるわけないんです。又は、横浜、東京をやるために、この関東地方で黒四ダムを今から三つ、四つ造るのかと、そんなことできるわけないんで。ですから、これはあくまで分散型だということで、この水力発電とほかの電力とのミックスでもってこれから日本は生きていかなきゃいけないと私は思っております。
最後に、河川法の第一条に、この河川法というのは治水と利水と環境というのが入っていますが、是非、このエネルギー開発、水力エネルギーの最大活用のようなことを入れていただかないといけないなと思っております。
これは、最後にちょっと申しますと、今の法律でもできるんです、河川法は。でも、今の法律体系だと、河川管理者は許認可をする、上から目線なんです。上から目線だと事業をやる方々にとっては非常につらいんです、それは。やっぱり、河川管理者が一緒になって、プレーヤーとなって水力発電に参加するというところに持ち込まない限りできません。今は本省にいる人間はみんな頭がいいから、私の言うことをみんなぴんと来ているんですよ。ところが、津々浦々の末端の現場に行っちゃったら、その彼らは、彼らにとっては法律が何もないから、やる必要ないんです。許認可していればいいんです。
ですから、この国会の先生方が本省の人間と、竹村があんなこと言ったからおまえやれと言って、もう彼らは分かっているんです、本省の人間は。でも、それを津々浦々の河川管理者の方々が事業者と一緒になってやっていくためには法律を変える。
法律を変えるのは、国土交通省は自ら変えられないから議員立法でやってもらうしかないと私は思っております。なぜこれ国土交通省がこんなことをやるかと。経産省が邪魔しますから。これは何だ、エネルギーは俺たちのものだと。ある省庁が行政法を出していくと、必ずそれは潰されます。それはあくまでもガバナンスのある国会議員の方々がそれを主導していくしかないなと私は、個人的な意見でございますが、そう考えている。決して河川局の意見じゃありませんので。よろしくお願いします。
以上でございます。