阿部一彦の発言 (厚生労働委員会)

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○阿部参考人 ただいま紹介いただきました日本身体障害者団体連合会の阿部でございます。よろしくお願いいたします。
 私たち日身連も、今回の問題はとても大きな問題だと思い、さまざまな場で意見を述べさせていただきました。また、その内容についても、基本指針に取り入れていただいたところもありますので、とても大事なことだとまた確認しています。
 さて、本来、民間企業に率先垂範して障害者雇用を行う立場にある行政機関において、あってはならない行為が長年にわたって行われていたという事実はまことにゆゆしき問題です。障害者雇用に真摯に取り組んできた関係者の信頼を揺るがす極めて深刻な事態であると認識する必要があります。
 検証結果を見ますと、極めてずさんな取組が長年にわたって行われてきたことが判明いたしました。数多くの機関において、対象障害者として計上した根拠となる確認資料が引き継がれないまま、名簿のみが引き継がれたり、勝手に解釈、判断して計上するなどの事実から考えますと、障害者雇用の推進を行うという意識が極めて低かったと言わざるを得ません。また、このような状況が生じていたことに厚生労働省が気づいてこなかったという事実も深刻なことです。事実にしっかり向き合って、改善に努める必要があります。
 ところで、障害者手帳所持の確認が行われなかったことなどから、手帳の所持が職務の遂行や昇進、配置がえなどに関して不利益を生じさせると考えさせるような職場の雰囲気があったのではないかと疑われます。
 本年四月に公表されました平成二十八年度調査による障害者数に関する資料によれば、在宅の身体障害児数が六万八千人なのに対して、十八歳以上六十四歳未満の身体障害者数は百一万であることがわかりました。このことから、成人になってから、つまり職業に従事している間に障害者手帳を持つ人の数が大幅にふえていることが推測されます。
 各機関に入職後に障害者手帳を取得した人の実態などが判明すれば、更に検討を深めることができたと考えられます。内部障害など見た目にはわからない障害がありながら、手帳の所持を言い出せない、又は障害者手帳を申請しない方がいたとしたら大きな問題です。
 また、このことは精神障害においても大きな問題です。障害があっても、その人に応じた合理的配慮が提供されることによって十分な職務能力が発揮できる職場環境を構築する必要があります。
 公務部門における障害者雇用に関する基本方針を見ますと、統一的に行われる障害者を対象とした選考試験の導入など、評価できることがあります。しかし、雇用率達成のための単なる数合わせに終始することであってはいけません。採用される障害のある人にとって、やりがいのある仕事の内容、働きがいのある職場をつくることが重要です。
 そのためにも、これまで障害者就労において実績のある専門家の採用や、民間企業の取組で培われたノウハウを十分に導入する必要があります。これまでの蓄積が、民間企業における納付金制度の財源の活用によって得られた知見や技術、研究成果であっても、納付金制度が該当しない公務部門においても十分に活用すべきだと考えます。また、同様に、ジョブコーチと呼ばれる職場適応援助者の活用も必要です。
 一方、大事に思うことは、必ずしも統一的に行う障害者を対象とした選考試験での採用だけではなく、これまでも行われてきたと思いますが、障害があっても国家公務員試験を受験して、総合職、一般職、専門職を目指す力を持っている障害者の採用にしっかり取り組んでいただきたいということです。合理的配慮がなされれば、持てる力を十分に発揮して、行政マンとして施策の策定などにかかわることは重要です。障害を体験してきたことは、その場合には、その人にとっての大事な資源でもあります。
 また、ともに働く障害のない行政マンにとっても、障害のある同僚から体験的に学ぶことも数多いと思います。多くの国民にとっても、共生社会の実現に取り組むことの重要性の認識を深めることにつながると思います。
 合理的配慮の重要性について、更に話を進めさせていただきます。私の知人の体験ですけれども、障害者としてのさまざまな経験と知見をもとに高い専門性を有している彼が、その専門性の活用のために採用されたときのことです。
 パソコンを使用する際に、手に障害があるために、職場のキーボードを使うことができませんでした。そこで、彼が日ごろから使用している特別なキーボードを持参して職場で使おうとしたのですが、職場の規則により私物を持ち込むことができないと禁じられました。上司の方は、そのことは大事だと判断されたのですけれども、役所の規則のために使用できなかったのです。
 そして、話合いが持たれ、ようやく彼のものと同じキーボードを購入することになったのですが、入手するまでの二カ月間、彼はパソコンを使えませんでした。合理的配慮の提供が役所の規則によって妨げられたのです。
 規則を大事にすることは大切なことです。しかし、二カ月間パソコンでの仕事を行えなかったのは大きな損失です。せめて、入手できるまでの期間だけでも、私物ではありますが、自宅でいつも使っているキーボードを使うことはできなかったのでしょうか。合理的配慮について十分に対応できる部署、判断できる部署が必要だと思います。
 一人一人にとって不便なこと、困難なことは異なります。その人その人にとっての社会的障壁を取り除くための合理的配慮について柔軟に対応できることが、今回のように数多くの障害のある人にとって働きがいのある就労を実現するために必要なことです。
 また、障害者手帳の所持に至らない慢性疾患、難病、一時的な障害のために働くことに困難を抱えている人々にとっても、合理的配慮が重要です。
 さて、地方公共団体における障害者雇用も重要です。その中でも、教育委員会の実雇用率が低迷していることの改善が求められます。
 ユニバーサルデザイン二〇二〇行動計画は、社会を変える大きな取組だと思います。学校における障害理解、企業、地域、国民に向けての取組など、大きな期待を抱かさせます。
 これらの取組には、障害の体験を大きな力として取り組む障害のある人の関与が求められるのではないでしょうか。
 特に、学校教育における心のバリアフリー、障害理解の取組などには、障害のある職員の活躍の場があるのではないかということを申し述べ、障害のある人の体験をその人の大きな力、大きな資源として職務遂行に生かすことの重要性を強調させていただいて、私の発言を終了いたします。
 今回、このような貴重な機会をいただきましたことに深く感謝申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 阿部一彦

speaker_id: 68

日付: 2018-11-21

院: 衆議院

会議名: 厚生労働委員会