栗原敏郎の発言 (厚生労働委員会)
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○栗原参考人 ただいま御紹介いただきました公益社団法人全国重度障害者雇用事業所協会会長の栗原でございます。
名前が長いので、略して全重協と言っております。もともと重度の障害者を多数雇用している全国の事業所が集まってつくった団体でございます。
どういうことをやっている団体かと申しますと、障害者、特に重度障害の雇用の促進と職場への定着を推進することを目的に、企業や社会福祉施設、学校等に対する情報提供や相談援助、調査研究等を行っております。会員数は、賛助会員を含めますと三百二十事業所でございます。そこで働いている障害を持たれた方は一万名おります。
本日は、この場で意見を述べさせていただけます機会を与えていただいて、本当にありがとうございます。私ども、障害者を雇用している企業の団体でございますので、そうした立場から意見を申し上げたいと思います。
まず第一に申し上げたいことでございますが、現在、我が国において人手不足ということが大変大きな問題となっております。そうした中で、企業が必要とする人材を確保するという意味で、障害者の雇用をこれまで以上に積極的に進めていく必要があるということでございます。
障害者の雇用というと、いまだにちゅうちょする企業もあるやに伺っております。しかしながら、障害を持たれている方をうまく指導をしながら作業をやっていただければ必ず戦力になる、このことは、我々全重協の会員企業がこれまで長年にわたって世の中に実証し、また、みずから実感してきたことでございます。
障害者を戦力として雇用するとはどういうことかといいますと、障害者にとってやりがいのある仕事、働きがいのある仕事、そして企業にとってもそうした仕事を障害を持った方にやっていただければ助かるという仕事、そういう仕事をうまく切り出して、あとは、仕事を障害を持たれた方に無理なくできるよう、必要な合理的な配慮をきちんと行うことによって、障害者にとって、企業にとってメリットになるような、ウイン・ウインの関係で障害者の雇用を進めていくということでございます。
このようなことを申し上げますと、そんなことが本当にできるのか、単なるきれいごとではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、先ほど申し上げましたように、私ども全重協の会員企業は、もう三十年以上も前から実際に重度の障害を持たれた方を多数雇用し、彼らを企業の戦力として積極的に活用しております。
また、障害を持たれた方を企業の戦力として活用していく例は、私ども全重協の会員企業以外にも、ただいまお話をいただきました有村参考人のところと同じように、全国に四百社以上ございます特例子会社もございます。こうした特例子会社では、まさに障害を持たれた方が中心となって仕事をしております。
また、警備業などでは障害者の雇用が難しいとよく言われますが、私どもの会員の中には、警備業において精神障害者を積極的に活用している例もございます。
委員の皆様も御案内のとおり、障害者の雇用につきましては法定雇用率という制度がございますが、昨年の国の調査では、まだ半数の民間企業がこの法定雇用率を達成しておられないと伺っております。こうした中で、今後、民間企業における障害者雇用を更に進めていくためには、単に法定雇用率を達成するために障害者を雇用するということだけではなく、障害者をうまく雇用すれば非常に大きな戦力になるということを十分理解して障害者の雇用を進めていくことが大変重要だと考えております。
私ども全重協の設立目的は、重度障害者等の雇用の促進と職場への定着推進ということにありますが、今後もこの目的を達成するために、障害者をうまく雇用し、大きな戦力とすることをみずから実践し、会員以外の企業にも広げていくということが私どもの重要な役割であると考えております。
また、最近は、国や都道府県において、障害者雇用の不足ということが大変大きな問題になっており、私ども、こうした問題に注目をさせていただいております。
こうした問題が起きた原因につきましては、国の検証委員会の方でもいろいろと御指摘をされておられ、そういうことだと思っておりますが、それについても、私がここで申し上げたいということは、先ほど来繰り返して申し上げている、障害を持たれた方をやはりうまく戦力として雇用して使っていく。国、都道府県の皆さんが果たしてどこまで御理解されておられるかというのはわかりませんが、そういうことだと私は思っております。恐らく、国、都道府県の皆様方がこのことをもう少し御理解しておられれば、もしかすると今回のようなことは起きなかったのではないかというふうに思っております。
特に、国におかれましては、平成三十一年末までに約四千名の障害者を雇用される予定だと伺っております。そうした際にも、障害を持たれた方を戦力として活用するという認識がないと、ただの数合わせであると、障害者雇用はうまく定着しないのではないかというふうに思っております。
国や都道府県におかれましては、そういうことにならないように、障害者を戦力として活用するということを今後も絶えず意識していただき、それと、必要な合理的配慮を適切に行っていただけますよう、障害者にとって働きやすい職場をつくっていただければ幸いでございます。
もちろん、障害者に対する合理的配慮や障害者にとって働きやすい職場をつくるということは、実際にそれほど簡単ではなく、私ども民間企業も自分たちだけではできないことでございます。
そうした際には、私ども民間企業は、外部の支援機関、例えばハローワーク、独立行政法人の高齢・障害・求職雇用支援機構の障害職業センター、あるいは障害者の就業と生活を一体に支援する障害者就業・生活支援センター等の就労移行関係の事業所等に支援を仰いでおります。
国や都道府県におかれましても、これからの障害雇用を進めていく上で何らかお困りになるようなことがございましたら、こうした外部の支援機関を利用されるのも一つの方法ではないかというふうに思います。
こんなことは私が改めて申し上げるまでもなく、国や都道府県の皆様方も十分御承知だと思いますが、当たり前のこと、それを忘れることなく絶えず認識し続けていかないと、いつの間にかうまくいかなくなってしまうということもございますので、余計なことかもしれませんが、あえてこの場で申し上げさせていただきました。
それから、国や都道府県における障害者雇用の問題につきましても、私どもの会員企業の間で、もう一つ心配事が出ております。
それはどういうことかといいますと、先ほど来お話もいただきましたが、今、障害を持たれた方についても人手不足の状況が続いております。これから短期間のうちに国や都道府県が障害者の雇用を進めますと、いわば我々民間企業における障害者雇用にも影響が出かねないのではないかということでございます。
どういう影響が出るかといいますと、国や都道府県と我々民間企業の間では、障害者のとり合いなどのようなことが起きるのではないかということで、私ども全重協の会員の中にもこうしたことを心配している企業もございます。特に、会員の中にはいわゆる中小企業もたくさんございます。そうした中小企業は、障害者の労働条件等といった面で、どうしても国や都道府県に対して劣ってしまうということを心配しております。
もちろん、こうしたことは全く杞憂かもしれませんが、実際にこういうことを心配している企業もございます。そういうことを、国や都道府県の皆様方が障害者を雇用するに当たって、民間企業の懸念を十分御理解をいただければというふうに思っております。
以上、いろいろと勝手なことばかり申し上げまして大変恐縮でございましたが、今後も人手不足の続く中で、国や都道府県、そして私ども民間企業、障害者の雇用をこれまで以上に積極的に進めていくということは、今後の我が国にとって大変重要な課題だと思っております。委員の皆様方におかれましては、このことを改めて認識をいただきまして、必要な御支援をいただければ幸いでございます。
私からは以上でございます。ありがとうございました。(拍手)