本條義和の発言 (厚生労働委員会)

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○参考人(本條義和君) 全国精神保健福祉会連合会の本條です。本日は、このような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 複数の中央省庁で障害者雇用者数の水増しを報告していたという問題は、都道府県など地方自治体にも広がりました。今回の問題については、意図的な虚偽報告であり、障害者雇用率制度の根幹を揺るがす事態として憂慮しております。障害者雇用促進制度研究会報告書の具体化を図ろうとしたやさきに起きたこの問題は、障害者雇用制度そのものの信頼を根底から覆すことになりかねません。
 障害者雇用に関して、民間企業にはプライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドラインが示されていますが、公務員といえども、これに基づき、民間同様の徹底指導を行うべきです。
 平成二十九年度の障害者雇用状況調査、いわゆる六・一調査によれば、民間企業は、雇用障害者数、実雇用率共に過去最高を更新し、法定雇用率達成企業の割合は五〇%と好成績を収めております。これは、精神障害者や発達障害の就労に対する制度的バックアップと民間企業の努力のたまものであると考えます。
 私たちは、精神障害者とその家族の権利擁護や支援体制の整備、精神障害者雇用や就労定着に努力してまいりました。今回の調査結果は私たちの予想をはるかに超えており、驚きと憤りを禁じ得ません。障害者雇用に真摯に取り組んできた民間企業としても、到底容認できることではありません。
 また、障害者にとっても人事担当者によって障害の有無を一方的に判断されてきたことでもあり、プライバシーや人権の侵害行為として糾弾されなければならないと考えております。
 平成十八年四月に精神障害者も雇用率の算定対象とされた際にこのようなプライバシー侵害の事案が予想されたため、厚労省ではプライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドラインを制定し、障害者を守る方策を示してきました。障害者手帳を所持していることは原則であると理解していたとか、理解が足りなかった、認識不足であったという説明は到底納得できるものではありません。
 今回の事態は、民間企業に対する信用失墜行為であり、障害者に対する偏見や蔑視の表れとも言えるでしょう。政府、行政機関は、虚偽報告の対象とされた職員、民間企業や障害者、国民に謝罪し、早急に信頼回復と再発防止策を取りまとめて改善策を講じるよう要望いたします。
 また、各省庁や地方自治体における雇用率の未達成状況をどのように解消するかも併せて計画を策定すべきですし、民間企業同様、罰則規定も盛り込むべきであると考えます。
 障害者の雇用の在り方は、法定雇用率のみに左右されるべきでありません。研究会報告書で触れられているように、障害者本人の希望や特性を生かしつつ、安心して働き続けられる環境を整備するという障害者の雇用の在り方が大切です。不足数の補充という拙速な対策にならないよう、十分な計画期間を確保の上、実施していただきたいと思います。
 精神障害者の雇用義務が障害者雇用促進法の改正によってうたわれ、本年四月より施行されているにもかかわらず、このような状態は、雇用率水増しという前代未聞の不祥事に真摯に向かい合うという姿勢がないと言っても過言ではないと思います。
 今後、厚労省としては、法改正をし、ハローワークが他省庁の調査もできるようにする方針のようですが、現在でも自省の調査はできますし、知事は知事部局以外の警察や教育委員会も調査できますから、法改正を待つのではなく、自主的にかつ定期的に調査を行うべきです。
 それと、この不祥事が発覚する直前の七月三十日に研究会報告書がまとまり、公表されています。まだこれから労働政策審議会で議論してまいるところではありますが、公務員の方におかれては、よく読んでいただき、現在でもできることがたくさんありますので、できるところから手掛けていけば、雇用率の改善のみならず、障害者雇用の質を高めることになると思います。
 例えば、四月一日の改正によって、精神障害者には限られておりますが、短時間雇用、週所定労働時間二十時間以上三十時間未満も、従来〇・五のところが一・〇にカウントできることになりました。精神障害者の方は疲れやすく、長時間労働が難しいところがあります。短時間であればかなり能力を発揮すると思いますので、決してマイナスではありません。
 精神障害者の雇用について申し上げますと、平成二十九年度の数値はおよそ五万人の雇用になっております。しかしながら、障害者全体の雇用障害者四十九・六万人からすれば一割にしかすぎないわけであります。精神障害者の雇用が一段と進む方策も手だてをしていただきたいと要望したいと思います。厚労省を始め関係機関が積極的に啓発していけば、かなり前進します。在宅就労などは今や常識になっているわけでありますから、障害者にもその制度を導入していただきたいと思います。
 また、公務部門においても、精神、知的はそもそも採用対象とされていないところも少なくありません。障害者枠での選考も検討していくべきではないかと思います。
 採用における差別をしないことも前提に、職場定着のためにも、公務部門における障害者雇用に関する基本方針でも触れられている、個々の障害者のサポートをする支援者の配置、委嘱についても柔軟な適用を求めたいと思います。また、担当者への教育、外部サポートの活用なども積極的に進めていただきたいと要望したいと思います。
 時間も余りありませんので、検証委員会について一言申し上げます。
 検証過程において、当事者参画が著しく不十分でした。検証委員会は障害者団体の参画はなく、関係省庁会議のヒアリングも、精神、知的の本人と難病団体が入っておりませんでした。水増し対象者には手帳を持たない精神障害者が多数いたと聞きますが、本人不在は誠に残念です。さらに、水増しの事実を知っていたはずの担当者が数十年にわたり沈黙し続けていたこと、さらに、平成二十六年に独立行政法人労働者健康福祉機構の不祥事の際の検証が不十分であった背景には、公務員には誤謬はないという一種のおごりのような気持ちがあったのではないかと思います。
 公務に当たるときは決して誤りを起こさないとする姿勢は非常に大切ですが、しかしながら、どんなに気を付けても人間というものは過ちを犯すものであります。その前提に立って議論をし、制度設計に当たり、運用に当たっていただくことを要望いたしたいと思います。
 以上でございます。

発言情報

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発言者: 本條義和

speaker_id: 13852

日付: 2018-11-20

院: 参議院

会議名: 厚生労働委員会