真山勇一の発言 (本会議)

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○真山勇一君 立憲民主党・民友会の真山勇一です。
 会派を代表して、参議院法務委員長横山信一君の解任決議案に賛成の立場から討論させていただきます。
 法務委員会に付託された出入国管理法等改正案は、空前の欠陥法案だと言われています。それどころか、欠陥があるとかないとかいう以前に、そもそも法案の体すら成していないことは、先ほどの有田議員の趣旨説明で明らかでしょう。合理的な立法事実は全く示されないのに、導入される外国人の数は事実上、青天井。法務省が自由に決定できます。しかし、制度の運用についてのほとんど全てをこれから決めると開き直る始末です。これでは、法案というより、まるで法務大臣への白紙委任状です。
 横山信一委員長、いや、この場にいらっしゃる法案に賛成の皆さんは、新たに明らかになった六十九人の技能実習生の死をどう考えていらっしゃるんでしょうか。
 特定技能に先行する技能実習制度は深刻な人権侵害を生み続け、国際社会から厳しく批判されています。しかし、法務省は、これについて分析も反省も改善の成果も一切示していません。野党の強い求めに応じて法務省は失踪した実習生の聴取票を渋々開示しましたが、それは、手書きで書き写せという嫌がらせ付きでした。それもそのはず、この聴取票からは、最低賃金以下という違法行為で酷使された実習生が六七%もいたという実態が明らかになりました。
 法務省は最低賃金割れは〇・八%以下としていましたが、もし実態を把握した上でそう言っていたなら、法秩序を守るべき法務省が、人権侵害、違反行為、犯罪行為を隠蔽、偽装していたことになります。実態調査をしていなかったのであれば、途方もない怠慢です。どうして、こうやって法務省に日本社会の未来と外国人の人生を白紙委任できるんでしょうか。
 総理入りの審議をしても、駄目なものが更に駄目だと明らかになっただけの話であり、採決の環境は全く整っていません。横山委員長がすべきは、採決の強行ではなく、更なる熟議を求めることです。
 横山委員長の強行的な委員会運営は限度を超えています。これも先ほど有田議員が説明しましたが、この臨時国会では、徹頭徹尾、与野党の合意もないのに委員会の開催が強行されてきました。十一月十三日の所信的挨拶の聴取、十五日の所信的挨拶を受けての質疑、二十日の給与法二法案の趣旨説明、そして、二十二日の給与法の質疑、採決までの全てにわたって、与野党理事の合意より前に、委員長の職権によって開催が決定されました。
 これらの審議日程に野党は全く反対していませんでした。それなのに、冒頭から国会の慣行を踏みにじる委員会運営を強行したことは全く理解できません。野党側を挑発して早めに委員長の解任動議を提出させ、会期末の攻防が来るまでに、いわゆるスーパー委員長になりたかったのでしょうか。いずれにせよ、常軌を逸しています。
 そして、入管法改正案が本会議で強行的に審議入りした後も、十二月四日には議員立法による改正案の趣旨説明及び質疑、五日の参考人質疑、そして、昨日も採決を強行しようとしたとしか思えない委員会運営と、与党側は、徹頭徹尾、野党理事との合意を求めることなく、横山委員長はただただ強行的に職権を発動し続けようとしました。
 法務委員会では、このような強行的な運営が行われたのは現行憲法下では初めてです。これほど国会の先例や慣行、また合意を踏みにじった強行的な委員会の運営は、憲政史上初めてのことではないでしょうか。
 私は、参議院議員になってから長い間、法務委員会に身を置かせていただきました。理事、筆頭理事も務め、法務委員会における特別の慣行や申合せを大切に委員会の運営をする場面を経験してまいりました。法務委員会では、ずっと、審議日程は与野党が合意して決めることが鉄則とされてきたのです。この良き慣例は、これまでの議事録にしっかりと残されています。
 ごくまれに強行採決が行われたときには、いずれも大問題となりました。覚えておられるでしょうか。平成十一年の第百四十五回国会における通信傍受法案も職権で採決が強行され、大変な問題となりました。また、平成十五年六月三日、第百五十六国会の参議院法務委員会では、心神喪失等医療観察法案の採決が強行的に行われましたが、当時の魚住裕一郎委員長は、その後、六月二十六日の法務委員会において、強行採決に至った経緯を反省され、与野党合意を図り、公明正大な委員会運営を努めてまいりたいと特別に委員長発言をされました。代々、法務委員長のポストを独占されてきた公明党の皆さんは、このことは重々御承知のことだと思います。
 しかしながら、公明党出身の法務委員長は、安倍政権下において悪い方に大きく豹変されたようです。昨年の共謀罪法案、いわゆるテロ等準備罪法案の審議でも職権が連発され、採決に当たっては、更なる熟議を求める国民の広範な反対を押し切って、中間報告方式で本会議において強行採決をされました。そして、この国会においては、与野党の意見が何も対立していないのに、審議の始まった冒頭から、徹頭徹尾、職権による委員会運営が強行され続けてきたのです。先人たちが築き上げてきた先例、慣行、合意は粉々に打ち砕かれ、法務委員会は多数派が少数派を圧殺する場になってしまったようです。
 基本法を担当し、法秩序の維持と人権の擁護を所管する法務委員会では、規範遵守に重い責任があるのは当然です。基本的人権や基本法に関する問題が数の論理で押し切られ、強い者の力で強行されるなら、国家の法秩序はゆがめられ、取り返しの付かない恐ろしい人権侵害が発生するかもしれません。それゆえにこそ、法務委員長は職権での強行採決を厳に慎んできましたが、その良き慣例は今葬り去られようとしています。これを絶対に先例にしてはなりません。
 十九世紀のイギリスのジャーナリスト、思想家として知られるウォルター・バジョットは、議論による統治を近代の指標としました。議論による統治があって初めて同意による統治が可能になり、民主主義が成立すると言われています。力の強い者が弱い者を、多数派が少数派を抑え込もうとすれば、社会は常に亀裂と分断を生じ、国家の安定と秩序は維持できなくなります。
 議会は、多数決で物事を決めるだけの機関ではなく、様々な立場の人々が様々に議論をし、お互いに同意できるかどうかを探る場ではないのでしょうか。多数派は、常に正義なのではありません。むしろ、歴史はその逆の事例を多く示しています。力が弱く数が少ない人々がしばしば弾圧され権利を侵害されるということは、公明党の皆さんこそよく御存じでしょう。だからこそ、議論による統治、同意による統治が大切なのです。
 万が一、国家が間違った方向に進んだとしても、多様な議論を議事録に残しておけば、後から検証して軌道修正することが可能になります。これが議会制民主主義の最も重要な機能の一つではないでしょうか。多くの国が議会における議論を制度的に担保し、国民の間に同意の仕組みをつくり出すために膨大な犠牲を払ってきました。我が国でも、近代民主主義の確立を目指した明治以降の憲政の歴史に連綿として先人たちが築き上げてきたのが国会における先例、慣行、合意なのです。
 とても残念なことですが、この憲政の歴史に、横山委員長、あなたは重大な汚点を残しました。憲法をないがしろにし、国会の先例、慣行、合意を根底から破壊したという意味で、委員長を解任されるだけでなく、議員辞職にも値すると私は考えています。
 与党の皆さん、特に公明党の皆さんに申し上げます。
 今、皆さんは数の力を得て、傍若無人、慢心の絶頂にあるかもしれません。しかし、将来のどこかで皆さんが少数派に転落したとき、そして、そのときの世の中が間違った熱狂に包まれたとき、皆さんを守り、皆さんの支持者を守るのは、先人たちが築いてきた国会の先例、慣行、そして合意なのです。
 将来に禍根を残すことのないように、ここは賢明に解任決議案に賛成なさるよう強くお勧めして、私の賛成討論を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 真山勇一

speaker_id: 19724

日付: 2018-12-07

院: 参議院

会議名: 本会議