徳永エリの発言 (本会議)

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○徳永エリ君 国民民主党・新緑風会の徳永エリです。
 私は、会派を代表して、日EU・EPAに反対、日EU・SPAに対して賛成の立場から討論を行います。
 国民民主党は、EU、欧州連合との関係強化及び開かれた貿易には反対はしません。しかし、問題は、秘密裏に行われた交渉の内容、結果です。政府がこれまで説明責任を果たしてこなかったがゆえに、この協定はまともに審議ができません。
 例えば、委員会審議の際に、我が党の大野議員が、農業分野で関税措置の対応が異なるハード系の熟成チーズとソフト系の熟成チーズについて、その措置の是非及び影響、さらには政府の対応を議論するためにそれぞれの輸入実績を提示するよう政府に求めましたが、それは最後まで示されませんでした。事実の裏付けなしに政府が欧州連合との間でどのような協議をし、それぞれの品目で異なる措置を決めたのか、全く分からないままであります。
 しかも、審議時間は衆参両院でそれぞれ僅か四時間半。TPPの審議の際には特別委員会が設置され、本院では参考人質疑なども含めておよそ六十三時間の審議が行われました。日豪EPAの際には農林水産委員会との連合審査が行われ、審議時間が不十分であったとはいえ、第一次産業や地方への影響も議論されましたが、今回は議論を深める時間など全くありませんでした。
 日EU・EPAでは、我が国は何を攻めて何を取ったのか、守るべきものをしっかり守ることができたのかも全く分かりません。
 特に、農業分野では、日EU・EPAはTPPプラスの品目が幾つもあります。例えば、TPPでは守られたブルーチーズなどのソフト系チーズも低関税輸入枠が新設されて、十六年後には無税になります。現在の国内生産量と同じ二万トンから始まって、十六年後には無税の三・一万トンのソフト系チーズがEUから入ってくることになります。ブランド力もあり、影響が大きいことは否めないのに、TPP以上に譲ってしまったのであります。酪農家、特に乳製品の原料となる加工原料乳の九割を生産している私の地元北海道の酪農への影響と、食品、乳業メーカー等に長期的な悪影響を及ぼしかねません。
 林業、木材産業においても、日EU・EPAでは、SPF製材等の林産品十品目について、八年目に関税撤廃となります。これは、TPP11におけるSPF製材の扱いについて、長期の関税撤廃期間を設定し、国別で細かく定められていたものに比べて、余りにもずさんな合意内容であります。
 また、日米間におけるFTA交渉も、安倍政権は、日米物品貿易協定、すなわちTAG交渉であって、FTA交渉ではないと詭弁を繰り返しています。また、TAG交渉に関する日米共同声明には、農林水産品について、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限であることが米国によって尊重される、だから安心だという説明をしていました。しかし、この過去の経済連携協定には、国内承認もできていない日EU・EPA交渉が含まれるということを政府は認めました。つまり、TAG交渉の入口で米国に既に譲歩したことになるのではないでしょうか。
 TPPが最大限と言ってきた政府は、全体としてTPPを上回らなければいい、そう言って、個別の農産品では幾つも譲歩する。政府は、個別に譲歩しても全体としては譲歩しませんというでたらめな答弁を繰り返しており、そのうち農林水産品の関税は全て撤廃されるということになってしまうのではないかと心配をしています。
 本協定による農林水産品への影響については、昨年の十二月、農林水産省が、畜産物、乳製品等を中心に、関税削減等の影響で価格低下による生産額の減少が生じるとしています。その試算は、約六百億円から一千百億円という額の減少です。その一方で、政府は、政策大綱に基づく対応によって国内生産量が維持されるとの説明を行ってきました。
 率直に言って、どのような対応をすれば国内生産量が維持できるのか、理解ができません。輸入品が増えて、さらに国内生産量が維持されれば物があふれてしまいませんか。なぜ生産量が維持できるんでしょうか。
 日本の農業を外交交渉で平気で売り渡す政権の交渉姿勢には、大変に問題だと思っています。我が国経済や農業への影響はEUと日本の試算に大きな差が出ていることについても、政府からは納得いく説明はなく、議論の入口にすら入れないのが現状であります。
 また、農業分野において、EUから日本への農林水産物輸入額は一兆一千三十五億円、輸出額の四百二十三億円を大幅に上回り、輸入超過状態にあります。政府は、攻めの農業として輸出を促進するとしていますが、EU向けの輸出額はEUからの輸入額の二十六分の一にすぎません。この貿易不均衡をどのようにして是正していくのでしょうか、その戦略も全く見えません。
 さらに、我が国は、本協定において、関税に係る約束に加え、あらゆる分野の非関税障壁の撤廃を求める欧州連合の要求にほぼ満額で応える譲歩も約束しました。かねてからEUは、我が国の環境や安全等に関する産品の非関税措置の撤廃を求め、一方的に非関税措置の撤廃要求リストを提出するなど強硬な姿勢を示していましたが、本協定における非関税措置に関する約束は、我が国がEUの意向に応えた内容となっている懸念が払拭できていません。例えば、産品全般の非関税措置の見直し規定に加え、自動車及び自動車部品の非関税措置に関する特別な約束も作成されましたが、これらにより、今後、我が国の正当な非関税措置が問題とされ、更なる撤廃、緩和を強いられるのは容易に想像ができます。
 同様に、鉄道分野においては、我が国はEUが参入障壁と指摘してきた安全注釈の撤廃を約束しました。これは、我が国の鉄道の安全、安心を守るために死活的に重要なルールでありましたが、EU側の求めに応じて撤廃を余儀なくされました。しかも、協定には鉄道を含む政府調達分野に関わる合意の履行状況を検証する枠組みも盛り込まれ、約束遵守の圧力がこれまで以上に高まることになります。
 政府は、鉄道分野に関する国内の安全基準を変更するものではないと説明していますが、具体的な根拠も示さずに信じろというには無理があります。あわせて、日EU間において、協定とは別に、鉄道に関する日本国政府と欧州委員会との間の書簡というえたいの知れない文書も作成されましたが、この約束により、我が国はこれ以上鉄道分野において何を譲れというのでしょうか。国民や関係者が知らないところでこのような問題だらけの合意が勝手に行われていることに怒りを禁じ得ません。
 このほか、政府は、米国、カナダ、メキシコによる新NAFTA、いわゆるUSMCAに盛り込まれた毒薬条項、すなわち中国と自由貿易協定を締結すれば米国がUSMCAから脱退するという一方的な規定に対するコメントを拒否いたしました。米国はこの条項を我が国との貿易協定に盛り込みたいと述べており、そのことが我が国独自の通商戦略を否定することにもなりかねません。
 自由貿易協定で次々と譲歩を重ねている我が国政府、このような交渉姿勢で、今後の米国とのTAG交渉において我が国の国益に資する交渉結果が果たして本当に得られるのでしょうか。
 今国会は短い日程ではありますが、日EU・EPAについては、関係する委員会で集中的に審議を行った上で、せめて連合審査を行うべきだったのではないでしょうか。農業への影響が心配されているのに、農林水産委員会でも日EU・EPAについては全く議論する時間がありませんでした。
 我が国の一次産業は、地方の暮らしは、未来は一体どうなるんでしょうか。先の分からない不安だらけの現状、承認をめぐる採決までの手続を時間を掛けて丁寧に行っていないという乱暴さ、結果ありき、日程ありきで何でも数の力で押し切ってしまえという安倍政権の、民主主義をないがしろにし、国会を軽視した対応に強く、強く抗議をし、反対討論といたします。
 御清聴いただきまして、ありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 119715254X01020181208_006

発言者: 徳永エリ

speaker_id: 20986

日付: 2018-12-08

院: 参議院

会議名: 本会議