田中三彦の発言 (原子力問題調査特別委員会)
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○田中参考人 田中と申します。
特別な時間をいただいて、発言させていただくことを感謝いたします。
きょうは、お手元にお配りいたしましたものをもとに、私の意見を少し述べさせていただければと思います。
二ページ目、これは、きょうのお話しさせていただく内容でございます。
次のページをちょっと。私、今現在、新潟県の通称技術委員会というところでその委員を務めておりますけれども、新潟県で行われている話を中心に、そこから幾つか意見を述べさせていただきたいというふうに存じております。
三ページ目の話をする前に、済みませんが、次の四ページの方から先に説明させてください。
新潟県の原子力発電所の安全管理に関する技術委員会、これが通称新潟県技術委員会と言われておりますけれども、そこの中で福島第一原発事故の検証というのが行われています。
なぜこれが新潟県かという話ですけれども、御承知のように、新潟県には柏崎刈羽原子力発電所という大きな発電所がございまして、その六号機、七号機の再稼働というのが規制委員会の方に申請されております。その関係と再稼働は形式的には直接関係ありませんけれども、新潟は、元の泉田知事さんが、こちらにいらっしゃいますけれども、福島の事故の検証がきちんと済まない限り柏崎刈羽の再稼働は認めるわけにはいかないということをおっしゃっております。その後、米山知事、それから現在の花角知事にかわっておりますけれども、その基本路線というものは、柏崎刈羽原発の再稼働問題に関してはそのまま踏襲されているということでございます。
それで、つい一年半ぐらい前までは、その検証作業というのは、新潟県の技術委員会の中でのみ行われておったわけです。それが、三ページをちょっと見ていただくと、三つの検証体制というのができて、さらにその上に検証の総括委員会というのがあって、一昨年の秋から昨年の一月にかけてこういう体制が整いました。これは米山前知事のときに決まったものですけれども、それを今度、花角知事もこのまま踏襲するということで、基本的な形は今変わっておりません。
この三ページ目の一番下の左側に、事故原因というもの、ハードウエアの問題ですけれども、そういう問題をずっと議論していたのが技術委員会でございます。さらに、それに健康と生活の影響、それから安全避難の問題、これを検証する新しいものが一昨年の八月に二つ設置され、それで、さらに、今度、その三つの検証委員会の報告を受けて全体的にその内容を精査していくという検証体制があって、それが検証総括委員会というのができたということです。
恐らく、その先はわかりませんけれども、この総括委員会の意見を踏まえて、知事が柏崎刈羽の原発の再稼働という問題についての見解を述べるのではないかと思います。それがいつになるかということはわかりませんけれども、もうそう遠くはないだろう、議論もかなり熟しているんじゃないか、これは私の思いですけれども、そういうふうに思います。
技術委員会で、本体が、親委員会が具体的に事故原因の話をするということはめったにございませんが、その中には課題別ディスカッションという、問題を六つに分解して、それぞれについてコアのメンバーを入れて、それで、そこで東京電力と話をして福島の事故検証をやっているということが、四ページ目の、課題とコアメンバーという、下の方にある表の中で御紹介したとおりなんですが、この六つのうち、行でいくと五つ、海水注入から、下のシビアアクシデント対策まで、ここまでの検証作業というか、東京電力との議論はとりあえず終了しておりまして、今まだ継続しているのが一番上の、地震動による重要機器の影響ということ。地震動による重要機器の影響ってちょっと日本語が違うかなと僕は思って、のの前に、へというのが要って、機器への影響じゃないかというふうに僕は思うけれども、まあ、それはどちらでもいいとして、今、私はそこのコアメンバーとして仕事をさせていただいているということでございます。
メルトダウン問題という、東京電力がメルトダウンの通報が二カ月もおくれたのは一体どうしてかというのは、マニュアルで書いてあったけれどもそれを見なかった、あるいは従わなかった、見過ごしたとか、いろいろありますけれども、そういう重要な問題が、実は、東京電力がわかったというよりも、この四番目の、メルトダウン等の情報発信の在り方という、ここの課題別ディスカッションの中で、東京電力が五年ぐらいその問題について違う見解をずっと述べ続けていたということがここで明らかになった、そういうようなことがあります。
全体に、この問題と関係して私が、この問題というか、福島県の検証作業を通して抱いている感想ですけれども、非常に重要な問題がいっぱい取り上げられています。ところが、もうほとんど忘れ去られたような感じで、メディアも余り関心を示さないしという状況にあります。
それで、何よりも、原子力規制委員会が一切見に来ないということです。傍聴にも来ない。それで、一方では審査をしている、適合審査ということをやっているわけです。その適合審査の前提になるいろいろトラブルが福島であったわけですけれども、そういう問題に関して議論をしていてもその話には一切耳を傾けない。
ここで大きな問題があって、見解がずれている問題。原子力規制委員会は、事故分析検討会、そういう問題を独自にやっております。ところが、あそこの事故分析検討会というのは、国会事故調の、私はその委員をやりましたけれども、その国会事故調の内容の問題以外に、政府事故調、それから恐らく民間事故調も含めてだと思いますけれども、いろいろな報告があるわけだけれども、それをやるというふうに、たしかそういうことを言っていたはずですけれども、国会事故調だけ対象にして、国会事故調とは違う見解を書いているわけです。
そういう問題もあって、それと違う話が新潟県の方で進行しているにもかかわらず、もう全て話はそれで決着したというような形なんでしょう。聞きにも、関心も示していただけないのが現状です。この問題は僕は非常に問題が大きいというふうに思っております。それに関しては、また何か御意見がありましたらお話しさせていただければと思います。
五ページ目です。この五ページ目を見ていただくとおわかりのように、これは新潟県技術委員会が、一号機の、非常に問題があったかなというふうに思われている四階の破損状況を十五分にわたって、被曝するので、みんなで入って見たときの作業で、これは、この絵そのものはどうでもいいんですけれども、こういうのに象徴されるように、この中にいわゆる非常用復水器というものの配管が床の上と天井の上をはっていますけれども、東京電力はこれをこの時点では撤去していないわけですけれども、配管が、状況は見えないんだけれども、何も起きていないということを公に言っているわけです。これはさわることができないのでこれ以上の状況は見えないけれども、このデブリの中に埋もれている配管とか、どういうふうになっているのかとかわからないわけですね。これが今後、廃炉作業の中で撤去されていくわけです。
そのときに、私は技術委員会でも何度か言っているんですけれども、技術委員会に出てきている東京電力の関係者と、東京電力の廃炉のグループとの間にはどうも意思の疎通がきちんととられていない可能性があって、物証という問題に関すると、どんどんどんどん片づけられてしまう。それで、いろいろな問題があるんじゃないかというふうに思っています。これに関しては、廃炉というのも重要なプロセスであるけれども、事故では、いろいろわからない問題、未解明問題があるわけですから、それを、形が何らかの格好で残っていく必要があると思っています。
一号機の今現在は、五階の作業がかなりきれいに片づいていくわけだけれども、これは完全に片づけられると困る問題がいっぱいあって、実は、吹き飛んだはずの、まあ細かい話ですけれども、あるものが吹き飛んでいるんじゃないかということを思っているんですけれども、そういうものが今どこにあるかわからないという問題もあります。
いずれにしても、一号機に限らず、格納容器も含めて、あそこをきれいな更地にしてしまうということがあるんだとすれば、検証しなきゃいけないこと、これは必ずできるような格好に、今はアクセスできないんですけれども、作業の中で確保していただければと思います。
次ですけれども、今度ちょっと離れまして、六ページです。原子力発電所のシビアアクシデントというのを、住民避難計画の問題ですけれども、これは、国際標準の五層というものが、深層防護の五層というのが、これが具現化されたのが新規制基準だというふうに普通は思っています。
ところが、その新しくつけ加えられたのは四層、五層ですね、これはシビアアクシデント、これが新規制基準の中で概念化されたはずなんですね、そういうふうに期待しておるんですけれども、七ページを見ていただくとおわかりのように、これが、従来のものと今度新しい新規制基準がどういうふうになったか。膨れて高くなった、そういうことが特徴です。
この中には層という言葉が一切ございません。僕は何かの間違いかと思って、これは一般の方に示す資料ですけれども、その文書の中に、概要の中に、五層とかいう深層防護の概念というのは全然説明がありません。それで、あるのはこの典型的な絵ですね。緑の部分が昔ですけれども、昔よりもこれを太らせている。要するに規制を厳しくした。それからさらに、黄色い部分を新しくつけ加えた。どこが何層でどこが何だという話は一切ないわけです。それは、思想的には六ページにあるようなそういう格好ででき上がっているはずなんですね。
ここで問題なことは、IAEAなんかのレポートなんか、そういうものを見るといろいろ書いてあることですけれども、こういう五層とか、まあ、もっと上もあるんですけれども、これは一つ一つが、どれか欠けちゃいけないんです。例えば、四層なしに、ここの部分なしに五層、そういうようなことはない。
考えると、今これで、五層というのは誰がしているのかということです。これは、次のページ、七ページを見てみるとわかる。避難という言葉がここには入っていません。だから、新規制基準というのは避難の対象にはなっていないということです。これは、形式上なのか、それが実態なのかよくわかりませんけれども。
それで、八ページに、原子力規制委員会というのは実質的に五層に関与していないんじゃないかということを思っています。それに関して、原子力規制委員会は、赤い文字で書いてあるように、「避難計画は内閣府の原子力防災が担当である」と言っているわけです。それで下を見ると、内閣府は、「現在の法律では、避難計画の策定は国の責務とされていない。」という。これは完全に、国の管理としては、形の上では、ないということです。
この五層というのは全体で一つというふうに考えなきゃいけない非常に重要な概念だと思うけれども、それをコントロールするところが、実は、形式的かどうかわかりません、実態はどうかわかりませんが、それに深く関与はしない、地方自治体にお任せする、そういう格好だと思います。この問題は非常に大きい問題じゃないかと思います。
それから、九ページ。調査資料。これは、私、国会事故調をやっていて思うんですけれども、相当な重要な資料が、墓場まで持っていけと言われて、私たちの頭の中に入っていることも含めて、他言無用なんですね。すると、何か、たしか罰金か懲役が科せられる。
だけれども、新潟県の技術委員会でいろいろ東京電力と話をしているときに、示して、これ、あれを出して見たいな、そういう資料はいっぱいあるんですよ。それが見られない。全部国会図書館の中に入っている。
これは永久保存ということで、永久に見せちゃいけないということですね。これはもういけなくて、僕は必ず、幾つかの重要文書の仕分とかした上で、これはこういうふうにアクセスするということをぜひ、国会事故調ですから、国会の方で手順をもう一回やって考えていただければと思います。
特に、保管資料に何があるかという目録さえないんです。ですから、何が入っているかわからないパンドラの箱みたいなもの。あけてびっくり、そういう仕組みということ。それで、あけることも許されない。
この問題は、できるだけ早くやっていただければと思います。
以上です。(拍手)