桑子敏雄の発言 (原子力問題調査特別委員会)

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○桑子参考人 桑子と申します。よろしくお願いいたします。
 本日は、アドバイザリー・ボードのメンバーとして発言させていただきます。
 実は、もう一年半くらい前になりますけれども、一度発言させていただいたことがございました。
 アドバイザリー・ボードというのは、平成二十九年の五月に設置されたものでございまして、有識者による衆議院原子力問題調査特別委員会の助言機関ということになっております。設置目的の方は、衆議院原子力問題調査特別委員会の活動について、専門的見地から助言を得るため設置することとするということでございます。このような会に出席して、意見を述べさせていただくということになっております。
 ただ、前回、最初に発言させていただいたのは平成二十九年、九月だったと思いますけれども衆議院の解散がございます、その直前でございました。三原先生がそのときの委員長でいらっしゃいましたけれども、すぐに解散になってしまいまして、その後、この委員会も開催されないことがずっと続いていたように思います。今回、二回目ということでございます。
 資料の方をごらんいただきますと、私からの説明がそこに述べられております。よろしくお願いします。
 私は、一般社団法人コンセンサス・コーディネーターズの代表として発言させていただきますけれども、この法人は、科学技術振興機構の研究プロジェクトの成果の社会還元、社会実装として、私の研究成果を法人化したものでございます。
 そこにあります、コンセンサスですね、さまざまな社会の問題について、対立、紛争があるような問題について解決をするということについて、その方法をずっと研究してまいりました。社会的合意形成ということとプロジェクトマネジメントというのを統合する方法論ということでございます。
 簡単な自己紹介ということで、いろいろ書かせていただきました。研究者ではございましたけれども、行政機関に呼んでいただいたり、対立、紛争のあった問題、特に公共事業をめぐる行政と住民との対立、その間に立って、第三者として話合いを仲介し、それを解決に導くということを多数やってまいりました。
 例えば、島根県の松江市を流れます大橋川という川があるんですけれども、これは大橋川治水ということで国交省の大事業だったんですが、三十七年間、さまざまな問題でトラブルになっておりまして、対立する多数の人々がきちんと話合いができないまま経過しておりました。国交省に呼んでいただきまして、全体の取りまとめをする仕事をさせていただいて、三年半かかりましたけれども、何とか、大橋川周辺まちづくり基本計画、計画をつくることによってその対立が解消して、今、松江の町は大変発展しております。
 出雲大社の表参道とか、そういうところもやりました。
 それから、自然環境、原子力も環境の問題が大きくかかわっておりますけれども、沖縄県の山原の森という、沖縄本島の一番北の方に国頭村という村があります。そこは、山原の森の保全とそれから林業開発、利活用で、環境省と林野庁、必ずしも調和しない政策を打ち出しておりまして、地元自治体が非常に苦労しておりましたのを、地元自治体の依頼で、これからの時代にふさわしい林業政策、林業管理の計画をつくりまして、今、国頭村は、世界自然遺産登録、それから国立公園ですね、国立公園はもう指定されましたし、世界自然遺産登録も目の前ということになっております。
 そういうことに従事しながら、原子力関係ですけれども、それほど深くかかわっておりませんが、原子力発電環境整備機構、NUMOと言っておりますけれども、特に原子力発電所から出た高レベルの廃棄物の最終処分、これを任務としている機関でございます。そこの研修等あるいは説明会等に参加したことがございまして、それからまた関係者からも意見を求められたこともございましたので、最終処分について少し考えを述べさせていただきたいというふうに思います。
 ただいま申しましたように、この最終処分の問題も、これは原子力発電にかかわる非常に重要な問題で、国家的な問題ではあります。
 ただ、では国の機関がこれを推進しているかというと、必ずしもそうではなくて、NUMOという機関は、経産省や資源エネルギー庁とは別の機関としてやっております。職員は、電力会社からの出向の方たちもかなり加わっております。ということで、この機関とそれから経産省と資源エネルギー庁は、どういう形でその国家的なプロジェクトを進めようとしているのか。
 プロジェクトとして進めるためには、二つ要素があると思うんですね。これを三ページの一番上に書きました。私の意見ですけれども、「高レベル放射線廃棄物処分は、社会的合意形成を通したプロジェクトとして実行されなければならない。」というのが私の意見です。
 この場合の社会的合意形成というのは、国民的な合意形成ということも含まれますけれども、同時に、先ほど高浜町長がおっしゃいましたように、地域の合意形成ということも含んでおります。
 こういう問題は、一般に、総論賛成、各論反対ということで、そういう最終処分場はなければならないということは国民誰もが考えることですね。しかし、それを、ではどこにつくるかという話になりますと、自分の町にはお断りするということで、そういうのをNIMBYと申しますね。ノット・イン・マイ・バック・ヤード、うちの裏庭につくってもらっては困るということで、究極の迷惑施設ということになります。
 ですので、これは、国民全体がこの問題をどういうふうに考えるかという国民的な合意の問題と、それから、実際にその施設をつくろうと思ったときに、その地域がどういうふうに認めるかということになります。これが合意形成の問題ということになります。
 もう一つは、これはプロジェクトですね。廃棄物がたまっていきますと、各原子力発電所に廃棄物がたまってまいります。それを処理できないということになりますと、その問題が続きますと、どこかでタイムリミットが来るわけですね。ですので、これはもう本当にそのタイムリミットを踏まえたプロジェクトとしてデザインしなければいけない。
 プロジェクトというのは、ある時点でスタートがあって、ゴールに導く、ゴールを目指すプロセスですけれども、プロジェクトとしてきちんと管理できることが絶対に必要なわけです。そのために、プロジェクトとして管理するための体制がしっかりできているかということが非常に問題になっております。
 最終処分場のハード面の整備と、それから合意形成のプロセスという二つの複合的なプロジェクトであるということになりますけれども、それぞれについてプロジェクトのマネジメント体制が必要であるということになります。それが明確になって国民に見えるようになっているかということですけれども、必ずしもそういうふうになっていないのではないかというふうに思うわけです。
 それから、プロジェクトのリーダーはリーダーにふさわしい資質を持っているかということですけれども、プロジェクトというのは、プロジェクトを遂行するための知識であるとかスキル、手法、テクニック、こういうものを縦横に駆使しなければなりません。この場合は、原子力にかかわる技術的な、工学的な知識だけではなくて、地域社会であるとか行政、政治システムにかかわる知識とか、いわゆる文系的な知識と理系的な知識の両方を理解して、その両面にわたって指導力を発揮できる人でなければなりません。
 それから、プロジェクトチームということも大事ですね。組織の中に結成されるチーム。ともすれば、私の経験ですけれども、行政機関が遂行するプロジェクトは、担当者が二、三年で異動になりますので、どうしても前任者からの引継ぎを無難にこなすということになってしまいます。そうしますと、ルーチンワーク的な仕事しか進められないということになってまいりますけれども、プロジェクトというのは、そのときそのときで新たな展開をしっかりこなしていかなければならないわけなので、そういうプロジェクトチームというものがしっかりできているかということが大事な問題になります。
 中には、これは聞いた話ですけれども、地域にニンジンをぶら下げれば何とかなるというようなことを思っているような人もいるやに思います。しかし、地域の問題としては、これは多数決で決められるような問題ではないわけですね。そういうふうなやり方を上手にやらないと、地域が非常に深い分裂に陥ってしまって、地域を分断して、深い対立や憎しみを残します。ですから、地域との話合いの仕方とか地域の中での話合いも本当に慎重にやらなければならない。ですけれども、しかし時間も少ないということになってまいります。
 ですので、プロジェクトをいつまでに、かつ、どのように行うかというそのスケジュールがどのようにきちんと管理されているかということが問題になります。こういう形でタイムリミットというものを明確にして、期限はいつなのか、それまでにどういうプロセスを構築すべきなのかということについて考えていかなければならないわけですけれども、またそういうことについての情報がきちんと聞こえてきているようには見えません。
 そのことについても、そういうプロセスについての情報もそうですけれども、情報開示と説明責任というのは一体の関係にあります。説明責任は、アカウンティングに関する開示責任、会計に関する開示責任とも言えます。原子力会計全般にも言えることでございますけれども、特に、高レベル放射性廃棄物処分にかかわる、それをプロジェクトとして進めるときの会計についてきちんと開示され、国民もこれをしっかり認識するということが大切であるというふうに思っております。
 そのほか、プロジェクトを進める、特に、この最も困難なプロジェクトを進めるためにどういうことが必要なのかということを、皆さんで本当にしっかり議論して進めることを、責任を担っている機関はしっかり進めていかなければならないと思いますし、そのことをしっかりチェックしていただくのが国会の先生方であるというふうに思っております。
 以上です。ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 桑子敏雄

speaker_id: 7218

日付: 2019-04-25

院: 衆議院

会議名: 原子力問題調査特別委員会