西村正樹の発言 (厚生労働委員会)

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○西村参考人 おはようございます。
 本日は、このような場に参考人としてお招きいただきましたことに、冒頭、厚くお礼申し上げたいと思います。
 私の意見は、関係法令と障害当事者、雇用現場の実情に基づき、今回の法改正に当たっての論点を中心として発言しますので、よろしくお願い申し上げます。
 最初に、公務部門の責務の明確化と、障害者活躍促進計画について意見を申し上げます。
 参考資料では、公務部門として、障害者雇用の理念や考え方及び制度の理解を改めて確認、徹底し、意識の低さを反省し、改めると記載されています。
 今回の中央省庁の水増し問題への対応として実施された障害者の採用試験の応募資格について、一部の省庁では、自力で通勤でき、かつ、介護者なしで業務の遂行が可能と定めていました。現在、国は、私たちDPIの意見も受けて、このような制限規定を削除しています。
 しかしながら、自治体がホームページに掲載している障害者採用に関する募集要項を確認すると、現在も、今申し上げた制限規定に加え、活字印刷物に対応できる者、口頭面接に対応できる者、点字試験は実施できませんと受験資格に明記している実態があります。
 こうした現状を踏まえると、自治体に求められる計画作成指針と計画策定に当たっては、障害者雇用促進法に基づき定められている差別禁止指針と合理的配慮指針、これを公務部門にも適用することが必要だと思っています。
 そして、これらの指針を基準として、各自治体が定めている受験資格、採用試験の実施方法、採用後の労働環境等に関する現状の点検と点検結果を公表するとともに、この点検結果に対する改善もあわせて計画に盛り込むことが必要です。
 これは、今回配付されている資料に掲載されている障害者雇用を単なる雇用率達成を目的とすることを避けるためにも、極めて重要な項目だと思っています。
 次に、公務部門への財政措置です。
 私は北海道在住ですが、北海道の多くの自治体は財政状況が厳しく、夕張市は、御承知のとおり財政再建団体に指定されています。
 こうした現状から、国は、単に地方自治体に計画策定を求めるだけではなく、自治体の財政状況や地域事情に応じて、自治体や地域事情にかかわりなく、それぞれの自治体が立てた計画が実現できるための予算措置を講じることが必要だと思っています。
 次に、民間事業主に対する措置ですが、今回示された個別論点の項目ではなく、論点全体を通じて重視するとされている障害者雇用の理念や推進の考え方、障害者の活躍の場の着実な拡大、採用した障害者の職場定着に向けた職場の環境整備、そして障害者雇用の質を確保するための観点から、現行法制度の見直しの必要性について申し上げたいと思います。
 まずは、法定雇用率に算定される障害者の範囲の見直しです。
 現行制度では、障害者手帳を所持している者とする規定ですが、障害者雇用促進法では「障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者をいう。」としており、手帳の所持者のみを障害者と定義してはいません。
 私は前職で北海道庁の更生相談所において身障手帳の交付事務を担当していましたが、手帳の交付要件は、個々の視力、聴力、筋力といった身体の機能状態に対する医師が書いた意見書に基づく個人・医学モデルとして手帳は交付しています。
 我が国の法制度は、障害を個人モデルから社会モデルに転換しました。また、手帳制度の限界から、障害年金を始めとする障害福祉サービスの利用者は、手帳所持者以外も対象としています。
 こうした障害者関連の法制度の現状と制度、施策間の整合性を確保する観点からも、雇用率の算定対象を手帳所持者とする限定規定の見直しが必要です。
 次に、雇用促進法及び雇用施策の根本的な問題として、障害者が働くための人的支援を含めた支援メニューに関する財源の見直しが挙げられます。
 現行制度の財源は、障害者の雇用率未達成企業が不足している障害者数に応じて納める納付金で賄っています。
 私は、障害者雇用促進法は、その名のとおり、障害者の雇用を社会全体で進めていくことが目的であり、理念であると思っています。しかしながら、こうした財源措置は、一定数の民間企業が法定雇用率を達成していないことを前提としたものであり、障害者雇用を促進するという理念とは相反するのではないかと思っています。
 特に、先般公表されました昨年度の民間部門で雇用されている障害者数が史上最大規模となった現状を踏まえると、納付金に頼らない持続可能な新たな財源を確保することが必要です。
 最後に、障害者が働くために必要な支援制度の運用の見直しです。
 具体的な支援制度の事例として車椅子使用者などに対する駐車場助成がありますが、内規によると、職場からおおむね二百メートル以内に確保することとされています。この内容では、機械式駐車場がふえてきている現状などから、制度の利用が困難な場合もあります。
 また、駐車場助成もそうですが、職場介助者や手話通訳者といった人的支援についての助成期間は十年間を基本としています。この理由は、制度設計時の労働者の平均在職年数が十年と伺いました。しかし、障害者が障害に基づき必要とする合理的配慮は、基本的に生涯必要とするものです。
 支援に年限を設けることは、合理的配慮を期間限定とするものであり、関係法令に抵触するとともに、障害者の安定雇用を制度が阻害することが懸念されます。
 そして、聴覚障害者への情報保障としては新たに遠隔音声認識サービスなどがありますが、時代の流れや当事者の現状を踏まえた支援メニューの見直しと拡充が必要です。
 あわせて、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスは就労時の利用が制限されていますが、こうした制限の見直しも必要であると思っています。
 以上が私からの意見ですが、私たちは、障害者の課題を改善することは、障害者の問題だけを解決するのではないと思っています。私たち障害者が公共交通機関に求めてきたエレベーター、ホームドア、トイレ、電光掲示板の設置は、障害のない人々にも安全、安心と快適な空間の提供といった社会的効果を生み出していると思っています。
 現在、国は、一億総活躍社会を実現するために働き方改革を掲げ、私たち障害者を含めた多様な人材の活躍やさまざまな雇用形態を進めようとしています。障害者が活躍できる職場は、公共交通機関と同様、誰もが活躍できる職場につながると私たちは確信をしています。
 今回の雇用水増し問題を起点に、質が確保された障害者雇用が大きく前進する規定になることを願いまして、私の発言を終わりたいと思います。
 本日は、ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 西村正樹

speaker_id: 24521

日付: 2019-05-07

院: 衆議院

会議名: 厚生労働委員会