田中章治の発言 (厚生労働委員会)

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○田中参考人 田中章治と申します。
 私は、当事者団体という立場で、今回の雇用促進法の一部を改正する法律案について意見を述べさせていただきます。
 点字を読む関係で座ってやりますので、お許しください。
 まず、この法律案を提案するそのきっかけとなった障害者雇用水増し問題について、若干意見を述べたいと思います。
 私たちは、この障害者雇用水増し問題を、障害者雇用偽装問題というふうに捉えています。それはなぜかと申しますと、規模の大きさ、それから四十二年間というそういう長い期間ということ、そして、その水増しの中で既に退職している人もカウントする、これが国や自治体に広く波及しているという、そういうことで私たちはそのように捉えております。まさに国による障害者差別、排除の考え方が根底にあるんじゃないか、そして、先ごろ問題になっておりました旧優生保護法の関係で申しますと、やはりこれは優生思想につながっている、そういう問題だと思っております。
 さて、第三者による検証結果でございますが、それなりの結果は出していただいていると思うんですが、私たちに言わせますと、今の意見を踏まえると、極めて不十分だと思っています。特に、ちょっと気になるのは、恣意的であったが意図的ではないというこの意味が、もう一つ突っ込んだ分析が必要じゃないか、そのように思っております。
 それから、政府の公務部門における障害者雇用に関する基本方針ですけれども、二〇一九年末までに四千人の障害者を採用するという計画になっております。私たちの懸念としては、これが単なる数合わせになってはいけない、そういうふうなことをまず思いました。
 さて、問題発覚後の中央省庁の障害者採用状況について感じたことを申します。
 まず、人事院の障害者を対象とした選考試験、最終的には七百五十四人が合格しております。ここで気になるのは、身体障害者三百十九人、この内訳を私たちは知りたいと思います。私たちが独自に入手した情報によりますと、このうち視覚障害者は四十三人、そして点字使用者はわずか二人だったというふうなことも聞いております。これをやはり公表してもらいたいというふうに思います。申込者に対する最終合格倍率は十一・六倍ということで、これはかなり期待も大きいということですね、そういうことと理解しております。
 それから、問題発覚を受けての、その時点から四月までの中央省庁の障害者採用について、新聞報道によりますと、二千七百五十五・五人を採用したということで、四千人に対する達成率六七・六%ということで、非常に高い数字、順調に採用が進んでいるということです。しかし、私たちの認識としては、単なる数合わせになっていないか。それから、民間で働いている人もかなり入っていますね。それと、中軽度の障害者がかなり多いんじゃないか、これは私たちの推測でございますが、そのように思っております。
 そして、視覚障害者の国家公務員の関係で申しますと、実は、点字試験が実施されたのは一九九一年です。それから五年後の一九九六年に一人、2種で国家公務員試験を突破した者がおります。しかし、それ以後、視覚障害者の点字受験の合格者は出ていないんです。そういうことで、視覚障害者の雇用は非常に、国家公務員に関して言うと、おくれているんじゃないかという問題意識を常日ごろ持っております。
 そこで考えられますのは、単に事務職だけじゃなくて新しい職種もこの際考えてみたらどうかということで、私の資料の巻末に、ハローワークにおける視覚障害者の職業紹介状況という表を載せてありますが、これによりますと、総合計が二千三十五件。専門的・技術的職業に分類されるところの、ここに、あはき業と書いてありますけれども、これは、あんま、マッサージ、はり、きゅうのことです、これが九百七十九件、四八・一%。うち、重度に関して申しますと、七百九十五件、六五・四%ということで、いかに視覚障害者はあんま、マッサージ、はり、きゅうに依存しているか。そういう意味で申しますと、民間におけるヘルスキーパー、そういうような仕事もかなり広がっておりますので、この際考えていくべきではないか。これは自治体に関しても同じです。そのように思います。
 さて、今回の改正案に対する意見を若干述べたいと思います。
 前進面としては、国や自治体に障害者を解雇した際ハローワークへの届出を義務化した、障害者手帳のコピー等関係書類の保存義務、障害者の雇用状況の公表は行政機関ごとに行わせる、責任を明確化させるという点、それから、雇用の質の確保に向けて障害者の相談や指導に当たる生活相談員制度をつくった、この辺は評価できると思います。また、民間企業の雇用促進策として、週の労働時間が二十時間未満の障害者の雇用機会を確保した企業に対して給付金制度を設ける、これらは評価できる点だと思います。
 一方、再発防止のための課題、問題点もまだまだあると思います。
 まず一番目、行政機関の障害者雇用状況を監視する第三者機関が必要ではないか。厚労省にチェック機能を持たせるというようなことのようですが、これは果たしてどうなのか、今までの経緯から見て疑問に思っています。
 それから、公的部門も納付金制度の適用をという意見が強かったわけですが、これに関して、雇用率未達成の省庁から予算を年額六十万円、一人につき削減するという案で対応しようとしています。これについては効果は余り期待できないと思います。むしろ、民間の納付金に見合った、未達成の自治体や国の省庁から一定の資金をプールする、それで雇用促進策を進めるという考え方をしたらどうかというふうに思っています。
 それから、視覚障害者など障害に配慮した職種、これは先ほど申しましたヘルスキーパーの例を考えております。
 それから、合理的配慮の提供に関してですけれども、この考え方をもっと徹底すべき。通勤や職場内介助者の問題は、これは福祉関係との併用も考えられると思います。
 ちなみに、視覚障害者で申しますと音声パソコンであるとか職場介助者、そして弱視の場合は拡大読書器などが考えられると思います。
 最後に、まとめでございます。
 私たちは、常に、バイブルとして障害者権利条約というものを念頭に置いて活動しております。その意味で、権利条約第二十七条の労働及び雇用、これをやはり目標にして、今回の雇用促進法の改正、まだまだ不十分だと思います。抜本的な見直しを今後に向けてやっていただきたいというふうにお願いします。
 以上で私の発言を終わります。ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 田中章治

speaker_id: 22303

日付: 2019-05-07

院: 衆議院

会議名: 厚生労働委員会