宮島清の発言 (厚生労働委員会)
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○宮島参考人 日本社会事業大学専門職大学院の宮島清と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、とても重要な二つの法案の審議に当たり意見を述べさせていただく機会をいただき、心から感謝を申し上げます。
私の方は、六枚の資料を用意させていただきました。
一ページ目は、レジュメ本文でございます。これに沿ってお話をさせていただきます。
二ページ目から五ページ目までについては、これは、三月の末に、香川・目黒事件、船戸結愛ちゃんの事件ですね、また野田市の栗原心愛ちゃんの事件を中心に法改正についてインタビューをいただきまして、それを記事にしていただいたものがございましたので、その写しをつけさせていただきました。
最後の六ページに二つの事例を挙げております。一つは、昨年五月の末に発生しまして、香川・目黒事件と同じ六月に報道された、東京新宿で起きた、二十五歳の女性が新生児を漫画喫茶で殺害し、遺棄してしまった事件、もう一つは、やはり昨年の一月に発生しましたが、ことしの三月に第一審判決が出ましてその報道がなされた、愛知県豊田市で三つ子の子供のうちの次男をお母さんが殺害してしまった事件、この資料をつけさせていただきました。
なぜこのような構成にしたかと申しますと、児童虐待というものの悲惨さ、これはもちろんですけれども、同時に、児童虐待が非常に多様なものであるということを先生方にお伝えして、そのことも含めて今回の法案の御審議に当たっていただきたいと心から願ったからでございます。
それでは、一枚目のレジュメに沿ってお話を申し上げたいと思います。
そもそもの内容で恐縮ですけれども、「児童虐待についての認識」ということの表題をつけさせていただきました。
児童虐待は、本来は憩いの場所であり、また子供が健やかに育つ場所です、その家庭が生き地獄あるいは戦場となる、そのようなものであるという認識に立つべきだというふうに思います。栗原心愛ちゃんが沖縄から千葉に来たときに、お母さんに地獄だったというふうに話したという報道が先日ございました。まさに児童虐待は、家庭が生き地獄、戦場となるものだと思います。子供の命、弱い者の命が奪われ、人権が奪われます。家庭で殺人、暴力、人格否定、支配、レイプ、食事を与えられない、そのようなものが起こるのが児童虐待です。
ですから、虐げられている者の体験していること、このことを第一に考慮して全てのことが進められるべきだというふうに考えています。
よく児童虐待においては安全確認という言葉がございますが、一時安全確認をすればわかるというものではないと考えています。その子供の置かれている状況、事例ごとの家族メンバーの個性や特質、メンバーとメンバーとの関係、生活の全体像、家族の歴史、これらが的確に把握され判断される、その的確な判断のもとに対応がなされなければ子供の命は守れない、そのように考えております。
状況は常に変化し続けます。その変化をきちんと見ていかなければなりません。安定して見えた家庭で、そこで急変することもございます。
ですから、事例に何らかの形で接触がとれたとき、あるいは通告がなされたとき、相談がなされたとき、そのときに的確に内容の全体像をつかみ、それにふさわしい継続的な状況把握をし、それに基づき対応することが必要だと思います。先ほども申し上げましたけれども、児童虐待が多様なものであることを忘れてはならないと考えます。
日本では、毎年八十名前後の子供の命が奪われます。最も多いのはゼロ歳児、うち半数は新生児殺、遺棄です。育児ノイローゼや親子心中も多数認められます。豊田市の事件のように、双子、三つ子のお子さんへの虐待や、子供が発達上の課題を抱え、そして子育てに悩んで虐待に及ぶ例もございます。
もちろん、今回の二つの事件のように、しつけのつもり、体罰のエスカレート、そのようなものもございます。また、さまざまな要因で生じるネグレクトも多数発生しています。親御さんの疾病のために、したくてもできないというような状況も多数発生しています。DVのために、自分を守れず、子供を守れない、そのような事案も多数認められます。そのような内容をきちんと見ていかなければならないと思います。統計上は発生件数が少なく見える性的虐待も、魂の殺人と言われるものです。これは、暗数も含めれば相当数あると考えます。
このような多様な児童虐待の内容、悲惨であり、かつ多様である、そのことを含めて対応、対策を進めていかなければならないと思います。
残念なことに、深刻な課題がある場合には、指導や支援をしても容易には改善されないものもございます。形式的に治療、教育プログラムを受講し、引取りを強く要求するような例もございます。
そのようなことを踏まえ、教育的なプログラムが有効な例もあれば、そうではない例、その両方を見据えて対応すべきだというふうに思います。また、母子が加害者から離れることを助けるべき事例、生活の土台の再構築が必要な例、抱える疾病の治療を優先すべき例、レスパイトや保育サービスで軽減できる例もございます。そのようなさまざまな内容を踏まえた対策が必要だと思います。
このように考えますので、この下に挙げた二つ目、三つ目、児童相談所と市町村の体制整備だけでは足りず、国民が皆関心を持ち、自分にできることをしなければならないと考えますが、限られた時間ですので、二番と三番について申し上げたいと思います。
児童相談所の体制整備と職員の力量の向上は、どうしても必要なことだと思います。
児童相談所は、ほかの機関では担い得ない固有の機能を持っているからです。
また、そのためには、直接対応する児童福祉司や児童心理司の増員と力量の向上が必要です。
この力量の向上のためには、適性も大事です。また、基礎的な学びも大事です。そして、経験を積むことが大事だと思います。促成栽培はできないものと考えています。
また、担当者の力量のアップだけでは児童相談所が的確に対応できるようにはならないと思います。児童相談所の増員だけではなく、的確な進行管理ができる組織の規模、あり方が重要です。今挙げた重大事案も含めて、多くの事案は進行管理の失敗と捉えられるというふうに考えております。
子供を守るためには、速やかな、ちゅうちょなき一時保護が必要だというふうに言われています。このことを達成するためにも、児童相談所の一時保護所を含めて、一時保護所が子供の制約にならないようにすることが大事だと思います。
最後になりますが、最も大事なことは、ここにあるようにも考えております。児童相談所だけでは子供たちを守ることができません。基礎自治体である市町村の体制の充実、そこでどう子供や家族を受けとめ、守っていくか、そのことを中心に据えて法案の方の審議を進めていただきたいと存じます。
以上でございます。ありがとうございました。(拍手)