西尾寿一の発言 (厚生労働委員会)
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○西尾参考人 東京都児童相談センターの西尾でございます。
本日は、児童福祉法改正の審議に当たりまして、現場の実情、課題を説明させていただく機会をつくっていただきまして、感謝申し上げます。
今回の法改正につきましては、ぜひとも、現場の職員の活動を後押しする、実効性のある内容にしていただければと思っております。どうぞよろしくお願いをいたします。
私からは、資料に沿いまして、幾つかポイントを絞って御説明をさせていただきます。
まず、最初の一ページでございますが、東京都の児童相談所、十一カ所ございます。保護所七カ所で運営しております。児童人口は百八十万以上でございます。
次のページでございます。
東京都の虐待に関する相談状況でございます。ごらんのとおり、二十五年度から二十九年度に右肩上がりのカーブが厳しくなっております。
その下、経路別の対応状況でございますが、囲みでございます、警察からの通告がふえてございます。二十七年度二千九百三十八が、二十九年度は五千七百三十五でございます。
その下に参ります。虐待内容別の対応状況でございますが、心理的虐待がふえております。これは、警察からの面前DV、いわゆる面前DVがふえているという、それが統計的にあらわれてございます。
次のページでございます。
東京都では、昨年三月、御案内のとおり、目黒で重大な事件が発生いたしました。これを受けていろいろ強化をしております。任期つきの職員を緊急で年度途中に採用しております。また、児童福祉司や一時保護所職員を補佐する非常勤職員も増員をしております。育成担当の管理職、専門課長もふやしております。
表に行きまして、二十八年度、児童福祉司の定数でございますが、二百二十七を三十一年度は三百十五までふやしております。心理におきましては、二十八年度は九十一、三十一年度が百四十一ということで、非常なハイペースで定員をふやしております。
次のページでございます。
児童福祉司の採用方法をまとめました。主なものを三つ取り上げております。まず、最初の表でございますが、1類B、これはいわゆる福祉職の採用でございます。それから、その下、キャリア採用というのは、民間企業経験者から人材を登用しております。それから、その下は、任期つき、期限つきで児童福祉司の採用を行っております。
その下の表でございますが、合格倍率でございます。それぞれの区分で載せておりますけれども、網かけのところをごらんいただきたいと思います。1類Bのところの倍率は二倍から三倍、それからキャリア採用も四倍、任期つきも四倍程度のところでございます。決して高くない倍率でございます。
そして、囲みのところをごらんいただければ、合格者の数、これが二十五でございますが、そのうち実際に採用されたのが八でございます。これは、他局、他事業所に配置された分もございますけれども、辞退者が多く出ているということでございます。これは人材のとり合いが既に始まっているというあらわれでございます。
次のページをごらんいただきたいと思います。
児童相談所が求められる専門性、虐待対応に求められる専門性でございます。少しまとめてみました。適時適切なリスクアセメントの実践、サインを見逃さずに迅速に対応しなければなりません。それから、何といっても強力な法的権限をいただいております。これをちゅうちょなく行使することが必要です。
それから、ケースワークそのものの困難性もございます。子供の利益のため、保護者の意向に反しても毅然と対応しなければなりません。相談のニーズのない相談を受ける、これが児童相談所の非常に大きな特徴でございます。それから、親子分離と再統合、相反することを両立させながら対応しなければならない、この難しさがございます。
子供と家族全体を支援する、多くの関係機関との連携、調整が必要でございます。心理的アプローチも必要でございます。
これには、経験値に支えられた専門性が必要でございます。五年から十年で中堅、十年以上がベテラン、そういう目安でございます。
次のページでございます。
経験年数のところをまとめてみました。東京都では、児童福祉司、児童心理司ともに、二年以下の経験年数の職員が半数を占めております。そして、今後、ベテラン職員の大量退職が見込まれております。
この中で、SV、スーパーバイザー、そして中間職員、これが非常に重要な役割を占めておりますが、ここが非常に枯渇している状況でございます。
児童福祉司の構成例を挙げてございますが、課長代理一名、これは相談援助業務を統括しております。その下に班が幾つかございまして、班長がございます。この班長クラスと課長代理、これが東京都でSV層でございます。この職員が進行管理と育成を同時に行うという、非常に負担の多くかかった業務を行っております。質、量ともにハードな相談援助業務を新人も担当している。
先ほどのお話で、育成期間が必要との御指摘がございましたが、今、東京都ではその余裕はございません。多分、全国の児童相談所もそうだと思います。相談業務部門で長期に活躍できるように、職員の処遇改善ですとかキャリア形成の仕組みが必要だと考えます。
次に、弁護士、医師の活用についてでございます。
東京都では、協力弁護士、非常勤弁護士制度というのを採用しております。十一カ所に非常勤では一名採用しておりまして、総勢四十五名体制で法的対応を強化しております。今年度も非常勤の回数を月二回から四回に増員、それ以外にも、随時、電話、メールで相談をしております。
この制度のいいところは、ベテランの弁護士さんと新人の弁護士さんがペアを組みまして、弁護士さん同士での育成ができるということでございます。また、四十五名の弁護士さんが、各自の経験と知識を結集して、最適な助言を得ることが可能でございます。私どもは、この形が非常にベストだと思っておりますので、常勤弁護士の配置というのも大切かもしれませんが、私どもの形、このいい形をぜひとも堅持したいと思っております。
それに、医師につきましては、児童相談センターで常勤医師五名を配置しておりまして、各児相を巡回しているところでございます。その他にも、民間医師との連携を十六名体制で行っております。
次のページでございます。
一時保護所の現状と改善に向けた取組でございます。一時保護所、都内、定員二百十三名ございますけれども、逼迫状況でございます。
右の方の箱のところ、課題についてでございますが、一時保護所の非常に難しいところは、さまざまな子供たちが日々入所し、集団の構成が変化するところでございます。これをまとめるのが非常に困難なところでございます。
東京都の取組といたしましては、一時保護所の定員増、外部評価制度の導入、第三者委員制度の導入等を行っております。
この一時保護所につきましては、対応の困難性、ケア充実の必要性等を踏まえまして、施設基準、児童養護施設の基準よりも更に手厚い、一時保護独自の職員配置基準が必要と考えております。
次に、九ページ、保護者援助プログラムについてでございます。
東京都では、各児童相談所が、保護者のアセスメントを行いまして、その虐待のレベルに応じてプログラムを提供しております。各児童相談所の心理職によるプログラムの提供、それから、重篤なケースにつきましては、児童相談センターは、中央相談所機能を担っておりますけれども、グループカウンセリングなどを行っております。それから、児相の援助を拒否する場合等、比較的軽度な虐待の場合は、区市町村や関係機関の皆さんとの連携で行っております。
保護者自身が必要を感じないと援助できない、これが最大の課題でございます。これにつきましては、今後、司法の直接関与の検討も必要と思います。また、さまざまなプログラムがございます。効果もケース・バイ・ケース、トレーナーの養成にも費用がかかるのが現状でございます。
次に、十ページ、東京都における児童相談所と区市町村の連携と役割でございます。
左の箱に、虐待のレベルと対応内容を整理しました。三角の図がございますけれども、下の方が、子育て支援による予防、健康群でございます。これは、区市町村がいろいろなサービスを活用して対応しております。上の方は、法的対応、重篤なケースは児童相談所。そして、真ん中の中程度、軽度のところは、児童相談所と区市町村が重なり合いながら支援をしております。互いに機能を強化して、なお一層の連携強化をする、これが非常に大きな成果を生むものと考えております。
次のページでございます。
これは、警視庁との情報共有の拡大を行っております。リスクが高いケースは全て共有をしております。
次の十二ページは、東京都では、本年四月一日に虐待防止条例を制定いたしました。体罰等の禁止なども盛り込んでおります。
以上、私からの説明でございます。(拍手)