松田茂樹の発言 (内閣委員会)
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○松田参考人 ただいま御紹介にあずかりました中京大学の松田です。
本日は、この委員会におきまして意見を述べさせていただく機会をいただきましたことに感謝いたします。
私のバックグラウンドは社会学です。少子化を研究しています。本日は、少子化対策の観点から、本法案に関する意見を述べさせていただきます。十分ですので少し駆け足になってしまうかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
配付資料を用意しております。そちらをあわせてごらんいただければ幸いです。
まず、我が国の少子化の状況につきましては皆様も御存じのことと思います。我が国の少子化、かなり深刻な状態でございます。しかしながら、出生率は、過去最低であった二〇〇五年の水準を幾分か脱し、一・四台で今のところ安定的に推移しています。
しかしながら、これから我が国の社会的な持続、社会経済の持続を考えたときは、もう一段の少子化対策をして出生率を引き上げていくことが必要でございます。なお、そのときには、少子化対策のあり方というものは、個々人の結婚や出産の希望をかなえていく、その阻害要因を除いていく、ここにあるかと思います。
それでは、一の二、少子化の主要因でございます。
出生率低下の要因を分解しますと、大きくは二つに分かれます。未婚化と夫婦が持つ子供数の減少です。
未婚化は、この法案の守備範囲外ではありますが、簡単に述べさせていただきますと、我が国の若い世代において、結婚できない、あるいは結婚しない方がふえてきているわけでございますけれども、その大きな要因は二つ。一つは、これは若年雇用が実は若い世代ほど悪くなっているんですね。もう一つは出会いの問題です。これが婚活と言われているものでございます。
そして、問題となりますのが、結婚後の夫婦の子供数です。
資料をごらんください。
平成四年以降、我が国の夫婦の子供数は徐々に減少してきています。そして、夫婦は欲しい数だけ子供を持つことができない時代となっています。理想の子供数が二・三人程度、しかしながら予定の子供数は二・〇一人、そして実際に持てる子供の数はもう少し低い、これが現状でございます。
では、その最大の理由は何かといいますと、これが子育てや教育に関する経済的な負担の重さです。表一にその資料を掲載しております。
なお、年齢別に見ますと、母親が三十五歳未満の場合、教育費や子育ての経済的負担が大変だ、これが八割に上ります。ですので、夫婦の子供を欲しいという希望を子育てや教育費の負担の問題が阻害している、これがまず現状認識です。
それでは、おめくりいただきまして、二ページです。
少子化対策として、幼児教育に係る経済的負担の軽減が必要であると思います。
幼児教育に係る経済的負担といいますと何かといいますと、我が国のお子様がゼロ歳で生まれてから巣立つまでの期間を横軸にとりますと、学校教育費に関する負担というのは、幼児教育費でまず負担がふえます。これは保育園も含めています。次に、義務教育費はそれが下がります。しかしながら、高等教育費、私も大学の人間ですけれども、高等教育費がまた高くなるとあります。少子化対策としては、この二つの山をできるだけ下げていく、これが必要でございます。
そして、そこの私のレジュメに書かせていただきましたが、幼児期について見ますと、四歳、五歳児の子供一人当たりの子育てにかかる費用のうち、幼稚園や保育園にかけている費用が約三割に上る。そして、これは子供一人当たりの食費や医療費よりも高いわけですね。若い世代は、所得が低いこともありまして、これが負担になっているということです。
親の出生意欲への影響です。次です。
以上のことから、教育に係る経済的負担を軽減することが、夫婦が欲しい数の子供をもうけることを可能にしていくものであると思います。
なお、幼児教育の負担を軽減したのみで経済的負担が全部なくなるわけではもちろんないです。しかし、負担が軽減されることは、これは前進だと思います。
そして、幼児教育をする時期といいますのは、親御様から見て、次のお子様を産むかどうかの意思決定をする時期でもあります。
私の分析ですけれども、図二にありますが、幼児教育が無償化された場合とそうでない場合、無償化されると出生意欲がどれだけ上がるかということを、これは倍率を分析した結果です。オッズ比が出ていますけれども、つまるところ、幼児教育無償化というものは、親御様の追加の出生意欲にポジティブに影響するということが言えます。
なお、出生率回復と考えますと、この場合の無償化というものは、ある所得階層のみに限ってしまいますと、その人のみが子育ての経済的負担が減り出生意欲は高まりますが、ほかの階層が広がらないことになる。となりますと、幅広い所得階層に対しての政策が必要ではないかと思います。
駆け足になりますが、三ページです。
それでは、諸外国との比較を手短に申し上げます。三点です。
三の一ですけれども、まず、主要国を見ますと、これも御存じのとおりかと思いますが、幼児教育に係る費用を無償化している国々があります。イギリス、三歳、四歳児に対する幼児教育無償化。低所得世帯に対する二歳児の無償化も進めています。フランスは、三歳—五歳児のほぼ全員が保育園に在籍し、そこは無料であるということです。そして、韓国。韓国につきましては、実はゼロ歳から五歳全て無償化しています。そして、保育所は親の就労にかかわらず利用できるということになっております。韓国も、子供の費用負担が多いことが出生率抑制につながっているという認識がございまして、このような対応をしておりますが、我が国の今提出されています法案とはかなり違うということになります。
三の二、公的支出です。
我が国の初等から高等教育に係る教育機関への公財政支出、これは非常に少ないということが指摘されています。また、教育費に占める家計への負担割合は高いということですね。
私は少子化を研究していますが、少子化対策に係る費用というものは家族関係社会支出としてくくられます。ここを見ますと、日本は一・二九%。しかしながら、出生率回復に取り組んできた国々はこれが三%程度ある。まだまだ足りないわけです。
そして、社会保障の議論におきましても、人生前半期、つまり、子供が生まれてから、これは親御様の立場から見ても、そして子育て期、ここにおける人生前半期への支援が課題であるということが指摘されています。
三の三ですが、少子化に関する国際意識調査、これを内閣府様が行っております。そのデータを分析いたしますと、日本と韓国におきましては、子育てや教育にお金がかかり過ぎるから、これが出生を抑制しているという、これは統計分析で結果が出ます。しかしながら、フランスやスウェーデンは、フランスなどは無償化しています、これはそのような効果は見られないということです。
最後、結語です。二点です。
幼児教育無償化は、保護者の子育て及び子供の教育に係る経済的負担を和らげます。もちろん、経済的不安も和らげます。そのために、それを通じまして出生率回復の効果を期待できるというのが一点目です。
最後です。
出生率回復のために、今、大胆に子育て支援や子供の教育支援に予算をかけることが望まれると思います。
以上、私からの意見とさせていただきます。ありがとうございます。(拍手)