花井圭子の発言 (文部科学委員会)
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○花井参考人 おはようございます。労働者福祉中央協議会、中央労福協事務局長の花井と申します。
本日は、このような機会をいただき、まことにありがとうございます。
中央労福協は、二〇一五年より、給付型奨学金制度の創設、奨学金制度の改善、教育費負担の軽減に取り組んでまいりました。その立場から、今回の法案と、昨年末に関係閣僚で合意されました高等教育無償化の制度の具体化に向けた方針について、意見を述べさせていただきたいと思います。
また、中央労福協は、昨年、奨学金や教育費負担についてアンケート調査を実施し、一万六千五百八十八名から回答を得ることができました。本日、机上に配付させていただいております。本日は、その中から参考になると思われる点も御紹介をしたいと思います。
まず、昨年末の政府方針で、二〇二〇年度より、低所得者層に対して給付型奨学金制度を対象、金額ともに拡充し、大学等の授業料減免についても拡充すること、また、在学中の家計急変時への支援が盛り込まれたことは、前進であり、評価したいと思います。
ただし、法案や制度の詳細については、問題点や明らかにすべき点、さらには、高等教育の負担を軽減するため欠かせない課題で、触れられていない点もあるのではないかと思っております。
第一に、対象を真に支援が必要な低所得者世帯の者に限定していることです。これが高等教育の無償化と言えるでしょうか。
資料図一は日本学生支援機構のデータですが、奨学金を利用している学生の四分の三は、家庭の年収が四百万円以上となっています。つまり、中間層にまで支援を広げない限り、奨学金に頼らないと進学できない状況は依然続くことになります。
図二以降は私たちのアンケートですが、四十歳以上の年収四百万から八百万円の中間層でも、七割前後が子供の教育費に負担感があると回答しています。
図三は、どこまで高等教育の無償化をすべきかを尋ねたところ、年収で限定せず全世帯を対象とすべきを含め、低所得者だけではなく中間層まで無償化すべきとの回答が四割強を占めています。図四の、これから大学等に進学する子供のいる中間層に絞ると、三人に二人が中間層にも広げてほしいと回答しています。
対象者を真に支援が必要な低所得世帯の者と法律で限定することで、低所得者層と中間層の分断や、支援を受ける方へのバッシングやスティグマを生まないか、非常に心配があります。ぜひとも、将来的に支援の対象を中間層に広げていく道筋を明らかにしていただきたいと思います。
また、授業料減免に関しては、現在でも、予算の範囲内ということではありますが、国立大学の場合は、大学院生や年収七百から八百万円の中間層であっても、成績がよければ減免を受けることができます。新たな制度創設で、大学院生や中間層への授業料減免が打ち切られたり、あるいは後退することがあってはならないと思います。この点は、国会審議の中で明確にしていただきたいと思います。
第二に、大学等の機関要件により、進学する大学によっては授業料減免や給付型奨学金制度の支援が受けられないことです。
支援の目的として、大学等での勉学が職業に結びつくとされていますが、本来学びたい学問が制約されないか。また、志望する学校が対象から外れれば、進路にも影響が出ます。教育の質の確保、情報開示の必要性や、経営に問題がある大学等の救済にならないようにということは理解できますが、それは大学等の認可や助成等に当たっての問題であり、それを学生支援の条件とするのは筋が違うのではないかと思います。
機関要件については、学生の選択肢を狭めたり、大学の自治や学問の自由を侵害しないよう、その必要性も含めて十分議論いただき、慎重な運用をお願いいたします。
第三に、支援対象者の個人要件については、高校からの推薦基準や、大学等で学業成績が不良な場合の取扱いがどうなるのか。
特に、成績が下位四分の一に属した場合、そのような場合、支援が打ち切られたり、あるいは既支給額の返還は、学生が進学をちゅうちょしたり、選択肢を狭めることにもつながりかねないため、慎重な対応をお願いしたいと思います。
第四に、授業料引下げの方向性が打ち出されていないことです。
図五は、高等教育関連の負担に関して何を優先的に実現してほしいかを尋ねたものですが、大学などの授業料の引下げが最多となっています。ぜひとも、こうした声を受けとめ、高過ぎる学費を引き下げ、中間層を含めた全体的な学費軽減の方向性を示していただきたいと思います。
第五に、奨学金を返済している方の負担軽減についてです。
私どものアンケートからも、図六から八で明らかなように、奨学金返済の負担に苦しみ、本人も親も返済への不安を抱えながら暮らしています。図九から十にありますように、奨学金返済は、結婚、出産、子育て、仕事の選択など、若者の生活設計にも大きな影響を及ぼしています。これを放置すれば、少子化をより加速することになりかねません。
返済困難者に対する喫緊の対策として、本年四月以降に返済猶予の時期が切れることに対応した猶予期間の延長や、民法改正に合わせた延滞金賦課率の引下げ、保証のあり方について見直しを早急に行うことが必要ではないかと思います。
第六に、消費税増収分の使途についてです。
今回の支援対象者数は七十五万人程度、所要額は約七千六百億円と試算されています。これは低所得者世帯の高等教育進学率が全世帯平均の八割まで上昇するという想定ですが、目標達成までの間、試算所要額との差額はどのように使われるのか、明らかにしていただくようお願いいたします。
最後に、二〇一七年の日本学生支援機構法改正の附帯決議は、貸与型奨学金制度は無利子であるべきことや、所得連動返還型奨学金制度の適用対象の拡大の検討、日本学生支援機構の体制整備などが盛り込まれましたが、残念ながら進展してはおりません。国会として、附帯決議の進捗状況を点検し、一歩でも前進させていただくとともに、施行四年後の見直し時期以前であっても、必要な改善は行っていただきますようお願いいたします。
国会審議を通じて、本法案の懸念が払拭され、学費の引下げや中間層を含めた支援策の拡充、奨学金返済者の負担軽減への展望が見えるような方向性を国会の意思として明らかにしていただきますよう強く要望し、意見とさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)