浦野広明の発言 (予算委員会公聴会)

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○浦野公述人 発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 私は、予算の審議に当たって、日本国憲法の理念と国民生活の安定という立場で公述させていただきたいと思います。
 まず、国民に役立つ税制の問題を最初に申し上げたいと思いますけれども、納税者の権利ということがよく言われますけれども、これは、広く捉えた場合、広義に捉えた場合は、税金を払うときの権利と、その税金がいかに使われるか、税金の使途に関する権利に分けられるかと思います。
 最初に、税金の支払い方、国からすれば取り方の問題ですけれども、これは、日常的には応能負担原則というふうに言われておりまして、別名能力税とも言えるかと思いますけれども、やはり負担能力に応じて税金は払うものだ、こういう考え方になるわけです。
 負担能力に応じた税金、では、何が税目として適切なのかと申しますと、所得課税、所得を課税の対象にする、国税でいえば所得税だとか法人税が中心に来るということが重要になるかと思います。この応能負担原則は、国税、地方税、あるいは、税とは呼んでいない社会保険料と言われる目的税、全てに対応しなければならない原則かと思います。
 具体的には次の点を重視するということで、一ページの上の方に(1)から(4)まで掲げておりますけれども、まず、先ほど申し上げましたように、直接税、所得課税を中心に据えるということですね。それから、所得を分離するようなことなく、あらゆる所得を原則的に一つに集めて、その集まった所得について累進課税構造、具体的には超過累進課税構造になるかと思いますけれども、これを採用していく。総合累進課税と言われているものです。それから、生計費には課税しない。そして、同じ所得でも、所得の質的な面を考慮して、勤労所得については軽く、不労所得については重くというような、こういうことが、簡単に言えば、応能負担原則になるかと思います。
 次に、税金の使い方、使途の問題になりますけれども、これも、やはり日本国憲法のもとで税金はどのように使われるかということを考えなければいけないかと思います。
 憲法前文は平和的生存権がうたわれており、一条では国民主権、そして九条では戦争放棄の規定があり、その後、数々の人権規定が置かれており、二十五条に至り、生存権、これは、国民の側と国の側からの生存権についてうたわれているわけですけれども、国民の側からは、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利がある、一方、国側は、その権利を保障しなければならない、義務がある、こういうことになるわけです。そうしますと、税金の使途は、あらゆる税金が、日本国憲法のもとでは福祉、社会保障のために使われなければならないということになります。
 所得再分配ということが言われますけれども、これは生存権の思想になるかと思いますけれども、今の社会は資本主義社会ですから、市場で勝利した者がたくさんの富を得る、その一方では貧困者が生まれる、こういう状況になるわけです。そこで、この事態を改革するということで、所得再分配、つまり、社会の中の富を個人に対して分ける、こういうことが必要になるかと思います。
 社会保障が充実している国についていろいろ説明されます。特に、私はスウェーデンのことについてちょっと申し上げたいと思いますけれども、東京新聞に元駐スウェーデン日本国特命全権大使の渡辺さんという方が書いている文章によれば、スウェーデンにおいては、政府とか政治というのは国民の負託を得て、国の安定、繁栄をくれるということで大変肯定的に捉えられています、だから、総選挙の投票率は常に八〇%台です、こういうふうに言われておるわけです。
 具体的にスウェーデンの福祉の面を見ますと、二ページの上に書いてありますように、学費は無料、あるいは、医療費についても無料というような形になっているわけです。
 実際に、病院の窓口負担というものを見てみましても、窓口負担がゼロの国というのは少なからずあるわけです。スウェーデンでも、一日一千百円の低額負担、年間九千九百円が上限であるという実態になっております。
 しかし、日本では、義務教育就学前は二割負担、六歳から六十九歳は三割、七十歳以上は一から三割というような状況になっているわけです。もっとも、義務教育就学前等については助成している自治体も日本ではあります。
 消費税の問題について移りたいと思いますけれども、消費税と国民主権という問題を見た場合にどういうことが考えられるかといいますと、憲法では、市民の自己決定権、あるいは消費者権、商品選択権、納税者の権利という三位一体の人権があるわけですけれども、消費税はこれらを全て侵害するような状況になるわけです。
 買物をするにしても、今の消費税は選択の余地がないわけです。かつて、消費税が導入される前日まで、日本でも物品税という個別消費税がありましたけれども、この場合には、例えば料理飲食税などについても、一万円以上の食事をすれば一〇%の料理飲食税を払うだとか、それが嫌だったら安い食事で済ませるというような選択が可能だったわけですけれども、今の消費税は選択の余地はないということが言えるわけです。
 そして、この消費税推進の理論で言われるものの大きなものは、一つは、国の財政が悪化しているので消費税はやはりやむを得ないんじゃないか、もう一つは、社会保障の財源として消費税は重要なんだということが言われます。しかし、私は、この消費税というのは、国の財政状態をより悪化し、更に社会保障を削減するものであるということを申し上げたいわけです。
 それは、三ページに、今年度の一般会計予算案を示しております。この予算、総額百一兆円ですけれども、税収を見ると六一・五%で、足りない部分を国債三十二兆円、三二・一%の国債で賄うような状況になっております。これは、先ほど申し上げました応能負担の中心に位置すべき所得税、法人税が非常に減収されており、その一方で、消費税が税目では一番になるような状況になっているわけです。
 この結果、どうなるかと申しますと、国債の返還とその利息の支払いというものが歳出に大きな部分を占めることになります。予算案でも、二十三兆五千億円というものが国債の償還と利払いになっているわけです。つまり、税収でいえば、税収のほぼ四割ぐらいが国債費の元金と利息の返済に充てられる。こうなりますと、社会保障に回る余裕が出てこないということになるわけです。
 こういう問題点があり、そして、法人税について言えば、この三ページの下に、法人税の、所得が出た場合に、国税の法人税、地方税の法人住民税、それから法人事業税という三税の負担があるわけですけれども、これらが、二〇一七年度ではほぼ三〇%強という状況になっておりました。
 しかし、実際の当期純利益に対しての負担率を見ますと、この三角があるのは、納税しないで還付されているということで、大体、商社は、世界じゅうに支店などを置いて、いろいろな税制を使い、税負担をしていないという現状がありますし、三〇%以上、本来であれば払っているのが、巨大企業では軒並みそういう負担をしていないということがこの表でわかるわけです。
 したがって、タックスヘイブンということが問題になりますが、日本自体が大企業にとってはタックスヘイブンになっているというのが現状かと思います。
 四ページに、所得税の税率構造を掲げておきました。一番下が現在採用されているもので、五%から四五の七段階の超過累進課税構造になっています。しかし、一九七四年を見ますと、所得税が十九段階の超過累進税率を採用しておりました。しかも、住民税は、現在、お金持ちも貧しい人もみんな一律一〇%となっておりますけれども、この七四年当時は、脚注に書いてありますように、十三の刻みがあったんですね、二、三、四、五、六というような形で。
 こういうものが、だんだん累進課税構造が破壊されているわけですけれども、この中心に来るべき法人税それから所得税の累進課税構造で計算した場合にどうなるのかということを、菅さんという法人税に詳しい税理士さんが計算しておりますけれども、これが、現在の法人税収は十兆円ばかりなんですけれども、所得税程度の緩やかな累進課税構造にした場合に、二十九兆円の税収が上がるということがわかりました。
 一方、所得税についても、申告所得税、それ以外に源泉所得税がありますが、申告所得税は二兆数千億円の税収になっているわけですけれども、これが、七四年当時のものに二〇一六年の所得を当てはめて計算すると、十二兆七千億というものが出てくるのが、私が計算した結果、わかりました。
 つまり、中心に来るべき所得課税、所得税十兆円の税収と、法人税十九兆円の税収が見込めるわけです。その分、歳入欠陥になっているということになるかと思います。
 消費税の問題点については、軽減税率と言われますけれども、食料品に八%の税率を適用している国は、先進資本主義国ではほとんどないわけで、イギリスではゼロ%というようなことになっているわけです。ですから、軽減税率という言葉自体が誤りで、過重税率と言った方が正しいかと思います。
 それから、二〇一五年の税制改定で、今まで消費税は景気の状況を見て税率を変動させるという規定があったんですけれども、それを削除してしまったわけです。三党合意で消費税を上げるのが決まったときにはこの景気条項があったわけですけれども、結局、二〇一五年にはその景気条項を削除してしまった、こういうことになっています。
 それから、消費税は、輸出製造業に対してゼロ%の税率を適用した結果、例えば、六ページに、トヨタ自動車の昨年の三月期の決算で私が推算したところによると、一円も払わないで四千五百億円余りの還付を受けている。こういう、輸出製造業全体では五兆円にもなるのではないかと言われる還付の問題があります。
 それから、消費税の控除されないものの中心にあるのは正規雇用者に対する給与ですけれども、消費税を払わないために、どんどん外注、派遣に切りかえていくということで、賃下げ、リストラが激しくなっているという問題があります。
 それから、七ページでは、今年度の税制改正法案の中では、国民監視というものが非常に強化されるような形で書かれていて、既にこれも国税通則法の改定などによって扇動罪だとか共謀罪の適用という問題も起きてくるので、この点も注視しなければいけないかと思います。
 それから、九ページには、七十二国会請願の教訓ということで、このときの衆議院大蔵委員会の委員長は、安倍首相のお父さんである安倍晋太郎委員長だったわけですけれども、この七十二国会で、一の(2)を見ますと、「大資本に対する特権的な租税特別措置を無くし、法人税を累進制とし、小法人の税率を大幅に引き下げること、」こういうことが決まっているわけです。
 ですから、この教訓をやはり生かすべきだと思いますし、韓国では、七七年に軍政下で消費税が入れられましたけれども、一度も上げていない。そして、昨年は、韓国は既に法人税が累進課税構造ですけれども、その一〇%、二〇%、二二%だった累進税率に、更に二五というものを加えて、大企業の負担を多くしているという問題があります。
 それから、マレーシアですけれども、これは、昨年、マレーシアの総選挙でマハティール元首相が率いる野党連合が勝利し、公約に消費税廃止ということをうたっておりました。野党連合が勝利し、消費税を廃止いたしまして、それによって景気が回復して、非常に明るい前途があるということが現地の新聞でも報道されております。
 最後に、日本でも、やはり負担能力に応じた税制、そして税金の使い方、全ての税金が福祉社会保障目的税である、こういう原理をぜひ今後の予算に生かしていただきたいと思いまして、私の公述を終わります。
 どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 浦野広明

speaker_id: 14937

日付: 2019-02-26

院: 衆議院

会議名: 予算委員会公聴会