予算委員会公聴会
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会
会議録情報#0
平成三十一年二月二十六日(火曜日)
午前九時三分開議
出席委員
委員長 野田 聖子君
理事 井野 俊郎君 理事 後藤 茂之君
理事 坂本 哲志君 理事 田中 和徳君
理事 堀内 詔子君 理事 宮下 一郎君
理事 逢坂 誠二君 理事 渡辺 周君
理事 伊藤 渉君
秋本 真利君 伊藤 達也君
石崎 徹君 石破 茂君
今村 雅弘君 衛藤征士郎君
小田原 潔君 小野寺五典君
大岡 敏孝君 奥野 信亮君
神山 佐市君 河村 建夫君
佐々木 紀君 笹川 博義君
鈴木 俊一君 田野瀬太道君
竹本 直一君 武田 良太君
中谷 真一君 中山 泰秀君
野田 毅君 平沢 勝栄君
古屋 圭司君 星野 剛士君
宮澤 博行君 村上誠一郎君
盛山 正仁君 山口 壯君
山本 幸三君 山本 有二君
吉野 正芳君 小川 淳也君
大串 博志君 本多 平直君
矢上 雅義君 早稲田夕季君
後藤 祐一君 階 猛君
白石 洋一君 西岡 秀子君
山井 和則君 太田 昌孝君
岡本 三成君 藤野 保史君
宮本 岳志君 浦野 靖人君
松原 仁君
…………………………………
公述人
(株式会社大和総研政策調査部長) 鈴木 準君
公述人
(弁護士) 明石 順平君
公述人
(富士市産業支援センターf—Bizセンター長) 小出 宗昭君
公述人
(国際政治学者)
(東京大学政策ビジョン研究センター講師) 三浦 瑠麗君
公述人
(SMBC日興証券株式会社金融経済調査部部長)
(金融財政アナリスト) 末澤 豪謙君
公述人
(法政大学キャリアデザイン学部教授) 上西 充子君
公述人
(大阪府中央子ども家庭センター所長) 江口 晋君
公述人
(立正大学法学部客員教授・税理士) 浦野 広明君
予算委員会専門員 鈴木 宏幸君
—————————————
委員の異動
二月二十六日
辞任 補欠選任
秋本 真利君 星野 剛士君
石崎 徹君 神山 佐市君
石破 茂君 中谷 真一君
河村 建夫君 武田 良太君
中山 泰秀君 佐々木 紀君
吉野 正芳君 宮澤 博行君
川内 博史君 矢上 雅義君
奥野総一郎君 山井 和則君
宮本 徹君 宮本 岳志君
同日
辞任 補欠選任
神山 佐市君 石崎 徹君
佐々木 紀君 中山 泰秀君
武田 良太君 大岡 敏孝君
中谷 真一君 石破 茂君
星野 剛士君 秋本 真利君
宮澤 博行君 吉野 正芳君
矢上 雅義君 川内 博史君
山井 和則君 白石 洋一君
宮本 岳志君 宮本 徹君
同日
辞任 補欠選任
大岡 敏孝君 河村 建夫君
白石 洋一君 奥野総一郎君
—————————————
本日の公聴会で意見を聞いた案件
平成三十一年度一般会計予算
平成三十一年度特別会計予算
平成三十一年度政府関係機関予算
————◇—————
この発言だけを見る →午前九時三分開議
出席委員
委員長 野田 聖子君
理事 井野 俊郎君 理事 後藤 茂之君
理事 坂本 哲志君 理事 田中 和徳君
理事 堀内 詔子君 理事 宮下 一郎君
理事 逢坂 誠二君 理事 渡辺 周君
理事 伊藤 渉君
秋本 真利君 伊藤 達也君
石崎 徹君 石破 茂君
今村 雅弘君 衛藤征士郎君
小田原 潔君 小野寺五典君
大岡 敏孝君 奥野 信亮君
神山 佐市君 河村 建夫君
佐々木 紀君 笹川 博義君
鈴木 俊一君 田野瀬太道君
竹本 直一君 武田 良太君
中谷 真一君 中山 泰秀君
野田 毅君 平沢 勝栄君
古屋 圭司君 星野 剛士君
宮澤 博行君 村上誠一郎君
盛山 正仁君 山口 壯君
山本 幸三君 山本 有二君
吉野 正芳君 小川 淳也君
大串 博志君 本多 平直君
矢上 雅義君 早稲田夕季君
後藤 祐一君 階 猛君
白石 洋一君 西岡 秀子君
山井 和則君 太田 昌孝君
岡本 三成君 藤野 保史君
宮本 岳志君 浦野 靖人君
松原 仁君
…………………………………
公述人
(株式会社大和総研政策調査部長) 鈴木 準君
公述人
(弁護士) 明石 順平君
公述人
(富士市産業支援センターf—Bizセンター長) 小出 宗昭君
公述人
(国際政治学者)
(東京大学政策ビジョン研究センター講師) 三浦 瑠麗君
公述人
(SMBC日興証券株式会社金融経済調査部部長)
(金融財政アナリスト) 末澤 豪謙君
公述人
(法政大学キャリアデザイン学部教授) 上西 充子君
公述人
(大阪府中央子ども家庭センター所長) 江口 晋君
公述人
(立正大学法学部客員教授・税理士) 浦野 広明君
予算委員会専門員 鈴木 宏幸君
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委員の異動
二月二十六日
辞任 補欠選任
秋本 真利君 星野 剛士君
石崎 徹君 神山 佐市君
石破 茂君 中谷 真一君
河村 建夫君 武田 良太君
中山 泰秀君 佐々木 紀君
吉野 正芳君 宮澤 博行君
川内 博史君 矢上 雅義君
奥野総一郎君 山井 和則君
宮本 徹君 宮本 岳志君
同日
辞任 補欠選任
神山 佐市君 石崎 徹君
佐々木 紀君 中山 泰秀君
武田 良太君 大岡 敏孝君
中谷 真一君 石破 茂君
星野 剛士君 秋本 真利君
宮澤 博行君 吉野 正芳君
矢上 雅義君 川内 博史君
山井 和則君 白石 洋一君
宮本 岳志君 宮本 徹君
同日
辞任 補欠選任
大岡 敏孝君 河村 建夫君
白石 洋一君 奥野総一郎君
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本日の公聴会で意見を聞いた案件
平成三十一年度一般会計予算
平成三十一年度特別会計予算
平成三十一年度政府関係機関予算
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野
野田聖子#1
○野田委員長 これより会議を開きます。
平成三十一年度一般会計予算、平成三十一年度特別会計予算、平成三十一年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を開きます。
この際、公述人各位に一言御挨拶を申し上げます。
公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。平成三十一年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。
御意見を賜る順序といたしましては、まず鈴木準公述人、次に明石順平公述人、次に小出宗昭公述人、次に三浦瑠麗公述人の順序で、お一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
それでは、鈴木公述人にお願いいたします。
この発言だけを見る →平成三十一年度一般会計予算、平成三十一年度特別会計予算、平成三十一年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を開きます。
この際、公述人各位に一言御挨拶を申し上げます。
公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。平成三十一年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。
御意見を賜る順序といたしましては、まず鈴木準公述人、次に明石順平公述人、次に小出宗昭公述人、次に三浦瑠麗公述人の順序で、お一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
それでは、鈴木公述人にお願いいたします。
鈴
鈴木準#2
○鈴木公述人 おはようございます。
大和総研で経済政策などの調査をしております鈴木準と申します。
本日は、このような機会をいただきまして、大変光栄に存じます。
平成三十一年度総予算の御審議に御参考としていただきたく、当該予算に賛成の立場から意見を述べさせていただきます。
まず、経済状況について簡潔に申し上げます。私の資料の一ページ目をごらんくださいませ。
二〇一二年十二月から始まりました景気回復、現在もそうですけれども、時折踊り場的な様相を見せつつも、戦後最長になった可能性があると言われております。
二〇一三年第一・四半期からの六年、二十四四半期の経済成長率は、年率で実質一・二%、名目で一・八%でございまして、長期的に目指すべきと考えられます実質二%、名目三%以上には届いていないわけでありますけれども、以前と比べて相当な明るさと活力が感じられる状況であると認識しております。
それは、失業率ですとか有効求人倍率に見る雇用情勢で顕著でありますし、企業の設備投資や業況判断、生産動向、株価、中小企業や地方への波及状況など、総合的、客観的に見てそう言えると考えております。
消費も言われているほど悪いとは見ておりませんで、この姿というのは、二〇一四年四月に消費税率を三%ポイント引き上げることをこなしながらの実績でございまして、国民生活基礎調査によりますと、暮らしぶりが苦しいとする人の割合はここ数年連続して低下をしているということは、正当に評価されるべきではないかと思っております。
今後については、特に海外リスク要因、これに目配りが必要でございますけれども、二〇一九年度、二〇年度、ならしますと、実質一%弱、名目一%強ぐらいの成長は見込めるのではないかと思っております。
もちろん、楽観しているわけではございませんで、二ページにお進みいただきたいと思いますが、二〇一三年以降の経済の展開が、果たして、循環的なものではなくて構造的なものなのかどうか。あるいは、経済のメカニズムとして民間の新陳代謝が活発になっているのか、それとも海外経済要因とかあるいは一時的な政策の下支え、これの寄与が大きいのかどうか。さらには、名目ベースでよくなっているのか、それとも生産性の向上を伴った実質ベースでよくなっているのか。
ここは、私は、構造的なもの、内生的なもの、実質的なものに向かっているというふうに思っておりますけれども、その度合いはどのぐらいなのかというのは、まだ見きわめられておりません。
といいますのも、内閣府さんから示されている中長期の経済財政に関する試算を見ますと、潜在成長率の上昇は想定よりも後ずれをしております。これは、だから問題と言いたいわけではありませんで、今何か官民が取組をすれば来年から潜在成長率がいきなり上がるというものでは本来ないわけでありまして、潜在成長率というのは、労働と資本の量、それから労働と資本の質、それから労働と資本の組合せ方の巧拙、うまい下手、これによって決まるものでありまして、その引上げには時間がかかりますし、上がったかどうか見きわめられるのは五年や十年かかる、そういうことであります。
その意味では、人づくり革命だとか生産性革命と言われている政策を絶え間なく続けることが必要でございまして、三十一年度予算というのはそれに即した予算であろうと思います。
構造的によい方向に向かっている度合いが十分わからないという点では、財政も同じでございます。
国と地方を合わせた基礎的財政収支、PBは、一三年度、一四年度、一五年度とかなり改善を見せましたが、一六年度から一八年度にかけましては改善ペースが鈍りました。
もっとも、一六年度から一八年度というのは、経済財政諮問会議を中心に、経済成長と財政健全化を両立させるための集中改革期間ということで、各府省がさまざまな改革の種まきと水やりを相当にやってきております。
新しい経済政策パッケージの策定もあって、PBの黒字化目標は二〇年度から二五年度へ先送りされましたけれども、今後は、その種まきと水やりをしている改革の進捗ですとか、あるいはその効果のあらわれ方を見定めつつ、一九年度から二一年度の基盤強化期間で改革の深掘りをしていく必要があると思っております。
一九年度予算というのは基盤強化期間の初年度予算ということで、歳出改革の取組が継続されている予算であると一定の評価ができると思っております。
さて、改めて、三ページでございます、我が国の財政状況でありますが、九二年以降、国、地方を合わせたPBが黒字になったことはありません。政府債務の残高が小さい状況でPBが黒字と赤字が循環的であれば問題はないわけでありますが、長期的、構造的にPBが赤字ですので、債務残高はGDP比で見て積み上がる一方であります。
仮にPBが均衡しているとすると、財政赤字は金利分だけになりますので、金利と成長率の関係を考えながらPBをコントロールすれば債務残高GDP比をマネージすることができるわけでありますが、日本の場合は、バランスシート調整下で資金需要が非常に停滞した、あるいは国債管理政策が浸透するプロセスだった、あるいはデフレ脱却のための金融政策がずっと行われているということで、債務残高の巨額さの割に金利負担が小さい状況が続いているために、金利負担のことは余り考えずに済んできたということもございます。
しかし、今後は、デフレ脱却が進めば進むほど、成功すればするほど、それから民間経済に活力が戻れば戻るほど、債務残高が巨額であるだけに金利負担が大きなものになるおそれがございます。
つまり、PBを均衡、黒字化させたとしても、金利負担で財政収支赤字が思ったほど小さくならないという心配がありますので、経済の実力以上の金利上昇なんかが起きないように、財政の構造を持続可能なものにしていく必要が非常に高いというふうに考えております。
この点、よく経済がよくなれば税収がふえて自動的に収支が改善するということを期待する向きもあるわけでありますが、例えば、物価が上がれば、これは年金のマクロ経済スライドを除けば、政府支出も物価分ふやさざるを得ません。それから、物価でなくて実質所得がふえた場合も、例えば、公務員賃金ですとか、医療や介護に従事される方の賃金も上げていかないといけないということでありますから、実質成長で財政問題が解決するというものではないと思います。
もちろん、経済成長がないと、必要な歳出改革ですとか、場合によっては必要な国民負担増ということも行うことができませんので、その意味では経済成長は絶対に必要ですけれども、成長してもしなくても財政改革は必要だということだと思います。
四ページにお進みくださいませ。
債務残高GDP比が上昇し続けると、なぜ問題なのか。
一つは、上昇し続ければ、これはどこかで破綻するということであります。ただ、破綻しなくても、高水準の債務というのは家計も企業も持続可能ではないと疑いますので、問題であると思います。
どういうことかといいますと、その必要があるのに債務残高GDP比の上昇を政府が本気で食いとめようとはしていないというふうに人々が考えるときには、それ以外の政策もどこまで本気なのか疑われるということでありまして、成長戦略にしろ、規制緩和にしろ、FTAの拡大にしろ、それは一時的に今の政権が言っているだけだというふうに企業経営者が考えたとすれば、これはリスクをとった投資が起きません。
投資が起きなければ生産性が上がりませんので、潜在成長率も上がりません。低い潜在成長率に見合う金利も当然に低いままでありますので、生産性を上げる主体ではない政府だけがお金を使って債務残高がふえ続けるけれども、金利は一向に上がらない、こういう非常に陰うつとした状況が続きかねないということであります。
五ページにお進みください。
なぜ日本の財政が悪化が続いているのかということですが、最大の要因は社会保障費の増大であろうと思います。
五ページで、税の会計から社会保障の会計へ大規模な資金の繰り出しが制度的に行われていて、いわば、何か投資しているわけではなくて、その日その日の支払いで税の会計が経常的な赤字に陥っている状況であります。
六ページでございます。そのことを示しております。右の図は、国と地方の財政収支のこれまでの改善と悪化の要因をGDP比で分解したものでございまして、格子柄になっているところが社会保障への公費負担であります。九〇年代以降、常に収支悪化要因となっております。
社会保障は必要なことを行っているのだということではありますけれども、社会保障というのは、資金的には財政制度を通じて運営されている以上は、財政が破綻すれば社会保障も破綻することになります。今の時代、やった方がいいということはもう無限にあるわけでありますから、人々が求める社会保障の水準と、その財源、国民負担と組み合わせて検討しませんと、超高齢社会は乗り切れないだろうというふうに思います。
七ページでございます。
これはまさに過去の財政改革では社会保障費の取扱いが難しかったということでありまして、財政構造改革法のときには社会保障関係費の歳出上限を緩めたり、あるいは、骨太方針〇六のときは国費の二千二百億円カットというのが行き詰まりを見せたりしました。社会保障費をいかに合理的に、また多くの納得を得ながら改革を進められるかどうかが鍵だと思います。
八ページにお進みいただきたいと思いますが、社会保障費は今後もふえ続けると見込まれております。
ここに幾つかの長期試算を載せておりますけれども、上から二段目、昨年五月に四府省合同で出された成長実現ケースの試算を見ますと、年金、医療、介護の名目給付が、現在の百兆円前後から二〇四〇年度には百九十兆円近くになる。ここに子供、子育てなども含めますと、現在、GDP比で二一・五%の給付が最大二四%ぐらいまで増加するということでありますので、現在のGDPでイメージすると、毎年十三兆円くらいの給付増が恒常的に、毎年生じる見通しになっているということであります。
団塊世代の後期高齢者入り、それから団塊ジュニアの高齢化、こういったものが大きな要因ですが、医療の高度化なんかが更に進めば、給付増の幅はこれよりも大きくなる可能性があると思います。
そこで、九ページでありますが、さまざまな改革が社会保障の各分野で必要ということなのですけれども、九ページで、経済が成長してもしなくても必要ということをちょっと御説明させていただきます。
これは直近の内閣府の中長期の経済財政に関する試算でありますが、二〇二五年度のPB赤字が、成長実現ケースで一・一兆円、GDP比〇・二%、ベースラインケースで六・八兆円、GDP比一・一%というふうに試算されています。
これについて、成長実現ケースは楽観的だという評価があちこちで聞かれるわけでありますが、この六つのグラフのうち、上段の左と下段の、下の段の左、上下で見ていただくと、成長実現ケースでは物価や賃金がより上昇しますので、社会保障関係費が名目でかなりふえているように見えます。
しかし、それぞれ真ん中の、今度、上下の真ん中をごらんいただきますと、このふえ方というのは、消費者物価で実質化しますと、成長実現ケースでは二〇年度以降はほぼ横ばい、逆にベースラインケースでは少しずつふえています。
ここで、成長実現ケースで実質の社会保障給付を長期にこうやってふやさずにいられるものだろうかというふうに疑問が湧きますし、それから、ベースラインケースでは実質でふやしていることが収支が改善しない一因であろうというふうに思います。
さらに、上下の右側でございますけれども、これは生活水準で実質化したもので、国民一人当たりのGDPでデフレートしています。考え方として、物価プラス生産性上昇分ですから、賃金で実質化していると言いかえてもよいと思います。
実は、成長実現ケースでは、賃金で実質化しますと、社会保障関係費を長期に削減しているという結果になっています。高齢者数がふえる中で総額を減らしているわけですから、いわば年金、医療、介護全体の所得代替率を下げている、そういうことでありまして、ここまでサービスの抑制を行うというのはかなり厳しいものであるようにも思うわけであります。
つまり、地方交付税もその他の歳出も全部そうですけれども、物価ベースにしろ賃金ベースにしろ、成長してもしていなくても、一定の実質的な給付抑制となるような改革を進めませんと財政の持続性は確保できないだろうということであります。先ほど申し上げたように、経済成長は絶対に必要ですけれども、成長すれば改革をしなくてよいというのは幻想に近いのではないかと思います。
そこで、十ページでございますが、二〇一五年夏ごろから進められているのが、経済成長と財政健全化の二兎を追う経済財政一体改革であります。
政府は毎年借金を重ねているわけですが、それは、誰かが貯金をしているか、誰かが借金返済をしていることと両建ての関係になっているはずであります。
ことしの借金を小さくするために歳出を単純にカットしますと、これは国民の受益水準が下がるばかりか、需要が減って誰かの消費や投資を減らしかねない。結局は、輸入が減って経常黒字がふえてしまうとか、あるいは税収が減って政府の赤字がふえるかということに帰着する可能性が高いと思います。
政府が財政収支の赤字を小さくしようとするならば、したがって、政府が支出を減らす分、企業の投資や家計の消費をふやす必要がある。
これは、社会資本整備の分野で申し上げれば、PPP、PFIを強力に推進するですとか、メンテナンス産業を育成していくとか、あるいは、地方行政でいえば、住民サービスのアウトソーシング、これは民間にいろいろなことを委託していくとか、これはわかりやすい例だと思います。社会保障の分野でも、医療や介護の供給サイドの改革というのはもっともっと進める余地があると思いますし、予防、健康ビジネスを拡大させる、年金分野では民間の金融機関の役割を拡大させるなどなど、さまざまなアイデアがあり得ます。
一言で申し上げれば、公共、公的サービスの産業化でありまして、歳出の抑制は必要なんですけれども、単純な歳出カットではなくて、公共、公的サービスを成長の一つのエンジンにするという発想であります。
もちろん、そこでは政府自身の、あるいは自治体自身の生産性向上も大きな課題ですので、自治体や保険者などの現場が、ほかの自治体や保険者とどう違うのかという課題を認識できるように状況を見える化して、改革に頑張った現場が報われる、そういう制度設計、インセンティブの設計が改革の鍵の一つであります。
十一ページをごらんいただきたいと思いますが、サービスの改革だけではなくて、社会保障改革というのは、保険料抑制というチャネルで成長戦略としての性格を有しているとも考えております。
この十一ページの左側の図表で示しましたように、最近ようやく額面の収入がふえたり、減り方がモデレートになったとしても、保険料がふえてしまって、可処分所得はその分ふえない。せっかく賃上げしても、それでは消費が活性化しないということであります。
後ろの方に参考資料を載せておりますが、今、家計の負担額とか負担感が強い、大きいのは、消費税ではなくて社会保険料であります。年金保険料は一応法律上の上限に達しましたので、今後は医療や介護の保険料をどうしていくかが大きな課題であります。
というわけで、十二ページから十五ページには昨年十二月にまとめられた新経済・財政再生計画の改革工程表の概要を載せさせていただいております。
十二ページでございますが、この改革工程表というのは、ざっと百二十以上の個別具体的な改革事項の方向性ですとか進め方、あるいは検討の期限などについて、百八十ページにわたって、ちょっと厚過ぎると思うんですけれども、記述されております。この私の資料の十二ページでは、それらの取組がどのようなロジックで政策目標につながっていくのかを定量的に把握するKPIの見直しを行ったということなどが書かれております。
十三ページは非常に重要な見取り図でございまして、下半分の、主な取組というところをごらんいただきますと、まず最初の一年、つまり、ことしは雇用改革を行いつつ、それから、ことしを含む今後三年間で全世代が安心できる社会保障制度への改革を行うとありまして、その下に、具体的に、二〇二〇年度にそれまでの改革のレビューを行った上で政策をまとめて、それを基盤強化期間内、つまり、どれだけ遅くとも二〇二一年度から順次実行に移すということが明確にされております。
もちろんこれは政府の方針であって、必要な法律改正事項があれば、これは立法府でもちろん御議論をいただくということになるわけでありますが、団塊世代の後期高齢者入りのタイミングなどを考慮しながら、各府省の皆さんが利害関係者とさまざまに御調整されながら頑張っておられる、そういう状況だと思います。
予算は単年度主義であるわけですが、平成三十一年度予算というのは、こうした数年先までの構想の中で、一つの哲学も持たせた予算であるというふうに思っております。
十四ページと十五ページは、主要分野ごとの改革の主な取組でございますので省略をさせていただいて、最後、ちょっと結びにかえて、来年度予算で裏打ちされた政策を進めていただくためにも、留意点を数点申し添えたいと存じます。
第一に、政府経済見通しの二〇一九年度は名目成長率二・四%と民間の予測と比べて高目でございますので、税収が予想どおりになるか、注視する必要があると思います。
第二に、一九年度予算では、恐らく一時的と見られる税外収入が比較的大きいように見えます。二〇年度以降は、ですから、それはなくなるということを考慮した予算編成が次の年は求められるというふうに思います。
それから第三に、消費税増税に伴う臨時特別の措置、これについてはやはりテンポラリーなものとするということが条件だろうと思います。
それから第四に、来年度予算を拝見しますと、社会保障費の自然増からの抑制、これは、薬価引下げですとか、あるいは既に決まっていた介護納付金の総報酬割の導入、これなどで捻出されておりまして、今後は、より広範な給付と負担の見直しについて、今後、着実に御検討を進めていただく必要があると思います。
それから最後、第五に、EBPMを推進する観点からも、今揺らいでおります統計の信頼性回復、これに努めていただきたいというふうに思います。
以上、私の公述とさせていただきます。御清聴大変ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →大和総研で経済政策などの調査をしております鈴木準と申します。
本日は、このような機会をいただきまして、大変光栄に存じます。
平成三十一年度総予算の御審議に御参考としていただきたく、当該予算に賛成の立場から意見を述べさせていただきます。
まず、経済状況について簡潔に申し上げます。私の資料の一ページ目をごらんくださいませ。
二〇一二年十二月から始まりました景気回復、現在もそうですけれども、時折踊り場的な様相を見せつつも、戦後最長になった可能性があると言われております。
二〇一三年第一・四半期からの六年、二十四四半期の経済成長率は、年率で実質一・二%、名目で一・八%でございまして、長期的に目指すべきと考えられます実質二%、名目三%以上には届いていないわけでありますけれども、以前と比べて相当な明るさと活力が感じられる状況であると認識しております。
それは、失業率ですとか有効求人倍率に見る雇用情勢で顕著でありますし、企業の設備投資や業況判断、生産動向、株価、中小企業や地方への波及状況など、総合的、客観的に見てそう言えると考えております。
消費も言われているほど悪いとは見ておりませんで、この姿というのは、二〇一四年四月に消費税率を三%ポイント引き上げることをこなしながらの実績でございまして、国民生活基礎調査によりますと、暮らしぶりが苦しいとする人の割合はここ数年連続して低下をしているということは、正当に評価されるべきではないかと思っております。
今後については、特に海外リスク要因、これに目配りが必要でございますけれども、二〇一九年度、二〇年度、ならしますと、実質一%弱、名目一%強ぐらいの成長は見込めるのではないかと思っております。
もちろん、楽観しているわけではございませんで、二ページにお進みいただきたいと思いますが、二〇一三年以降の経済の展開が、果たして、循環的なものではなくて構造的なものなのかどうか。あるいは、経済のメカニズムとして民間の新陳代謝が活発になっているのか、それとも海外経済要因とかあるいは一時的な政策の下支え、これの寄与が大きいのかどうか。さらには、名目ベースでよくなっているのか、それとも生産性の向上を伴った実質ベースでよくなっているのか。
ここは、私は、構造的なもの、内生的なもの、実質的なものに向かっているというふうに思っておりますけれども、その度合いはどのぐらいなのかというのは、まだ見きわめられておりません。
といいますのも、内閣府さんから示されている中長期の経済財政に関する試算を見ますと、潜在成長率の上昇は想定よりも後ずれをしております。これは、だから問題と言いたいわけではありませんで、今何か官民が取組をすれば来年から潜在成長率がいきなり上がるというものでは本来ないわけでありまして、潜在成長率というのは、労働と資本の量、それから労働と資本の質、それから労働と資本の組合せ方の巧拙、うまい下手、これによって決まるものでありまして、その引上げには時間がかかりますし、上がったかどうか見きわめられるのは五年や十年かかる、そういうことであります。
その意味では、人づくり革命だとか生産性革命と言われている政策を絶え間なく続けることが必要でございまして、三十一年度予算というのはそれに即した予算であろうと思います。
構造的によい方向に向かっている度合いが十分わからないという点では、財政も同じでございます。
国と地方を合わせた基礎的財政収支、PBは、一三年度、一四年度、一五年度とかなり改善を見せましたが、一六年度から一八年度にかけましては改善ペースが鈍りました。
もっとも、一六年度から一八年度というのは、経済財政諮問会議を中心に、経済成長と財政健全化を両立させるための集中改革期間ということで、各府省がさまざまな改革の種まきと水やりを相当にやってきております。
新しい経済政策パッケージの策定もあって、PBの黒字化目標は二〇年度から二五年度へ先送りされましたけれども、今後は、その種まきと水やりをしている改革の進捗ですとか、あるいはその効果のあらわれ方を見定めつつ、一九年度から二一年度の基盤強化期間で改革の深掘りをしていく必要があると思っております。
一九年度予算というのは基盤強化期間の初年度予算ということで、歳出改革の取組が継続されている予算であると一定の評価ができると思っております。
さて、改めて、三ページでございます、我が国の財政状況でありますが、九二年以降、国、地方を合わせたPBが黒字になったことはありません。政府債務の残高が小さい状況でPBが黒字と赤字が循環的であれば問題はないわけでありますが、長期的、構造的にPBが赤字ですので、債務残高はGDP比で見て積み上がる一方であります。
仮にPBが均衡しているとすると、財政赤字は金利分だけになりますので、金利と成長率の関係を考えながらPBをコントロールすれば債務残高GDP比をマネージすることができるわけでありますが、日本の場合は、バランスシート調整下で資金需要が非常に停滞した、あるいは国債管理政策が浸透するプロセスだった、あるいはデフレ脱却のための金融政策がずっと行われているということで、債務残高の巨額さの割に金利負担が小さい状況が続いているために、金利負担のことは余り考えずに済んできたということもございます。
しかし、今後は、デフレ脱却が進めば進むほど、成功すればするほど、それから民間経済に活力が戻れば戻るほど、債務残高が巨額であるだけに金利負担が大きなものになるおそれがございます。
つまり、PBを均衡、黒字化させたとしても、金利負担で財政収支赤字が思ったほど小さくならないという心配がありますので、経済の実力以上の金利上昇なんかが起きないように、財政の構造を持続可能なものにしていく必要が非常に高いというふうに考えております。
この点、よく経済がよくなれば税収がふえて自動的に収支が改善するということを期待する向きもあるわけでありますが、例えば、物価が上がれば、これは年金のマクロ経済スライドを除けば、政府支出も物価分ふやさざるを得ません。それから、物価でなくて実質所得がふえた場合も、例えば、公務員賃金ですとか、医療や介護に従事される方の賃金も上げていかないといけないということでありますから、実質成長で財政問題が解決するというものではないと思います。
もちろん、経済成長がないと、必要な歳出改革ですとか、場合によっては必要な国民負担増ということも行うことができませんので、その意味では経済成長は絶対に必要ですけれども、成長してもしなくても財政改革は必要だということだと思います。
四ページにお進みくださいませ。
債務残高GDP比が上昇し続けると、なぜ問題なのか。
一つは、上昇し続ければ、これはどこかで破綻するということであります。ただ、破綻しなくても、高水準の債務というのは家計も企業も持続可能ではないと疑いますので、問題であると思います。
どういうことかといいますと、その必要があるのに債務残高GDP比の上昇を政府が本気で食いとめようとはしていないというふうに人々が考えるときには、それ以外の政策もどこまで本気なのか疑われるということでありまして、成長戦略にしろ、規制緩和にしろ、FTAの拡大にしろ、それは一時的に今の政権が言っているだけだというふうに企業経営者が考えたとすれば、これはリスクをとった投資が起きません。
投資が起きなければ生産性が上がりませんので、潜在成長率も上がりません。低い潜在成長率に見合う金利も当然に低いままでありますので、生産性を上げる主体ではない政府だけがお金を使って債務残高がふえ続けるけれども、金利は一向に上がらない、こういう非常に陰うつとした状況が続きかねないということであります。
五ページにお進みください。
なぜ日本の財政が悪化が続いているのかということですが、最大の要因は社会保障費の増大であろうと思います。
五ページで、税の会計から社会保障の会計へ大規模な資金の繰り出しが制度的に行われていて、いわば、何か投資しているわけではなくて、その日その日の支払いで税の会計が経常的な赤字に陥っている状況であります。
六ページでございます。そのことを示しております。右の図は、国と地方の財政収支のこれまでの改善と悪化の要因をGDP比で分解したものでございまして、格子柄になっているところが社会保障への公費負担であります。九〇年代以降、常に収支悪化要因となっております。
社会保障は必要なことを行っているのだということではありますけれども、社会保障というのは、資金的には財政制度を通じて運営されている以上は、財政が破綻すれば社会保障も破綻することになります。今の時代、やった方がいいということはもう無限にあるわけでありますから、人々が求める社会保障の水準と、その財源、国民負担と組み合わせて検討しませんと、超高齢社会は乗り切れないだろうというふうに思います。
七ページでございます。
これはまさに過去の財政改革では社会保障費の取扱いが難しかったということでありまして、財政構造改革法のときには社会保障関係費の歳出上限を緩めたり、あるいは、骨太方針〇六のときは国費の二千二百億円カットというのが行き詰まりを見せたりしました。社会保障費をいかに合理的に、また多くの納得を得ながら改革を進められるかどうかが鍵だと思います。
八ページにお進みいただきたいと思いますが、社会保障費は今後もふえ続けると見込まれております。
ここに幾つかの長期試算を載せておりますけれども、上から二段目、昨年五月に四府省合同で出された成長実現ケースの試算を見ますと、年金、医療、介護の名目給付が、現在の百兆円前後から二〇四〇年度には百九十兆円近くになる。ここに子供、子育てなども含めますと、現在、GDP比で二一・五%の給付が最大二四%ぐらいまで増加するということでありますので、現在のGDPでイメージすると、毎年十三兆円くらいの給付増が恒常的に、毎年生じる見通しになっているということであります。
団塊世代の後期高齢者入り、それから団塊ジュニアの高齢化、こういったものが大きな要因ですが、医療の高度化なんかが更に進めば、給付増の幅はこれよりも大きくなる可能性があると思います。
そこで、九ページでありますが、さまざまな改革が社会保障の各分野で必要ということなのですけれども、九ページで、経済が成長してもしなくても必要ということをちょっと御説明させていただきます。
これは直近の内閣府の中長期の経済財政に関する試算でありますが、二〇二五年度のPB赤字が、成長実現ケースで一・一兆円、GDP比〇・二%、ベースラインケースで六・八兆円、GDP比一・一%というふうに試算されています。
これについて、成長実現ケースは楽観的だという評価があちこちで聞かれるわけでありますが、この六つのグラフのうち、上段の左と下段の、下の段の左、上下で見ていただくと、成長実現ケースでは物価や賃金がより上昇しますので、社会保障関係費が名目でかなりふえているように見えます。
しかし、それぞれ真ん中の、今度、上下の真ん中をごらんいただきますと、このふえ方というのは、消費者物価で実質化しますと、成長実現ケースでは二〇年度以降はほぼ横ばい、逆にベースラインケースでは少しずつふえています。
ここで、成長実現ケースで実質の社会保障給付を長期にこうやってふやさずにいられるものだろうかというふうに疑問が湧きますし、それから、ベースラインケースでは実質でふやしていることが収支が改善しない一因であろうというふうに思います。
さらに、上下の右側でございますけれども、これは生活水準で実質化したもので、国民一人当たりのGDPでデフレートしています。考え方として、物価プラス生産性上昇分ですから、賃金で実質化していると言いかえてもよいと思います。
実は、成長実現ケースでは、賃金で実質化しますと、社会保障関係費を長期に削減しているという結果になっています。高齢者数がふえる中で総額を減らしているわけですから、いわば年金、医療、介護全体の所得代替率を下げている、そういうことでありまして、ここまでサービスの抑制を行うというのはかなり厳しいものであるようにも思うわけであります。
つまり、地方交付税もその他の歳出も全部そうですけれども、物価ベースにしろ賃金ベースにしろ、成長してもしていなくても、一定の実質的な給付抑制となるような改革を進めませんと財政の持続性は確保できないだろうということであります。先ほど申し上げたように、経済成長は絶対に必要ですけれども、成長すれば改革をしなくてよいというのは幻想に近いのではないかと思います。
そこで、十ページでございますが、二〇一五年夏ごろから進められているのが、経済成長と財政健全化の二兎を追う経済財政一体改革であります。
政府は毎年借金を重ねているわけですが、それは、誰かが貯金をしているか、誰かが借金返済をしていることと両建ての関係になっているはずであります。
ことしの借金を小さくするために歳出を単純にカットしますと、これは国民の受益水準が下がるばかりか、需要が減って誰かの消費や投資を減らしかねない。結局は、輸入が減って経常黒字がふえてしまうとか、あるいは税収が減って政府の赤字がふえるかということに帰着する可能性が高いと思います。
政府が財政収支の赤字を小さくしようとするならば、したがって、政府が支出を減らす分、企業の投資や家計の消費をふやす必要がある。
これは、社会資本整備の分野で申し上げれば、PPP、PFIを強力に推進するですとか、メンテナンス産業を育成していくとか、あるいは、地方行政でいえば、住民サービスのアウトソーシング、これは民間にいろいろなことを委託していくとか、これはわかりやすい例だと思います。社会保障の分野でも、医療や介護の供給サイドの改革というのはもっともっと進める余地があると思いますし、予防、健康ビジネスを拡大させる、年金分野では民間の金融機関の役割を拡大させるなどなど、さまざまなアイデアがあり得ます。
一言で申し上げれば、公共、公的サービスの産業化でありまして、歳出の抑制は必要なんですけれども、単純な歳出カットではなくて、公共、公的サービスを成長の一つのエンジンにするという発想であります。
もちろん、そこでは政府自身の、あるいは自治体自身の生産性向上も大きな課題ですので、自治体や保険者などの現場が、ほかの自治体や保険者とどう違うのかという課題を認識できるように状況を見える化して、改革に頑張った現場が報われる、そういう制度設計、インセンティブの設計が改革の鍵の一つであります。
十一ページをごらんいただきたいと思いますが、サービスの改革だけではなくて、社会保障改革というのは、保険料抑制というチャネルで成長戦略としての性格を有しているとも考えております。
この十一ページの左側の図表で示しましたように、最近ようやく額面の収入がふえたり、減り方がモデレートになったとしても、保険料がふえてしまって、可処分所得はその分ふえない。せっかく賃上げしても、それでは消費が活性化しないということであります。
後ろの方に参考資料を載せておりますが、今、家計の負担額とか負担感が強い、大きいのは、消費税ではなくて社会保険料であります。年金保険料は一応法律上の上限に達しましたので、今後は医療や介護の保険料をどうしていくかが大きな課題であります。
というわけで、十二ページから十五ページには昨年十二月にまとめられた新経済・財政再生計画の改革工程表の概要を載せさせていただいております。
十二ページでございますが、この改革工程表というのは、ざっと百二十以上の個別具体的な改革事項の方向性ですとか進め方、あるいは検討の期限などについて、百八十ページにわたって、ちょっと厚過ぎると思うんですけれども、記述されております。この私の資料の十二ページでは、それらの取組がどのようなロジックで政策目標につながっていくのかを定量的に把握するKPIの見直しを行ったということなどが書かれております。
十三ページは非常に重要な見取り図でございまして、下半分の、主な取組というところをごらんいただきますと、まず最初の一年、つまり、ことしは雇用改革を行いつつ、それから、ことしを含む今後三年間で全世代が安心できる社会保障制度への改革を行うとありまして、その下に、具体的に、二〇二〇年度にそれまでの改革のレビューを行った上で政策をまとめて、それを基盤強化期間内、つまり、どれだけ遅くとも二〇二一年度から順次実行に移すということが明確にされております。
もちろんこれは政府の方針であって、必要な法律改正事項があれば、これは立法府でもちろん御議論をいただくということになるわけでありますが、団塊世代の後期高齢者入りのタイミングなどを考慮しながら、各府省の皆さんが利害関係者とさまざまに御調整されながら頑張っておられる、そういう状況だと思います。
予算は単年度主義であるわけですが、平成三十一年度予算というのは、こうした数年先までの構想の中で、一つの哲学も持たせた予算であるというふうに思っております。
十四ページと十五ページは、主要分野ごとの改革の主な取組でございますので省略をさせていただいて、最後、ちょっと結びにかえて、来年度予算で裏打ちされた政策を進めていただくためにも、留意点を数点申し添えたいと存じます。
第一に、政府経済見通しの二〇一九年度は名目成長率二・四%と民間の予測と比べて高目でございますので、税収が予想どおりになるか、注視する必要があると思います。
第二に、一九年度予算では、恐らく一時的と見られる税外収入が比較的大きいように見えます。二〇年度以降は、ですから、それはなくなるということを考慮した予算編成が次の年は求められるというふうに思います。
それから第三に、消費税増税に伴う臨時特別の措置、これについてはやはりテンポラリーなものとするということが条件だろうと思います。
それから第四に、来年度予算を拝見しますと、社会保障費の自然増からの抑制、これは、薬価引下げですとか、あるいは既に決まっていた介護納付金の総報酬割の導入、これなどで捻出されておりまして、今後は、より広範な給付と負担の見直しについて、今後、着実に御検討を進めていただく必要があると思います。
それから最後、第五に、EBPMを推進する観点からも、今揺らいでおります統計の信頼性回復、これに努めていただきたいというふうに思います。
以上、私の公述とさせていただきます。御清聴大変ありがとうございました。拍手
野
明
明石順平#4
○明石公述人 皆さん、おはようございます。弁護士の明石と申します。
それでは、私からは、賃金とGDPについてお話をさせていただきます。
この資料をごらんください。
まず賃金についてですが、二〇一八年一月に毎月勤労統計調査における賃金の算出方法が変更されまして、賃金が大きくかさ上げされました。要因は下記の三つです。ここにあるパネルは、長妻先生が国会で使用されたものをそのまま引用させていただいております。
一番目がサンプルの一部入れかえ。二番目がベンチマーク。ベンチマークというのは、これはちょっと難しい概念なんですけれども、賃金を算出する際に使う係数のようなものだと思ってください。それから三番目、復元処理。これは、東京都における五百人以上の事業所について三分の一しか抽出していなかったため、それを三倍して復元した、そういうものです。
例えて言いますと、一番目のサンプル一部入れかえというのはちょっと背の高い別人に入れかえて、二番目のベンチマーク更新がシークレットブーツを履かせて、三番目が頭にシリコンを入れた、これで身長を伸ばしたということですね。
しかし、三は、残念ながらばれましたので、さかのぼって修正したんですね。
しかし、ここが重要なんです。一と二については、さかのぼって修正せず、そのまま二〇一七年と比較しています。つまり、ちょっと背の高い別人に入れかえて、シークレットブーツを履かせたままなんですね。普通はさかのぼって改定するんですが、それをなぜかしていません。そのため、賃金が異常に伸びる結果になってしまいました。
三ページ目、ごらんください。
これは、毎勤の公表値における前年比伸び率ですね。二〇一三年から二〇一七年までの五年間で一・四%しか伸びなかった名目賃金が、二〇一八年のわずか一年間で一・四%伸びるという異常な結果になっています。なお、実質賃金については前年比〇・二%のプラスになっています、二〇一八年が。
算出方法の異なるものを比較した伸び率は、これは端的に言って、うその数字であると思います。
統計法六十条二号は、「基幹統計の作成に従事する者で基幹統計をして真実に反するものたらしめる行為をした者」を「六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」としています。公表値は真実に反するんですから、これに該当して、統計法違反になるのではないかと私は思っています。
次、四ページ、ごらんください。
こんなにかさ上げしたんですけれども、それでもしょぼい結果になっているんですね。アベノミクス前との比較がしやすいように、二〇一二年を一〇〇とした賃金と物価の推移を見てみます。左側のグラフですね。
別人の身長を比較するような手段を講じても、二〇一八年に消費者物価指数が一・三ポイント伸びていますので、結局、実質賃金は〇・一ポイントしか伸びていないんです。ほぼ横ばいです。
アベノミクス以降、二〇一四年の消費税増税に加えまして、無理やり円安にして円安インフレを起こしたため、物価は急上昇しています。それが名目賃金の伸びを大きく上回った結果、実質賃金が大きく落ちているんです。二〇一八年はアベノミクス前より三・六ポイントも低いです。
なお、以前は原油価格の下落により、ある程度円安インフレが相殺されていたんですが、二〇一七年ごろから原油価格が上がってきましたので、物価が再び上昇傾向になっています。
ところで、新規労働者がふえて平均値が下がったから実質賃金が下がったというよくある反論はデマです。平均値の問題なら、名目賃金も下がらなければいけませんが、ごらんのとおり、名目賃金は下がっていません。ただ単に、名目賃金の上昇を物価上昇が上回ったから、実質賃金が落ちているんです。
こんなに悲惨なので、実質賃金マイナスという結果を出したくないのかなというふうに思ってしまいます。
五ページをごらんください。
統計委員会は、賃金の伸び率については共通事業所同士を比較した参考値を重視せよと言っています。しかし、厚労省は、なぜか参考値の名目賃金伸び率のみ公表し、実質賃金伸び率についてはかたくなに公表しません。ちなみに、年平均についても公表していません、名目値について。
ところが、実質賃金の伸び率というのは、名目賃金の伸び率と物価の伸び率がわかれば簡単に出せます。
実質賃金指数というのは、名目賃金指数を消費者物価指数で割って、百を掛けます。これで算出しています。ここで言う指数というのは、ある時点の数値を一〇〇とした数です。なので、前年同月からの伸び率に単純に百を足すと、前年同月を一〇〇とする指数になります。
そして、名目賃金指数と消費者物価指数の前年同月からの伸び率は公表されていますので、それぞれの前年同月を一〇〇とする指数を算出できます。
二つの指数がこれでそろいますから、前年同月を一〇〇とする実質賃金指数も算定可能になるんです。
このように、前年同月を一〇〇とする実質賃金指数を計算することにより、実質賃金伸び率、参考値の実質賃金伸び率を算定したのが次のページの表です。六ページです。
この計算表については、野党合同ヒアリングでも出したことがありまして、計算すれば同じような結果になるであろうと厚労省の官僚も認めています。
これを見ますと、参考値の実質賃金伸び率の年平均は、右下をごらんください、マイナス〇・三です。これが実態です。
七ページ、ごらんください。
グラフにするとよりわかりやすいんですけれども、参考値の実質賃金伸び率がプラスになったのは、去年、たったの二回しかないんです。あとは、ゼロが一回、マイナスが九回です。プラスになったのは六月と十二月で、これはボーナス月だからです。
このように、非常に悲惨な状況なので、公表したくないだけだと思われます。名目は参考になるが実質は参考にすべきではないなど、あり得ません。参考値の実質賃金伸び率も早急に公表すべきです。
そして、公表値の伸び率は、先ほど申し上げたとおり、異常にかさ上げされたうその数字なんですから、公表をやめるべきだと思います。
では次に、実質賃金の下落が何を招いたかについて説明します。
これは実質民間最終消費支出といいまして、我が国の実質GDPの約六割を占める数字なんですけれども、実質民間最終消費支出は、二〇一四年から二〇一六年にかけて、三年連続で減少しました。これは戦後初の現象です。
二〇一七年はプラスに転じたんですが、四年も前の二〇一三年を下回っています。この四年前を下回るという現象も戦後初です。
実質賃金の大きな下落は、戦後最悪の消費停滞を引き起こしています。これは、国民の生活が全然向上していないことを意味します。景気回復の実感がないのは当たり前です。
しかし、GDP改定のどさくさに紛れて行われた異常な数字の調整がなければ、もっとひどい数字になっていました。これは、物すごくかさ上げされた後の数字なんですね。
次はそれについて述べます。次のページをごらんください。
次は、GDPの改定についてお話しします。
二〇一六年十二月八日、内閣府はGDPの算出方法を変更し、それに伴い、一九九四年以降のGDPを全て改定して公表しました。
要点は下記の四つです。一、実質GDPの基準年を平成十七年から平成二十三年に変更。二、算出基準を一九九三SNAから二〇〇八SNAに変更。これは国際的な算出基準でして、これに変更することによって、研究開発費などが上乗せされますので、大体二十兆円ぐらい上乗せされます。三番目、ここが最も重要です。その他もろもろ変更しているんです。これは、国際的な算出基準とは全く関係ありません。そして四番目、一九九四年までさかのぼって全部改定しました。
次のページをごらんください。十ページです。
左側のグラフ。改定前、二〇一五年度の名目GDPは、ピークだった一九九七年度と二十兆円以上も差がありました。
しかし、右側を見てください。改定後の差は、わずか〇・九兆円になっているんです。二十兆円あった差が、ほとんど消えているんですね。
次のページをごらんください。これは改定前後の差額を抽出したグラフです。
ごらんになるとわかるんですけれども、かさ上げ幅は、アベノミクス以降が突出しています。ウナギ登りですね。金額でいうと、二〇一五年度は、アベノミクス直前、二〇一二年度の一・五倍もかさ上げされています。
そして、九〇年代との差が異常ですね。二〇一五年度、三十一・六兆円かさ上げですけれども、例えば一九九四年度を見てください、六・八兆円しかかさ上げされていません。異常な差なんですね。
次、十二ページをごらんください。これは名目GDPの改定前後の差額の内訳です。
注目していただきたいのは、この表の一番下にある「その他」ですね。改定要因は、大きく分けると、一番目、「二〇〇八SNA対応」によるものと、二番目、「その他」の二つなんです。
「その他」については、この一行がぴいっと書いてあるだけで、「その他」の更に詳細な内訳というのは、この資料ではないんですね。これは改定当時に内閣府から公表されていた資料なんですけれども。
次、十三ページをごらんください。
まず、二〇〇八SNA対応部分のかさ上げ額と率を示したグラフです。かさ上げ率を見ますと、一位から三位までを全てアベノミクス以降が占めているんですね。これもちょっと怪しいんですけれども。
ただ、次のページをごらんください。
「その他」については、もう比較になりません。すごいことが起きています。「その他」のかさ上げ額を見ますと、アベノミクス以降だけが急激にかさ上げされています。アベノミクス以降のかさ上げ平均値は五・六兆円です。
他方、九〇年代は全部マイナスなんです。平均値を出すと、マイナス三・八兆円もかさ上げされています。
つまり、この「その他」の部分だけで、九〇年代とアベノミクス以降で約十兆円も差がついているということになります。
次、十五ページをごらんください。では、一体この改定値から「その他」を引くとどうなるのか。これを示したのが、このグラフです。
平成二十三年基準から「その他」を引きますと、右の図ですね、二〇一五年度は一九九七年度に遠く及ばない結果になります。その差は十三・四兆円。「その他」で数値が大きく調整されたことで、二〇一五年度が一九九七年度にほぼ追いついたということがわかります。
この「その他」によってアベノミクス以降のみ異常にかさ上げされて、九〇年代は逆に大きくかさ下げされる現象を、私はソノタノミクスと言っています。このソノタノミクスによって歴史の書きかえが行われているというふうに思っています。
では、十六ページですね、次。
「その他」は一体どこに充てられたのかなんですけれども、改定前後の名目民間最終消費支出の差額と「その他」のかさ上げ額を比較しますと、アベノミクス以降のみ、三年度連続でほぼ一致します。「その他」で異常にかさ上げされた数値が、アベノミクスで最も失敗した民間消費に充てられたように見えるわけです。
ですから、先ほど見た実質民間最終消費支出というのは、こういうふうに思いっ切りかさ上げされた後の数字なんですね。思いっ切りかさ上げしても、あんな悲惨な結果になっているということです。
次、十七ページをごらんください。
ここで引用しているのは、さきの総選挙の際に自民党広報のアカウントがツイートしていたツイートですね。ソノタノミクスによって二〇一六年度の名目GDPはめでたく史上最高を更新し、二〇一七年度はそれを更に更新しました。自民党広報のツイートは、これを「過去最高の水準です。」と自慢しております。まさに大本営発表と言っていいのではないかと思います。
では、最後に、これは私の著書の画像なんですけれども、アベノミクス全般の失敗については、私の「アベノミクスによろしく」という本で詳細に書いてありますので、ぜひお読みになってください。そして、最近発売した「データが語る日本財政の未来」では、このソノタノミクス現象についてより深い分析をしております。
ソノタノミクス問題は、この一連のアベノミクス偽装の本丸ですから、今後も国会で追及を続けていただきたいと思います。
以上です。ありがとうございます。拍手
この発言だけを見る →それでは、私からは、賃金とGDPについてお話をさせていただきます。
この資料をごらんください。
まず賃金についてですが、二〇一八年一月に毎月勤労統計調査における賃金の算出方法が変更されまして、賃金が大きくかさ上げされました。要因は下記の三つです。ここにあるパネルは、長妻先生が国会で使用されたものをそのまま引用させていただいております。
一番目がサンプルの一部入れかえ。二番目がベンチマーク。ベンチマークというのは、これはちょっと難しい概念なんですけれども、賃金を算出する際に使う係数のようなものだと思ってください。それから三番目、復元処理。これは、東京都における五百人以上の事業所について三分の一しか抽出していなかったため、それを三倍して復元した、そういうものです。
例えて言いますと、一番目のサンプル一部入れかえというのはちょっと背の高い別人に入れかえて、二番目のベンチマーク更新がシークレットブーツを履かせて、三番目が頭にシリコンを入れた、これで身長を伸ばしたということですね。
しかし、三は、残念ながらばれましたので、さかのぼって修正したんですね。
しかし、ここが重要なんです。一と二については、さかのぼって修正せず、そのまま二〇一七年と比較しています。つまり、ちょっと背の高い別人に入れかえて、シークレットブーツを履かせたままなんですね。普通はさかのぼって改定するんですが、それをなぜかしていません。そのため、賃金が異常に伸びる結果になってしまいました。
三ページ目、ごらんください。
これは、毎勤の公表値における前年比伸び率ですね。二〇一三年から二〇一七年までの五年間で一・四%しか伸びなかった名目賃金が、二〇一八年のわずか一年間で一・四%伸びるという異常な結果になっています。なお、実質賃金については前年比〇・二%のプラスになっています、二〇一八年が。
算出方法の異なるものを比較した伸び率は、これは端的に言って、うその数字であると思います。
統計法六十条二号は、「基幹統計の作成に従事する者で基幹統計をして真実に反するものたらしめる行為をした者」を「六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」としています。公表値は真実に反するんですから、これに該当して、統計法違反になるのではないかと私は思っています。
次、四ページ、ごらんください。
こんなにかさ上げしたんですけれども、それでもしょぼい結果になっているんですね。アベノミクス前との比較がしやすいように、二〇一二年を一〇〇とした賃金と物価の推移を見てみます。左側のグラフですね。
別人の身長を比較するような手段を講じても、二〇一八年に消費者物価指数が一・三ポイント伸びていますので、結局、実質賃金は〇・一ポイントしか伸びていないんです。ほぼ横ばいです。
アベノミクス以降、二〇一四年の消費税増税に加えまして、無理やり円安にして円安インフレを起こしたため、物価は急上昇しています。それが名目賃金の伸びを大きく上回った結果、実質賃金が大きく落ちているんです。二〇一八年はアベノミクス前より三・六ポイントも低いです。
なお、以前は原油価格の下落により、ある程度円安インフレが相殺されていたんですが、二〇一七年ごろから原油価格が上がってきましたので、物価が再び上昇傾向になっています。
ところで、新規労働者がふえて平均値が下がったから実質賃金が下がったというよくある反論はデマです。平均値の問題なら、名目賃金も下がらなければいけませんが、ごらんのとおり、名目賃金は下がっていません。ただ単に、名目賃金の上昇を物価上昇が上回ったから、実質賃金が落ちているんです。
こんなに悲惨なので、実質賃金マイナスという結果を出したくないのかなというふうに思ってしまいます。
五ページをごらんください。
統計委員会は、賃金の伸び率については共通事業所同士を比較した参考値を重視せよと言っています。しかし、厚労省は、なぜか参考値の名目賃金伸び率のみ公表し、実質賃金伸び率についてはかたくなに公表しません。ちなみに、年平均についても公表していません、名目値について。
ところが、実質賃金の伸び率というのは、名目賃金の伸び率と物価の伸び率がわかれば簡単に出せます。
実質賃金指数というのは、名目賃金指数を消費者物価指数で割って、百を掛けます。これで算出しています。ここで言う指数というのは、ある時点の数値を一〇〇とした数です。なので、前年同月からの伸び率に単純に百を足すと、前年同月を一〇〇とする指数になります。
そして、名目賃金指数と消費者物価指数の前年同月からの伸び率は公表されていますので、それぞれの前年同月を一〇〇とする指数を算出できます。
二つの指数がこれでそろいますから、前年同月を一〇〇とする実質賃金指数も算定可能になるんです。
このように、前年同月を一〇〇とする実質賃金指数を計算することにより、実質賃金伸び率、参考値の実質賃金伸び率を算定したのが次のページの表です。六ページです。
この計算表については、野党合同ヒアリングでも出したことがありまして、計算すれば同じような結果になるであろうと厚労省の官僚も認めています。
これを見ますと、参考値の実質賃金伸び率の年平均は、右下をごらんください、マイナス〇・三です。これが実態です。
七ページ、ごらんください。
グラフにするとよりわかりやすいんですけれども、参考値の実質賃金伸び率がプラスになったのは、去年、たったの二回しかないんです。あとは、ゼロが一回、マイナスが九回です。プラスになったのは六月と十二月で、これはボーナス月だからです。
このように、非常に悲惨な状況なので、公表したくないだけだと思われます。名目は参考になるが実質は参考にすべきではないなど、あり得ません。参考値の実質賃金伸び率も早急に公表すべきです。
そして、公表値の伸び率は、先ほど申し上げたとおり、異常にかさ上げされたうその数字なんですから、公表をやめるべきだと思います。
では次に、実質賃金の下落が何を招いたかについて説明します。
これは実質民間最終消費支出といいまして、我が国の実質GDPの約六割を占める数字なんですけれども、実質民間最終消費支出は、二〇一四年から二〇一六年にかけて、三年連続で減少しました。これは戦後初の現象です。
二〇一七年はプラスに転じたんですが、四年も前の二〇一三年を下回っています。この四年前を下回るという現象も戦後初です。
実質賃金の大きな下落は、戦後最悪の消費停滞を引き起こしています。これは、国民の生活が全然向上していないことを意味します。景気回復の実感がないのは当たり前です。
しかし、GDP改定のどさくさに紛れて行われた異常な数字の調整がなければ、もっとひどい数字になっていました。これは、物すごくかさ上げされた後の数字なんですね。
次はそれについて述べます。次のページをごらんください。
次は、GDPの改定についてお話しします。
二〇一六年十二月八日、内閣府はGDPの算出方法を変更し、それに伴い、一九九四年以降のGDPを全て改定して公表しました。
要点は下記の四つです。一、実質GDPの基準年を平成十七年から平成二十三年に変更。二、算出基準を一九九三SNAから二〇〇八SNAに変更。これは国際的な算出基準でして、これに変更することによって、研究開発費などが上乗せされますので、大体二十兆円ぐらい上乗せされます。三番目、ここが最も重要です。その他もろもろ変更しているんです。これは、国際的な算出基準とは全く関係ありません。そして四番目、一九九四年までさかのぼって全部改定しました。
次のページをごらんください。十ページです。
左側のグラフ。改定前、二〇一五年度の名目GDPは、ピークだった一九九七年度と二十兆円以上も差がありました。
しかし、右側を見てください。改定後の差は、わずか〇・九兆円になっているんです。二十兆円あった差が、ほとんど消えているんですね。
次のページをごらんください。これは改定前後の差額を抽出したグラフです。
ごらんになるとわかるんですけれども、かさ上げ幅は、アベノミクス以降が突出しています。ウナギ登りですね。金額でいうと、二〇一五年度は、アベノミクス直前、二〇一二年度の一・五倍もかさ上げされています。
そして、九〇年代との差が異常ですね。二〇一五年度、三十一・六兆円かさ上げですけれども、例えば一九九四年度を見てください、六・八兆円しかかさ上げされていません。異常な差なんですね。
次、十二ページをごらんください。これは名目GDPの改定前後の差額の内訳です。
注目していただきたいのは、この表の一番下にある「その他」ですね。改定要因は、大きく分けると、一番目、「二〇〇八SNA対応」によるものと、二番目、「その他」の二つなんです。
「その他」については、この一行がぴいっと書いてあるだけで、「その他」の更に詳細な内訳というのは、この資料ではないんですね。これは改定当時に内閣府から公表されていた資料なんですけれども。
次、十三ページをごらんください。
まず、二〇〇八SNA対応部分のかさ上げ額と率を示したグラフです。かさ上げ率を見ますと、一位から三位までを全てアベノミクス以降が占めているんですね。これもちょっと怪しいんですけれども。
ただ、次のページをごらんください。
「その他」については、もう比較になりません。すごいことが起きています。「その他」のかさ上げ額を見ますと、アベノミクス以降だけが急激にかさ上げされています。アベノミクス以降のかさ上げ平均値は五・六兆円です。
他方、九〇年代は全部マイナスなんです。平均値を出すと、マイナス三・八兆円もかさ上げされています。
つまり、この「その他」の部分だけで、九〇年代とアベノミクス以降で約十兆円も差がついているということになります。
次、十五ページをごらんください。では、一体この改定値から「その他」を引くとどうなるのか。これを示したのが、このグラフです。
平成二十三年基準から「その他」を引きますと、右の図ですね、二〇一五年度は一九九七年度に遠く及ばない結果になります。その差は十三・四兆円。「その他」で数値が大きく調整されたことで、二〇一五年度が一九九七年度にほぼ追いついたということがわかります。
この「その他」によってアベノミクス以降のみ異常にかさ上げされて、九〇年代は逆に大きくかさ下げされる現象を、私はソノタノミクスと言っています。このソノタノミクスによって歴史の書きかえが行われているというふうに思っています。
では、十六ページですね、次。
「その他」は一体どこに充てられたのかなんですけれども、改定前後の名目民間最終消費支出の差額と「その他」のかさ上げ額を比較しますと、アベノミクス以降のみ、三年度連続でほぼ一致します。「その他」で異常にかさ上げされた数値が、アベノミクスで最も失敗した民間消費に充てられたように見えるわけです。
ですから、先ほど見た実質民間最終消費支出というのは、こういうふうに思いっ切りかさ上げされた後の数字なんですね。思いっ切りかさ上げしても、あんな悲惨な結果になっているということです。
次、十七ページをごらんください。
ここで引用しているのは、さきの総選挙の際に自民党広報のアカウントがツイートしていたツイートですね。ソノタノミクスによって二〇一六年度の名目GDPはめでたく史上最高を更新し、二〇一七年度はそれを更に更新しました。自民党広報のツイートは、これを「過去最高の水準です。」と自慢しております。まさに大本営発表と言っていいのではないかと思います。
では、最後に、これは私の著書の画像なんですけれども、アベノミクス全般の失敗については、私の「アベノミクスによろしく」という本で詳細に書いてありますので、ぜひお読みになってください。そして、最近発売した「データが語る日本財政の未来」では、このソノタノミクス現象についてより深い分析をしております。
ソノタノミクス問題は、この一連のアベノミクス偽装の本丸ですから、今後も国会で追及を続けていただきたいと思います。
以上です。ありがとうございます。拍手
野
小
小出宗昭#6
○小出公述人 富士市産業支援センターのセンター長の小出でございます。
本日は、このような場にお招きいただいて、非常にありがたく思っております。
私は、この二十年近くにわたって、公がつくりました中小企業支援あるいは創業支援の世界に身を置いておりまして、その最前線で、日本の九九・七%たる中小企業や小規模事業者の皆様方のサポートを行っている立場でございます。
今回は、その立場において、我々自身がどんな考え方でどんな取組をしているかにおいて皆様方に聞いていただく中で、国の予算における経済産業の支援のあり方あるいは中小企業庁の支援や予算のあり方について御検討していただければなという思いでお話しさせていただきます。
私ども富士市産業支援センター、エフビズは、二〇〇八年の八月に、静岡県富士市が施設設置をした公の支援センターなんですね。それを民間の我々が担って運営するという公設民営スタイルの、極めて珍しいスタイルの支援センターとして始まりました。
最近は、この二ページに見ていただくとおり、ちょうどこれはついせんだって、二週間ぐらい前でしょうか、NHKのBS1スペシャルでその特集が報道されたり、あるいは、昨年におきましてもクローズアップ現代でその取組が報道されるなど、あるいは、日経新聞においてもその手の報道がされたり、あるいは、その次のページ、五、六ページを見ていただきますと、朝日や毎日の夕刊の一面トップで報道されるような取組になっております。
これはどういう背景かと申しますと、二〇〇八年の八月にスタートした富士市産業支援センター、エフビズのモデルが、全国、現在、今二十一都市で展開されている。同じモデルを全国に展開されるような流れというのは恐らくこれまでになかったというふうに言われていまして、恐らく地方創生という切り口の中においても最も注目されているような取組ではないかというふうに言われておる次第でございます。
では、私自身はどういうキャリアかと申しますと、もともと、一九八三年に株式会社静岡銀行に入行しまして、銀行には二十六年在籍しておりました。銀行の中において行っていた一番主な業務は、MアンドAのアドバイザー業務を十年近くやっておったんですけれども、四十一歳のときに銀行のトップから出向の命が下って、静岡県がつくった創業支援施設の立ち上げと運営をやれというような指示がありまして、当初二年間の約束だったんですけれども、たまたま物すごくうまくいった背景もございまして、現役の行員としては、七年半出向するという極めて異例的な取組を静岡銀行はやっておるということなんです。
その間、静岡県の施設のほか、静岡市がつくった大きな中小企業支援センターの立ち上げと運営、それから浜松市の支援センターの立ち上げと運営と、都合三つの公の、全然性格の違うものを立ち上げて運営してきたわけなんです。
ちょうど二〇〇八年になりまして、私の生まれ故郷富士市、故郷を離れて三十年もたっておったんですけれども、御多分に漏れず地方都市は非常に厳しい状況でございまして、経済の状況がどんどんどんどん悪化する中で、考えてみると、地域の企業の雇用や経済というのは、結局九九・七%が中小企業、小規模事業者なわけですから、実際、経済を担って、雇用を担っているのは中小企業、小規模事業者であろう、そこをもう一度活性化させることによって町の経済を再浮上させることができないかという考え方のもと、新たな支援センターをつくる計画を立てました。
ただし、そのときに、これまでのあり方だけではだめであろうということで全国調査したときに、ハードが立派でもだめであろう、結局ソフトが重要であろう、ソフトは何かということは、恐らく人だろうということに気がついたのは、富士市は大変賢明だったと思います。そんな中、たまたま私が富士市生まれであることに気がついて、静岡銀行からの出向の立場でやっている私をスカウトして、銀行をやめて支援センターの立ち上げと運営をやってくれということで、二〇〇八年の八月、スタートしたわけでございます。
その間、実は中小企業庁の皆様方も私の動きに対してすごく関心を持っていただいて、二〇〇五年ぐらいからさまざまな政策づくりにかかわらせていただきました。現在は、中小企業政策審議会の委員としていろいろなお手伝いもさせていただいているわけなんです。
そんなエフビズの取組を国はどういうふうに注目していたかというと、九ページの資料を見ていただきますと、これはちょうど二〇一三年の八月三十日に経産省が発表した二〇一四年度の概算要求の資料なんでございますけれども、当然、アベノミクスの中でもど真ん中でやらなきゃならないのは、九九・七%たる中小企業、小規模事業者の活性化だろうと。そういう中で、経営支援を強化するという名目のもと、新たによろず支援拠点というようなプロジェクトを立ち上げるに当たって、明確に富士市産業支援センターがモデルと銘打って展開したわけでございます。こんな形で、私も現在よろずの方にもお手伝いさせていただいているんです。
金融庁や財務省の方はどうかというと、当然ながら、地域においては、中小企業の活性化においてその任に当たらなきゃならないのは私が在籍しておったような地域金融機関なわけですけれども、残念ながら、さまざまな取組をやっている中で、効果的な中小企業支援のあり方というのが提示できないというふうに見られております。そんな中、金融庁幹部からたびたび御要請があって、地域金融機関の中小企業支援のあり方そのものについていろいろな御提言をさせていただいているわけでございます。
十一ページの資料を見ていただきますと、これはちょうど十年前の経産大臣室の写真をちょっと載せさせていただいておりますけれども、実は、私、ずっと経産省、中小企業庁の皆様方とお手伝いをさせていただく中で、やはり彼らの取組というのは非常に的を得ていて、問題点であるとか課題については明確に抽出ができているんだろうというふうに考えております。さまざまな取組を一緒にやらせていただいたり見せていただいておりますけれども、国がつくっている制度やハードに大きな問題はないんだろうというふうに思っているんですね。問題は恐らくその運用であろう、そこにかなりの課題があって、期待されているような成果が出ていないんではないかということが、実はこの写真の会議の席でも、物すごく強い危機感のもと発言されておられました。私もその席におったわけなんですけれども。
それを下の表で見ていただきますと、失敗の三法則、これまでの公の産業支援が何でうまくいかないのかについて、三つでキーファクターをまとめてみますと、まずは目標を立てていたにしてもその管理が甘かったり、あるいは危機感が欠如してしまったり、いわば予算を四月に受け持つと、中身がどうであれ、三月に報告書を出すとちゃりんとお金が支払われるような仕組みそのものにも大きな問題があるだろう、こんなふうに考えておるんです。
では、民間の僕はどういうふうに考えたか、今がうまくいっていない状況をどういうふうに判断したかなんですけれども、これは、当然ながら、経産省や中小企業庁の皆様方の見立てとは全然別の見立てで現在も考えておるんです。
およそ全国あまたの企業、大企業も含めていいと思うんですけれども、経営上の課題や悩みや問題点を抱えている企業というのは一〇〇%なわけですよ。全ての企業が課題や悩みや問題点を抱えているだろうと。同じ一〇〇%が今よりもよくありたいと思っているに違いない、そう思っていなきゃやめちゃいますから。
とすれば、そこの相談窓口に行けば、自分たちの経営がよくなるというところがあるとすれば当然行列ができるだろう、結果が出ているところがあるとすれば当然行列ができるだろう、一体そういうものがあるかないかということで考えたときに、残念ながら二十年前に僕が公の産業支援の世界に身を投じたときにそんなものは見当たらなかった中で、では、我々とすると、民間として任されたわけだから、民間の考え方でやれば具体的にこんなことができるということを提示しようというふうに考えたのがエフビズの取組だったんですね。
それが十三ページなんですけれども、支援という言葉は余りにも曖昧だからはっきりさせてしまおうと。課題や悩み、問題点を抱えていて、みんながよくありたいと思っているんだから、我々がなすべきことなんて単純明快で、課題や悩み、問題点を受け入れてよくする。課題を解決してよくするのはビジネスコンサルに決まっているだろうと。ビジネスコンサルである以上、求められているのは結果だけだ。結果が出ていれば、来る相談件数が活性化のバロメーターだ。こんなふうに考えたんですが、実は、これまで、例えば国の会議に出ても、結果というとどういうふうに言われちゃうかというと、結果の基準が曖昧だというふうに逃げられたりもしていた。だから、そこを明確に、いや、そうじゃない、相手が望んでいることが具現化できたら結果に決まっているだろうというふうに考えました。
来る相談件数が活性化のバロメーターだということに関しては、これまでの会議の議論ですと、自分たちはこれだけ立派な支援メニューをそろえているんだけれども、うちの町にはそれを積極的に使いに来るようなやる気のある経営者が少ないから来ないんだというふうに片づけられていた節があった。僕は、そうじゃないと思っているんですね。
我々は括弧公とつくけれどもサービス業ですから、サービス業でいえば、今の議論というのは、例えば、レストランのオーナーがこう言っているわけですよ。うちはこれだけ魅力的なメニューをそろえているんだけれども、うちの町には味のわかるやつがいないから来ないんだよねと言っているのと一緒じゃないですか。これは、何で来ないかというと、多分、おいしくないからだろうと。
つまり、これまでの産業支援において、そこに相談者が来ないというのは、そこに行っても自分たちの経営が具体的によくなるというふうなイメージが抱かれないから余り来なかったのではないかというふうに考えました。
ですから、エフビズにおいては、十四ページの写真、ちょっとモノクロで恐縮なんですが、これは全て、我々の知恵やアイデアで生まれた新商品や新サービスなんですね。これはこの直近の五年間ぐらいで生まれたものなんです。豆腐屋さんの新商品だったり、あるいは製紙会社の新商品だったり、六次産業化のスーパーヒット商品だったり、さまざまなものを生み出しているから、地域の人たちは、エフビズに来るとこうなるというイメージがつくから来るだろう、こういう話なんですね。
その次のページにあるのはお菓子屋さんなんですけれども、これもまた、それぞれのお菓子屋さんにおいて看板商品として位置づけられるような商品を我々自身のアイデアで生み出した、こんな感じなんですね。それを結局、これも、具体的にはお金をかけないで結果を生もう、知恵やアイデアで流れを変えていこうというようなコンサルティングを目指したわけでございます。
その出た結果を具体的に見える化することが必要だろうということで、SNSを使って、私どもの場合はブログが実は四本もあって、日々のエフビズの姿が四本のブログで発信されているとともに、フェイスブックを通じて、やはりフェイスブックも五本ぐらいありまして、地域の人たちに知らしめることによって呼び込もうと。もう一つは、パブリシティーも意識しておりまして、結局、いろいろな成果が出るものですから、我々の活動そのものがメディアを通じて発信されるから、地域の人たちはイメージする、こういう話だと思います。
こんなふうになると、十九ページを見ていただきますと、これが私どもの相談者の推移なのでございますけれども、今現在、二十五万人の町の富士市の支援センター、エフビズには、月間三百七十件の相談者が来ております。八割が既存の中小企業者、残りの二割が創業者というような割合ですね。九割の方々が口コミで来るような現象なんです。
こんなような現象が出るとどうなるかというと、全国の地方自治体が、うちの町でもそれができるんじゃないかというように考えたわけなんですね。私どもの考え方というのは、こういうことなんです。我々のようなちっぽけな支援センターでは、一社で百人の雇用を生むようなイノベーションは起こせないんです。これは無理なんです。でも、一方で、一社に対してきちんとしたサポートをすることによって、一社で一人の雇用を生むことは現実的に可能、それが百社になれば百人の雇用を生みますよという考え方なものですから、これはどんな地域でもそれが自分たちで引き込むことができるだろうというふうに考えていただきました。
それが、この日本地図に置きますと、北は北海道から南は熊本まで、全国、今二十一の市町村が、みずからの予算を出して、同じようなエフビズモデルというものをつくっております。
これまで、この手のことをやると、必ず地域性ということを盾に、なかなか、そんな一つの町で、例えば富士市でうまくいったものが、ほかの町でうまくいくのかというふうにおっしゃられましたけれども、そんなことは全くなくて、先ほど申し上げましたとおり、全ての事業者が今よりもよくありたいと思っている、あるいは、一社で一人の雇用を生むことで、百社であれば百人の雇用を生むというのは、どこの地域でも反応するわけでございます。一番大きな都市でいうと、福山のような五十万の都市でもあれば、極端なところでいえば、壱岐の島、壱岐市ですね、二万七千人の離島であっても同じような現象が起きている、こんなようなことがエフビズの生む現象です。
ただし、問題なのは人なんです。今回の予算の中でもプロフェッショナルな人材という言葉がありますけれども、本当のプロ、この手のことができるのは、知恵やアイデアを生み出すことができるような非常に高いコンサルティング能力を持っている人、高いコミュニケーション能力を持っている人、情熱を持っている人を引っ張り出さなきゃいけない。これは、恐らくは、これまでのような資格や経験をベースに人を引っ張るんじゃだめだと思ったんですね。
ビジネスエリアの最前線で大活躍している人を引っ張り出してこようということで、募集と選定に三百万ぐらいの予算を出してもらって、民間の転職会社と組みながら応募すると今どうなるかというと、一回の都市の応募に対して、少ないときでも百五十人、多いときになると四百人からのビジネスエリアのトップエリアの人たちが応募してくるんですね。その中からぴかぴかの一人を選び出すというような流れをとっているのがこれなんです。
例えば、この写真にある方ですと、写真の上の真ん中にいる福山のプロジェクトマネジャーの池内さんの前職は、あの世界の名門ブランド、バリーの日本法人の社長さんなんですね。年収は相当高かったはずなんですけれども、これ、全て年収千二百万のポジションなんですが、年収大幅ダウンでもおりてくる。どうせ働くんだったらば、自分のためとか会社のためというよりも、人のため、地域のために汗を流したいというような考え方の人がふえているんだという現象だと思います。
左の下にある、壱岐のセンター長の森君というのは、渋谷の物すごく有名なベンチャーで、森の図書室というプロジェクトで、もういろいろなメディアにも取り上げられていたようなベンチャーだったんですが、渋谷の町から壱岐の島に移住して、彼がセンター長をやっている。釧路のセンター長の澄川君というのは、リクルートのエースです。大垣のセンター長の正田君というのは、エイチ・アイ・エスのエースなんですね。こういう人たちを選び抜いて、選び抜いた上で三カ月間うちで研修させて、その上で現場に突っ込む、こんなようなやり方をやっております。
その次のページを見ていただきますと、各地の新聞においても、行列、行列、利用向上というような記事が出ているのは、彼らのパフォーマンスがいかに高いかということがわかっていただけるんじゃないかと思います。
こんなエフビズなんですけれども、生まれた当初から、二〇〇八年の段階から、どうせ始めるなら全国各地の産業支援のロールモデルになっていこう、地域創生、地域活性化のフロントランナーになろうという形で今まで走ってまいりました。
創業支援については、その次の表を見ていただきますと、この五年間で二百四組の創業者を生みました。その中で生まれた雇用は四百三十四人なものですから、確かに、起業家が生まれれば雇用は生まれるだろうということがこのあたりからわかると思います。
こんなことをやりながら、地域の中で根を張りながら十年間やってきたわけですけれども、具体的にどんなことをやっているかについて、その後のページ、三十一、三十二ページあたりからお話ししてみたいと思うんですけれども、とにかく、先ほど申し上げましたとおり、私どもは、具体的な知恵やアイデアを出しながら、新たな小さなイノベーションを起こしていこう、それによって活性化させようというふうに考えております。具体的に、売上げを上げ、利益幅を上昇させるような取組をしていこうというところなんですね。
一番代表的で有名になったのが━━━というケースで、これを最後に御紹介させていただきたいと思うんですけれども、これは、三十三ページから、以下、ちょっと見ていただきます。
━━━さんというのは、一九八九年に創業された自動車部品の下請企業なんですね。切削加工を主にやっておりました。従業員十三名で頑張っておったんですけれども、私どものところに相談に来た段階においてはどういう状況だったかというと、売上げが激減していたんですね。バブル破綻以降、売上げがどんどん減少していて、もう全く先行きの見通しが立たないというような状況で━━━━━━━社長さんが相談に来られました。
私どもが最初のミーティングの中で指摘しましたのは、今までの産業支援というと、問題点の指摘をしたり、あるいは分析をするという手法をとるんですけれども、まあ、病院で例えてみるとわかると思うんですけれども、来た患者さんに対して、CTスキャンをかけて、血液検査をやって、患者さん、ここが問題ですね、悪いようですよと指摘したところで患者が治るわけもなく、具体的な治療あるいはオペをしない限りにおいては健康体になるはずもないわけでございまして、私どもは、とにかくヒアリングする中で、光るところは何かということを見つけていくんですね。
本人たちはなかなかセールスポイントがないと言う中で、私どもが見出したのが、この会社は売上げの九五%が自動車部品の切削加工で、そこが売上げが激減しておったんですが、残りの五%のところで試作部品をつくっていることを聞き出しました。それを更に聞いてみますと、実は物すごい短納期でやっているんだ、三日で納品をしているんだということをおっしゃっていました。それを普通にやっていることだとおっしゃるものですから、いや、普通じゃないはずだろうと。およそ、試作部品だったらば一日でも早い方がいいに決まっているということで、初回のミーティングで、具体的なサービス名、試作特急サービススリーデーというような新サービスを始めることを提案したわけです。
それによって何が起きたかというと、直後の三カ月で新規の取引先が五十先とれたと。実はここまでは想定内だったんですけれども、更に驚いたのは、彼らのウエブサイトを見て、これまでは全く取引のなかったある自動車メーカーから直接電話が来て、来た仕事というのは何かというと、電気自動車の部品の試作なんですね。もう利益率は数倍以上ですよ。今や、━━━の売上げ全体の三分の一はそのメーカーと直にやっている電気自動車の試作の仕事なんですね。
その話を聞いて更に我々も驚きまして、まさかそんなに高い技術力だと思っていなかったものですから、その上で具体的な提案を私どもの方からまたしまして、であるならばということで、実は、全国あまた、クラシックカーのマニアというのはたくさんいることはわかって、皆さんも御存じかもしれませんけれども、そのメンテナンスパーツを供給するというサービスがないことに気がつきまして、それを提案いたしました。部品再生一一〇番というサービスなんです。
これで展開したところ、全国のマニアから来ただけではなくて、今度はまた別の自動車メーカーから直接それにアクセスしてまいりまして、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━今やそれが、売上げ全体の五〇%以上がその━━━━━━━の仕事をやっているという形で━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
最後の写真、三十六ページにある写真というのは、昨年の四月、新たな工場用地を取得して、新社屋をぶっ建てたというところなんですね。
こういう会社におきましては、人材不足の会社であっても、どんどんどんどんいろいろなエントリーがあるというふうに聞いています。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━もう本当に行き詰まっていた会社がこれだけもうかるようになるような支援をするのが我々の仕事だと思うんですね。
さらに、最後に加えさせていただきますと、実は、この会社、事業承継問題を抱えておりました。後継者がいなかったんです。
そんな中で、後継者問題の解決のすべとして考えなきゃいけないのは、結局、私、かつてMアンドAをやっていた立場から最後に申し上げさせていただくと、実は事業承継問題が顕在化するタイミングというのがありまして、これは何かというと、後継者がいないという問題と業績不振がクロスすると一挙に問題が大きくなっちゃうんですね。逆に言うと、後継者が当面見当たらなくても、もうかっていれば誰かがやるだろうということだと思うんですね。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ですから、恐らく求められているのは、今申し上げたような具体的な結果を生むような支援だと思っています。国のつくっている政策、とてもいいと思うんです。それを、更に運用のところに踏み込んでいただいて、我々のような支援がもっともっと進んだらうれしいかなと思っております。
以上でございます。ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →本日は、このような場にお招きいただいて、非常にありがたく思っております。
私は、この二十年近くにわたって、公がつくりました中小企業支援あるいは創業支援の世界に身を置いておりまして、その最前線で、日本の九九・七%たる中小企業や小規模事業者の皆様方のサポートを行っている立場でございます。
今回は、その立場において、我々自身がどんな考え方でどんな取組をしているかにおいて皆様方に聞いていただく中で、国の予算における経済産業の支援のあり方あるいは中小企業庁の支援や予算のあり方について御検討していただければなという思いでお話しさせていただきます。
私ども富士市産業支援センター、エフビズは、二〇〇八年の八月に、静岡県富士市が施設設置をした公の支援センターなんですね。それを民間の我々が担って運営するという公設民営スタイルの、極めて珍しいスタイルの支援センターとして始まりました。
最近は、この二ページに見ていただくとおり、ちょうどこれはついせんだって、二週間ぐらい前でしょうか、NHKのBS1スペシャルでその特集が報道されたり、あるいは、昨年におきましてもクローズアップ現代でその取組が報道されるなど、あるいは、日経新聞においてもその手の報道がされたり、あるいは、その次のページ、五、六ページを見ていただきますと、朝日や毎日の夕刊の一面トップで報道されるような取組になっております。
これはどういう背景かと申しますと、二〇〇八年の八月にスタートした富士市産業支援センター、エフビズのモデルが、全国、現在、今二十一都市で展開されている。同じモデルを全国に展開されるような流れというのは恐らくこれまでになかったというふうに言われていまして、恐らく地方創生という切り口の中においても最も注目されているような取組ではないかというふうに言われておる次第でございます。
では、私自身はどういうキャリアかと申しますと、もともと、一九八三年に株式会社静岡銀行に入行しまして、銀行には二十六年在籍しておりました。銀行の中において行っていた一番主な業務は、MアンドAのアドバイザー業務を十年近くやっておったんですけれども、四十一歳のときに銀行のトップから出向の命が下って、静岡県がつくった創業支援施設の立ち上げと運営をやれというような指示がありまして、当初二年間の約束だったんですけれども、たまたま物すごくうまくいった背景もございまして、現役の行員としては、七年半出向するという極めて異例的な取組を静岡銀行はやっておるということなんです。
その間、静岡県の施設のほか、静岡市がつくった大きな中小企業支援センターの立ち上げと運営、それから浜松市の支援センターの立ち上げと運営と、都合三つの公の、全然性格の違うものを立ち上げて運営してきたわけなんです。
ちょうど二〇〇八年になりまして、私の生まれ故郷富士市、故郷を離れて三十年もたっておったんですけれども、御多分に漏れず地方都市は非常に厳しい状況でございまして、経済の状況がどんどんどんどん悪化する中で、考えてみると、地域の企業の雇用や経済というのは、結局九九・七%が中小企業、小規模事業者なわけですから、実際、経済を担って、雇用を担っているのは中小企業、小規模事業者であろう、そこをもう一度活性化させることによって町の経済を再浮上させることができないかという考え方のもと、新たな支援センターをつくる計画を立てました。
ただし、そのときに、これまでのあり方だけではだめであろうということで全国調査したときに、ハードが立派でもだめであろう、結局ソフトが重要であろう、ソフトは何かということは、恐らく人だろうということに気がついたのは、富士市は大変賢明だったと思います。そんな中、たまたま私が富士市生まれであることに気がついて、静岡銀行からの出向の立場でやっている私をスカウトして、銀行をやめて支援センターの立ち上げと運営をやってくれということで、二〇〇八年の八月、スタートしたわけでございます。
その間、実は中小企業庁の皆様方も私の動きに対してすごく関心を持っていただいて、二〇〇五年ぐらいからさまざまな政策づくりにかかわらせていただきました。現在は、中小企業政策審議会の委員としていろいろなお手伝いもさせていただいているわけなんです。
そんなエフビズの取組を国はどういうふうに注目していたかというと、九ページの資料を見ていただきますと、これはちょうど二〇一三年の八月三十日に経産省が発表した二〇一四年度の概算要求の資料なんでございますけれども、当然、アベノミクスの中でもど真ん中でやらなきゃならないのは、九九・七%たる中小企業、小規模事業者の活性化だろうと。そういう中で、経営支援を強化するという名目のもと、新たによろず支援拠点というようなプロジェクトを立ち上げるに当たって、明確に富士市産業支援センターがモデルと銘打って展開したわけでございます。こんな形で、私も現在よろずの方にもお手伝いさせていただいているんです。
金融庁や財務省の方はどうかというと、当然ながら、地域においては、中小企業の活性化においてその任に当たらなきゃならないのは私が在籍しておったような地域金融機関なわけですけれども、残念ながら、さまざまな取組をやっている中で、効果的な中小企業支援のあり方というのが提示できないというふうに見られております。そんな中、金融庁幹部からたびたび御要請があって、地域金融機関の中小企業支援のあり方そのものについていろいろな御提言をさせていただいているわけでございます。
十一ページの資料を見ていただきますと、これはちょうど十年前の経産大臣室の写真をちょっと載せさせていただいておりますけれども、実は、私、ずっと経産省、中小企業庁の皆様方とお手伝いをさせていただく中で、やはり彼らの取組というのは非常に的を得ていて、問題点であるとか課題については明確に抽出ができているんだろうというふうに考えております。さまざまな取組を一緒にやらせていただいたり見せていただいておりますけれども、国がつくっている制度やハードに大きな問題はないんだろうというふうに思っているんですね。問題は恐らくその運用であろう、そこにかなりの課題があって、期待されているような成果が出ていないんではないかということが、実はこの写真の会議の席でも、物すごく強い危機感のもと発言されておられました。私もその席におったわけなんですけれども。
それを下の表で見ていただきますと、失敗の三法則、これまでの公の産業支援が何でうまくいかないのかについて、三つでキーファクターをまとめてみますと、まずは目標を立てていたにしてもその管理が甘かったり、あるいは危機感が欠如してしまったり、いわば予算を四月に受け持つと、中身がどうであれ、三月に報告書を出すとちゃりんとお金が支払われるような仕組みそのものにも大きな問題があるだろう、こんなふうに考えておるんです。
では、民間の僕はどういうふうに考えたか、今がうまくいっていない状況をどういうふうに判断したかなんですけれども、これは、当然ながら、経産省や中小企業庁の皆様方の見立てとは全然別の見立てで現在も考えておるんです。
およそ全国あまたの企業、大企業も含めていいと思うんですけれども、経営上の課題や悩みや問題点を抱えている企業というのは一〇〇%なわけですよ。全ての企業が課題や悩みや問題点を抱えているだろうと。同じ一〇〇%が今よりもよくありたいと思っているに違いない、そう思っていなきゃやめちゃいますから。
とすれば、そこの相談窓口に行けば、自分たちの経営がよくなるというところがあるとすれば当然行列ができるだろう、結果が出ているところがあるとすれば当然行列ができるだろう、一体そういうものがあるかないかということで考えたときに、残念ながら二十年前に僕が公の産業支援の世界に身を投じたときにそんなものは見当たらなかった中で、では、我々とすると、民間として任されたわけだから、民間の考え方でやれば具体的にこんなことができるということを提示しようというふうに考えたのがエフビズの取組だったんですね。
それが十三ページなんですけれども、支援という言葉は余りにも曖昧だからはっきりさせてしまおうと。課題や悩み、問題点を抱えていて、みんながよくありたいと思っているんだから、我々がなすべきことなんて単純明快で、課題や悩み、問題点を受け入れてよくする。課題を解決してよくするのはビジネスコンサルに決まっているだろうと。ビジネスコンサルである以上、求められているのは結果だけだ。結果が出ていれば、来る相談件数が活性化のバロメーターだ。こんなふうに考えたんですが、実は、これまで、例えば国の会議に出ても、結果というとどういうふうに言われちゃうかというと、結果の基準が曖昧だというふうに逃げられたりもしていた。だから、そこを明確に、いや、そうじゃない、相手が望んでいることが具現化できたら結果に決まっているだろうというふうに考えました。
来る相談件数が活性化のバロメーターだということに関しては、これまでの会議の議論ですと、自分たちはこれだけ立派な支援メニューをそろえているんだけれども、うちの町にはそれを積極的に使いに来るようなやる気のある経営者が少ないから来ないんだというふうに片づけられていた節があった。僕は、そうじゃないと思っているんですね。
我々は括弧公とつくけれどもサービス業ですから、サービス業でいえば、今の議論というのは、例えば、レストランのオーナーがこう言っているわけですよ。うちはこれだけ魅力的なメニューをそろえているんだけれども、うちの町には味のわかるやつがいないから来ないんだよねと言っているのと一緒じゃないですか。これは、何で来ないかというと、多分、おいしくないからだろうと。
つまり、これまでの産業支援において、そこに相談者が来ないというのは、そこに行っても自分たちの経営が具体的によくなるというふうなイメージが抱かれないから余り来なかったのではないかというふうに考えました。
ですから、エフビズにおいては、十四ページの写真、ちょっとモノクロで恐縮なんですが、これは全て、我々の知恵やアイデアで生まれた新商品や新サービスなんですね。これはこの直近の五年間ぐらいで生まれたものなんです。豆腐屋さんの新商品だったり、あるいは製紙会社の新商品だったり、六次産業化のスーパーヒット商品だったり、さまざまなものを生み出しているから、地域の人たちは、エフビズに来るとこうなるというイメージがつくから来るだろう、こういう話なんですね。
その次のページにあるのはお菓子屋さんなんですけれども、これもまた、それぞれのお菓子屋さんにおいて看板商品として位置づけられるような商品を我々自身のアイデアで生み出した、こんな感じなんですね。それを結局、これも、具体的にはお金をかけないで結果を生もう、知恵やアイデアで流れを変えていこうというようなコンサルティングを目指したわけでございます。
その出た結果を具体的に見える化することが必要だろうということで、SNSを使って、私どもの場合はブログが実は四本もあって、日々のエフビズの姿が四本のブログで発信されているとともに、フェイスブックを通じて、やはりフェイスブックも五本ぐらいありまして、地域の人たちに知らしめることによって呼び込もうと。もう一つは、パブリシティーも意識しておりまして、結局、いろいろな成果が出るものですから、我々の活動そのものがメディアを通じて発信されるから、地域の人たちはイメージする、こういう話だと思います。
こんなふうになると、十九ページを見ていただきますと、これが私どもの相談者の推移なのでございますけれども、今現在、二十五万人の町の富士市の支援センター、エフビズには、月間三百七十件の相談者が来ております。八割が既存の中小企業者、残りの二割が創業者というような割合ですね。九割の方々が口コミで来るような現象なんです。
こんなような現象が出るとどうなるかというと、全国の地方自治体が、うちの町でもそれができるんじゃないかというように考えたわけなんですね。私どもの考え方というのは、こういうことなんです。我々のようなちっぽけな支援センターでは、一社で百人の雇用を生むようなイノベーションは起こせないんです。これは無理なんです。でも、一方で、一社に対してきちんとしたサポートをすることによって、一社で一人の雇用を生むことは現実的に可能、それが百社になれば百人の雇用を生みますよという考え方なものですから、これはどんな地域でもそれが自分たちで引き込むことができるだろうというふうに考えていただきました。
それが、この日本地図に置きますと、北は北海道から南は熊本まで、全国、今二十一の市町村が、みずからの予算を出して、同じようなエフビズモデルというものをつくっております。
これまで、この手のことをやると、必ず地域性ということを盾に、なかなか、そんな一つの町で、例えば富士市でうまくいったものが、ほかの町でうまくいくのかというふうにおっしゃられましたけれども、そんなことは全くなくて、先ほど申し上げましたとおり、全ての事業者が今よりもよくありたいと思っている、あるいは、一社で一人の雇用を生むことで、百社であれば百人の雇用を生むというのは、どこの地域でも反応するわけでございます。一番大きな都市でいうと、福山のような五十万の都市でもあれば、極端なところでいえば、壱岐の島、壱岐市ですね、二万七千人の離島であっても同じような現象が起きている、こんなようなことがエフビズの生む現象です。
ただし、問題なのは人なんです。今回の予算の中でもプロフェッショナルな人材という言葉がありますけれども、本当のプロ、この手のことができるのは、知恵やアイデアを生み出すことができるような非常に高いコンサルティング能力を持っている人、高いコミュニケーション能力を持っている人、情熱を持っている人を引っ張り出さなきゃいけない。これは、恐らくは、これまでのような資格や経験をベースに人を引っ張るんじゃだめだと思ったんですね。
ビジネスエリアの最前線で大活躍している人を引っ張り出してこようということで、募集と選定に三百万ぐらいの予算を出してもらって、民間の転職会社と組みながら応募すると今どうなるかというと、一回の都市の応募に対して、少ないときでも百五十人、多いときになると四百人からのビジネスエリアのトップエリアの人たちが応募してくるんですね。その中からぴかぴかの一人を選び出すというような流れをとっているのがこれなんです。
例えば、この写真にある方ですと、写真の上の真ん中にいる福山のプロジェクトマネジャーの池内さんの前職は、あの世界の名門ブランド、バリーの日本法人の社長さんなんですね。年収は相当高かったはずなんですけれども、これ、全て年収千二百万のポジションなんですが、年収大幅ダウンでもおりてくる。どうせ働くんだったらば、自分のためとか会社のためというよりも、人のため、地域のために汗を流したいというような考え方の人がふえているんだという現象だと思います。
左の下にある、壱岐のセンター長の森君というのは、渋谷の物すごく有名なベンチャーで、森の図書室というプロジェクトで、もういろいろなメディアにも取り上げられていたようなベンチャーだったんですが、渋谷の町から壱岐の島に移住して、彼がセンター長をやっている。釧路のセンター長の澄川君というのは、リクルートのエースです。大垣のセンター長の正田君というのは、エイチ・アイ・エスのエースなんですね。こういう人たちを選び抜いて、選び抜いた上で三カ月間うちで研修させて、その上で現場に突っ込む、こんなようなやり方をやっております。
その次のページを見ていただきますと、各地の新聞においても、行列、行列、利用向上というような記事が出ているのは、彼らのパフォーマンスがいかに高いかということがわかっていただけるんじゃないかと思います。
こんなエフビズなんですけれども、生まれた当初から、二〇〇八年の段階から、どうせ始めるなら全国各地の産業支援のロールモデルになっていこう、地域創生、地域活性化のフロントランナーになろうという形で今まで走ってまいりました。
創業支援については、その次の表を見ていただきますと、この五年間で二百四組の創業者を生みました。その中で生まれた雇用は四百三十四人なものですから、確かに、起業家が生まれれば雇用は生まれるだろうということがこのあたりからわかると思います。
こんなことをやりながら、地域の中で根を張りながら十年間やってきたわけですけれども、具体的にどんなことをやっているかについて、その後のページ、三十一、三十二ページあたりからお話ししてみたいと思うんですけれども、とにかく、先ほど申し上げましたとおり、私どもは、具体的な知恵やアイデアを出しながら、新たな小さなイノベーションを起こしていこう、それによって活性化させようというふうに考えております。具体的に、売上げを上げ、利益幅を上昇させるような取組をしていこうというところなんですね。
一番代表的で有名になったのが━━━というケースで、これを最後に御紹介させていただきたいと思うんですけれども、これは、三十三ページから、以下、ちょっと見ていただきます。
━━━さんというのは、一九八九年に創業された自動車部品の下請企業なんですね。切削加工を主にやっておりました。従業員十三名で頑張っておったんですけれども、私どものところに相談に来た段階においてはどういう状況だったかというと、売上げが激減していたんですね。バブル破綻以降、売上げがどんどん減少していて、もう全く先行きの見通しが立たないというような状況で━━━━━━━社長さんが相談に来られました。
私どもが最初のミーティングの中で指摘しましたのは、今までの産業支援というと、問題点の指摘をしたり、あるいは分析をするという手法をとるんですけれども、まあ、病院で例えてみるとわかると思うんですけれども、来た患者さんに対して、CTスキャンをかけて、血液検査をやって、患者さん、ここが問題ですね、悪いようですよと指摘したところで患者が治るわけもなく、具体的な治療あるいはオペをしない限りにおいては健康体になるはずもないわけでございまして、私どもは、とにかくヒアリングする中で、光るところは何かということを見つけていくんですね。
本人たちはなかなかセールスポイントがないと言う中で、私どもが見出したのが、この会社は売上げの九五%が自動車部品の切削加工で、そこが売上げが激減しておったんですが、残りの五%のところで試作部品をつくっていることを聞き出しました。それを更に聞いてみますと、実は物すごい短納期でやっているんだ、三日で納品をしているんだということをおっしゃっていました。それを普通にやっていることだとおっしゃるものですから、いや、普通じゃないはずだろうと。およそ、試作部品だったらば一日でも早い方がいいに決まっているということで、初回のミーティングで、具体的なサービス名、試作特急サービススリーデーというような新サービスを始めることを提案したわけです。
それによって何が起きたかというと、直後の三カ月で新規の取引先が五十先とれたと。実はここまでは想定内だったんですけれども、更に驚いたのは、彼らのウエブサイトを見て、これまでは全く取引のなかったある自動車メーカーから直接電話が来て、来た仕事というのは何かというと、電気自動車の部品の試作なんですね。もう利益率は数倍以上ですよ。今や、━━━の売上げ全体の三分の一はそのメーカーと直にやっている電気自動車の試作の仕事なんですね。
その話を聞いて更に我々も驚きまして、まさかそんなに高い技術力だと思っていなかったものですから、その上で具体的な提案を私どもの方からまたしまして、であるならばということで、実は、全国あまた、クラシックカーのマニアというのはたくさんいることはわかって、皆さんも御存じかもしれませんけれども、そのメンテナンスパーツを供給するというサービスがないことに気がつきまして、それを提案いたしました。部品再生一一〇番というサービスなんです。
これで展開したところ、全国のマニアから来ただけではなくて、今度はまた別の自動車メーカーから直接それにアクセスしてまいりまして、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━今やそれが、売上げ全体の五〇%以上がその━━━━━━━の仕事をやっているという形で━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
最後の写真、三十六ページにある写真というのは、昨年の四月、新たな工場用地を取得して、新社屋をぶっ建てたというところなんですね。
こういう会社におきましては、人材不足の会社であっても、どんどんどんどんいろいろなエントリーがあるというふうに聞いています。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━もう本当に行き詰まっていた会社がこれだけもうかるようになるような支援をするのが我々の仕事だと思うんですね。
さらに、最後に加えさせていただきますと、実は、この会社、事業承継問題を抱えておりました。後継者がいなかったんです。
そんな中で、後継者問題の解決のすべとして考えなきゃいけないのは、結局、私、かつてMアンドAをやっていた立場から最後に申し上げさせていただくと、実は事業承継問題が顕在化するタイミングというのがありまして、これは何かというと、後継者がいないという問題と業績不振がクロスすると一挙に問題が大きくなっちゃうんですね。逆に言うと、後継者が当面見当たらなくても、もうかっていれば誰かがやるだろうということだと思うんですね。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ですから、恐らく求められているのは、今申し上げたような具体的な結果を生むような支援だと思っています。国のつくっている政策、とてもいいと思うんです。それを、更に運用のところに踏み込んでいただいて、我々のような支援がもっともっと進んだらうれしいかなと思っております。
以上でございます。ありがとうございました。拍手
野
三
三浦瑠麗#8
○三浦公述人 おはようございます。国際政治学者の三浦と申します。
意見陳述の機会をいただきまして、ありがとうございます。
お手元に資料がございまして、今、米中間における日本がとるべき外交の方向についてということで、予算そのものというよりも、その基礎にあります国際情勢認識について、我が国とのかかわりも考えながら意見を述べさせていただきます。
ページをめくっていただきまして、米中貿易戦争はどこまで激化するのかということについてですが、まず、民間の報道等あるいは国会の議論を拝見しましても、米中貿易戦争というもの、このワーディング自体、非常に刺激的な、戦争という言葉が入っているわけですが、それに加えまして、新冷戦である、その時代に突入したという認識が多く見られます。
ただ、新冷戦にもし突入したとするならば、日本の経済が受けるダメージというのは非常に甚大なものになるばかりか、安全保障に関しても、このままの体制では先行きが不安になる、そのような状況だということをまず踏まえて、どのぐらい深刻になり得るのか考えてみたいと思います。
中国の内政についてですが、現在、ポスト習近平と目される人物は存在しません。そして、中国は権威主義体制でありますが、ただ、やはり万全の体制というものは存在しないのでありまして、習近平体制を支えるのは両輪ですね。一つの車輪はまず、安定的な経済成長、そしてもう一つの車輪が、政治的なライバルを蹴落とす、反腐敗の政治闘争ということだと思います。
そのどちらが欠けても危ういという観点からすると、中国経済に今あるリスク要因を考えますと、今、米中が本気で対決する状況になると習近平政権の権力基盤にも影響が出てくるということで、そもそも妥協のインセンティブが存在するということです。
その妥協のインセンティブですが、権威主義体制といえども、やはり民意というのは重要になってきます。その民意を、私、この五年ほど、日中韓それぞれ二千サンプルの、詳細は三ページ目に示されておりますとおり、インターネットパネルでの調査を行ってまいりました。そこで、中国の対米認識というものを、次の、めくっていただきまして、四ページ目のグラフからごらんいただきたいのですが、このデータ自体は二〇一八年の年末からことしのお正月ぐらいにかけて集めたサンプルでございます。
これを、結果をごらんになりますとわかりますように、アメリカに対する好感度はまだまだ、これはティア1からティア3までの三十都市ほどの都市圏に限られますが、好感度は六二%と高い状況を保っています。前年に比べますと四ポイント低下してはいますが、やはり、中国の調査はできていませんが、先進国の調査を主に幅広くやっておりますピューリサーチセンターの数字などを考えると、軒並みアメリカの同盟国における対米好感度が半減というような状況である。それを考えますと、異様に高いほどの数字であるということが言えます。
また、特に日本において中国の国民感情というのはなかなかわからない状況かと思いますが、数字が示しますとおり、日本や韓国に対する好感度が上昇しています。
中国の国民の対外認識というのは、これは中国に限らずなんですが、主に左右される要素というのは、その人個人の経済状況、これから上向くかどうかという、将来に対する楽観が一番影響してきます。あるいは、その人が働いているビジネス、会社における海外との取引のこれからの伸びに対する期待とか、そういった経済的な状況によって実は日韓に対する好感度が上がっていった、米国に対してもそれほど悪化はしていないということなんですね。
ただ、やはりリスクとして考えられるのが、五ページ目のグラフです。これは、昨年と比較してみました、中国人の米国産品、サービスの不買運動ですが、特に何も行動を起こさなかったという人がやはり一五ポイントほど減っている。そして、その国の産品、サービスの消費を減らしたと訴える人が四割超えをするなど、やはり、多少ではありますが、米国に対する不買運動の認識が中国で広がってはきている。
ただ、ここであくまでもお気をつけいただきたいのは、やはり、米国に対する不買運動はかつてはほとんど存在しないような微々たるものであったのに対して、日本や韓国に対しては中国国民は頻繁に不買行動を行ってきたという点です。
つまり、その国のサービス、産品は買わないようにしたという人がまだまだ二割超え程度であることを鑑みると、日本に対する悪感情による不買行動の方がまだ水準としては高いということなんですね。それが今の、都市部に限った点ではありますが、中国人の対米認識ですね。
めくっていただきまして、六ページ目、これも実は重要なグラフなんですね。これは私がずっと設問設計しておりますので、非常に多様なプラスのイメージが示されています。これを、例えば中国人であれば、米国や日本、韓国あるいはロシア、インドといった多様な国について同時に聞いているのですが、やはり平均値が非常に高いのが米国に対するこういうプラスのイメージですね。
どういうふうにこのグラフを読み解くかといいますと、ちょっと色が白黒なので見にくいんですが、上の方の、二つの線がまるでかぶっているように推移しているグラフの方は、プラスの、イエスと答えたような人たちの割合ですね。ごらんいただきますと、ほとんどの指標が五割を超えている。つまり、過半数以上の人が対米イメージについてこのような多様なプラスのイメージを持ち続けており、この一年間でほとんど何も変わっていないということですね。
このプラスの要素は、好感度に最もきくものというのは、例えば信用できるとか、あるいは友好的である、平和的であるというものであることは、これは各国比較で明らかなんです。つまり、中国人と米国人の関係であろうとあるいは日中関係であろうと、人々の対外意識の好感度にきく要素というのはグローバルに普遍であるということになります。
そうすると、どこをいじれば好感度が上がるのかということは、これは日本の外交もこういった要素分析を通じてパブリックディプロマシーをしていただきたいものなんですが、ただ、ここからあらわれてくるのは、もうひとえにアメリカのソフトパワーの強さでございます。
この中でも、イノベーティブであるとか、自由であるとか、公平であるとか、豊かであるとか、こういった要素が、中国人がなぜアメリカに対して高い点数を比較的つけるのかということは、自分たちもそのような国になりたいな、ああ、いいなという感情なんですね。つまり、アメリカに対してうらやましいという気持ちが果たして憎しみに変わるのか、あるいは自分たちも努力してそのような国になりたいと思うのかということは、実はこれは、過去、ツキディデスにさかのぼっても、戦争や対立を構成する重要な要素である嫉妬や恐怖、憎しみといった要素にどれだけつながっているのかというのは、やはり注意して見る必要があります。
そこで、二ページ目に戻っていただきたいんですが、中国は、やはり中国人全体の、特に都市部ですが、対米感情は決して悪くない。しかも、合理的な国益の観点からいいますと、熟した柿がぽとりと落ちるように、レジデンシャルパワーではないアメリカが自動的に自分で嫌気が差して太平洋の向こうにお帰りいただくのを待つというふうな戦略が最も合理的である。つまり、客観的な国益とそれから民意の両方の観点から、中国には今、米国との本気での新冷戦をするだけの理由がないということになります。
そして、米国についてごらんいただきたいんですが、米国の状況は多少違ってまいります。
というのも、中国は、人口の観点からいっても、あるいはこれからの技術革新やそういったポテンシャルについても、アメリカよりもよい要素がたくさんあります。そうすると、アメリカはどうやったら技術覇権や経済覇権をめぐる争いで中国に対して有利な立場に立てるのかといいますと、実は、最大の武器は、世界じゅうに張りめぐらした同盟国ネットワークということになります。
どうして同盟国ネットワークが意味があるのかというと、それは、成熟した大きな市場であるアメリカに加えて、その他同盟国の成熟市場を自分たちのリーダーシップのもとにまとめ上げることができるからです。言葉をかえて言えば、中国を排除するに当たって、同盟国のネットワークはアメリカにとって最大の武器となるということです。それは我々日本にとっても大きなインプリケーションを生むわけです。
ただ、先ほど中国人の対米感情について申し上げましたように、アメリカ人の人々の中に潜む対中恐怖症というものが本当に存在するのかということについては、よくよく考えておかなければいけません。つまり、現在、ハリウッド映画なども中国市場に大幅に依存する中で、中国に対する憎しみなどというものはおよそ存在し得ないレベルにまで経済的相互依存が深まっているからです。
ただ、アメリカは、やはり商業や工業を中心とした国家でございまして、非常にビジネスマンの地位が高く、政治に対する影響も大きい。そのような中で、技術覇権をとらないといけない、譲らないぞというかたい決意を持っている人が多いことは確かです。そのような経済ナショナリストとそれから安保重視派の人たちがたまたま連合を組むことができたことによって、今、アメリカは対中強硬論が盛んになってきています。
ただし、ペンス副大統領の演説の落としどころも最終的には中国の長年言われてきた構造改革であることからわかりますように、最終的な要求というものは決して完全なる新冷戦の復活ではないというふうに私は見ております。
ただし、このような、そこまで新冷戦に拡大しないという見解を述べさせていただいたところで、一つ注意点を喚起したいと思います。既に、米国が始めた米中貿易戦争の余波は民間のさまざまな分野に及んでいるからです。
実業の方々はおわかりと思いますが、既に、融資のつき方、あるいはどのような技術を選ぶのかについてのそんたくなど、今後ビジネスに欠かせない、不確実性をなるべく低める、リスクを低めるという観点において影響が出始めているからですね。とりわけ金融機関のリスクを織り込む判断の中にこうした米中貿易戦争の要素が入ってきているということについては、政治が思っている範囲よりも更に更に拡大してこういった経済的なダメージが行われるかもしれないということです。
ちょっと飛んでいただきまして、七ページをごらんください。七ページは、今の米国政治の状況を俯瞰したものでございます。
今、大統領選に既に突入したとも言える米国政治の中では不毛な対立が多くなってきていますが、そのような不毛な対立は、トランプ大統領にとってはむしろ政治的にプラスに働く可能性があります。それは、二〇一六年の大統領選で既に、トランプさんが失言をすればするほどトランプさんが登場するエアタイムがふえるという状況、あるいは、人々の中でもトランプ支持者の熱狂的な層が動員されるということを通じてプラスに働くということです。
ただ、問題は、共和党のトランプさん化によって、民主党もミニトランプ化が起きているということです。とりわけ、現在、大統領選に対して出馬を表明している民主党系の議員の中からは、実現不可能なポピュリズム的な税制改革案やあるいは分配をめぐる論点というのが出てきています。そういった実現不可能な案によって、国民の期待を必要以上に拡大させるとともに、経済に大きなダメージを与えかねないというふうな懸念があります。
そうすると、これは共和、民主問わずなのですが、財政が今逼迫している状況ですので、しかも、今後、軍事技術に対する投資なども減らせない支出が織り込まれているので、同盟国に対する要求はどんどん、どっちの党を選んだとしてもエスカレートしていくだろうということです。
とりわけ、トランプ外交独自のリスクということでいいますと、これはいいのか悪いのか、リスクなのかそうでないのか、ちょっと不明なところがありますが、今までネオコンなどと呼ばれる人たちが推進してきた、民主化をする、世界に民主主義を広めるという発想を、トランプ大統領の登場によってアメリカは捨ててしまったかのように見えるからです。それ自体は戦争を減らすことは確かです。しかも、学術的に言っても、民主的平和論よりも商業を通じて平和を導こうという方が多少平和にきくというふうな結果も出ています。
ただ、この商業的平和論をとりますと、平和の代償として価値相対主義がとられるようになり、同時に、自由主義などの価値観を共有してきた同盟国に対する特別扱いが減り、さらに、踏み絵を迫るかのような利用、同盟国に対する利用もふえていくんだろうということになります。そうすると、我々は、米国以外のネットワークを選ぶことができないので、アメリカに対する脆弱性にさらされるということになります。
今後、しかし、民主党が選ばれたらどうだろうかということを多少シミュレーションしておきますと、民主党は今、急進派と主流派に分裂していますが、支持者に圧倒的に支持が多いのが急進派です。ただ、この急進派は資本主義を害しかねないような極端な改革案をぶち上げているほか、あるいは、実際に、フェークニュースと呼ばれるものは、実は右派だけではなく左派に多く浸透していることが見られます。
例を挙げますと、上院の情報委員会で資料が提出されたことから明らかなように、ロシア発の選挙に対する介入工作は主に黒人をターゲットに行われていた。そして、黒人は伝統的に民主党支持者であったわけでございます。そうしますと、フェークニュースが左右両極で展開され、結果的に非常に醜い政治が行われるだけでなく、現実的に同盟国にとって、あるいは世界の経済や平和にとってよい選択肢がどちらの党ならとられるというふうな確信が持てない状況でございます。
また、国際平和の観点からいいますと、トランプの岩盤支持層が孤立主義なのはわかっていることですが、エコノミックナショナリズムというふうな形で多少なりとも関与をしようとしているのに比べると、民主党はもう少し内向きということが言えますし、シリアなどからの撤退に関しては、急進派はトランプさんと実はいささかも変わるところがございません。
さらに、中国のリスクについてお話を進めてまいりたいと思います。
詳しくはレジュメに書いてございますので、言葉は尽くしませんが、やはり中台情勢がちょっと緊迫しているというのが気になるというのに加えて、中国に対してようやく先進国が見方を修正して、日本が感じてきたリスクを認識しつつあるということが言えます。
ただ、これは、単に軍事的な競争とかだけではなくて、民間企業として中国に進出していった企業がこうむるリスク、あるいは東南アジアなどにおいて中国と競合する企業が受けるリスクなどについても目配りが必要でございます。
九ページをごらんいただきまして、日本の脆弱性についてお話を申し上げます。
日本は、先進国で最も安全保障を米国に依存している国です。そして、対GDP比の防衛費は約一%水準ということで、これは、お隣の韓国が二・六%であり急激に防衛費をふやしていることから考えると、数年以内に韓国が日本の防衛費を上回るだろうということが予想されます。
また、NATOなどが四%水準を要求されたりして、二%水準までには近づけている国が多いのに対して、あるいは豪州が二%水準を早々と達成したのに対して、日本は、米国に、やはり同盟国として応分の負担をしていない、あるいはフリーライダーであるというふうに批判される材料をたくさん抱えております。しかし、我々はニュージーランドではないのでありまして、見逃してもらえる規模の経済ではなく、我々が持っている貿易黒字はやはりインパクトがあるということです。
しかし、自主性を高めようとすれば、それに反対する人々が日本国内には多く存在します。また、前線に位置する国家ではないために、同盟に対する期待も基本低いということで、実は、見捨てられる懸念は余り強く認識されないのに対して、巻き込まれ懸念が強く認識されています。
では、日本は、勃興する大国、中国と組めるのかということを十ページ目でお示ししたいと思います。
日本は、不健全な反中意識を抱える国です。およそ、前年の水準でいうと、対中好感度は一一%。そのような国の状況で中国と組めるわけがありませんが、なぜ不健全な反中意識と申し上げるかというと、これは、日本人の強い反中感情が、主にその人の経済的な世帯収入の増加見込みあるいは減少見込みによって左右されるからでございます。
ここまで現状を振り返ったところで、簡単に、まとめの十一ページと十二ページをごらんいただければと思います。
まず、日本は、冷戦後、非常に変化が遅く到来した、あるいは失われた二十年に対処することを優先してきた国ですが、そろそろ、東アジアの外部環境が厳しさを増しており、建前を排して現実を受け入れるところに来ているのではないか。
そして、これは安保法制のときにもさまざまに議論がありましたが、北朝鮮は事実上、核保有国化しました。中国は超大国化しています。ここまでは皆さん御同意のことだろうと思います。
ただ、三番目の、米国の撤退傾向あるいは内向き傾向というものが冷戦期とはまるで異なる情勢の変化をもたらしているということは、余り議論されたことを聞いたことがございません。
これから、核保有国が一カ国事実上ふえてしまったわけですから、新たな均衡点を模索しなければいけませんが、その中で、自主的、主体的努力を通じた同盟強化の方向性をとるべきであると考えます。
また、日本が韓国に対してもろもろ言いたいことがあるのは承知していますが、米韓同盟が弱められるかどうかの方が大きなリスクであって、あるいは、日本が、韓国の北朝鮮に対する経済開発の期待などに誤った認識を持たないで、しっかり現実を見据えることも大事かと思います。
最後のページですが、これからやはり米中のはざまで生きていく我々としては、中国の経済成長の果実を取り込まずに成長するなどということは不可能なのでありまして、いかに新冷戦といっても、中国との関係が断ち切られると、我々は経済的には死に直面するわけでございます。そこで、政治的な緊張はあれども、やはり経済的な交流をしっかり活発にしていくこと。
そして、国会でよく議論がありますが、中国企業の対内投資や中国人による土地購入を疑問視する声がありますけれども、これはやはり中国の体制がわかっていない意見と言わざるを得ません。中国人は自国政府を信用しておらず、海外に対して投資をするチャンスを探っているというのが実情ですから、そういった中国排除ではなくて相互に依存する関係を構築していく必要があるかと思います。
ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →意見陳述の機会をいただきまして、ありがとうございます。
お手元に資料がございまして、今、米中間における日本がとるべき外交の方向についてということで、予算そのものというよりも、その基礎にあります国際情勢認識について、我が国とのかかわりも考えながら意見を述べさせていただきます。
ページをめくっていただきまして、米中貿易戦争はどこまで激化するのかということについてですが、まず、民間の報道等あるいは国会の議論を拝見しましても、米中貿易戦争というもの、このワーディング自体、非常に刺激的な、戦争という言葉が入っているわけですが、それに加えまして、新冷戦である、その時代に突入したという認識が多く見られます。
ただ、新冷戦にもし突入したとするならば、日本の経済が受けるダメージというのは非常に甚大なものになるばかりか、安全保障に関しても、このままの体制では先行きが不安になる、そのような状況だということをまず踏まえて、どのぐらい深刻になり得るのか考えてみたいと思います。
中国の内政についてですが、現在、ポスト習近平と目される人物は存在しません。そして、中国は権威主義体制でありますが、ただ、やはり万全の体制というものは存在しないのでありまして、習近平体制を支えるのは両輪ですね。一つの車輪はまず、安定的な経済成長、そしてもう一つの車輪が、政治的なライバルを蹴落とす、反腐敗の政治闘争ということだと思います。
そのどちらが欠けても危ういという観点からすると、中国経済に今あるリスク要因を考えますと、今、米中が本気で対決する状況になると習近平政権の権力基盤にも影響が出てくるということで、そもそも妥協のインセンティブが存在するということです。
その妥協のインセンティブですが、権威主義体制といえども、やはり民意というのは重要になってきます。その民意を、私、この五年ほど、日中韓それぞれ二千サンプルの、詳細は三ページ目に示されておりますとおり、インターネットパネルでの調査を行ってまいりました。そこで、中国の対米認識というものを、次の、めくっていただきまして、四ページ目のグラフからごらんいただきたいのですが、このデータ自体は二〇一八年の年末からことしのお正月ぐらいにかけて集めたサンプルでございます。
これを、結果をごらんになりますとわかりますように、アメリカに対する好感度はまだまだ、これはティア1からティア3までの三十都市ほどの都市圏に限られますが、好感度は六二%と高い状況を保っています。前年に比べますと四ポイント低下してはいますが、やはり、中国の調査はできていませんが、先進国の調査を主に幅広くやっておりますピューリサーチセンターの数字などを考えると、軒並みアメリカの同盟国における対米好感度が半減というような状況である。それを考えますと、異様に高いほどの数字であるということが言えます。
また、特に日本において中国の国民感情というのはなかなかわからない状況かと思いますが、数字が示しますとおり、日本や韓国に対する好感度が上昇しています。
中国の国民の対外認識というのは、これは中国に限らずなんですが、主に左右される要素というのは、その人個人の経済状況、これから上向くかどうかという、将来に対する楽観が一番影響してきます。あるいは、その人が働いているビジネス、会社における海外との取引のこれからの伸びに対する期待とか、そういった経済的な状況によって実は日韓に対する好感度が上がっていった、米国に対してもそれほど悪化はしていないということなんですね。
ただ、やはりリスクとして考えられるのが、五ページ目のグラフです。これは、昨年と比較してみました、中国人の米国産品、サービスの不買運動ですが、特に何も行動を起こさなかったという人がやはり一五ポイントほど減っている。そして、その国の産品、サービスの消費を減らしたと訴える人が四割超えをするなど、やはり、多少ではありますが、米国に対する不買運動の認識が中国で広がってはきている。
ただ、ここであくまでもお気をつけいただきたいのは、やはり、米国に対する不買運動はかつてはほとんど存在しないような微々たるものであったのに対して、日本や韓国に対しては中国国民は頻繁に不買行動を行ってきたという点です。
つまり、その国のサービス、産品は買わないようにしたという人がまだまだ二割超え程度であることを鑑みると、日本に対する悪感情による不買行動の方がまだ水準としては高いということなんですね。それが今の、都市部に限った点ではありますが、中国人の対米認識ですね。
めくっていただきまして、六ページ目、これも実は重要なグラフなんですね。これは私がずっと設問設計しておりますので、非常に多様なプラスのイメージが示されています。これを、例えば中国人であれば、米国や日本、韓国あるいはロシア、インドといった多様な国について同時に聞いているのですが、やはり平均値が非常に高いのが米国に対するこういうプラスのイメージですね。
どういうふうにこのグラフを読み解くかといいますと、ちょっと色が白黒なので見にくいんですが、上の方の、二つの線がまるでかぶっているように推移しているグラフの方は、プラスの、イエスと答えたような人たちの割合ですね。ごらんいただきますと、ほとんどの指標が五割を超えている。つまり、過半数以上の人が対米イメージについてこのような多様なプラスのイメージを持ち続けており、この一年間でほとんど何も変わっていないということですね。
このプラスの要素は、好感度に最もきくものというのは、例えば信用できるとか、あるいは友好的である、平和的であるというものであることは、これは各国比較で明らかなんです。つまり、中国人と米国人の関係であろうとあるいは日中関係であろうと、人々の対外意識の好感度にきく要素というのはグローバルに普遍であるということになります。
そうすると、どこをいじれば好感度が上がるのかということは、これは日本の外交もこういった要素分析を通じてパブリックディプロマシーをしていただきたいものなんですが、ただ、ここからあらわれてくるのは、もうひとえにアメリカのソフトパワーの強さでございます。
この中でも、イノベーティブであるとか、自由であるとか、公平であるとか、豊かであるとか、こういった要素が、中国人がなぜアメリカに対して高い点数を比較的つけるのかということは、自分たちもそのような国になりたいな、ああ、いいなという感情なんですね。つまり、アメリカに対してうらやましいという気持ちが果たして憎しみに変わるのか、あるいは自分たちも努力してそのような国になりたいと思うのかということは、実はこれは、過去、ツキディデスにさかのぼっても、戦争や対立を構成する重要な要素である嫉妬や恐怖、憎しみといった要素にどれだけつながっているのかというのは、やはり注意して見る必要があります。
そこで、二ページ目に戻っていただきたいんですが、中国は、やはり中国人全体の、特に都市部ですが、対米感情は決して悪くない。しかも、合理的な国益の観点からいいますと、熟した柿がぽとりと落ちるように、レジデンシャルパワーではないアメリカが自動的に自分で嫌気が差して太平洋の向こうにお帰りいただくのを待つというふうな戦略が最も合理的である。つまり、客観的な国益とそれから民意の両方の観点から、中国には今、米国との本気での新冷戦をするだけの理由がないということになります。
そして、米国についてごらんいただきたいんですが、米国の状況は多少違ってまいります。
というのも、中国は、人口の観点からいっても、あるいはこれからの技術革新やそういったポテンシャルについても、アメリカよりもよい要素がたくさんあります。そうすると、アメリカはどうやったら技術覇権や経済覇権をめぐる争いで中国に対して有利な立場に立てるのかといいますと、実は、最大の武器は、世界じゅうに張りめぐらした同盟国ネットワークということになります。
どうして同盟国ネットワークが意味があるのかというと、それは、成熟した大きな市場であるアメリカに加えて、その他同盟国の成熟市場を自分たちのリーダーシップのもとにまとめ上げることができるからです。言葉をかえて言えば、中国を排除するに当たって、同盟国のネットワークはアメリカにとって最大の武器となるということです。それは我々日本にとっても大きなインプリケーションを生むわけです。
ただ、先ほど中国人の対米感情について申し上げましたように、アメリカ人の人々の中に潜む対中恐怖症というものが本当に存在するのかということについては、よくよく考えておかなければいけません。つまり、現在、ハリウッド映画なども中国市場に大幅に依存する中で、中国に対する憎しみなどというものはおよそ存在し得ないレベルにまで経済的相互依存が深まっているからです。
ただ、アメリカは、やはり商業や工業を中心とした国家でございまして、非常にビジネスマンの地位が高く、政治に対する影響も大きい。そのような中で、技術覇権をとらないといけない、譲らないぞというかたい決意を持っている人が多いことは確かです。そのような経済ナショナリストとそれから安保重視派の人たちがたまたま連合を組むことができたことによって、今、アメリカは対中強硬論が盛んになってきています。
ただし、ペンス副大統領の演説の落としどころも最終的には中国の長年言われてきた構造改革であることからわかりますように、最終的な要求というものは決して完全なる新冷戦の復活ではないというふうに私は見ております。
ただし、このような、そこまで新冷戦に拡大しないという見解を述べさせていただいたところで、一つ注意点を喚起したいと思います。既に、米国が始めた米中貿易戦争の余波は民間のさまざまな分野に及んでいるからです。
実業の方々はおわかりと思いますが、既に、融資のつき方、あるいはどのような技術を選ぶのかについてのそんたくなど、今後ビジネスに欠かせない、不確実性をなるべく低める、リスクを低めるという観点において影響が出始めているからですね。とりわけ金融機関のリスクを織り込む判断の中にこうした米中貿易戦争の要素が入ってきているということについては、政治が思っている範囲よりも更に更に拡大してこういった経済的なダメージが行われるかもしれないということです。
ちょっと飛んでいただきまして、七ページをごらんください。七ページは、今の米国政治の状況を俯瞰したものでございます。
今、大統領選に既に突入したとも言える米国政治の中では不毛な対立が多くなってきていますが、そのような不毛な対立は、トランプ大統領にとってはむしろ政治的にプラスに働く可能性があります。それは、二〇一六年の大統領選で既に、トランプさんが失言をすればするほどトランプさんが登場するエアタイムがふえるという状況、あるいは、人々の中でもトランプ支持者の熱狂的な層が動員されるということを通じてプラスに働くということです。
ただ、問題は、共和党のトランプさん化によって、民主党もミニトランプ化が起きているということです。とりわけ、現在、大統領選に対して出馬を表明している民主党系の議員の中からは、実現不可能なポピュリズム的な税制改革案やあるいは分配をめぐる論点というのが出てきています。そういった実現不可能な案によって、国民の期待を必要以上に拡大させるとともに、経済に大きなダメージを与えかねないというふうな懸念があります。
そうすると、これは共和、民主問わずなのですが、財政が今逼迫している状況ですので、しかも、今後、軍事技術に対する投資なども減らせない支出が織り込まれているので、同盟国に対する要求はどんどん、どっちの党を選んだとしてもエスカレートしていくだろうということです。
とりわけ、トランプ外交独自のリスクということでいいますと、これはいいのか悪いのか、リスクなのかそうでないのか、ちょっと不明なところがありますが、今までネオコンなどと呼ばれる人たちが推進してきた、民主化をする、世界に民主主義を広めるという発想を、トランプ大統領の登場によってアメリカは捨ててしまったかのように見えるからです。それ自体は戦争を減らすことは確かです。しかも、学術的に言っても、民主的平和論よりも商業を通じて平和を導こうという方が多少平和にきくというふうな結果も出ています。
ただ、この商業的平和論をとりますと、平和の代償として価値相対主義がとられるようになり、同時に、自由主義などの価値観を共有してきた同盟国に対する特別扱いが減り、さらに、踏み絵を迫るかのような利用、同盟国に対する利用もふえていくんだろうということになります。そうすると、我々は、米国以外のネットワークを選ぶことができないので、アメリカに対する脆弱性にさらされるということになります。
今後、しかし、民主党が選ばれたらどうだろうかということを多少シミュレーションしておきますと、民主党は今、急進派と主流派に分裂していますが、支持者に圧倒的に支持が多いのが急進派です。ただ、この急進派は資本主義を害しかねないような極端な改革案をぶち上げているほか、あるいは、実際に、フェークニュースと呼ばれるものは、実は右派だけではなく左派に多く浸透していることが見られます。
例を挙げますと、上院の情報委員会で資料が提出されたことから明らかなように、ロシア発の選挙に対する介入工作は主に黒人をターゲットに行われていた。そして、黒人は伝統的に民主党支持者であったわけでございます。そうしますと、フェークニュースが左右両極で展開され、結果的に非常に醜い政治が行われるだけでなく、現実的に同盟国にとって、あるいは世界の経済や平和にとってよい選択肢がどちらの党ならとられるというふうな確信が持てない状況でございます。
また、国際平和の観点からいいますと、トランプの岩盤支持層が孤立主義なのはわかっていることですが、エコノミックナショナリズムというふうな形で多少なりとも関与をしようとしているのに比べると、民主党はもう少し内向きということが言えますし、シリアなどからの撤退に関しては、急進派はトランプさんと実はいささかも変わるところがございません。
さらに、中国のリスクについてお話を進めてまいりたいと思います。
詳しくはレジュメに書いてございますので、言葉は尽くしませんが、やはり中台情勢がちょっと緊迫しているというのが気になるというのに加えて、中国に対してようやく先進国が見方を修正して、日本が感じてきたリスクを認識しつつあるということが言えます。
ただ、これは、単に軍事的な競争とかだけではなくて、民間企業として中国に進出していった企業がこうむるリスク、あるいは東南アジアなどにおいて中国と競合する企業が受けるリスクなどについても目配りが必要でございます。
九ページをごらんいただきまして、日本の脆弱性についてお話を申し上げます。
日本は、先進国で最も安全保障を米国に依存している国です。そして、対GDP比の防衛費は約一%水準ということで、これは、お隣の韓国が二・六%であり急激に防衛費をふやしていることから考えると、数年以内に韓国が日本の防衛費を上回るだろうということが予想されます。
また、NATOなどが四%水準を要求されたりして、二%水準までには近づけている国が多いのに対して、あるいは豪州が二%水準を早々と達成したのに対して、日本は、米国に、やはり同盟国として応分の負担をしていない、あるいはフリーライダーであるというふうに批判される材料をたくさん抱えております。しかし、我々はニュージーランドではないのでありまして、見逃してもらえる規模の経済ではなく、我々が持っている貿易黒字はやはりインパクトがあるということです。
しかし、自主性を高めようとすれば、それに反対する人々が日本国内には多く存在します。また、前線に位置する国家ではないために、同盟に対する期待も基本低いということで、実は、見捨てられる懸念は余り強く認識されないのに対して、巻き込まれ懸念が強く認識されています。
では、日本は、勃興する大国、中国と組めるのかということを十ページ目でお示ししたいと思います。
日本は、不健全な反中意識を抱える国です。およそ、前年の水準でいうと、対中好感度は一一%。そのような国の状況で中国と組めるわけがありませんが、なぜ不健全な反中意識と申し上げるかというと、これは、日本人の強い反中感情が、主にその人の経済的な世帯収入の増加見込みあるいは減少見込みによって左右されるからでございます。
ここまで現状を振り返ったところで、簡単に、まとめの十一ページと十二ページをごらんいただければと思います。
まず、日本は、冷戦後、非常に変化が遅く到来した、あるいは失われた二十年に対処することを優先してきた国ですが、そろそろ、東アジアの外部環境が厳しさを増しており、建前を排して現実を受け入れるところに来ているのではないか。
そして、これは安保法制のときにもさまざまに議論がありましたが、北朝鮮は事実上、核保有国化しました。中国は超大国化しています。ここまでは皆さん御同意のことだろうと思います。
ただ、三番目の、米国の撤退傾向あるいは内向き傾向というものが冷戦期とはまるで異なる情勢の変化をもたらしているということは、余り議論されたことを聞いたことがございません。
これから、核保有国が一カ国事実上ふえてしまったわけですから、新たな均衡点を模索しなければいけませんが、その中で、自主的、主体的努力を通じた同盟強化の方向性をとるべきであると考えます。
また、日本が韓国に対してもろもろ言いたいことがあるのは承知していますが、米韓同盟が弱められるかどうかの方が大きなリスクであって、あるいは、日本が、韓国の北朝鮮に対する経済開発の期待などに誤った認識を持たないで、しっかり現実を見据えることも大事かと思います。
最後のページですが、これからやはり米中のはざまで生きていく我々としては、中国の経済成長の果実を取り込まずに成長するなどということは不可能なのでありまして、いかに新冷戦といっても、中国との関係が断ち切られると、我々は経済的には死に直面するわけでございます。そこで、政治的な緊張はあれども、やはり経済的な交流をしっかり活発にしていくこと。
そして、国会でよく議論がありますが、中国企業の対内投資や中国人による土地購入を疑問視する声がありますけれども、これはやはり中国の体制がわかっていない意見と言わざるを得ません。中国人は自国政府を信用しておらず、海外に対して投資をするチャンスを探っているというのが実情ですから、そういった中国排除ではなくて相互に依存する関係を構築していく必要があるかと思います。
ありがとうございました。拍手
野
野
秋
秋本真利#11
○秋本委員 自由民主党の秋本真利です。
公述人の皆様におかれましては、お忙しい中、国会に来ていただきまして、そして大変貴重な意見を述べていただきまして、本当に心から感謝を申し上げます。大変参考になりましたし、勉強になりました。
早速、その公述人の意見に対して質問させていただきたいと思いますけれども、明石公述人の方から、今回の統計に対する問題、あるいは安倍政権の経済に対する見方に対して、大変厳しい意見を頂戴いたしました。
GDPというのは非常に、大変重要な統計でありまして、国民はこれをしっかりと見てさまざまな活動をしていくという中で、このGDPに対する信頼というものはしっかり確保されるべきであろうと私自身は思うわけであります。
その中で、先ほど、かさ上げというような話もあったわけでありますけれども、鈴木さんもエコノミストとして専門家でありますので、ぜひ鈴木公述人の意見を、かさ上げしているんじゃないかということについて鈴木さんはどのような意見を持っているのかということについてお伺いをしたいというふうに思います。
この発言だけを見る →公述人の皆様におかれましては、お忙しい中、国会に来ていただきまして、そして大変貴重な意見を述べていただきまして、本当に心から感謝を申し上げます。大変参考になりましたし、勉強になりました。
早速、その公述人の意見に対して質問させていただきたいと思いますけれども、明石公述人の方から、今回の統計に対する問題、あるいは安倍政権の経済に対する見方に対して、大変厳しい意見を頂戴いたしました。
GDPというのは非常に、大変重要な統計でありまして、国民はこれをしっかりと見てさまざまな活動をしていくという中で、このGDPに対する信頼というものはしっかり確保されるべきであろうと私自身は思うわけであります。
その中で、先ほど、かさ上げというような話もあったわけでありますけれども、鈴木さんもエコノミストとして専門家でありますので、ぜひ鈴木公述人の意見を、かさ上げしているんじゃないかということについて鈴木さんはどのような意見を持っているのかということについてお伺いをしたいというふうに思います。
鈴
鈴木準#12
○鈴木公述人 御質問ありがとうございます。お答え申し上げます。
GDP統計というのは、先生おっしゃるとおり、非常に重要な統計で、人々の生活水準、厚生水準、それから景気の動向、いろいろなものに使われているものであります。私も若いときからずっと使っているものであります。
これは、生産、支出、所得分配、三面等価ですし、それから、部門間のさまざまなやりとりがフローとストック、これは非常に整合的につくられている、まさにシステム・オブ・ナショナル・アカウントでありまして、体系的な統計であります。
これが、二〇一六年のあれは末ごろでしたでしょうか、最新の国際基準である〇八SNAに準拠されて推計方法の大きな改定が行われたということは、もちろん存じ上げております。
GDP統計というのは、これは、経済活動がどんどん変わっております、デジタルエコノミーでありますとかあるいは知識経済ですとか、さまざま経済の活動が進展しておりますので、それに合わせて、経済構造の変化に合わせてやはり改定をきちんとやっていく必要がある統計だというふうに思っております。そういう意味では、日本は〇八SNAの適用というのは、実は国際的に見ると非常におくれたといいますか、むしろ遅かったというふうに思います。
それで、今御質問のありました一六年の改定の中身について若干申し上げますと、国際基準対応でRアンドDが、これは設備投資である、資本化されたということでふえた部分はあるわけでありますが、それ以外で、統計のやり方が変わって、一三年、一四年、一五年あたりで国際基準対応以外で影響が出た部分というのは確かにありまして、私は、その内訳を見ますと、三分の一から二分の一ぐらいは、これは建設部門の産出額の見直しが行われたんだと。
それまでは、建設資材ですとか建設の労務費ですとか、そういう動きで推計をされていまして、これはいわば建設業のマージン率を一定で推計していた。そうしますと、五年ごとの基準改定で非常に、産業連関表との関係で物すごい段差が生じてしまうということで、二〇一六年のときには、産業連関表と同様のやり方で生産額を推計する、これで五年ごとの改定幅を小さくしようとした。
これは統計の精度の向上であると同時に、実際に今、建設業というのはマージン率を上げているんですね。マージン率を上げているので、そういう事実をまさに統計に反映させたものだということで、私の知る限りユーザーは、この統計を使うユーザーとしてはこの変更を歓迎しておりますし、かさ上げというふうには思いませんし、それから、これはあくまでも名目の世界でありますので、実質というのは全く、実質は投入デフレーターと産出デフレーターの差でまたいろいろ決まってきますので、今のは名目の話でありまして、実質はまた別の話。実質の消費との関係とか、これは全く別の話であります。
以上でございます。
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これは、生産、支出、所得分配、三面等価ですし、それから、部門間のさまざまなやりとりがフローとストック、これは非常に整合的につくられている、まさにシステム・オブ・ナショナル・アカウントでありまして、体系的な統計であります。
これが、二〇一六年のあれは末ごろでしたでしょうか、最新の国際基準である〇八SNAに準拠されて推計方法の大きな改定が行われたということは、もちろん存じ上げております。
GDP統計というのは、これは、経済活動がどんどん変わっております、デジタルエコノミーでありますとかあるいは知識経済ですとか、さまざま経済の活動が進展しておりますので、それに合わせて、経済構造の変化に合わせてやはり改定をきちんとやっていく必要がある統計だというふうに思っております。そういう意味では、日本は〇八SNAの適用というのは、実は国際的に見ると非常におくれたといいますか、むしろ遅かったというふうに思います。
それで、今御質問のありました一六年の改定の中身について若干申し上げますと、国際基準対応でRアンドDが、これは設備投資である、資本化されたということでふえた部分はあるわけでありますが、それ以外で、統計のやり方が変わって、一三年、一四年、一五年あたりで国際基準対応以外で影響が出た部分というのは確かにありまして、私は、その内訳を見ますと、三分の一から二分の一ぐらいは、これは建設部門の産出額の見直しが行われたんだと。
それまでは、建設資材ですとか建設の労務費ですとか、そういう動きで推計をされていまして、これはいわば建設業のマージン率を一定で推計していた。そうしますと、五年ごとの基準改定で非常に、産業連関表との関係で物すごい段差が生じてしまうということで、二〇一六年のときには、産業連関表と同様のやり方で生産額を推計する、これで五年ごとの改定幅を小さくしようとした。
これは統計の精度の向上であると同時に、実際に今、建設業というのはマージン率を上げているんですね。マージン率を上げているので、そういう事実をまさに統計に反映させたものだということで、私の知る限りユーザーは、この統計を使うユーザーとしてはこの変更を歓迎しておりますし、かさ上げというふうには思いませんし、それから、これはあくまでも名目の世界でありますので、実質というのは全く、実質は投入デフレーターと産出デフレーターの差でまたいろいろ決まってきますので、今のは名目の話でありまして、実質はまた別の話。実質の消費との関係とか、これは全く別の話であります。
以上でございます。
秋
秋本真利#13
○秋本委員 ありがとうございます。大変わかりやすい説明だったというふうに思います。
統計というのは、国民に対してやはり信頼あるものでなくてはならないわけでありますので、今、公述人の意見も参考にして、国民の信頼を今後しっかりと、今まで以上にかち得るような政策展開をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
来年度の予算で、来年度は大きな一つのトピックとして、消費税が上がりますよね。消費税が上がるという中で、当然それに対して、安倍政権、今回の予算委員会でも、例えば駆け込み需要に対する対策であるとか反動減に対する対策、あるいは軽減税率も含めて、こういった形でしっかりと対策を練って、しっかりとやるぞという姿勢を示しているわけですね。
これは、決して、やはり上げたときに失敗してはならないという覚悟のあらわれだろうと思うわけでありますけれども、今回の二〇一九年の予算で安倍政権がとろうとしているこの消費税に対する対策については鈴木公述人はどのようにお考えになっているか、考えを聞かせてください。
この発言だけを見る →統計というのは、国民に対してやはり信頼あるものでなくてはならないわけでありますので、今、公述人の意見も参考にして、国民の信頼を今後しっかりと、今まで以上にかち得るような政策展開をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
来年度の予算で、来年度は大きな一つのトピックとして、消費税が上がりますよね。消費税が上がるという中で、当然それに対して、安倍政権、今回の予算委員会でも、例えば駆け込み需要に対する対策であるとか反動減に対する対策、あるいは軽減税率も含めて、こういった形でしっかりと対策を練って、しっかりとやるぞという姿勢を示しているわけですね。
これは、決して、やはり上げたときに失敗してはならないという覚悟のあらわれだろうと思うわけでありますけれども、今回の二〇一九年の予算で安倍政権がとろうとしているこの消費税に対する対策については鈴木公述人はどのようにお考えになっているか、考えを聞かせてください。
鈴
鈴木準#14
○鈴木公述人 今、臨時特別の措置も含めて、消費税を上げるに際しまして需要変動対策をとられるということであります。これは、一部には、やり過ぎではないかとか、それをやめたときまたどうなるのかという御議論があろうかと思います。
ことしの十月に予定されます消費税率一〇%というのは、これは幼児教育の無償化ですとか社会保障の充実、それから軽減税率等を行うことで二兆円程度に抑えられる。一方で、臨時特別の予算措置、税制措置、合わせて二・三兆円の対策を講じるというふうに認識しております。
このように、先生おっしゃるとおり、今回、失敗はできないということで、経済の影響を十分に乗り越えられるような措置を講じた。これは前回八%のときの状況を踏まえてのことだというふうに私は理解をしております。
結果として、前回は景気の回復力が確かに、これは当然、実質所得を家計から政府に移すというのが消費税増税でございますので、景気が全く悪くならないということはそもそもないわけでありますけれども、その後の回復力が前回は非常に弱まったのではないかということで、今回、平準化に万全を期すということで総動員したというふうに思います。
ただ、先ほど申し上げましたように、これはまさに平準化措置でありますので、そこで変に政策的に動きをつくってしまうと、またこれはある種のゆがみをもたらすということになりますので、必要な分だけを必要なだけやって、きちんとテンポラリーに終わらせるということは重要ではないかと思います。
この発言だけを見る →ことしの十月に予定されます消費税率一〇%というのは、これは幼児教育の無償化ですとか社会保障の充実、それから軽減税率等を行うことで二兆円程度に抑えられる。一方で、臨時特別の予算措置、税制措置、合わせて二・三兆円の対策を講じるというふうに認識しております。
このように、先生おっしゃるとおり、今回、失敗はできないということで、経済の影響を十分に乗り越えられるような措置を講じた。これは前回八%のときの状況を踏まえてのことだというふうに私は理解をしております。
結果として、前回は景気の回復力が確かに、これは当然、実質所得を家計から政府に移すというのが消費税増税でございますので、景気が全く悪くならないということはそもそもないわけでありますけれども、その後の回復力が前回は非常に弱まったのではないかということで、今回、平準化に万全を期すということで総動員したというふうに思います。
ただ、先ほど申し上げましたように、これはまさに平準化措置でありますので、そこで変に政策的に動きをつくってしまうと、またこれはある種のゆがみをもたらすということになりますので、必要な分だけを必要なだけやって、きちんとテンポラリーに終わらせるということは重要ではないかと思います。
秋
秋本真利#15
○秋本委員 景気が落ち込むというようなことが心配されているわけでありますけれども、景気という意味では、安倍政権は景気回復しているよね、かなり長い間景気回復がしていて、賃金の上昇もあるんだというような話を当然しているわけでありますけれども、一方で、国民の中には、その景気回復の実感がちょっと乏しいんじゃないかというような意見もあるわけであります。
そのことについてどのように説明するべきか、鈴木さんはどのように考えていらっしゃるかということについて見解を聞きたいというふうに思います。
この発言だけを見る →そのことについてどのように説明するべきか、鈴木さんはどのように考えていらっしゃるかということについて見解を聞きたいというふうに思います。
鈴
鈴木準#16
○鈴木公述人 私は、経済の環境に関しては、もちろん注意すべき点は多々ございますが、基本的にすごく悪いという状況ではもちろんないというのは申し上げたとおりでありまして、この判断というのは、何か単一の統計ではなくて、さまざまな統計に基づく総合判断でございます。
私は、仮に今の現状の例えば雇用の状況などを考えたときに、現状で負担増ができないとしたら、これは、全世代型社会保障、あるいは、二〇一二年の三党合意に基づいて、今回は介護一号保険料の軽減でありますとか年金生活者支援給付金というものをやるということのために消費税を上げるわけでありますので、そういう流れの中で、これまでの経緯の中で、今回負担増ができないとしたら、私は、日本の社会の先行きというのはやはり暗いと考えざるを得ない。
今回、そもそも、五から八と八から一〇とでは経済に対するインパクトというのもかなり違う、前回ほど大きくはありません。軽減税率も入りますし、税収使途の変更もありますし、更に需要変動対策もありますので、これはこなせないということは私はないのではないかなと。
もちろん、景気回復の実感がないという声に対してはきちんと応えていく必要があるわけでありますが、まさに消費税を上げる目的というのは、そういう社会保障の非常に目配りすべきところにそれを充てていくんだという、そのそもそもの増税の目的というところに立ち返ってこれは考えるべき問題ではないかと存じます。
この発言だけを見る →私は、仮に今の現状の例えば雇用の状況などを考えたときに、現状で負担増ができないとしたら、これは、全世代型社会保障、あるいは、二〇一二年の三党合意に基づいて、今回は介護一号保険料の軽減でありますとか年金生活者支援給付金というものをやるということのために消費税を上げるわけでありますので、そういう流れの中で、これまでの経緯の中で、今回負担増ができないとしたら、私は、日本の社会の先行きというのはやはり暗いと考えざるを得ない。
今回、そもそも、五から八と八から一〇とでは経済に対するインパクトというのもかなり違う、前回ほど大きくはありません。軽減税率も入りますし、税収使途の変更もありますし、更に需要変動対策もありますので、これはこなせないということは私はないのではないかなと。
もちろん、景気回復の実感がないという声に対してはきちんと応えていく必要があるわけでありますが、まさに消費税を上げる目的というのは、そういう社会保障の非常に目配りすべきところにそれを充てていくんだという、そのそもそもの増税の目的というところに立ち返ってこれは考えるべき問題ではないかと存じます。
秋
秋本真利#17
○秋本委員 ありがとうございます。
次に、三浦公述人にお伺いをいたしますけれども、今、中国、対中との関係、あるいは韓国を含むこの極東のアジアの周辺のことについていろいろとお話を聞かせていただきましたけれども、残念ながら、今、韓国とは大変外交上厳しい状況にあるわけでありますが、一連のこの今韓国との間で起きている外交上の摩擦についてどのようにお考えになっているのかということについてお伺いをしたい。
あと、今回、先週ですかね、安倍政権の方で経協インフラ会議というものを持ちまして、海外に出ていく日本企業をどういうふうにしていこうかということを決めていくような会議でありますけれども、そこで、今まで、原発を輸出していこうぜということが書いてあったものが初めて落ちて、再エネ、しっかり海外に売っていかなきゃいけないよね、特に風力、やらなきゃいかぬというようなことが記載をされたということが、先週大きくニュースで報じられました。
ある番組で再エネに関する見解を述べていらっしゃるのを見て、今回、安倍政権が今とっているこの再生可能エネルギー、地球温暖化、COPとかもいろいろ関係があるわけですけれども、今後日本がとっていくエネルギー政策について、どういうふうにしていったらいいのかということについてどんな見解をお持ちになられているのかなということを聞きたいので、お願いをしたいと思います。
それと、小出さんに、中小企業、九九・七%というのは大変もうそのとおりでありまして、やはりこの中小零細企業が元気にならなければ、地域の活力というのは生まれてこないんだろうと思います。
九九・七%の中小企業で働く人は全就業者数の七割を超えるんじゃないかというようなことも言われておりまして、やはり地域にとってはこの中小零細企業に対する対策というのは非常に重要なわけであります。
そうした中で、中小零細企業が、今、日本では大変残念なことに災害が多いですよね、多くなってきてしまっているという中で、やはりBCPというのは非常に重要なんだろうと思います。
大企業は、BCPというのは非常に積極的に定めていますし、そういうBCPをつくっていくという能力にもたけているわけですから、ここは一定程度任せていてもいいのかなと、自助努力で。
ただ、中小零細企業については、このBCPについては一定程度の、公的なセクター、あるいは何かしら手を差し伸べて、BCP、しっかりつくってね、あなたたちがもし万が一何かあっていなくなっちゃったら、やはり日本そして地域にとって困るよねというふうに私は思うわけであります。
この中小零細企業に対するBCPの作成に対する支援というのはどうあるべきかということについてお考えを聞きたいというふうに思います。
この発言だけを見る →次に、三浦公述人にお伺いをいたしますけれども、今、中国、対中との関係、あるいは韓国を含むこの極東のアジアの周辺のことについていろいろとお話を聞かせていただきましたけれども、残念ながら、今、韓国とは大変外交上厳しい状況にあるわけでありますが、一連のこの今韓国との間で起きている外交上の摩擦についてどのようにお考えになっているのかということについてお伺いをしたい。
あと、今回、先週ですかね、安倍政権の方で経協インフラ会議というものを持ちまして、海外に出ていく日本企業をどういうふうにしていこうかということを決めていくような会議でありますけれども、そこで、今まで、原発を輸出していこうぜということが書いてあったものが初めて落ちて、再エネ、しっかり海外に売っていかなきゃいけないよね、特に風力、やらなきゃいかぬというようなことが記載をされたということが、先週大きくニュースで報じられました。
ある番組で再エネに関する見解を述べていらっしゃるのを見て、今回、安倍政権が今とっているこの再生可能エネルギー、地球温暖化、COPとかもいろいろ関係があるわけですけれども、今後日本がとっていくエネルギー政策について、どういうふうにしていったらいいのかということについてどんな見解をお持ちになられているのかなということを聞きたいので、お願いをしたいと思います。
それと、小出さんに、中小企業、九九・七%というのは大変もうそのとおりでありまして、やはりこの中小零細企業が元気にならなければ、地域の活力というのは生まれてこないんだろうと思います。
九九・七%の中小企業で働く人は全就業者数の七割を超えるんじゃないかというようなことも言われておりまして、やはり地域にとってはこの中小零細企業に対する対策というのは非常に重要なわけであります。
そうした中で、中小零細企業が、今、日本では大変残念なことに災害が多いですよね、多くなってきてしまっているという中で、やはりBCPというのは非常に重要なんだろうと思います。
大企業は、BCPというのは非常に積極的に定めていますし、そういうBCPをつくっていくという能力にもたけているわけですから、ここは一定程度任せていてもいいのかなと、自助努力で。
ただ、中小零細企業については、このBCPについては一定程度の、公的なセクター、あるいは何かしら手を差し伸べて、BCP、しっかりつくってね、あなたたちがもし万が一何かあっていなくなっちゃったら、やはり日本そして地域にとって困るよねというふうに私は思うわけであります。
この中小零細企業に対するBCPの作成に対する支援というのはどうあるべきかということについてお考えを聞きたいというふうに思います。
三
三浦瑠麗#18
○三浦公述人 御質問ありがとうございます。
韓国との外交関係についてですが、戦後、日本と韓国が和解をして国交を正常化させ、そして我が国が経済的な援助を提供してきたということが韓国の今の民主化の流れの中で必ずしもプラスに評価されていないという実情は、やはりしっかりと踏まえておくべきかと思います。
それはどういうことかといいますと、まず、韓国のみならず各国、特に、例えば欧州ですと、ドイツの経済的な覇権、地域覇権に対して不満を覚えるような国々が、戦後の和解の問題を若干蒸し返したり、あるいは、個人の権利が拡大していく過程で今までになかったような論点が浮上しているということで、これは恐らく、韓国独自の問題点もありますが、グローバルな問題の中で、日本が決してほかの国々から不誠実に思われないような行動あるいは戦略が必要かと思います。
ただ、レーダー照射問題については、レーダー照射をめぐる事実関係というのは既に明らかになってきていると思いますが、ただ、その事実関係を認めない韓国というものが一体どういうメカニズムによって生じてしまっているんだろうかということについて、やはり認識を持っておかなければいけない。
つまり、日本においては、よく官僚のそんたくがある、ないということが言われますけれども、韓国も非常に官僚にそんたくが蔓延している。更に言えば、日本よりもより赤裸々な人事をめぐる権力闘争というものが存在する結果として、例えば今の韓国国防省がいかに韓国の政権に対して震え上がっているかという点についてもやはり、先方からちょっと承服しがたいような動画が出てきた際には、その分析をしなければいけないということで、恐らく、怒るのは国民の役割かもしれませんが、代議士の皆さんの役割としては、韓国の中がどうなっていくのか、今後の見通しも含めた分析が必要だと思うんですね。
韓国に関しては、今後、進歩派に社会的な正義が存在するという状況は恐らく変わらないために、日本に対して親日的な政権がある日登場するという期待は抱かない方がいいと思います。
そうすると、我々は、私もかかわって助言をさせていただいた防衛大綱でも、韓国の優先順位というのは著しく下げられているわけですが、韓国の側としても日本の優先順位を下げている。その中で、期待できないのであれば政府が最低限の外交をすべきと思いますが、民間の経済交流を毀損されてしまうと、これは、数少ない親日の人がより少なくなってしまうばかりか、自治体の観光、さまざまなインバウンドによる需要、そういうものがダメージを受けてしまう可能性があるということで、これは代議士の皆さんよりも地方の首長の皆さんの方が切実な思いを抱えているかもしれないので、そこら辺の御意見をしっかり踏まえていくことが必要かと思います。
再生可能エネルギーに関しての御質問なんですけれども、再生可能エネルギーに関しては、日本は今、現在輸出はしておりますが、しかし、単独で日本が強みを持っている分野とはやはり言えません。
というのは、日本国内で再生可能エネルギーというものが、例えば、開発が非常に難しい状況、あるいは、かつてのかなり高いFIT価格というものが非常に土地取引に投機性を与えてしまって、なかなか再生可能エネルギー、例えばメガソーラーなどがつくられないまま、土地ばかりが転売されるというふうな状況が多々ございました。
これを経済産業省が整理をして、過去に遡及適用してまでFIT価格を見直すということをしているのですが、そこにおいて、やはり、事業者の数が減っている、あるいは海外系の金融機関が再生可能エネルギー事業から撤退するなどというような状況が今、昨年秋からことしにかけてございました。
そういった輸出振興とともに、やはり国内でどうやってシェアを伸ばしていくのかということについて、場当たり的ではない、かつての高いFIT価格を再導入すべきとは思いませんが、しかし、現実的にどうやってシェアを伸ばしていくのかというふうなプランをぜひいただきたいなと思っております。
ありがとうございます。
この発言だけを見る →韓国との外交関係についてですが、戦後、日本と韓国が和解をして国交を正常化させ、そして我が国が経済的な援助を提供してきたということが韓国の今の民主化の流れの中で必ずしもプラスに評価されていないという実情は、やはりしっかりと踏まえておくべきかと思います。
それはどういうことかといいますと、まず、韓国のみならず各国、特に、例えば欧州ですと、ドイツの経済的な覇権、地域覇権に対して不満を覚えるような国々が、戦後の和解の問題を若干蒸し返したり、あるいは、個人の権利が拡大していく過程で今までになかったような論点が浮上しているということで、これは恐らく、韓国独自の問題点もありますが、グローバルな問題の中で、日本が決してほかの国々から不誠実に思われないような行動あるいは戦略が必要かと思います。
ただ、レーダー照射問題については、レーダー照射をめぐる事実関係というのは既に明らかになってきていると思いますが、ただ、その事実関係を認めない韓国というものが一体どういうメカニズムによって生じてしまっているんだろうかということについて、やはり認識を持っておかなければいけない。
つまり、日本においては、よく官僚のそんたくがある、ないということが言われますけれども、韓国も非常に官僚にそんたくが蔓延している。更に言えば、日本よりもより赤裸々な人事をめぐる権力闘争というものが存在する結果として、例えば今の韓国国防省がいかに韓国の政権に対して震え上がっているかという点についてもやはり、先方からちょっと承服しがたいような動画が出てきた際には、その分析をしなければいけないということで、恐らく、怒るのは国民の役割かもしれませんが、代議士の皆さんの役割としては、韓国の中がどうなっていくのか、今後の見通しも含めた分析が必要だと思うんですね。
韓国に関しては、今後、進歩派に社会的な正義が存在するという状況は恐らく変わらないために、日本に対して親日的な政権がある日登場するという期待は抱かない方がいいと思います。
そうすると、我々は、私もかかわって助言をさせていただいた防衛大綱でも、韓国の優先順位というのは著しく下げられているわけですが、韓国の側としても日本の優先順位を下げている。その中で、期待できないのであれば政府が最低限の外交をすべきと思いますが、民間の経済交流を毀損されてしまうと、これは、数少ない親日の人がより少なくなってしまうばかりか、自治体の観光、さまざまなインバウンドによる需要、そういうものがダメージを受けてしまう可能性があるということで、これは代議士の皆さんよりも地方の首長の皆さんの方が切実な思いを抱えているかもしれないので、そこら辺の御意見をしっかり踏まえていくことが必要かと思います。
再生可能エネルギーに関しての御質問なんですけれども、再生可能エネルギーに関しては、日本は今、現在輸出はしておりますが、しかし、単独で日本が強みを持っている分野とはやはり言えません。
というのは、日本国内で再生可能エネルギーというものが、例えば、開発が非常に難しい状況、あるいは、かつてのかなり高いFIT価格というものが非常に土地取引に投機性を与えてしまって、なかなか再生可能エネルギー、例えばメガソーラーなどがつくられないまま、土地ばかりが転売されるというふうな状況が多々ございました。
これを経済産業省が整理をして、過去に遡及適用してまでFIT価格を見直すということをしているのですが、そこにおいて、やはり、事業者の数が減っている、あるいは海外系の金融機関が再生可能エネルギー事業から撤退するなどというような状況が今、昨年秋からことしにかけてございました。
そういった輸出振興とともに、やはり国内でどうやってシェアを伸ばしていくのかということについて、場当たり的ではない、かつての高いFIT価格を再導入すべきとは思いませんが、しかし、現実的にどうやってシェアを伸ばしていくのかというふうなプランをぜひいただきたいなと思っております。
ありがとうございます。
野
小
小出宗昭#20
○小出公述人 中小企業のBCP対策なんですけれども、私どもは、静岡県におきましては、防災先進県ということもございまして、押しなべて相当数の中小企業者はBCPをつくっていると思うんですよ。しかし、問題になるのは、その見直しが行われているかということに対しますと、やはりつくりっ放しのところがかなり多いんじゃないかというふうに思っています。
やはり、支援する立場からしてみますと、いわゆるBCPの専門家みたいな者をもっとたくさん輩出して、よりたくさんの中小企業者に対してそういったサポートが行われたらいいんじゃないかな、見直しあるいは再構築のサポートが強化されたらいいんじゃないかな、かように思っております。
以上です。
この発言だけを見る →やはり、支援する立場からしてみますと、いわゆるBCPの専門家みたいな者をもっとたくさん輩出して、よりたくさんの中小企業者に対してそういったサポートが行われたらいいんじゃないかな、見直しあるいは再構築のサポートが強化されたらいいんじゃないかな、かように思っております。
以上です。
秋
野
岡
岡本三成#23
○岡本(三)委員 公明党の岡本三成です。
公述人の皆様、きょうは、お忙しい中、大変貴重な御意見を伺いまして、ありがとうございました。
初めに、エフビズの小出さんにお伺いいたします。
私、自他ともに認めます小出大ファンでして、二〇一三年、六年前にエフビズを訪問させていただいて以来、小出さんの本、熟読をしておりますし、さまざまなメディアでの報道も拝見をしております。小出さんが中小企業庁長官になっていただける日が来るのを私は本当に楽しみにしておりまして、日本全体をぜひ率いていただきたいと思っています。
私、埼玉に住んでいるんですけれども、狭山市にもサヤビズをこの四月から開設いただけることになりまして、市長以下、市民も大変楽しみにしています。
小出さんのこれまでの御経験の中で、私、本当にすごいなと思っているのは、全ての企業に必ずオンリーワンの強みがあると信じ切っていらっしゃるんですね。なので、ここ最近の本のタイトルは、「御社の「売り」を見つけなさい!」で、御社の売りをつくりなさいじゃないんですよ。どんな小さな事業者にも必ず売れるいいものがあって、それを見つけ出していこうとされているのが本当にすばらしいと思うんです。
加えまして、日本の企業の物やサービスはもう既にクオリティーがすごく高い、クオリティーが低ければそれを高くするのは難しいんだけれども、もうすごく高いので、どうやって売っていくか、その販売先のマーケティングの気づきさえ与えれば、もういいものを持っているんだという、すごくポジティブな、前向きな姿勢というのが、企業の経営者そして従業員の方々にもすごくいいインパクトを与えると思うんです。
エフビズを訪問させていただいて皆さんのお話を伺って、その支援されている企業にも訪問させていただいたんですが、その手法にびっくりしたんです、皆さんのビジネスコンサルティングの。
どうしてかというと、普通のコンサルタントは、過去の財務諸表を見て、皆さんのBSがこうです、PLがこうです、ですからこうしなさいというのが普通なんですが、小出さんがあのときおっしゃったのは、いや、過去の財務諸表をどんなに見ても、それはどうして失敗したかということを物語っているだけで、どうやったら成功できるかというのはそこにはありませんと。小出さんは、ただひたすらその方のお話を聞くだけなんですね。ひたすら話を聞いて、過去の財務諸表等は一切ごらんにならずに、じゃ、こういうものはどうでしょうかと。
そのコンサルティングの手法に大変驚いて感激をしたんですが、一方で、どうやったらそんな目ききのできる、いいアドバイスのできるコンサルタントを発掘していけるかということはもう大変高いハードルでして、小出さんみたいな方が全部やってくださればいいですし、小出さんの資料の中にありましたコンサルタントの方も、御自分で選別をして、各自治体に送る前に小出さんのもとで数カ月間、皆さんOJTをやっていらっしゃいますよね。
こんなことが全ての自治体ではできないわけで、どうやれば、本当に、中小企業の方、小規模事業所の方々に、同じ目線で立って、結果にコミットして、いい気づきを与えられるようなコンサルタントを発掘できるかということについて、ぜひ御意見を伺いたいと思います。
この発言だけを見る →公述人の皆様、きょうは、お忙しい中、大変貴重な御意見を伺いまして、ありがとうございました。
初めに、エフビズの小出さんにお伺いいたします。
私、自他ともに認めます小出大ファンでして、二〇一三年、六年前にエフビズを訪問させていただいて以来、小出さんの本、熟読をしておりますし、さまざまなメディアでの報道も拝見をしております。小出さんが中小企業庁長官になっていただける日が来るのを私は本当に楽しみにしておりまして、日本全体をぜひ率いていただきたいと思っています。
私、埼玉に住んでいるんですけれども、狭山市にもサヤビズをこの四月から開設いただけることになりまして、市長以下、市民も大変楽しみにしています。
小出さんのこれまでの御経験の中で、私、本当にすごいなと思っているのは、全ての企業に必ずオンリーワンの強みがあると信じ切っていらっしゃるんですね。なので、ここ最近の本のタイトルは、「御社の「売り」を見つけなさい!」で、御社の売りをつくりなさいじゃないんですよ。どんな小さな事業者にも必ず売れるいいものがあって、それを見つけ出していこうとされているのが本当にすばらしいと思うんです。
加えまして、日本の企業の物やサービスはもう既にクオリティーがすごく高い、クオリティーが低ければそれを高くするのは難しいんだけれども、もうすごく高いので、どうやって売っていくか、その販売先のマーケティングの気づきさえ与えれば、もういいものを持っているんだという、すごくポジティブな、前向きな姿勢というのが、企業の経営者そして従業員の方々にもすごくいいインパクトを与えると思うんです。
エフビズを訪問させていただいて皆さんのお話を伺って、その支援されている企業にも訪問させていただいたんですが、その手法にびっくりしたんです、皆さんのビジネスコンサルティングの。
どうしてかというと、普通のコンサルタントは、過去の財務諸表を見て、皆さんのBSがこうです、PLがこうです、ですからこうしなさいというのが普通なんですが、小出さんがあのときおっしゃったのは、いや、過去の財務諸表をどんなに見ても、それはどうして失敗したかということを物語っているだけで、どうやったら成功できるかというのはそこにはありませんと。小出さんは、ただひたすらその方のお話を聞くだけなんですね。ひたすら話を聞いて、過去の財務諸表等は一切ごらんにならずに、じゃ、こういうものはどうでしょうかと。
そのコンサルティングの手法に大変驚いて感激をしたんですが、一方で、どうやったらそんな目ききのできる、いいアドバイスのできるコンサルタントを発掘していけるかということはもう大変高いハードルでして、小出さんみたいな方が全部やってくださればいいですし、小出さんの資料の中にありましたコンサルタントの方も、御自分で選別をして、各自治体に送る前に小出さんのもとで数カ月間、皆さんOJTをやっていらっしゃいますよね。
こんなことが全ての自治体ではできないわけで、どうやれば、本当に、中小企業の方、小規模事業所の方々に、同じ目線で立って、結果にコミットして、いい気づきを与えられるようなコンサルタントを発掘できるかということについて、ぜひ御意見を伺いたいと思います。
小
小出宗昭#24
○小出公述人 ありがとうございます。
先ほど御紹介しました二十一の自治体のケースというのは、全ての自治体がまず強い危機感を持っているわけですね。厳しい予算の中で、この新しいビズモデルをつくるに当たって予算を捻出して立ち上げていくわけなんですけれども、キーファクターは、今おっしゃられたとおり、人にあるわけです。
これまで、なかなかそういう人というのは見つけ出せないだろうというふうに言われていましたが、しかし、私が考えておりましたのは、本当のビジネスエリアの最前線で結果を出している人たちというのは、我々が求めているところのビジネスセンスの高さ、コミュニケーション能力の高さ、情熱を持っている人がいるに決まっているとわかっておりました。その人たちをいかに引っ張り出すかだったんですね。
これまで、プロフェッショナルな立場のこのような地域おこしの仕事あるいは中小企業支援の仕事というのは存在していなかったものですから、それをつくってしまおうと。それで、民間の転職支援会社と協力しまして、お金を出してもらって、公募しますと、大体一カ所には百五十人から四百人ぐらいの応募があるんですね。大体、首都圏から来るのが七割強だと思います。上場企業の役職員なんというのはもう半分ぐらいいるんでしょうか。その中からぴかぴかの一人を選び抜く。書類審査をやって、面接をしたい人を、それぞれ、私どもと私の弟子、それから行政サイドが二十人ずつ選びまして、それを最終的に五、六人に絞りまして、徹底的に面接するんですが、面接のやり方も全く違うんですよ。
これまでですと、有識者の皆様方がいて選ぶんですが、我々の場合はそうではなくて、地元の中小企業の経営者の皆様方四、五人に来ていただいて、あと我々がいて、それぞれの企業はまさにその瞬間、具体的な経営上の課題や悩みや問題点を抱えているわけで、その場でぶつけるんですね、次から次に。それで、どう答えるか見ているわけです。その中で、最終的に、地域の中小企業の経営者が一体誰に相談したいかで選び抜く。
だから、プロ野球でいうとトライアウトみたいな世界なんですね。それを繰り返しながらやっていると、実は応募者数というのは毎回毎回ふえているんです。直近ですと、今週末、大垣の副センター長の審査をやるんですが、何と応募が二百五十五人もございました。その中からぴかぴかの一人を選ぶというやり方をとっておりまして、ただしかし、これも、税金を使っているものですから厳しくいこうということで、契約期間は一年、結果が出なかったら去ってもらう、こんなやり方をしています。
以上です。
この発言だけを見る →先ほど御紹介しました二十一の自治体のケースというのは、全ての自治体がまず強い危機感を持っているわけですね。厳しい予算の中で、この新しいビズモデルをつくるに当たって予算を捻出して立ち上げていくわけなんですけれども、キーファクターは、今おっしゃられたとおり、人にあるわけです。
これまで、なかなかそういう人というのは見つけ出せないだろうというふうに言われていましたが、しかし、私が考えておりましたのは、本当のビジネスエリアの最前線で結果を出している人たちというのは、我々が求めているところのビジネスセンスの高さ、コミュニケーション能力の高さ、情熱を持っている人がいるに決まっているとわかっておりました。その人たちをいかに引っ張り出すかだったんですね。
これまで、プロフェッショナルな立場のこのような地域おこしの仕事あるいは中小企業支援の仕事というのは存在していなかったものですから、それをつくってしまおうと。それで、民間の転職支援会社と協力しまして、お金を出してもらって、公募しますと、大体一カ所には百五十人から四百人ぐらいの応募があるんですね。大体、首都圏から来るのが七割強だと思います。上場企業の役職員なんというのはもう半分ぐらいいるんでしょうか。その中からぴかぴかの一人を選び抜く。書類審査をやって、面接をしたい人を、それぞれ、私どもと私の弟子、それから行政サイドが二十人ずつ選びまして、それを最終的に五、六人に絞りまして、徹底的に面接するんですが、面接のやり方も全く違うんですよ。
これまでですと、有識者の皆様方がいて選ぶんですが、我々の場合はそうではなくて、地元の中小企業の経営者の皆様方四、五人に来ていただいて、あと我々がいて、それぞれの企業はまさにその瞬間、具体的な経営上の課題や悩みや問題点を抱えているわけで、その場でぶつけるんですね、次から次に。それで、どう答えるか見ているわけです。その中で、最終的に、地域の中小企業の経営者が一体誰に相談したいかで選び抜く。
だから、プロ野球でいうとトライアウトみたいな世界なんですね。それを繰り返しながらやっていると、実は応募者数というのは毎回毎回ふえているんです。直近ですと、今週末、大垣の副センター長の審査をやるんですが、何と応募が二百五十五人もございました。その中からぴかぴかの一人を選ぶというやり方をとっておりまして、ただしかし、これも、税金を使っているものですから厳しくいこうということで、契約期間は一年、結果が出なかったら去ってもらう、こんなやり方をしています。
以上です。
岡
岡本三成#25
○岡本(三)委員 ありがとうございます。
キーは、その企業にはいいものがあるわけですから、そのサービスや物をどういうふうに、そのサービスや物を本当に必要としていらっしゃる方々に適切な価格で、できれば若干高いぐらいの価格で売れるかなんだと思うんですけれども、その販売先を拡大していくようなコンサルティングをするに当たって、多分御経験では、何となく満遍と、売れば、デマンドが出てくるのではなくて、このターゲットマーケットに売るんだと決めて営業をかけていらっしゃると思うんですね。
その知恵はどこから来るのかということと、加えて、輸出をどう考えるか。日本の中小企業は、残念ながら、全数の三・五%の企業しか輸出していません。ただ、OECDの統計では、生産性や給料の高い企業に共通していることの一つは輸出していることなんですね。
販路を拡大するための知恵と、販路を拡大する中で、中小企業や零細企業にとっての輸出の意味、もし意味があるんだったら、ジェトロを更にどのように活用する意義があるのかないのか、ぜひコメントをいただければと思います。
この発言だけを見る →キーは、その企業にはいいものがあるわけですから、そのサービスや物をどういうふうに、そのサービスや物を本当に必要としていらっしゃる方々に適切な価格で、できれば若干高いぐらいの価格で売れるかなんだと思うんですけれども、その販売先を拡大していくようなコンサルティングをするに当たって、多分御経験では、何となく満遍と、売れば、デマンドが出てくるのではなくて、このターゲットマーケットに売るんだと決めて営業をかけていらっしゃると思うんですね。
その知恵はどこから来るのかということと、加えて、輸出をどう考えるか。日本の中小企業は、残念ながら、全数の三・五%の企業しか輸出していません。ただ、OECDの統計では、生産性や給料の高い企業に共通していることの一つは輸出していることなんですね。
販路を拡大するための知恵と、販路を拡大する中で、中小企業や零細企業にとっての輸出の意味、もし意味があるんだったら、ジェトロを更にどのように活用する意義があるのかないのか、ぜひコメントをいただければと思います。
小
小出宗昭#26
○小出公述人 まず、販路拡大についてなんでございますけれども、私どもが使っている切り口というのは三つございまして、先ほどおっしゃられていたとおり、本当のセールスポイント、真のセールスポイントを生かすというところと、ターゲットを絞るというところと、連携をする、コラボレーションするというやつですね。
特に、今おっしゃっていただいたターゲットを絞るというところ、すごく重要だと思うんです。どういった層に対して売っていくのか、あるいはどういうシーンで使うのかについて、実は、大企業だったって全ての消費者層にぶつけてもなかなか物が売れない中で、中小企業や小規模事業者だったら、余計その辺のターゲティングというのは重要だと思うんですね。
そこに当たっては、実は、似たような別の業種を徹底的にリサーチすると、必ずその傾向というのは出てくるわけです。だから、我々が求めているようなビジネスセンスが高い人たちというのは、そういうことがきちんとできるんだと思うんですね、まさに企業の中でやっていましたから。その手法を使ってもらう、それを我々のところで研修しながら身につけてもらう、こんなふうに考えております。
輸出については、おっしゃるとおり、これからの中小企業にとりましても、海外に対してそのマーケットを広げていく、大変重要でございます。
本当に、実は小さな企業でもいとも簡単に海外にまで物を持っていけるような、ECを使えば簡単にできてしまいますものですから、ますますそれはふえてくるだろうという中において、実はジェトロは相当機能していると思います。私も二十年近くこの世界におりますけれども、従前に比べると、よっぽどビジネス的に即した形でのサポートができているように思います。
一方で、私どもは、それだけでは飽き足らない部分がありますものですから、当然ながら、海外にネットワークを持っている、例えば静岡県で多いというと、特に東南アジアにおいては静岡銀行が幅広くネットワークを持っているものですから、静岡銀行に相談したり。
あるいは、私どもですと、海外で仕事をした経験、実際問題、バリーの日本法人の社長さんですとか、あるいはエイチ・アイ・エスのパリの支店長だとか、そんな人間がおったりするものですから、あるいは輸出の経験を持っている人もおりますものですから、私どものビズネットワークの中では、そういった人間の助言も得ながら、より活性化させていくというふうにやっております。
この発言だけを見る →特に、今おっしゃっていただいたターゲットを絞るというところ、すごく重要だと思うんです。どういった層に対して売っていくのか、あるいはどういうシーンで使うのかについて、実は、大企業だったって全ての消費者層にぶつけてもなかなか物が売れない中で、中小企業や小規模事業者だったら、余計その辺のターゲティングというのは重要だと思うんですね。
そこに当たっては、実は、似たような別の業種を徹底的にリサーチすると、必ずその傾向というのは出てくるわけです。だから、我々が求めているようなビジネスセンスが高い人たちというのは、そういうことがきちんとできるんだと思うんですね、まさに企業の中でやっていましたから。その手法を使ってもらう、それを我々のところで研修しながら身につけてもらう、こんなふうに考えております。
輸出については、おっしゃるとおり、これからの中小企業にとりましても、海外に対してそのマーケットを広げていく、大変重要でございます。
本当に、実は小さな企業でもいとも簡単に海外にまで物を持っていけるような、ECを使えば簡単にできてしまいますものですから、ますますそれはふえてくるだろうという中において、実はジェトロは相当機能していると思います。私も二十年近くこの世界におりますけれども、従前に比べると、よっぽどビジネス的に即した形でのサポートができているように思います。
一方で、私どもは、それだけでは飽き足らない部分がありますものですから、当然ながら、海外にネットワークを持っている、例えば静岡県で多いというと、特に東南アジアにおいては静岡銀行が幅広くネットワークを持っているものですから、静岡銀行に相談したり。
あるいは、私どもですと、海外で仕事をした経験、実際問題、バリーの日本法人の社長さんですとか、あるいはエイチ・アイ・エスのパリの支店長だとか、そんな人間がおったりするものですから、あるいは輸出の経験を持っている人もおりますものですから、私どものビズネットワークの中では、そういった人間の助言も得ながら、より活性化させていくというふうにやっております。
岡
岡本三成#27
○岡本(三)委員 ありがとうございます。
ジェトロの役割はより重要だという大変重要なコメントをいただきましたが、実は、ジェトロは日本国内に中小企業の方々の相談窓口をつくっていて、都道府県で唯一ジェトロオフィスがない県が我が埼玉県でして、これは、知事に、何とかマインドを変えてくれということで、うちの公明党の県会議員が議会でどんどん追及しまして、やっと来年度の予算に組んでいただけそうなので、埼玉からもぜひどんどん輸出をしていきたいと思います。
もう一つだけ小出さんにお伺いしたいんですが、結局、どんなに中小企業が潤って社長がもうかっても、従業員の給料が上がらなければ、中小企業政策としては何の意味もないんですね。
まず、給料を払っていただけるようになるためにはもうからなければいけないので、小出さんのような方々にどんどんサービスを提供していただいて、もうかる体質をつくる。
ただ一方で、もうかっても給料を上げない企業もあるんです。よく、今、内部留保が問題になっていますけれども、自公政権、二〇一二年以降、四年とると、大企業の内部留保は三三%ふえているんですよ。中小企業も三五%ぐらいふえています。資本金一千万円以下の小規模事業者、内部留保は七〇%以上ふえています。要は、もうかっても払わないようなマインドセットになっちゃっているんですね。
企業経営者の方々にもうかって給料を払うんだと思っていただけるような施策であったり、私たちからのメッセージであったり支援というのは、どういうふうにすべきでしょうか。
この発言だけを見る →ジェトロの役割はより重要だという大変重要なコメントをいただきましたが、実は、ジェトロは日本国内に中小企業の方々の相談窓口をつくっていて、都道府県で唯一ジェトロオフィスがない県が我が埼玉県でして、これは、知事に、何とかマインドを変えてくれということで、うちの公明党の県会議員が議会でどんどん追及しまして、やっと来年度の予算に組んでいただけそうなので、埼玉からもぜひどんどん輸出をしていきたいと思います。
もう一つだけ小出さんにお伺いしたいんですが、結局、どんなに中小企業が潤って社長がもうかっても、従業員の給料が上がらなければ、中小企業政策としては何の意味もないんですね。
まず、給料を払っていただけるようになるためにはもうからなければいけないので、小出さんのような方々にどんどんサービスを提供していただいて、もうかる体質をつくる。
ただ一方で、もうかっても給料を上げない企業もあるんです。よく、今、内部留保が問題になっていますけれども、自公政権、二〇一二年以降、四年とると、大企業の内部留保は三三%ふえているんですよ。中小企業も三五%ぐらいふえています。資本金一千万円以下の小規模事業者、内部留保は七〇%以上ふえています。要は、もうかっても払わないようなマインドセットになっちゃっているんですね。
企業経営者の方々にもうかって給料を払うんだと思っていただけるような施策であったり、私たちからのメッセージであったり支援というのは、どういうふうにすべきでしょうか。
小
小出宗昭#28
○小出公述人 先ほどの━━━━ケースは、経営者よりも従業員さんの方の年収が高いというような立派な会社だと思うんですね。だから、そういった経営者としてのあるべき姿みたいなものをさまざまな機会で、実は、講演会ですとかセミナーで、商工団体だったり、あるいは我々も提示しているつもりでいるんですね。ですから、中小企業の経営者の皆様方も、決して勉強不足なんということはなくて、非常に経営者としてのあるべき姿というのを常に常に探っているように思います。
しかし、今御指摘のような問題というのは当然あるわけでございますから、より一層経営者としての、経営者教育と申しますか、あるべき姿を、さまざまな機関、地域金融機関も含めて提供しながら、勉強してもらったらいいんじゃないかな、かように思っております。
この発言だけを見る →しかし、今御指摘のような問題というのは当然あるわけでございますから、より一層経営者としての、経営者教育と申しますか、あるべき姿を、さまざまな機関、地域金融機関も含めて提供しながら、勉強してもらったらいいんじゃないかな、かように思っております。
岡
岡本三成#29
○岡本(三)委員 ありがとうございました。
最後に一つ、鈴木さんにお伺いをいたしたいんですけれども、この予算委員会に私参加をしておりまして、生産性が低いなと思う議論が一部ありまして、ちょっと残念に思っていることがありまして、それは何かというと、ある一部の方々は実質賃金が低いことを物すごい問題にされるんですね。
ただ、実質賃金は、労働参加率が上がれば上がるほど下押しのバイアスがかかります。当然、インフレが起きていれば更にバイアスがかかるわけですから、一つ一つに関しては結構バイアスのある数字なんだと思うんです。ただ、それに対して、別の方は、総雇用者所得はふえるとか言うんですよ。ただ、総雇用者所得は、勢いは示すことができますけれども、一人一人の豊かさはあらわさないんですね。
つまり、たった一つの指標で全体を見渡すことなんかできないのに、物すごい一つの指標にこだわったような議論が生産性が低いなと思うんですが、こういう議論、どう思われますか。
この発言だけを見る →最後に一つ、鈴木さんにお伺いをいたしたいんですけれども、この予算委員会に私参加をしておりまして、生産性が低いなと思う議論が一部ありまして、ちょっと残念に思っていることがありまして、それは何かというと、ある一部の方々は実質賃金が低いことを物すごい問題にされるんですね。
ただ、実質賃金は、労働参加率が上がれば上がるほど下押しのバイアスがかかります。当然、インフレが起きていれば更にバイアスがかかるわけですから、一つ一つに関しては結構バイアスのある数字なんだと思うんです。ただ、それに対して、別の方は、総雇用者所得はふえるとか言うんですよ。ただ、総雇用者所得は、勢いは示すことができますけれども、一人一人の豊かさはあらわさないんですね。
つまり、たった一つの指標で全体を見渡すことなんかできないのに、物すごい一つの指標にこだわったような議論が生産性が低いなと思うんですが、こういう議論、どう思われますか。