浦郷由季の発言 (経済産業委員会)

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○参考人(浦郷由季君) 一般社団法人全国消費者団体連絡会事務局長の浦郷由季でございます。
 本日は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の御審議に際し、意見を申し述べる機会をいただきましたことを御礼申し上げます。
 この意見を申し述べるに当たりまして、まずは、私たち全国消費者団体連絡会、全国消団連について御説明させていただきます。
 全国消団連は、一九五六年に設立された消費者団体の全国的な連絡組織です。二〇一三年に一般社団法人に移行し、消費者の権利の実現と暮らしの向上、消費者団体の活動の活性化と消費者運動の発展に寄与することを目的として活動しています。この活動の一環としまして、消費者問題、食の安全、表示、環境、エネルギー等、暮らしに関わる様々なテーマについて、国の審議会への参加やパブリックコメントでの意見の提出などを通して、消費者の立場からの意見発信を進めています。
 今回の独占禁止法改正法案について言えば、一昨年、二〇一七年四月に公表された独占禁止法研究会報告書の提言を受けて検討が進められたものと承知しております。そして、この報告書の公表に際して実施された意見募集において、全国消団連として独占禁止法の強化を求める意見を提出しております。また、本年三月、今回の独占禁止法改正法案が閣議決定された際にも、独占禁止法改正を求める意見を提出しております。
 このように、今回の独占禁止法改正法案について、消費者の利益の確保を求める立場から私たちの意見を申し述べてきたところです。
 本日は、今申し述べました意見の内容に沿ってお話をさせていただきます。
 まず、独占禁止法に対する基本的な認識を申し上げます。
 独占禁止法とは、市場における公正で自由な競争を促進することにより、一般消費者の利益の確保と経済の健全な発達を促進することを目的とする法律です。現に、独占禁止法違反行為によって生じる価格の引上げやサービスの低下等によって被害を受けるのは消費者、国民です。そのため、独占禁止法は消費者の利益を守る重要な法律であると考えています。
 次に、今回の独占禁止法改正法案に対する意見を申し述べます。
 まず、改正法案では、課徴金の算定期間の上限を三年から十年に延長したり、現行法では課徴金を課すことができない、いわゆる談合金など違反行為により生じた不当利得について算定基礎に追加するなど、違反行為を行った事業者が相応の課徴金を支払うことになるよう、課徴金制度の見直しが行われています。
 独占禁止法違反行為とは、日本の経済、市場に悪影響を与えるのみならず、消費者の利益を損なうものです。そのような行為によって事業者によるやり得を許してしまうような制度のままであると違反行為の抑止効果が発揮されないことにもなります。そのような観点からすれば、改正法案による課徴金制度の見直しは適切なものであると評価いたします。
 他方で、日本に売上額のない海外の事業者に対して課徴金を課せるようにするなど、独占禁止法研究会報告書において提言があったものの、改正法案では実現に至らなかった点もあると承知しております。より適切な課徴金制度のために改善すべき点があるとすれば、その改善に向けた対応が今後も必要と考えます。
 また、改正法案では、課徴金減免制度の機能を拡充することとしています。
 カルテル、談合といった事件は基本的に密室において行われており、違反事実の発見や真相解明が容易でないと思われます。そこで、違反事実を自ら報告してきた事業者に対する措置を免除あるいは課徴金を減額することによって、実態解明を促進し、違反行為の防止を図るという観点から、課徴金減免制度が導入されたと承知しております。
 しかしながら、現行の課徴金減免制度では、調査への協力度合いが課徴金の算定に反映されないため、事業者の調査協力インセンティブが不十分であり、事業者から事実の報告や資料の提出を十分に受けられていないとの問題が生じているとも承知しています。
 改正法案が実現すれば、公正取引委員会による調査への協力度合いに応じて事業者に課される課徴金の減算率が算定されることとなります。この新たな課徴金減免制度によって、しっかりと調査に協力した事業者ほど課徴金が減額されるような仕組みとなれば、調査協力インセンティブが高まることになります。これにより、事件の真相解明や違反状態の解消が迅速的、効率的に行われることが期待されますので、結果として消費者の被害回復や利益確保につながるものであると評価しております。
 次に、改正法案とともに議論されていた、いわゆる弁護士・依頼者間秘匿特権への対応について申し述べます。
 今回、公正取引委員会は、新たな課徴金減免制度をより機能させるといった観点から、カルテル、談合といった不当な取引制限の行政調査手続を対象に、事業者と弁護士との間で秘密に行われた通信の内容を記載した文書に審査官がアクセスしないものとする制度、つまり、いわゆる秘匿特権、これを導入することとしています。
 私たちとしては、改正法案に合わせてこのような制度を導入することには慎重であるべきとの立場ですが、仮に導入されるとしても、その範囲がカルテル、談合の不当な取引制限以外に拡大することについては懸念があります。
 例えば、独占禁止法の違反行為類型の一つには、自社の商品が実際の商品よりも良いものであると相手に誤解させて契約を結ばせようとする行為がありますが、独占禁止法以外にも、様々な消費者関連法、これは景品表示法や特定商取引法などになりますが、これらにおいても似た規制があります。そのような消費者関連法に基づく調査を行政が行う際、顧客勧誘マニュアルなど違反行為を立証するために重要な証拠となり得る文書について、事業者が、当該文書は独占禁止法に関する弁護士との相談文書であり、独占禁止法では秘匿特権で保護されているという旨を主張して開示を拒むおそれがあります。
 このように秘匿特権が濫用され、事業者が調査に協力しない、また事業者から証拠を得られにくくなるといったことがあれば、消費者庁などによる調査実務に支障が生じ、消費者利益が損なわれてしまうことが懸念されます。消費者団体としては、景品表示法や特定商取引法の執行はまだまだ不十分と捉えており、更なる執行力の強化を求めております。そのため、制度の拡大を検討する際には、他法令の執行に影響を及ぼすことがないよう慎重な検討が必要と考えております。
 これまでの改正法案の議論においては、ややもすると秘匿特権が論点になりがちでしたが、消費者団体としては、今回の独占禁止法改正の眼目は課徴金制度の見直しであると認識しています。この秘匿特権に関する議論によって昨年の通常国会において改正法案提出が見送られていますが、この間も大きなカルテル、談合事件などが続いております。消費者利益の保護を図るためにも、是非この国会の場で十分な御審議をいただきまして、一日も早い成立を消費者団体として心から願っております。
 最後に、重ねて今国会での成立をお願いいたしまして、私からの意見表明とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

発言情報

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発言者: 浦郷由季

speaker_id: 2789

日付: 2019-06-13

院: 参議院

会議名: 経済産業委員会