経済産業委員会

2019-06-13 参議院 全228発言

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会議録情報#0
令和元年六月十三日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月十一日
    辞任         補欠選任
     山口 和之君     石井  章君
     大門実紀史君     辰巳孝太郎君
 六月十二日
    辞任         補欠選任
     こやり隆史君     北村 経夫君
     宮本 周司君     徳茂 雅之君
     吉川ゆうみ君     松川 るい君
     木戸口英司君     石上 俊雄君
 六月十三日
    辞任         補欠選任
     磯崎 仁彦君     足立 敏之君
     徳茂 雅之君     宮本 周司君
     丸川 珠代君     元榮太一郎君
     辰巳孝太郎君     武田 良介君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         浜野 喜史君
    理 事
                井原  巧君
                佐藤  啓君
                浜口  誠君
                石井  章君
    委 員
                足立 敏之君
                青山 繁晴君
                磯崎 仁彦君
                北村 経夫君
                滝波 宏文君
                徳茂 雅之君
                松川 るい君
                松村 祥史君
                宮本 周司君
                元榮太一郎君
                渡辺 猛之君
                斎藤 嘉隆君
                真山 勇一君
                石上 俊雄君
                谷合 正明君
                平木 大作君
                岩渕  友君
                武田 良介君
                辰巳孝太郎君
   国務大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣)     宮腰 光寛君
   政府特別補佐人
       公正取引委員会
       委員長      杉本 和行君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山口 秀樹君
   政府参考人
       公正取引委員会
       事務総局経済取
       引局長      菅久 修一君
       公正取引委員会
       事務総局審査局
       長        南部 利之君
   参考人
       JXTGホール
       ディングス株式
       会社取締役副社
       長執行役員    川田 順一君
       一般社団法人全
       国消費者団体連
       絡会事務局長   浦郷 由季君
       早稲田大学法学
       学術院教授    土田 和博君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法
 律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院
 送付)
○政府参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
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浜野喜史#1
○委員長(浜野喜史君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、山口和之君、大門実紀史君、木戸口英司君、こやり隆史君、吉川ゆうみ君及び宮本周司君が委員を辞任され、その補欠として石井章君、辰巳孝太郎君、石上俊雄君、北村経夫君、松川るい君及び徳茂雅之君が選任されました。
 また、本日、丸川珠代君が委員を辞任され、その補欠として元榮太一郎君が選任されました。
    ─────────────
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浜野喜史#2
○委員長(浜野喜史君) 理事の補欠選任を行います。
 去る十一日の本委員会におきまして、一名の理事につきましては、後日、委員長が指名することとなっておりましたので、本日、理事に石井章君を指名いたします。
    ─────────────
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浜野喜史#3
○委員長(浜野喜史君) 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
 御出席いただいております参考人は、JXTGホールディングス株式会社取締役副社長執行役員川田順一君、一般社団法人全国消費者団体連絡会事務局長浦郷由季君及び早稲田大学法学学術院教授土田和博君でございます。
 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
 皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 次に、議事の進め方について申し上げます。
 まず、川田参考人、浦郷参考人、土田参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知ください。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず川田参考人からお願いいたします。川田参考人。
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川田順一#4
○参考人(川田順一君) 私、経団連で競争法部会長を務めておりますJXTGホールディングス副社長の川田でございます。本日はこのような意見陳述の機会を設けていただき、誠にありがとうございます。
 私から、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、本法案に賛成の立場から経団連の考え方を御説明申し上げたいと存じます。
 初めに、本法案に対する意見を申し上げます前に、経団連といたしまして、法令遵守に対する基本的なスタンスを御説明申し上げたいと存じます。
 経団連では、一九九一年に企業行動憲章を定めまして、その前段におきまして、企業は、公正かつ自由な競争の下、社会に有用な付加価値及び雇用の創出と自律的な責任ある行動を通じて持続可能な社会の実現を牽引する役割を担うとしており、その実現のための原則といたしまして、公正かつ自由な競争並びに適正な取引、責任ある調達を行う、また、経営トップは、実効あるガバナンスを構築して社内、グループ企業に本憲章の精神の実現を周知徹底を図る、そして、万一、本憲章の精神に反し社会からの信頼を失うような事態が発生したときには、経営トップが率先して問題解決、原因究明、再発防止等に努め、その責任を果たすと宣言しております。
 以上の経団連のスタンスを御理解いただきました上で、本法案に関する私どもの考え方を御説明申し上げます。
 まず、本法案におきましては、事業者と公正取引委員会による協力型の事件処理の実現が図られております。独占禁止法違反被疑事件に関しましては、早期に実態解明を行い、速やかに事案の解決を図ることが公正取引委員会、事業者双方にとって有益であると存じます。
 そのためには、従前のような、調査をする公正取引委員会と調査を受ける事業者とが相対立して、また時間を掛けて解明を行うのではなく、事業者自らが責任を持って調査あるいは証拠収集等を行い、公正取引委員会と協力して早期に解決を図る、このようなスキームを創設することが必要であると考えております。
 この観点から、経団連といたしましては、公正取引委員会との議論の中で、事業者にとって調査に協力するインセンティブがより付与されるような制度設計を要望していたところでございますが、本法案はこのような我々の考えに即したものとなっており、その内容に賛同いたしたいと存じます。
 また、協力型の事件処理を有効に機能させるものとしまして、弁護士・依頼者間秘匿特権制度が導入される予定でございます。同制度に関しましても、従来から私どもが要望していたものでございまして、その創設を歓迎いたしたいと存じます。
 以上、本法案賛成を申し上げました上で、本日は、課徴金制度の見直し及び弁護士・依頼者間秘匿特権につきまして、要望も含めまして若干の補足の意見を申し上げたいと存じます。
 まず、課徴金制度についてでございますが、先ほど申し上げましたとおり、協力型の課徴金減免制度の導入は私どもからも具体的に提言したところでございまして、積極的に評価させていただいております。単に申請順位だけでなく、申請後の調査への協力度合いに応じた課徴金の減免が受けられることによりまして、減免申請後の調査に対する事業者の協力が促進されると考えております。
 他方、この協力型の課徴金減免制度に関しましては、協力度合いをどう評価するのかという課題が残されております。これに関しまして、経団連といたしましては、かねてより、予見可能性、透明性、公平性の確保が重要と申し上げてまいりました。
 どのようなものを証拠として提出し、どのように調査協力を行えば、どの程度の減免が受けられるのか、これらが明らかになることによりまして、事業者として行うべき調査の手法や対象が明確となり、事業者が積極的かつ早期に効率的に調査、実態解明に乗り出しやすくなると考えております。
 本法案が成立した後、事業者の協力度合いの具体的な評価方法等につきましてガイドラインが制定されると承知しておりますが、事業者がより積極的に調査に協力できるように、課徴金制度の制度設計、特に証拠の評価やそれに基づく減算率の決定に関しましては、衆議院の附帯決議にもありますとおり、是非とも分かりやすく、事業者の予測可能性の確保に資する内容としていただきますようお願い申し上げます。
 次に、秘匿特権につきまして申し上げます。
 協力型の課徴金減免制度が導入されますと、事業者が調査協力を効果的に行うために、事業者から弁護士に相談するニーズは今以上に高まるものと考えております。その際、弁護士との間の相談の内容の秘密が保障されていなければ、事業者が弁護士に相談することをためらい、結果として調査への協力が進まない可能性がございます。秘匿特権制度は、事業者が法律専門家の助言を得ながら主体的に公正取引委員会と協力して実態解明を行い、早期の事件解決を行うための制度でございまして、協力型の事件処理に不可欠な仕組みと申せます。
 また、国際的なカルテル事案等におきまして、他国で秘匿特権の対象となっている事項が日本ではその対象ではないとされますと、国際的な日本の競争法制の信頼を損ねる結果となる懸念がございます。
 これらのことから、経団連は、秘匿特権の導入を重要な課題と位置付け、実態の伴った秘匿特権制度、諸外国から見て日本に秘匿特権があると評価され得る制度の創設を強く要請してまいりました。この度の案につきましては、事業者の目線から見させていただいて、大きな違和感のない制度であると評価しております。
 制度の詳細につきましては、今後、規則、指針等で決定されると承知しておりますが、ここでは、企業実務の観点から、特に次の三点につきまして意見をお伝えしたいと思います。
 まず一点目は、判別手続に対しての訴訟救済でございます。
 秘匿特権該当性に関しまして、諸外国では最終的に司法裁判所の判断を仰げる制度となっており、司法審査が受けられるかどうかは諸外国から見た制度の信頼性に大きく影響いたします。
 これに関しましては、公正取引委員会より、判別官の判断に対しては司法救済はない、しかしながら、秘匿特権該当性がないと判断され審査官に移送された物件に対しまして、公正取引委員会が、秘匿特権に該当すると主張する事業者の還付請求を拒否する旨の決定を行った際には、事業者は、その決定につき、行政事件訴訟法の規定による取消し訴訟を提起できるとの見解をお示しいただきました。是非この見解を海外当局や実務家に分かりやすい形で明確化していただきたいと存じます。
 二点目は、秘匿特権の対象物件の範囲でございます。
 今回、相談・回答文書に含まれる事実が唯一の証拠となる場合であっても、弁護士の評価、整理が介在するものは制度の対象となる旨の整理をいただきました。これは諸外国の制度と比較して遜色のない水準であると理解しておりますが、このような整理は必ずしも現在の公正取引委員会の資料からは読み取ることができませんので、こちらにつきましても、今後何らかの形で対外的に明確化いただきたいと存じます。
 三点目は、電子メールの取扱いについてでございます。
 現在、弁護士とのやり取りの大半は電子メールでございますが、公正取引委員会の資料には電子メールの取扱いに関する記載がございません。実務の観点からは、紙の文書や報告書、メモと同様に、電子メールも弁護士と事業者との間の通信内容、記録でございますので、今後、この取扱いについても具体的な検討をお願いしたいと存じます。
 その際には、膨大な量などの電子メールの特殊性を踏まえまして、プリビレッジログ、すなわち秘匿特権の対象物であることを示す文書の提出時期や記載内容につきまして、実務上対応可能となるよう調整いただければ幸いでございます。
 以上、今後整備される予定の課徴金減免制度と秘匿特権の細部事項につきまして意見を申し上げましたが、冒頭申し上げましたとおり、繰り返しになりますが、経済界としては本法案の内容に賛成でございます。我が国の産業競争力の強化とより豊かな国民生活の実現のためには、公正かつ自由な競争環境を整備し、事業者間での競争を促すことが不可欠でございます。
 他方、グローバル化、デジタル化が加速する中で、競争政策の在り方をめぐっても様々な変化や新しい課題が生じております。国際基準に劣らない競争制度を整え、グローバル化、デジタル化に対応しつつ、公正、自由な競争を一層促進する観点からも、法案の早期の成立をお願いいたしたいと存じます。
 私からは以上でございます。
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浜野喜史#5
○委員長(浜野喜史君) ありがとうございました。
 次に、浦郷参考人にお願いいたします。浦郷参考人。
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浦郷由季#6
○参考人(浦郷由季君) 一般社団法人全国消費者団体連絡会事務局長の浦郷由季でございます。
 本日は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の御審議に際し、意見を申し述べる機会をいただきましたことを御礼申し上げます。
 この意見を申し述べるに当たりまして、まずは、私たち全国消費者団体連絡会、全国消団連について御説明させていただきます。
 全国消団連は、一九五六年に設立された消費者団体の全国的な連絡組織です。二〇一三年に一般社団法人に移行し、消費者の権利の実現と暮らしの向上、消費者団体の活動の活性化と消費者運動の発展に寄与することを目的として活動しています。この活動の一環としまして、消費者問題、食の安全、表示、環境、エネルギー等、暮らしに関わる様々なテーマについて、国の審議会への参加やパブリックコメントでの意見の提出などを通して、消費者の立場からの意見発信を進めています。
 今回の独占禁止法改正法案について言えば、一昨年、二〇一七年四月に公表された独占禁止法研究会報告書の提言を受けて検討が進められたものと承知しております。そして、この報告書の公表に際して実施された意見募集において、全国消団連として独占禁止法の強化を求める意見を提出しております。また、本年三月、今回の独占禁止法改正法案が閣議決定された際にも、独占禁止法改正を求める意見を提出しております。
 このように、今回の独占禁止法改正法案について、消費者の利益の確保を求める立場から私たちの意見を申し述べてきたところです。
 本日は、今申し述べました意見の内容に沿ってお話をさせていただきます。
 まず、独占禁止法に対する基本的な認識を申し上げます。
 独占禁止法とは、市場における公正で自由な競争を促進することにより、一般消費者の利益の確保と経済の健全な発達を促進することを目的とする法律です。現に、独占禁止法違反行為によって生じる価格の引上げやサービスの低下等によって被害を受けるのは消費者、国民です。そのため、独占禁止法は消費者の利益を守る重要な法律であると考えています。
 次に、今回の独占禁止法改正法案に対する意見を申し述べます。
 まず、改正法案では、課徴金の算定期間の上限を三年から十年に延長したり、現行法では課徴金を課すことができない、いわゆる談合金など違反行為により生じた不当利得について算定基礎に追加するなど、違反行為を行った事業者が相応の課徴金を支払うことになるよう、課徴金制度の見直しが行われています。
 独占禁止法違反行為とは、日本の経済、市場に悪影響を与えるのみならず、消費者の利益を損なうものです。そのような行為によって事業者によるやり得を許してしまうような制度のままであると違反行為の抑止効果が発揮されないことにもなります。そのような観点からすれば、改正法案による課徴金制度の見直しは適切なものであると評価いたします。
 他方で、日本に売上額のない海外の事業者に対して課徴金を課せるようにするなど、独占禁止法研究会報告書において提言があったものの、改正法案では実現に至らなかった点もあると承知しております。より適切な課徴金制度のために改善すべき点があるとすれば、その改善に向けた対応が今後も必要と考えます。
 また、改正法案では、課徴金減免制度の機能を拡充することとしています。
 カルテル、談合といった事件は基本的に密室において行われており、違反事実の発見や真相解明が容易でないと思われます。そこで、違反事実を自ら報告してきた事業者に対する措置を免除あるいは課徴金を減額することによって、実態解明を促進し、違反行為の防止を図るという観点から、課徴金減免制度が導入されたと承知しております。
 しかしながら、現行の課徴金減免制度では、調査への協力度合いが課徴金の算定に反映されないため、事業者の調査協力インセンティブが不十分であり、事業者から事実の報告や資料の提出を十分に受けられていないとの問題が生じているとも承知しています。
 改正法案が実現すれば、公正取引委員会による調査への協力度合いに応じて事業者に課される課徴金の減算率が算定されることとなります。この新たな課徴金減免制度によって、しっかりと調査に協力した事業者ほど課徴金が減額されるような仕組みとなれば、調査協力インセンティブが高まることになります。これにより、事件の真相解明や違反状態の解消が迅速的、効率的に行われることが期待されますので、結果として消費者の被害回復や利益確保につながるものであると評価しております。
 次に、改正法案とともに議論されていた、いわゆる弁護士・依頼者間秘匿特権への対応について申し述べます。
 今回、公正取引委員会は、新たな課徴金減免制度をより機能させるといった観点から、カルテル、談合といった不当な取引制限の行政調査手続を対象に、事業者と弁護士との間で秘密に行われた通信の内容を記載した文書に審査官がアクセスしないものとする制度、つまり、いわゆる秘匿特権、これを導入することとしています。
 私たちとしては、改正法案に合わせてこのような制度を導入することには慎重であるべきとの立場ですが、仮に導入されるとしても、その範囲がカルテル、談合の不当な取引制限以外に拡大することについては懸念があります。
 例えば、独占禁止法の違反行為類型の一つには、自社の商品が実際の商品よりも良いものであると相手に誤解させて契約を結ばせようとする行為がありますが、独占禁止法以外にも、様々な消費者関連法、これは景品表示法や特定商取引法などになりますが、これらにおいても似た規制があります。そのような消費者関連法に基づく調査を行政が行う際、顧客勧誘マニュアルなど違反行為を立証するために重要な証拠となり得る文書について、事業者が、当該文書は独占禁止法に関する弁護士との相談文書であり、独占禁止法では秘匿特権で保護されているという旨を主張して開示を拒むおそれがあります。
 このように秘匿特権が濫用され、事業者が調査に協力しない、また事業者から証拠を得られにくくなるといったことがあれば、消費者庁などによる調査実務に支障が生じ、消費者利益が損なわれてしまうことが懸念されます。消費者団体としては、景品表示法や特定商取引法の執行はまだまだ不十分と捉えており、更なる執行力の強化を求めております。そのため、制度の拡大を検討する際には、他法令の執行に影響を及ぼすことがないよう慎重な検討が必要と考えております。
 これまでの改正法案の議論においては、ややもすると秘匿特権が論点になりがちでしたが、消費者団体としては、今回の独占禁止法改正の眼目は課徴金制度の見直しであると認識しています。この秘匿特権に関する議論によって昨年の通常国会において改正法案提出が見送られていますが、この間も大きなカルテル、談合事件などが続いております。消費者利益の保護を図るためにも、是非この国会の場で十分な御審議をいただきまして、一日も早い成立を消費者団体として心から願っております。
 最後に、重ねて今国会での成立をお願いいたしまして、私からの意見表明とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
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浜野喜史#7
○委員長(浜野喜史君) ありがとうございました。
 次に、土田参考人にお願いいたします。土田参考人。
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土田和博#8
○参考人(土田和博君) おはようございます。早稲田大学で経済法、独占禁止法を担当しております土田と申します。
 本日は、独占禁止法改正案につきまして意見を述べる機会をいただきまして、誠にありがとうございます。お礼申し上げます。時間が限られておりますので、早速ですけれども、管見を述べさせていただきたいと思います。
 今回の独占禁止法改正案は、課徴金制度導入から四十年以上、不当な取引制限に対する課徴金の算定率を引き上げ課徴金減免制度を導入した二〇〇五年の改正から数えますと十四年が経過して、現れてきました様々な問題に対処しようという重要な改正であると考えております。
 結論を先に申しますと、このような改正案は、多少積み残しとなる課題もありますけれども、現れてきた種々の問題に対応して独禁法の違反抑止力を強化しようとするものでありまして、基本的に賛成いたします。
 以下三点、その理由を述べたいと思います。
 まず第一に、二〇一七年四月に公表されました独占禁止法研究会報告書は、課徴金制度や課徴金減免制度をめぐる問題を洗い出しまして対応を必要とするものを指摘したわけですけれども、そのうちかなりの項目が今回の改正案に盛り込まれているということであります。
 改正案は、不当な経済的利得さえ徴収できていない場合に対応するため、課徴金の算定期間を十年に延長するとともに、業種別算定率を廃止したり、談合金ですとか下請として仕事をする形で不当に得た協力金を算定の基礎に含めたりしております。
 また、改正案は、調査協力度合いに応じて課徴金を減額する一方、他の事業者に対して資料を隠蔽させるなどした場合に課徴金を増額することとして、調査協力へのインセンティブを高め、あるいは調査妨害を行わないよう動機付けることとしております。
 さらに、企業グループ単位での事業活動が増えているということから、グループ単位で違反の繰り返しを認定したり、不当な取引制限の禁止に違反した親会社に売上げがない場合でも、完全子会社が親会社からの指示を受けて販売していた場合等に親会社に課徴金を賦課できるようにしたりしています。
 これらはいずれも、二〇一七年の報告書が求めていた事項に改正案が対応しているものでございます。
 他方、国際市場分割協定に対する課徴金、外国の競争当局が制裁金等の算定の基礎とした売上額は控除する旨の規定の導入、あるいは、入札談合は具体的な競争制限効果が発生することを要件としないで課徴金を課せることとするといったようなことは、報告書が求めていたものでありますけれども、今回の改正案には盛り込まれていないわけでございます。
 このように、二〇一七年の報告書が指摘していた項目で改正案に取り入れられたものとそうでないものとがあるわけですけれども、報告書が指摘しました相当多数の項目が改正案に取り入れられており、また、積み残しとなった事項の中には改正の必要性ですとか緊急性が他の事項に比べますと必ずしも大きいとは言えないものも含まれていましたので、そういったことを考えますと、全体としては、重要な事項はおおむね改正案に盛り込まれているものと言うことができると思います。
 これが改正案に基本的に賛成する第一の理由でございます。
 第二に、改正案は、密室の犯罪と言われるカルテルを早期に発見し、その立証を容易にして、違反が認められた場合には厳正に対処しようという方向、すなわち、独禁法の違反抑止力を強化する方向で一段ギアを引き上げるというものだと思います。
 違反抑止のためには不当な経済的利得を上回る課徴金を課すことが理論的には必要になりますけれども、先ほど申しましたように、これまで不当な経済的利得さえ徴収できていない場合があったわけであります。その典型例は、五年、十年と続いたカルテルであっても三年分の売上額をベースにしてしか課徴金を課せないというものでありますけれども、改正案は課徴金の算定期間を十年に延長いたしまして、その間の売上額に基づいて算定することによりまして違反抑止に必要な課徴金を課すことができるようにしております。
 また、現行の小売業の算定率三%、卸売業の算定率二%というのは、通常の事業活動によって得られる売上高営業利益率を基に定められたものですので、通常の事業活動ではないカルテルという違法行為の利益率とは無関係であります。したがいまして、これを廃止するということにも合理性があると考えます。
 さらに、カルテルの一種であります入札談合の場合、現行法では、談合によって受注予定者に決まった事業者が発注者と契約をして売上げが生じたときに、課徴金はその事業者に課されるだけでございますけれども、改正案は、入札談合に参加しまして受注予定者が受注できるように協力をした事業者が談合金を受け取っていたり、落札者の下請として仕事をすることで不当に協力金を得たりした場合には、課徴金の算定対象とすることとしております。それによりまして、課徴金が賦課される事業者の範囲を拡大しているということでございます。これらは、いずれも違反抑止力を改善し強化する方向の改正でございます。
 もっとも、課徴金を課すためには、当然のことですけれども、違反行為が発見されなければなりません。この点、今回の改正案は、調査協力度合いに応じた課徴金の減算を可能とすることによりまして、違反行為の発見、立証をより容易にしようとしています。
 現在は、公取委への申請順位だけでほぼ自動的に課徴金の減算率が一〇〇%、五〇%、三〇%と決まるわけでありますけれども、これは私の理解では、日本の風土には必ずしもなじまないのではないかというふうに言われていた課徴金減免制度を定着させるために、あえて自動的、機械的に申請の順位だけで免除や減額を決定してきたものでございます。
 しかし、リニエンシー制度の導入から十四年がたち、この制度が相当によく利用され、ほぼ定着をしたと考えられます現在、提出する証拠の価値にかかわらず、基本的に公取委への申告の早さだけで課徴金の減算率が決まってしまうということになってしまっております。あるいは、一定の順位を確保すればあとは調査に協力しないという事業者も現れるようになってきたため、調査協力の度合いによる減算ができることといたしまして、公取委の実態解明への協力を促そうとしているものであります。
 繰り返しますけれども、これらはカルテルの発見、立証を容易にし、違反行為が存在する場合にはより広い範囲でより重い課徴金を賦課しようという重要な改正案であると考えております。
 第三に、弁護士・依頼者間通信秘密保護制度の取扱いについてでございます。
 これは、弁護士・依頼者間秘匿特権、あるいは長いので単に秘匿特権とも申しますけれども、この言葉はややミスリーディングであります。実は、弁護士ではなく依頼者の利益を保護する制度的保障であります。
 これにつきましては、二年前の報告書では、秘匿特権は、課徴金減免制度の利用を促す観点から、公取委の運用で、新たな課徴金減免制度の利用に関する依頼者と弁護士のコミュニケーションに限定して配慮することが適当であるとされていたわけでございます。
 これに対しまして、今回の改正案が成立した場合には、公取委の運用ではなく、公取委を拘束する規則に明記することとし、またリニエンシー制度を利用するという観点だけではなくて、適正手続を確保するという観点も加えることによりまして、課徴金の減免を申請しない事業者についても通信の秘密を保障することとしたわけで、報告書よりは手厚い手続保障になっていると思います。
 しかし、秘匿特権は規則ではなくて法律に書くべきだという御議論もあるかと思います。
 この点につきましては、仮に法律に規定するとしましたならば、いろんなことを書き込む必要が出てくるように思います。例えば、そもそも依頼者とは正確には誰のことか、対象物件の範囲はどのようなものか、弁護士には社内弁護士を含むのか等々、細かな点を詰める必要があると思います。
 また、仮に法律に規定を設けるとしますと、単に依頼者が弁護士との交信の一部を国などに対して秘匿できるということだけではなくて、どのような場合に依頼者が秘匿特権を放棄したと認められるか、あるいはいかなる場合に秘匿特権が認められない例外に当たるかということも書き込まざるを得ないかと思います。そのことを強調しておきたいと思います。
 この秘匿特権と言われるものは、主に英米等の判例法国で、判例の積み重ねでルールが形成されてきたものであります。したがいまして、国によりましてその内容は完全に同じではありませんけれども、今も申しましたように、秘匿特権の放棄ですとか秘匿特権が認められない例外も秘匿特権に関するルールを構成しているわけでございます。
 多少具体的に申しますと、秘匿特権をどのような場合に放棄したと考えられるかにつきましては、依頼者が対象物件を開示することに同意した場合だけではなく、依頼者が故意又は自発的に対象物件を開示するなど秘匿と矛盾した行動を取った場合には秘匿特権を放棄したものとされるのが一般的でございます。
 また、秘匿特権の例外ないし限界につきましては、犯罪・詐欺例外、お手元に資料が行っているかと思いますけれども、クライム・フロード・イグゼンプションというふうに書いてしまいましたけれども、これは、クライム・フロード・イクセプション、イグゼンプションではなくてイクセプションの間違いでございます。失礼しました。犯罪・詐欺例外というものがございます。
 これは、過去に行われた被疑行為に関する交信は秘匿特権の対象になりますけれども、現在行われている違反行為あるいは将来行われる可能性のある違反に対する通信は秘匿特権の対象にならないというものでございます。要するに、現在違反行為が行われているならば弁護士さんはそれをやめさせなければならないわけで、それにもかかわらず違反行為を継続させるというような助言をした場合には、それは秘匿特権の対象とならないわけでございます。
 以上言いました点、今申しました点は、言い換えますと、事業者の手続保障と公正取引委員会の実態解明機能の確保は互いにバランスの取れたものでなければならないと言えるわけで、そのような観点からいたしますと、具体的に何をどのように規定すべきか、改正に至るまでのプロセスにおいては表立っては議論されることはほとんどなかったと承知しております。
 そのようなわけですので、法律に書くということにするためには議論が残念ながら不十分なのではないか、そのように考えております。したがいまして、今回提案されておりますように、公正取引委員会の規則に必要最小限の規定を設けるというやり方には一定の合理性があると思います。
 まとめますと、第一に、この改正の出発点ともいうべき二〇一七年の報告書が求めていた事項の相当多くのものが改正案に反映されているということ、第二に、独禁法の違反抑止力を一層強化する方向の改正案であるということ、第三に、現状では提案される秘匿特権の取扱いに合理性が認められるということから、私は、この改正案に賛成するものでございます。
 以上でございます。
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浜野喜史#9
○委員長(浜野喜史君) ありがとうございました。
 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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佐藤啓#10
○佐藤啓君 自由民主党の佐藤啓でございます。
 本日は、貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。また、お忙しい中、日程調整いただきまして感謝を申し上げたいと思います。
 それでは、初めに川田参考人に伺います。
 今般の独禁法の改正案の主な内容は課徴金制度の見直しでございますけれども、その中で、調査協力減算制度ということで、事業者と公正取引委員会が、対立した関係ではなくて協力をしてこの独禁法の違反行為を摘発し、正していくという意味で、目新しい制度ということになると思いますけれども、参考人の御説明の中でも協力型の事件処理というような言葉が用いられておりましたけれども、経済界の要望に沿った制度ではないかなとの印象を受けました。
 この新たな調査協力減算制度によって事業者の行動に何らかの変化が生じるのかどうか、また、変化が生じるとすればどのような変化があると考えられるのか、お伺いをいたします。
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川田順一#11
○参考人(川田順一君) ありがとうございます。
 私から御回答を申し上げます。
 まず申し上げたいのは、現在におきまして事業者といいますのは、CSRの観点あるいはESGの観点から、法令違反行為、これを未然に防止するということは非常に大きな課題になっておりまして、それについて経営としては社内における徹底をしているというところでございます。
 その中で、その法令遵守、違反未然防止を図るためといたしまして、遵法教育でありましたり、あるいは遵法点検でありましたり、あるいは内部通報制度の充実でありましたり、内部監査の充実であるということをやっております。
 万一、違反行為が見付かった場合、これは、先ほど申し上げたようなESGあるいはCSRの観点から速やかに解明をするというのは、これは経営者の新たな役割でありますし、責務であろうかと存じます。
 今回の改正でございますけれども、減免が調査協力度合いによりましてかなり大きくなるということから、先ほど申し上げたような未然防止のためのまずは遵法点検を今以上に強力にやっていく必要があるだろうと、それから内部監査につきましてもより以上に充実させる、そういうことによって、まず違反行為が社内あるいはグループ会社内にあるかないかという調査、それを相当進めていくというように変化があると存じます。
 また、そこで仮に違反行為が見付かった場合でございますが、その場合には、弁護士とも協議し、どのような証拠を集めるのか、どのようにそれを分析するのかということを行いまして、そして違反行為であるということになれば速やかに公正取引委員会に申請をしていくと、こういう形になりまして、そして公正取引委員会とともに調査、解明をより一層進めていくというような変化があろうかと存じます。
 それが、私、先ほど申し上げたような協力型の事件処理ということで考えているところでございます。
 以上でございます。
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佐藤啓#12
○佐藤啓君 ありがとうございました。
 次に、川田参考人、浦郷参考人、土田参考人の三人にお伺いをいたします。
 この調査協力減算制度についてですけれども、公正取引委員会は、事業者が行うこの協力内容の評価方法に関してガイドラインを整備するというふうにしております。このガイドライン、非常に重要であると思いますけれども、このガイドラインを整備するに当たっての留意すべき点をそれぞれにお答えいただければと思います。
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川田順一#13
○参考人(川田順一君) ありがとうございます。
 まず重要なのは、事業者による解明が促進されるものでなければならないということで、評価の対象となる証拠は何なのか、そしてそれがどのように評価されるのか、そしてその減算率がどのように決定されるのか、これを明らかにするということは重要であると私は考えております。
 以上でございます。
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浦郷由季#14
○参考人(浦郷由季君) この調査協力減算制度は、事業者の調査協力インセンティブを高めるために導入されるものと思っております。
 一方で、現行制度では僅かでも公正取引委員会にその情報を提供すれば減算率が最大となってしまう、こういうようでは調査協力のインセンティブを高めることができないと考えております。
 そのためにも、ガイドラインの策定に当たりましては、公正取引委員会に必要十分な情報を提供して初めて最大の減額が行われる、そうでなければ相応の減額にしかならないと、そこら辺をきちんと明らかにする必要があると考えております。
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土田和博#15
○参考人(土田和博君) なかなか難しいところがあろうかと思います。
 調査開始前は最大四〇%、調査開始後は二〇%までで協力度合いによって減算をするということでございます。EUにも同様の制度がございますけれども、これ、EUのものを見ましても余り詳しいことは書いていないと承知しております。どのような証拠をどのタイミングで出したか、競争当局が立入調査を可能にするような証拠価値の高いものなのかどうかとか、どのタイミングで出したか、追加的な価値のある資料なのかどうかというようなことは書いてありますけれども、EUのものにもそれほど詳しいことは書いていないわけでございます。
 したがいまして、公正取引委員会がどのようなものを作られるか分かりませんけれども、少なくてもその証拠の価値ですとかタイミングですとか、それによってどの程度の減算をするのかということをきっちり書く、そしてそれを公正に適用していくということが重要かと思います。
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佐藤啓#16
○佐藤啓君 ありがとうございます。
 次に、川田参考人にお伺いをいたします。
 今回の課徴金制度の見直しでは、課徴金のこの基本的な算定率の一〇%は改正しないということになっています。一方で、今回の改正に先立って開催されました独占禁止法の研究会では算定率の引上げを行うべきという意見もあったというふうに聞いております。
 今回の法改正でカルテルですとか入札談合等の独禁法違反行為に対する抑止力は高まっているのか、抑止力として十分な水準を確保できているのかという点についてお伺いできればと思います。
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川田順一#17
○参考人(川田順一君) ありがとうございます。
 今回の改正におきましては、先ほど先生の御説明ありましたとおり、算定期間が延びている、あるいは算定基礎が拡充されているという問題もございます。さらには、割増し率算定の対象となる類型の追加などもされておりますので、私どもとしては十分に抑止力があると考えております。
 また、刑事罰、日本において刑事罰も科されることになっておりますので、それも引き続き非常に重いものになっておりますので、抑止力は十分高いという判断をしております。
 以上でございます。
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佐藤啓#18
○佐藤啓君 ありがとうございました。
 次に、土田参考人にお伺いをいたします。
 土田参考人は、独占禁止法の外国事業者に対する域外適用について研究をされているというふうに私は認識をしておるんですけれども、今回の独禁法改正案では、独占禁止法研究会報告書で提言されていた国際市場の分割カルテルへの課徴金の賦課が盛り込まれていないということがあります。公正取引委員会は法制上の課題をなかなか解決できずに改正を見送ったということなのかもしれませんけれども、この点、どういう課題があるというふうに参考人は考えていらっしゃいますでしょうか。また、この課題解決に向けてお考えがあれば、お聞かせ願えればと思います。
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土田和博#19
○参考人(土田和博君) ありがとうございます。
 国際市場分割協定で日本市場、日本の領域に一定の影響があるものでありましたら日本の独占禁止法は適用できるというのが、大まかに言いましてその域外適用の考え方でございます。ちょっと不正確でございますけれども、そういうことでございます。
 国際市場分割協定というのは、例えばヨーロッパに本社がある事業、例えばイギリスならイギリスに本社のある事業者は、イギリスの発注者、イギリスでの仕事だけを取る、発注者が発注した仕事だけを取る、それに対して日本の事業者は日本の発注者が発注した事業だけを取るということで、お互いのホームマーケットは荒らさない、そこへは進出していかない、こういうものでございますけれども、これが日本国内で売上げがあった場合には、これは不当な経済的な利得もはっきりあるわけですから、はっきりした形であると言えるわけですから、日本市場で売上げがあった場合には課徴金の対象になるということでございますけれども、国際市場分割協定というのは、外国の事業者は日本国内には入ってこない、日本市場では売上げがないわけですので、その売上額に一〇%を掛けて、ゼロに一〇%を掛けてもゼロだと、課徴金はゼロだということで、現在の公正取引委員会は掛けておられないということなのではないかと思います。
 これは、現在の独禁法の解釈論として無理なのかという問題と、それから立法論として、見送られましたけれども、二年前の報告書が求めていたような何らかの形で課徴金を課すべきだという、二つのものがあるだろうと思います。
 今お尋ねになりましたのはその後の方、立法論としてどうするべきかということだと考えますけれども、仮に外国の事業者の世界シェアというものが分かったとしますと、それに対しまして、もし、それを日本の当該商品の売上額に掛けてみなし売上額というものを算定する、つまり、イギリスならイギリスの事業者が日本に参入していたならばこれぐらいの売上額はあったであろうというようなみなし売上額を推計しまして、それに一〇%を掛けるというようなことは不可能ではないのではないかというふうに思いました。
 ただ、今回の改正案はそこまでいかないで、日本市場では不当な経済的利得は生じていないんだからやっぱり無理なんではないですかということで、課徴金、この点は見送られたものと思いますけれども、将来、日本の課徴金制度ももう少し、行政制裁金と申しましょうか、不当利得だけではなくて、ややそれを超えた課徴金を取るという行政制裁の方にもう半歩あるいは一歩踏み出せば、こういうところも課徴金の対象になるということになるのではないかと思っております。
 以上です。
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佐藤啓#20
○佐藤啓君 ありがとうございました。
 では、最後の質問をさせていただきます。
 川田参考人に、済みません、簡潔に、時間が余りないので、お答えいただければと思いますが、秘匿特権制度ですね、経済界としては歓迎する立場なのかなと思いましたけれども、どの点を歓迎されているのか、簡潔にお答えいただければと思います。
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川田順一#21
○参考人(川田順一君) ありがとうございます。簡潔にお答え申し上げます。
 協力型の課徴金減免制度を導入されますと、事業者の弁護士に相談するニーズはより高まるものと考えております。そうしますと、その弁護士に相談する内容を全て提出するとなりますと、弁護士への相談が萎縮される可能性がございます。事業者が主体的に実態解明を行い、早期に事件解決を図るためには必要不可欠な制度と認識しております。
 以上でございます。
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佐藤啓#22
○佐藤啓君 ありがとうございます。
 時間も参りましたので、以上とさせていただきます。ありがとうございました。
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真山勇一#23
○真山勇一君 立憲民主党・民友会・希望の会の真山勇一と申します。
 今日は、三人の参考人の方、お忙しい中、本当にありがとうございました。
 早速質問に入らせていただきたいと思うんですが、この独禁法の改正というのは、かなり専門的に細かい点がいろいろ問題があるということを三人の方から指摘も受けました。その一方で、やはり現状を少しでも改善する、公正、自由な取引というのを守っていくためには必要な改正ではないかという評価の御意見というふうに伺っておりますけれども。
 まず、今回、公取の少し権限が大きくなってきているんではないか、やっぱり不正取引をなくすためには公取の権限強化ということが必要じゃないかということが言われるわけですけれども、その中で、例えば課徴金でも、減免率というのは一〇%ということがありますけれども、これも一〇%でいいのかどうかという議論とか、特に、今回導入した協力度合いに応じた減算率というのが、こういうものが適正に運用できるのかどうかということ、それから、今回比較的大きな問題になっている秘匿特権の部分で、どこが除外される文書かどうかというところというのは非常に判断が難しいんではないかと思うんですが、こういう辺りで、公取の裁量が強くなったというか、逆に言えば、恣意的な運用もされる可能性もあるという、そういう両面があると思うんですね。その辺をどんなふうに考えておられるか、川田参考人、浦郷参考人、土田参考人、お三方から伺いたいと思います。
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川田順一#24
○参考人(川田順一君) ありがとうございます。
 公正取引委員会の裁量が大きくなるという点につきまして御説明、御回答申し上げますと、企業の立場からいたしますと、法執行の透明性、公平性、これが重要になろうかと思いますし、一方においては、行政権力の濫用防止という観点からもしっかりと見ていかなくてはいけないという考えでおります、立場でございます。
 今回の裁量につきましては、これは何度も先ほど申し上げましたとおり、要は実態解明のインセンティブをより大きく持つというための裁量でございますので、経済界としては歓迎申し上げたいと思います。企業にとりましては予見可能性の高い課徴金制度になりますと、これはこれで私どもは評価させていただきたいという意見でございます。
 以上でございます。
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浦郷由季#25
○参考人(浦郷由季君) 公正取引委員会の権限強化というお話でしたが、やはり独占禁止法というのは、市場における公正で自由な競争を促進する、それがひいては一般消費者の利益の確保につながるというところで、その法律をつかさどっているというか、そこが公正取引委員会だと思っております。やはりここには、公正取引委員会にはきちんとそういう違反があったときの実態解明をしていただきたいと思っておりますので、私は、今回のところで特に権限が強化というよりは、もっともっときちんとやっていただきたいなということを考えております。
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土田和博#26
○参考人(土田和博君) ありがとうございます。
 今回の独占禁止法の改正案、あるいは従来からもそうだったかと思いますけれども、かなり法律で細かく規定がされているように思います。例えば、課徴金の算定の基礎になるような売上額の範囲、相当今回も改正案、細かく書いてあるように思います。それから、リニエンシー、課徴金減免制度のところも、協力度合いに応じたリニエンシー、減額のところもかなり細かく書いてあるように思います。
 その法律の枠の中で更に規則を作り、あるいはガイドラインを作りということで対外的に事業者の方らに明らかにするという部分もありますので、その枠内で公正かつ透明な運用をしていただければ、公正取引委員会の権限の濫用ということには必ずしもならないんじゃないかと私も考えております。
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真山勇一#27
○真山勇一君 ありがとうございます。
 それから、川田参考人と土田参考人にお伺いしたいんですが、課徴金の額の面ですね、決められるその額が、土田参考人は、利得を上回るような課徴金、これで取れるのかどうかというちょっと疑問を呈されたというふうに思うんですが、もっと多くてもいいんじゃないかというようなふうに私は伺ったんですが、そういう取り方でよろしいのかどうか。それで、それだったらこれをもう少し将来的には強化した方がいいというふうにお考えなのかどうかという点を伺いたいのと、それから、川田参考人は、これで、つまりこのぐらいの課徴金ならば許容ができるのか、あるいは取られ過ぎじゃないかとか、その辺りの数字的な評価をお二人から伺いたいと思います。
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土田和博#28
○参考人(土田和博君) ありがとうございます。
 算定期間を十年にまで延長したというのは、ある意味では画期的なことかと思います。それから、売上額についても、先ほど言いましたような談合金も算定の対象にするとか協力金も対象にするとかいったようなところは、不正不当な利得については算定の基礎に入れるということで拡大しているんだろうと思います。
 他方、算定率のところですけれども、これは現行法の一〇%を維持するということでございます。二〇一七年の報告書だったかと思いますけれども、比較的最近行われた価格カルテルですとか入札談合の不正不当な利得率というものの数字がちょっと出ていたと思いますけれども、これは平均してその一〇%をちょっと超えていたんではないかというふうに承知しております。したがいまして、算定率のところはもうちょっと上げてもよかったのかなというふうに私は思っております。
 以上です。
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川田順一#29
○参考人(川田順一君) ありがとうございます。
 私どもの立場から申し上げますと、今回の改正におきましては、算定期間が延びた、あるいは算定基礎が拡充された、拡大された、さらには割増し算定率に新たな類型が付加されている等々の非常に重い率になっておりまして、十分抑止力があると考えております。
 加えて申し上げるならば、独禁法違反事件を起こしますと刑事罰がございます。また、行政上の様々な処分がございますし、あるいは消費者の信用を失墜するというような無形の損害もございますので、額の問題としては、ちょっと私、論評は避けたいと思いますけれども、相当な抑止力があると私は考えております。
 以上でございます。
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