阿部一彦の発言 (厚生労働委員会)
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○参考人(阿部一彦君) ただいま御紹介いただきました日本身体障害者団体連合会の阿部一彦でございます。
私も労働政策審議会障害者雇用分科会の委員を務めさせていただきます。
このような機会をいただいたことに、まず感謝申し上げます。
本日は、障害者雇用における障害者の活躍の場の在り方についてお話しさせていただきたいと思います。
まず初めにお話しいたしますのは、五月三十日に本委員会で判明した、二十八行政機関が昨年十月から新たに採用した二千五百十八人のうち、十六機関の百三十一人が離職したということについてでございます。
翌日の新聞報道によりますと、障害の種別などは不明ということですが、種別や離職の要因について詳細な究明が求められるところでございます。働いている障害者や関係者、障害者団体などを交えて原因を究明して、十分に改善する必要があると思います。
そして、これらの事実究明を踏まえて、障害者差別禁止指針、合理的配慮指針を基に、障害者団体などの参画の下に障害者活動推進計画作成指針を作成するとともに、具体的に障害者活動推進計画を作成する場合においても障害者の参加が求められると思います。また、今回離職した人々の再チャレンジの機会についても検討することが大事だと思います。
次でございます。中高年齢層の障害者が早く離職することがあるということはこれまでも知られていたことについてお話しさせていただきます。
その理由としては、病気や障害への認識、理解不足、体力の低下や体調の変化、事務スピードの変化などへの対応不足などがあります。今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会で指摘されておりますように、長期的な雇用継続を図るためには、加齢による体力などの低下がある中で、できるだけ本人の希望や適性を踏まえて企業がキャリア形成や配置転換などの環境整備を行う必要があります。身体的過重負担や過重なストレスなどによって二次障害が生じる場合もあります。加齢による体力低下などとともに、過度に無理を強いることによって残存機能の急激な低下をもたらすことが考えられます。
本人の申出によって業務環境が改善されれば、安定した継続就労が実現できます。そのためにも、職場内に相談できる部署を整備、充実し、健康面についても相談できる体制が整備される必要があります。定年まで無理せずに働くことが可能になることが大切だと思います。
次に、中途障害の方への対応ということでお話しさせていただきます。
人生の途中で障害者になった人の障害受容は大きな問題でございます。身体障害についてお話しいたしますと、平成二十八年度の生活のしづらさ調査によりますと、在宅の身体障害児数が六万八千人なのに対して、十八歳以上六十四歳までの身体障害者数は百一万人です。このことから、成人になってから、つまり職業に従事している間に障害者手帳を持つ人が多いことが分かります。
そこで、必ずしも障害者枠雇用で採用された人ではない人への対応について検討する必要性があります。内部障害など見た目には分からない障害がありながら、手帳の所持を言い出せない、又は障害者手帳を申請しない方がいたとしたら大きな問題だと思います。また、このことは精神障害の領域でも同じことで、大きな問題だと思います。
不安なときや困ったとき、不便が生じたときに十分に活用できる相談支援体制が求められます。障害があってもその人に応じた合理的配慮などが提供されることによって十分な職務能力が発揮できる職場環境を構築する必要があります。このことは企業においても公務部門においても重要なことだと思います。
次には、制度の谷間、支援の制度の谷間の問題についてお話しさせていただきたいと思います。
職業生活を営み、継続するためには、様々な支援が必要になります。支援の仕組みは制度ごとに縦割りの枠によって制限がある問題についてお話しいたします。
「在宅就労の重度障害者に介護を さいたま市、独自支援へ」という見出しで、朝日新聞デジタル二〇一八年十二月三日の記事についてでございます。常に介護を必要としている重度障害者が仕事をしている間は介護を受けられないという問題があり、このことが就労の機会を狭めているという事例です。
記事によりますと、制度を所管する厚生労働省が、在宅就労の支援は恩恵を受ける企業の役割としているからだとあります。さいたま市は、企業による就労支援には限界があると考え、重度障害者の社会参加を支援するために、内閣府の地方分権改革有識者会議において在宅就労時も訪問介護の利用を認める規制緩和を提案いたしましたが、同会議では、二〇二一年度の障害福祉サービス等報酬改定に向けて結論を得るとの方針を示し、判断を事実上先送りいたしました。今必要としている障害者がいるのですから、一刻も早く検討を進めていただきたいと思います。
加えて、人によっては通勤することが困難であったり、在宅での仕事を希望する場合もありますし、遠隔地で暮らしながら就労するためにも、テレワークはとても重要でございます。ICTの利活用などにより可能性は大きくなっておりますので、具体的に就労環境の整備や定着支援なども含めて、関係機関を含めた支援体制を確立していただきたいと考えます。
また、ほかにも、障害者総合支援法のサービスが通勤に活用できないという問題があります。制度の財源が異なるからだと考えられますが、先例にとらわれずに縦割りの弊害を取り去り、柔軟な検討を行うべきではないでしょうか。雇用施策と福祉施策との連携した取組については障害者団体や関係団体を交えて検討する必要があります。今後の課題となると思いますけれども、検討をよろしくお願いしたいと思います。
最後になります。
一人一人が生きがいを持って働き続けるためには、職業能力に応じた配置、職場内外の研修を基に適切なキャリアアップなどが図れるようにすべきです。そのためには、事業主の理解だけではなく、共に働く同僚の理解が大切になります。障害者を採用後、職場に慣れるまでには定期的に話合いを持ち、その後も相談できる仕組みをつくることが職場定着と継続雇用のために必要だと思います。
障害があると、不便なことや困っていることがあります。しかし、それらの理解にとどまらないで、どのような環境の整備や配慮があれば不便なことや困っていることを解消できるかの理解の下に適切な改善や配慮を行うことができれば、一人一人が本来持っている力を十分に発揮できると考えられます。初めは一つ一つの仕事のステップに慣れなくて時間を要することがある場合もありますが、次第に本来の持っている力が発揮され、貴重な戦力となることについて理解を進めることが重要です。
障害のある一人一人が、自分にとっての社会的障壁を分かりやすく伝え、合理的配慮などを基に持てる力を十分に発揮できる社会をつくるのが私たち障害者団体の願いであり、その実現に取り組んでいることが私たちの役割であることを申し上げて、私の発言を終わります。
どうもありがとうございました。