浅岡美恵の発言 (国際経済・外交に関する調査会)
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○参考人(浅岡美恵君) 浅岡でございます。
本日は、お招きいただきましてありがとうございます。
私は、気候ネットワークというNGOの関係で本日お邪魔をさせていただいておりますが、気候ネットワークは、九七年に京都議定書が採択されました国連の会議のためにといいますか、その関係で設立されましたNGOで続けております。既に二十年経過いたしまして、気候変動に関わってまいった経過から、本日は、パリ協定を中心として、SDGsの関係も触れながら申し上げたいと思います。
先ほど国谷参考人の御意見を拝聴しておりまして、まさに私が関するところはほぼ共通の考え方であります。それを気候変動に落とし込めばどうなるんだろうということを申し上げたいと思っております。
まず、パリ協定でありますけれども、御案内のとおりであり、北岡参考人からもお話ございましたが、世界の協力によりまして地球の平均気温の上昇を産業革命の前から二度、一・五度にも努力するということに世紀を掛けて取り組もうということでありますが、その実現のための大きな目標が、今世紀の後半にも、脱化石時代、実質的なCO2の排出をゼロとすると。一・五度にいたしますということは、もうそれが二〇五〇年にも求められているという、タイムラインがあるという問題であります。
そのために各国が目標を定め、提出し、またそれを実施をしていくということがパリ協定の四条二項に書かれておりますが、先ほど国谷参考人からもありましたように、自主的に目標を定めるということが一つの課題となっております。ただ、足りない目標を引き上げていくというプロセスがこの中に組み込まれておりまして、日本も今、二〇二〇年に二〇三〇年目標を引き上げられたいという要請、また、二〇五〇年の目標も八〇%削減から更にもっと引き上げるようにという要請を受けている中の立ち位置にございます。
〔会長退席、理事堀井巌君着席〕
こうした中で、日本がこの気候変動問題につきまして国際的な存在感を持って対応していくというためには、遅れながらではなく、やはり先陣を切って取り組んでいるということなしには、国内対策がしっかりできているということなしには国際貢献も難しいと。国際社会への貢献もそういう観点からなされる必要がある。
とりわけ、本日は、石炭に関する国内の対応、そして国際的な海外への対応につきまして、そして、その反面であります再生可能エネルギーの体制が遅れているんだということにつきまして、御案内とは存じますが、申し上げてまいりたいと思います。
少しパワーポイントを用意いたしましたが、一枚目の下は今のことでございますが、裏をめくっていただきまして、パリ協定は二〇一五年に採択されまして、翌年には発効いたしました。トランプ政権が誕生いたしましたが、発効し、そして、そのルールブックと言われます詳細運用ルールも、基本的にはもう昨年のCOP24で採択されました。大変積極的な動きが見られているわけであります。
これが、どうして国際社会がこのように動いているのかということにつきまして、世界の動きの中で重立ったことをスライドの三に挙げてみましたけれども、IPCCを中心といたします科学からの示唆が大変大きいと。科学ベースで国連の枠組みもパリ協定も採択され、構成されているということであります。
どうしてそこまでなってきているのかというのは、もう世界中の人々の生命、健康、生存に関わるというところまで現実になっているという意味で、ある意味で人権問題として捉えられるようになりました。
やるべきことは分かるけれども、じゃ、どうやって脱化石時代を築くのかという点につきまして、再生可能エネルギーに大変急速に、この数年、経済合理性が高まってまいりました。非常に安くなったわけであります。もう石炭よりも安いというぐらいになってきているわけであります。
そして、こうした世界の動きに国際社会が動き出す、ビジネスも動き出すということが既に起こっております。金融も明確にそうした動きを見せております。
〔理事堀井巌君退席、会長着席〕
そして、国の責務は当然ですが、州とか都市とか自治体が取り組んでいるということが出ておりますし、日本におきましても世界におきましても、やはり地域、ある意味でこれまで貧しかった地域の問題としてこの再生可能エネルギーが非常に大きな役割を担っているということがあります。
これらを動かしているものにもなりますが、市民セクターも大変行動的であります。このグレタさんの写真は最近日本でも見るようになりましたが、子供たち、中学生、高校生が毎週学校ストライキをするというような目覚ましい行動力があります。
これらの動きは世界的に動いていることでありまして、日本はどれも弱いと。科学とパリ協定は共通でありますけど、そのほかの部分は弱い。そして、二〇五〇年八〇%削減、政府が閣議決定しているんですということを御存じの国民は一体何人いるだろうかと、SDGsにとても及ばないと、このような現実があるわけであります。
こうした観点で見ますと、私は弁護士として法律家でありますが、このパリ協定という国際条約は、気候や環境に関する条約ではありますけれども、既に人権条約であり、また経済のルールに関する条約であるという機能を持ってきているということになろうかと思います。
とても今日は時間が限られますので、この後ははしょらせていただきます。
下にありますIPCCの特別報告は、COP24に私も出ておりましたけれども、ここにありますように、一・五度Cに止めるということは、二度あるいはそれ以上の気温上昇にとどめるようなことよりも明らかに世界中の国民に便益があるんだ、大変だという以上にもっと便益があるんだと、非常にチャンスなんだ、チャレンジなんだと、すべき機会なのだということが強調されております。
次のページのところでありますけれども、ヨーロッパがとても先進的であるように皆様にも伝わっていると思いますけれども、私も二十年この交渉を見てまいりまして、大きな転機は二〇〇二年から三年にあったと思います。どこも頭では分かっているわけでありますが、二〇〇二年から三年にヨーロッパは非常に広範囲に大洪水に見舞われ、多くの命や財産をなくしましたし、二〇〇三年には何万人という人が熱波で亡くなりました。これは、気候変動の影響はどんな姿かということが現実になったと、ここから取組が本気になったと、経済的な仕組みも入っていったと思います。
日本も、去年、おととし、大変な災害に見舞われております。その下にも、これ六ページにも、六枚目にもありますが、都市が大変脆弱でありまして、日本の都市も多くの都市がその脆弱なところに番付が入っております。東京もゼロメートル地帯が多いことはよく御案内のとおりであります。
それで、次のところを見ていただきまして、少しデータに基づきお話ししたいと思いますが、一・五度の特別報告といいますのは、COP24でも報告されました、直前に出されましたものでありますが、ある意味で衝撃なものでもありましたが、COP24を契機といたしまして、非常にスムーズに皆さんが受け入れていったというか、これをちゃんと頭に置いてやっていこうということの流れが顕著になってきたという空気を感じております。
その一・五度報告には、図が四つありますけれども、P1、P2、P3、P4の四つのルートが書かれておりますが、P3、P4というのは、今しばらくは排出をして後で大気から回収すると、こういうことのシナリオで、オーバーシュートと呼んでおります。それはあり得ないことだ、できない、これに期待するわけにはいかないと、P1、P2で求めてやっていくといたしますと、その下のものが、地球全体で、一番上の赤いラインはCO2の排出削減量、下のラインが一次エネルギーに占める石炭の削減量であります。下に書いておきましたが、CO2は二〇三〇年までに二〇一〇年比で世界で半減する。そして、火力と製鉄が、一次エネルギーに占める石炭でありますが、二〇一〇年比に六から八割は減らしていると。大変大きく減らすということが必要であり、脱石炭ということが世界中で課題である。日本は先進国でありますので、より早くそれを実現していくという立場にあるということであります。
次のページ見ていただきますと、こうした要請を受けまして、イギリスやフランス、主要国がどのような取組をしているのかということであります。メモにしましたが、二〇三〇年、日本よりも大きな削減目標を掲げ、逆に再生可能エネルギーも大きく目標を掲げ転換をしていくと。脱石炭の目標年というものは二〇二〇年代。ドイツも、いろいろありましたが、二〇三八年という設定をいたしました。それに引き換え、日本は、二〇三〇年にまだ二六%持つのだと、こういうことになっております。
その下に、オランダのハーグ地裁の判決から、排出量の小さい国は大きく貢献することはないという主張とか、それからオーバーシュートの方法もあるではないかというような議論を裁判で、国から、オランダの政府からなされたものに対する判決が出されております。このように、こうした議論は、裁判所の中で何をすべきかということが議論され、先ほどの一・五度報告に沿うような形で取り組むべきことが既に、何といいましょうか、判決の中、高裁判決にも出てくるというようなのが国際社会の動きだということであります。
次のページを見ていただきますと、十一ページありますが、もう本当に時間がありませんのであとははしょらせていただきますが、そこで、今回、長期戦略が出てまいりました。いろいろ工夫されているところは拝見をするのでありますけれども、申し上げておきたいことは、IPCCの一・五度報告というのは、考えてみようというレベルではなくて、もう既にそこに向かって多くの社会、国際社会が動き出しているものであると。ビジネスも動き出していると。そして、SDGsとの関係は、国谷参考人がおっしゃいましたように大変深く絡み合っていると、各論がここに全て表れているということであります。
そこに欠けているのは野心的なビジョンと、まあビジョンにも含まれるかもしれませんが、日本に欠けているのは、本当にいつ脱化石に向かうのか、いつ脱石炭に向かうのか明確な目標数値、目標年を設定し、それを更に引き上げていく、また、その数字だけではなくて、それを実現していくための政策措置を策定し導入する、これがほとんどない状況だと今は言わざるを得ません。これはSDGs全体と共通であります。
それで、二〇五〇年につきまして非連続的なイノベーションということで、特にここの、今回の長期戦略では、非常に今はとても無理だなということが明確なものとか、CCSのようなものとか、非連続な技術に頼ろうとしているところがありますが、そうではない取組が世界中で行われているということであります。
その下にありますのは、今申し上げましたように日本の排出の経過でありまして、八〇%削減に向かう。この図で注目いただきたいのは、下の赤い線ではなくて黒いところ、これが発電部門から排出される二酸化炭素であります。約四割を占めます。この中の半分以上が石炭によるものであります。これを早く減らしていくということなしには駄目なのではないか。
しかしながら、なぜこれがなかなか難しいかといいますのは、今回の長期戦略のベースになっておりますエネルギー基本計画、同じく去年のものでありますけれども、ここに、電源における脱石炭ということが明確、明確とは言いましたが、そうはなっていなくて、非効率の石炭の新設はやめると、非効率なものだけ、効率のいい石炭は国内でも進めるということになっています。輸出も同じように進めるということになっております。
再生可能エネルギーをどうするかという点につきましては、主力電源化に向けてという言葉は入ったのですけれども、それを実現するための系統制約をどう克服するのかということについてまだ何も手付かずだと言わざるを得ません。
その下にあります表は、エネルギー基本計画長期戦略のベースになっております経済産業省の長期エネルギー需給見通しというものでありますが、これの右の方を見ていただきましたら分かりますように、石炭を電源の二六%程度にするということは二〇三〇年の目標としてですが、震災前十年間も同じものであると。二〇〇〇年から二〇三〇年まで日本はエネルギーの、電力の構造を変えないということがこのベースになっているわけでありまして、ここから斬新な長期戦略が出てくるということは大変難しいと、こういうことだと思います。
次は、念のために入れましたが、もう本当に時間がありますのではしょりますが、UNEP、国連の機関におきまして、日本も不十分ですが世界もみんなよくできているわけではなく、全体としてまだ大きく削減量が二度のラインにも足りません。そこで、まずすべきことはといってここで書かれておりますところに、新規の石炭火力発電所は建設しないと、フェードアウト、既設のものも早くフェードアウトしていくということは一丁目一番地の対策として出ているということであります。
このようにしていくということが、下に書いてありますのは、日本は化石燃料をこれほど毎年輸入をしているわけであります。輸入量と輸入額の表を入れてありますが、非常に価格変動が大きいものですから輸入額は、に払う金額は大きく変動しておりますが、輸入量は余り変わっておりません。まあ若干減る傾向に来ているかなと思います。他の先進国でこのように化石燃料を輸入している国は、これらの輸入代金が国外に出ていく、流出を回避するということで、早く取り組むことが大変大きな国の経済としてのインセンティブにもなっているということで、日本においても同様であります。
次のページのところを御覧いただきたいと思いますが、日本の国内の石炭政策、国外も含めてでありますけれども、先進国で、海外のNGOがランキングを毎年のようにするのでありますが、二〇一七年でも最下位で、バツバツばかりであります。二〇一八年も最下位でありましたけれども、二〇一八年、一つ加わりましたのは、民間の融資先の方、金融側が若干方針を変更するところが現れてきているということで、その評価が幾分入りました。
こういうふうな最下位の評価になりますということはどうしてかといいますと、その下にありますように、日本では震災後、五十基もの石炭火力の新設計画が起こりました。そして、その右下に書いてありますように、この数年間の間にもう既に建設され、稼働を始めたところがかなりの部分があります。一部、融資先が撤退すること、融資先の事情から撤退したところも、するというところも出てきましたけれども、なお今まだ計画が進行しているところがある。これは、ほかのG7の国々から見ましても本当に特異なことである、だからこそ非常に国際社会からの批判を受けております。これを政策変更していただくことは急務であると思います。
次の十九枚目の図でありますけれども、なぜこのような新設ができるのかという点は、日本の政策が電力業界の自主目標に由来し、省エネ法では発電事業者の全体としての基準しかなく、エネルギー供給高度化法というのは小売業者の規制しかなく、個々の発電所に関する規制が全くないということがあるからであります。
じゃ、どうしたらいいのかという点は、先ほどの海外の対応でもありましたように、やはりCO2の排出規制を発電所においてはちゃんと設けていただいて、石炭ができないようにする。また、ここの右の方の図は、環境省が作りました世界の排出量取引制度が導入されている国の状況、あるいは炭素税が導入されているところでありますけれども、こうした大規模排出源に対しては排出量取引制度のカバーが必要だということであります。
時間になりましたので終わらないといけないと思いますけれども、一、二点だけ付け加えさせていただきますと、日本には石炭だけではなくて天然ガス火力の発電所もたくさんもう既にありまして、非常にそういう意味ではもう十分なキャパを持っているということ。
そして、次の二十二枚目からは、再生可能エネルギーが世界でどのように投資が進んでいるのか、どのように次はコストが下がっているのかということ。経団連も若干そうした動きが見えるのかなというふうに思われたところであります。
最後のところは、一番最後には、日本の民間からの投資あるいは公的な投資が、やはり石炭に対する投資が大変世界的にも顕著な、海外への投資も顕著だということが国際社会での非難も受けていると。脱化石に向かうというのは世界どの国も向かうと。そういう時代に途上国にどう支援するかということが問われているわけであります。
最後のページは、SDGsにつきまして、国内でこの気候変動に対応していくといたしました場合は、どのような課題、ゴールがどのように関係性を持って関わっているだろうかということを私なりに整理を仕立てたというものでありまして、御参考になればということでございます。
どうも、長くなりまして失礼いたしました。
ありがとうございました。