大山力の発言 (資源エネルギーに関する調査会)
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○参考人(大山力君) どうもありがとうございます。
私からは、再生可能エネルギーの主力電源化に向けてということでお話しさせていただきたいと思います。
ただいまお話のありましたメタンハイドレート、これももちろん国産エネルギーですけれども、再生可能エネルギーは、これも当然のことですけれども純粋に国産のエネルギーであるということですので、これをうまく使っていくというのは非常に意味のあることだというふうに思っております。ただ、電力系統的に考えると難しい面もあるということで、そういうことを御理解いただいた上で進めていきたいと思いますので、ちょっと今日は難しい面についてもお話ししたいというふうに思います。我々エンジニアとしては、難しい面を認識した上でどうやっていくかという研究をもちろんやっていくということでございます。(資料映写)
最初、太陽光発電ですけれども、これは二〇〇八年に私が撮影したんですけれども、スペインのラマンチャの平原にあるということで、二〇〇八年というと日本ではまだ余りメガソーラーはなかった時代ですので、非常に驚いた、こんな広いところに造って羨ましいなという感じがいたしました。
次はこれはハワイの島の山の稜線にずらっと並んでいる風力発電ですけれども、これも、海を渡ってくる風を受けて非常に安定した発電ができると。
なかなか、スペインにしてもこちらにしても、日本だと難しいような発電量があるんじゃないかなという気はいたします。日本はそれほど風、風況いいとは言えないかもしれませんけれども、そういった中でも利用していくというためにどうしたらいいかというお話になるかと思います。
再生可能エネルギー電源なんですけれども、もちろん、御存じのとおり、自然エネルギーですから環境に優しいと、それから純国産エネルギーであると。
これはいいことであるということで皆さん御同意いただけると思うんですけれども、問題点が二つあって、密度が低いということ、これは、密度が低いということは安全であるということにもつながるのである意味いい面でもあるんですけれども、非常に容量の小さい発電システムも多数入ってくると。そうすると、これまで発電が、つながると思っていなかった電圧の低い配電線の方につながってくるということになります。
配電線というのは、非常に長さが長い、送電線に比べると一桁違う非常に長いものになってきますので、これまで一方向に電気が流れることを前提に安く造ってきた、そこに逆方向に流れると実は困ってしまう。送電線と同じようにお金を掛ければもちろん対応できるんですけれども、なかなかそうもいかないというところが問題であるということですね。
それから、出力変動というか、欲しいときに発電してくれない、欲しくないときに発電してくれるというようなところが問題になってくると思います。
今日は、基本的には出力変動の方の話をメーンでさせていただこうと思うんですけれども、最初に、低密度であるために配電線へ大量連系されるということで何が問題かということをちょっとお話ししておきたいと思います。電力が逆流するよと、想定していなかったことが起きますよということです。
それから、逆流することによって配電線の末端の電圧が上がってしまう、そうすると各家庭に供給される電圧が高くなり過ぎるという問題があって、対応するためには、電圧制御機器を置くとかそもそも配電線を短くするとか、非常にお金が掛かることになるかなというふうに思います。
それから、単独運転防止と書いてありますけれども、こちらは、上位の系統が停電しているときに太陽光なんかが発電を続けていると、停電していて電気が来ていないと思って作業員が触ったところ、電気が通っていて非常に危険であると。だから、単独になったときには速やかに止まってくれないと困るよという話です。
ただ、ちょっとぐらい電圧がぶれたぐらいで止まってもらっちゃ困るので、フォルト・ライド・スルーと書いてありますけれども、電圧が低下しても少しは耐えてくれと。これ、電圧が、ちょっと止まっても耐えろというのと停電したら速やかに止まれというのは実は相反することなので、それをどうするかというのは非常に技術的な課題としては大きな問題です。
最後に書いてありますけれども、配電線というのは元々電源をつなぐことを想定していなかったので問題が起きますねということでございます。
一つだけ、電圧分布の話ですけれども、導入されている配電線があると、送り出し点に比べて末端の方が電圧が上がる。通常は、導入がない場合は送り出し点に比べて末端の電圧は下がっているので、ちょっと高めに電圧をして送り出して末端までちゃんとした電圧で届くようにしていたんですけど、それが、知らないうちに太陽光が入ってくると急に電圧が上がるというようなことになるので、この辺が問題ですよということです。
配電線の話はこのぐらいにしまして、周波数問題というか、出力がふらついてくる、それから、欲しいときに発電してくれないという話をまずしたいと思います。
北海道のブラックアウトのときにも周波数が低下してという話があったと思うんですけれども、そもそも電力系統、何で周波数が低下するのという話を一応ちょっと軽くしておきたいと思うんですけれども、こちらにお示ししておりますとおり、電力システム内というのは、まず原動機があって、それが機械的な回転エネルギーを発電機に伝える、発電機は電気エネルギーに変えて、送電線、配電線を通して需要家に電気を送るということをしているんですけれども、これ需要家の方は勝手に電気を使っているわけですね。急にスイッチを切ったりとか大きな工場で急に大きなモーター回したりとか、それは好き勝手にやっているわけですけれども。
そうすると、その変動というのは実はほぼ光の速さで発電機まで行きます。それから、電気エネルギー、発電機の発生する電気エネルギーが瞬時で変わります。でも、発電機に入っている機械エネルギー、これはそんな瞬時には変わり得ないので、どうしてもそこに差ができると。そうすると、その差というのは発電機が持っているエネルギーで埋めなきゃいけないんですけれども、何があるかというと、一番大きいものは回転しているエネルギーです。なので、電気エネルギーが多くなると回転数が下がる、電気エネルギーが少なくなると回転数が上がるということになります。
回転数と周波数というのは、発電機の構造上、一対一に比例関係にありますので、急に皆さんが電気を使うと周波数が下がるということになります。北海道の場合は、皆さんが使ったわけではなくて、発電機が急に減ったと、だから機械エネルギーが一部なくなったということで、そうなると、残りで持たなきゃいけないので、やっぱり周波数が急に下がってしまうというようなことが起こったわけです。
ここに再生可能エネルギーが入ってくるとどうなるかというと、需要家は、勝手に発電したんですが、再生可能エネルギーも勝手に発電するということで、ますます変動が大きくなってちょっと難しくなるということは出てくるというのがこの今のスライドの言いたいことでございます。
太陽光発電の出力ってどうなっているかというと、このグラフにあるような晴れ、曇り、雨と書いてありますが、本当は気象庁の定義だと快晴と晴れと雨かもしれませんけれども、雲が空に見えていないとき、雲と青空が混在しているようなときが一番変動するというようなことになります。相当変動しているのがお分かりいただけると思います。これ、このグラフは私の大学で測定したデータに基づいて作ったものでございます。最後、夕方急に落ちているのは、これは陰になっちゃうという、場所がいい場所じゃないので、いい場所が取れなかったのでこうなっているということですけれども。
こんなように急に変動するわけですけれども、右側のグラフを見ていただきますと、需要は本当は一定じゃないですけれども、これ、太陽光出力に比べればほぼ一定、だけれど太陽光の出力が変わると。そうすると、ほかの電源の出力、薄い青のものを調整して全体が、トータルが同じになるようにしなきゃいけない。したがって、アメリカの学会なんかに行くとよく、太陽光とかそういうものはダンスパートナーが必要ですよと、彼らはダンス好きなので、押さば引けみたいな話があるということで、そんな議論がよくなされているんですけれども。
じゃ、誰がダンスパートナーになれるかということが問題になってくると。水力で調整可能ならいいんですけれども、どうしても火力に頼らざるを得ないよということで火力の調整力を増加すると。ただ、中間負荷運転だとちょっと効率が悪くなっちゃうかもしれないのでトータルではもちろんCO2は減ると思いますけれども、火力だけ見るとCO2が増えたりすることもあるかもしれません。あとは蓄電池、今、日本では蓄電池を考えていますけれども、これは非常に高い、余り使いたくないというところがあるかと思います。
下にならし効果というのを書いてあるんですけれども、これは太陽光発電一個だけだと雲が来ると急に出力が変わるということですけれども、たくさんあったら、雲というのはだんだん通過していくので、一個が急に変動してもお互いに打ち消し合ってくれる効果があるだろう、ここにちょうどなだらかになるという効果があるはずだと。
ちょっとこのグラフは専門的過ぎるかもしれませんけれども、どのぐらい打ち消し合ってくれるかというので、マイナス三というところに来るとお互い無相関で打ち消し合っているということなんですけれども、周波数がこれ〇・〇〇二ということは、五百秒ぐらいになったらもうかなり打ち消し合ってくれるというような効果が分かってきております。だから、打ち消し合う効果というのはもちろん期待できると。ただ、これが本当にいつでも期待していいのかというのはちょっとよく分からないところがあります。
これ、気象庁のアメダスデータから作成してみたんですけれども、ずっと通してこれ六十ヘルツ地域の点を幾つか取って作ったグラフなんですけれども、たくさんあるデータを足し合わせてみると、何か急に変わるときというのはどうしてもあるねというのがこの矢印のところになります。これ数年分だったと思いますけれども、ずっと取っていって一番悪いのがこれですから、普通はもっといいということなんですけれども。
じゃ、数年に一遍停電してもいいのかというと、そういうわけでもないでしょうというようなことで、もしもひどい日に、しかもこれかなり今よりももっとずっと太陽光が導入されたというケースを想定しているんですけれども、そうすると、〇・八ヘルツ、これ今では考えられない変動なので、将来的にもしもこのまま、手をこまねいたまま太陽光が増えたらどうなるということですけれども、こんなことも起きるかもしれないということでございます。
次は、再生可能エネルギー電源がどれだけ供給力を持っているかということなんですが、このグラフ、これはどういう将来の電源構成を、こうあるべきというエネルギーの将来像を検討した結果ですけれども、ちょっと古いのがその後出てきて、これ新しいやつだと原子力はもちろん減っているんですけれども、そちらだとキロワットとキロワットアワー、要するに設備量とエネルギー量が余りはっきり出ている図がなかったので、この方が分かりやすいのでこれを使っているんですけれども。
これ見ていただきますと、再生可能エネルギー、左側が設備量で右側がエネルギー量ですけれども、設備量は原子力に比べて再生可能エネルギー大分多い、だけれどもエネルギー量は逆転していてということで、これなかなか設備を造っても年間通じてフラットに運転してくれないということが表れているということです。
じゃ、どのぐらい必要かと考えると、電力系統、普通に考えて負荷率というのは大体六割ぐらい。負荷率は何かというと、年間のピークに対して平均がどのぐらいかということですけれども。それから、太陽光発電設備利用率、こちらは設備容量に対して年間平均どのぐらい出してくれるかと、一四%ぐらい。そうすると、太陽光発電だけでもし全部必要なエネルギーを発生しようとするとピーク需要の四倍以上をつくらなきゃいけないと。
これ、ここにちょっと、余りいい言葉じゃないですが、余るときは余りまくりますけど、足りないときは足りないということになってしまう。で、どうしてもダンスパートナーが必要で、余るときというのは出力抑制するというのが一番、何か出力抑制するのは悪みたいな感じの報道とかもいろいろありますけれども、これが世界の主流で、主力電源としてもし考えるんだったらこういうことを考えていかなきゃいけないだろうと。足りないときはどうするかというと、電力貯蔵かほかの電源に頼るということで、電力貯蔵は、安くなればいいですけれども、今のところは高いということだと思います。
太陽光発電が少量であれば昼間のピーク電力が削減されるんですけど、削減量というのは一〇〇%は削減できない。太陽光発電が大量に導入されると、もう実はピークが夜間になってしまうので太陽光は全く利かないということになります。
どのぐらいになるかというのが、これは経産省の方で試算した結果ですけれども、平均的には出力は三〇%、四〇%出ているんだけれども、需要がピークの頃でも、見てみると一〇%近いようなときもあるということで、それに備えてほかの電源を何とかして持っていなきゃいけないということになります。
キロワット価値って、これは太陽光を一〇〇入れたら火力発電所をどれだけ減らせるかというような価値を評価するんですけれども、どうなるかというと、最初は四〇%から五〇%ぐらい減らせる、だけど多くなってくるともう駄目で、どんどんどんどん減ってきてしまうと。これは当たり前といえば当たり前で、太陽光の場合は昼間しか利かないので夜の分は減らせるはずがないというだけですけれども、そんなことになります。
次は、もっと早い変動はどうなるかという話ですけれども、太陽光が主ですけれども導入したケース、特に多くなったケースというのは、現状程度から二〇三〇年というようなことを予測して、太陽光発電が急に減ってしまうようなケースというのを、こういうかなり過酷なケースですけれども想定しますと、太陽光がなければ普通に周波数、変動しますけれども、現状でもまだそんなに問題がない。でも、もっと入ってくると、ほかの発電所が追い付けなくて周波数が下がる可能性があるよということが出ています。
ということで、今後更なる接続可能量を増加するためにはどうしたらいいかというと、調整力というのがそのダンスパートナーですね、太陽光に対応して出力変えてくれるのを電源をどうやって確保するか。それからあとは、天候の予測精度、最近もいろんな、お天気が読めなくて問題が起こったこともありますので、予測精度の向上というのも大変重要になります。それから、今、出力抑制やっていますけれども、逆に抑制を一旦言ってしまうと戻せないというか、本当は発電してもいいんだけれども、前もって抑制してくれと言ったために抑制しっ放しになっているような状況になっています。これは、要するに小さいところに対してリアルタイムに指示が出せないということになるので、これは技術の問題だと思いますけれども、そういったこともしなきゃいけない。それから、デマンドレスポンスと書いてありますけれども、需要家側で使う方を何とかしてくれというのもあるかなというふうに思います。
あとは地域偏在ですけれども、風力は、御存じのとおり、北海道とか東北の北の方、それから九州辺りに、まあ九州はそれほど今入っていないですけど、地域偏在があると。日本ではそれよりも太陽光がたくさん入るんですけれども、太陽光というのはそんなには設備の地域偏在はないだろうというふうに言われているんですけれども。
でも、こういうことありますよねというのがこの図です。晴れの地域から曇りや雨の地域へ流れると。もし電力ネットワークが非常に強靱であれば地域間でならし効果があってということになるんですけれども、なかなか難しいところがあると。今の現状では難しいかもしれない。それから、こうなってくれればいいんです。日本って細長いものですから、その細長いのに合わせて前線が通過したりすると一遍に全部変わるという可能性もあると。もっと膨らんでいてくれれば、そういうことはないはずなんですけれども。
強靱にするということは連系線いっぱい造るということですけれども、よくデンマークなんかが例に挙がってくると思うんですけれども、デンマークのこういう連系線の数字は、書いてありますけれども、国内の、デンマークの中の電力需要に比べて非常に大きな国際連系線持っています。
ただ、この国際連系線、デンマークのために誰も造っていません。北欧の安い水力をドイツとかそういうところの電気が高いところに送るというために造っていて、その真ん中にいるために、漁夫の利という感じで国際連系線の恩恵にあずかっている。国際連系線、例えば北欧からドイツに流れているとき考えると、デンマークで余れば北欧側に押し返せばいいし、足りなかったらドイツからもらえばいいしみたいな、必ず片側は空いているということになるので非常に楽になってくると。
これ、この送電線、何で造っているかというと、安い電気を高いところに送るというのが一番大きなことです。したがって、何かというと、値差といいますけれども、値段の違いがあるということがそのドライビングフォースになっているわけです。
日本は実はこれまで余り値差がなかった。というのは、元々資源がないのでどの地域も同じように造ってきたというところがあります。ただ、これからは、この純国産エネルギーである太陽光あるいは風力というのが入ってくると、値差が大きく付く可能性があると。それはなぜかというと、特に太陽光の地域差は余りないと言いましたけれども、実は需要の方に偏在しているわけです。したがって、引き算すると随分余るところと余らないところができてくる。だから、余るところから送ろうとすると、そこは安くなるというはずなので、それをどうやって造っていくかというのが問題になります。
今出ている連系線建設費をどうやって捻出するかという話で、特定電源、不特定電源というのは、特定電源というのは誰が原因か分かっているやつ、不特定というのは分かっていないやつ、したがって、特定電源は普通は電源者が払う、不特定電源はみんなで負担するということなんですけれども、ただ、その不特定電源、みんなといったってかなり高くなるのでどうしたらいいかと。日本で連系線を建設するための費用負担の仕組みをどうするかというのが、皆さんに負担していただくということを考えると皆様の政治的な課題じゃないかなというふうに思っているわけです。
ここにちょっと書いてありますが、託送料金というのは電気料金の上に上乗せする、それから賦課金は再生可能エネルギーに取っているやつ、そういうところから取るというのもありますけれども、値差から取るというのもあるかもしれない。ヨーロッパなんかでは、両側の値段が違うと連系線のところにお金がたまるんですよね。たまったときにそれを使って造るというのが主流になっているんですけど、たまるまで待たなきゃいけない、ちょっと時間は掛かります。そんなところを含めて是非御検討いただければというふうに思います。
以上でございます。