佐藤博の発言 (農林水産委員会)

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○参考人(佐藤博君) 御紹介いただきました秋田県農業公社の佐藤でございます。
 まずもって、参議院の農林水産委員の先生方には、日頃から当公社の業務推進並びに当県の農政推進に多大なる御指導、御支援を賜っておりまして、この場をお借りして厚く御礼申し上げたいと思います。
 本日は、農地中間管理機構の見直し法案の審議に当たりまして、現場で事業の推進を担っております機構の立場から意見を申し上げたいと思いますけれども、前段、配付しております資料等を御覧いただきながら、当公社の取組状況について若干お話ししたいと思っておりますので、御了承願いたいと思います。
 当公社は、平成十二年に六つの農業関係団体が統合いたしまして発足して、今年で二十年目を迎えます。年々業務の幅が広がっておりまして、現在は大きく分けて、新規就農や六次産業化のサポート、園芸種苗の供給等の農業振興部門、それから肉用牛振興や特産の比内地鶏の素びな供給等の畜産部門、そして中間管理事業等を中心とした農地管理部門、この三つの分野の業務を職員約九十名で行っております。
 機構の組織体制につきましては、配付資料の一ページの上段の方に記載のとおりでございますけれども、特徴的な点を申し上げますと、発足当初から基盤整備との連携が不可欠といった考えから農地改良課を設けたこと、それから、きめ細かな活動を進めるために県北と県南に駐在所を置いたこと、そして、この駐在所を含めまして現場に精通した市町村やJAのOB等有為な人材を大いに活用させてもらっていることでございます。
 関係機関、団体との連携につきましては、この一ページの下段の方にありますように、左の方ですね、県の本庁段階、出先段階に推進チームを設置しまして、構成機関、団体それぞれの得意技を生かしながらオール秋田で進めております。
 今般の見直しを機に、機構を中心に関係する組織が連携を強めて、一体となって集積、集約化を進めていく体制を整えることの重要性が言われておりますけれども、当県ではある程度その下地ができてきているのではないかと思ってございます。
 こうした体制の下で進めてきた五年間の取組を概括しますと、次のページ、二ページの方にありますように、様々な問題は抱えてはおります。そうした中でも、担い手への集積面積が累計で約一万三千五百ヘクタール、計の下段のところですね。このうち新規の集積が約七千ヘクタール。担い手への集積率、これは三十年は含めていません、二十九年度までの分でございますけれども、七ポイント上昇しまして約七四%と、一定の実績を上げることができたと考えてございます。
 また、この二ページの下段にありますように、事業を利用した受け手の方々、担い手の方々ですけれども、この評価も、これ本県の独自のアンケート調査でございますけれども、おおむね肯定的な回答となってございます。
 こうした実績を確保できた要因、背景といたしましては、四つほど挙げられると思ってございます。まず一つは、先ほど申し上げましたように、市町村、農業委員会、JA、土地改良区など関係機関の協力を得ることができ、事業推進の体制が整っていたこと。二つ目が、これも先ほど申し上げましたけれども、県北、県南への駐在所の設置や、それからモデル地区への現地相談員、これ現在三十四名ほど配置してございます。現場に近いところの機動力、推進力の強化に意を用いてきたこと。三つ目が、これ資料三の方に写真を載せてございますけれども、現地研修会の開催ですとか、それからマスメディアを使ったPR、それと、一番右の下の方にありますように、地元説明会ですとか出張相談会の開催。これは、農家五名集まってもらえれば、いつでもどこでも夜でも行きますよ、伺いますよと、これをモットーにしまして昨年度は二百六十二回現場に出向いたものでありまして、こうした形で様々な機会を捉えて地道にきめ細かな周知に努めてきたこと。
 最後の四つ目でございますけれども、資料四ページの方に、次のページにありますように、土地改良サイドとの強力なタッグ、これを組んできたことが挙げられると思います。様々ありますけれども、その中身につきましては、基盤整備と機構を中心とした農地集積、それと園芸メガ団地の整備、これを三位一体で行う、当県の方ではあきた型圃場整備と言っていますけれども、これを強力に進めてきたことですとか、それから、七十五の土地改良区ありますけれども、このうち二十五の土地改良区に業務委託をお願いしているというふうなところでございます。
 そういった実績の一方で、五年の取組を通じまして、当県においても、これは資料の五ページの中段の方に記載してございますけれども、中山間地域での集積をいかに進めるのかとか、それから、集積はある程度進んだんだけれども集約化にはまだなかなか至っていないねといったことですとか、さらには、今後増大する事務量をいかにして効率よく対応するかなど、こういった課題が浮き彫りになってきてございます。
 こうした状況を踏まえまして、当公社といたしましても、今般の国における五年後見直しに向けまして、これまで様々な機会を通じて国やそれから全国協会に対しまして現場からの提案、要望を出させていただきましたけれども、結論から申し上げまして、その多くが今回の見直し法案並びに関連予算に盛り込まれているということで、評価するものでございます。
 以下、この五ページの一番最後のところに①から③まで見直しの柱ごとに意見を若干述べてみたいと思います。
 まず、地域の話合いの活性化とその成果としての人・農地プランの実質化についてでございます。
 申し上げるまでもなく、農地の集積、集約化は、地域の話合いと合意が基本にないと前に進みません。その意味で、今般の見直しに当たりまして、改めてそうした話合いを促す具体の仕組みですとかそれから段取りというものを明確化したことは、理にかなったもの、的を射たものであろうというふうに考えます。
 本県では、先ほど申し上げましたように、土地改良サイドとタッグを組んで圃場整備事業と集積を一体で進めてきておりますけれども、この圃場整備事業が採択されて工事が完了するまでには、それこそ何十回となく地域の農家が集まりまして、将来の営農についてけんけんごうごうの話合いが行われます。その話合いの過程で、農地の出し手は誰なのか、受け手は誰になるのか、それから受け手となる集落型の法人の運営をじゃどうするのかということが決まり、将来の設計図であるプランがやはり実のあるものになるんだというふうに思ってございます。
 問題は、こうした圃場整備地区以外の地域で、どの組織がプレーヤーとなり、どういった段取りで、何をインセンティブに農家に集まってもらって話合いを促すのか、プランを実質化していくのかということでございます。
 幸い、本県では、一ページのところにもちょっと記載させてもらいましたけれども、中段ぐらいですね、平成二十九年度から、あきた農地利用最適化推進一・二・三運動というものを展開してございます。内容は、農業委員、最適化推進委員の一人一人が市町村と二人三脚で三つのステップを踏んで活動を行うというものでございまして、この三つのステップというのは、アンケート調査の実施と、それから人・農地プランの見直しと、それと中間管理事業を活用したマッチング、集積の推進でありまして、まさに今回の見直しの目指すところにつながっていく取組ではなかろうかというふうに思ってございます。
 そうした意味からも、この度、農業委員会が地域の話合いのコーディネーター役としてしっかり法的に位置付けられたことは評価したいというふうに思います。
 また、資料四ページ、ちょっと戻りまして、資料四の一番下のところに事例として載せてございますけれども、地域によっては、土地改良区が主体となって市町村とうまく連携を取りながら、必要に応じて簡易な基盤整備も組み合わせて、さらには、本年度新たに創設された協力金の集約化タイプ、こうしたものも活用しながら農地の更なる集積と集約化を進めることも有効であると思ってございます。
 要すれば、地域の実情に応じて、機構と市町村が司令塔となって、これに農業委員会ですとかJAですとか土地改良区をプレーヤーとして組み入れて、集積の土台づくりに向けて一体となってアイドリングしていくことが肝要というふうに考えてございます。
 この取組、その地域の話合いの活性化ですとかプランの実質化ですね、こうした取組はほかの見直しの事項と違って力業で何とかなるものではございませんので、やっぱり十分な成果を得るには多分時間も掛かると思いますが、機構といたしましても地道に粘り強く取り組んでまいりたいというふうに思ってございます。
 次に、二つ目の機構の仕組み、事務手続の改善でございます。
 利用者側から見ますと、これまで機構事業はちょっと手間と時間が少し掛かり過ぎだというふうなことで、それが機構事業を敬遠する要因にもなっておりました。今回の改正で集積計画と配分計画の一本化が可能となったこと、それから、担い手の農地利用状況報告、これが廃止されたこと、それから、機構からの業務委託に関しまして知事承認が簡略化されたこと、こうしたことで、利用者はもちろんでございますけれども、我々機構としても事務の簡素化につながる改正で大変有り難く思ってございます。
 現在、当県の機構の賃貸借の契約の在庫は、借入れや貸付けを合わせた件数で約一万九千件あります。筆数で十一万五千件に上っております。今後、これらの変更ですとか、場合によっては解約、更新の手続が出てまいります。機構自体も当然事務の簡素化には努めてまいりますけれども、国におかれましては、引き続き不断の見直しを行いながら機構の取組を御支援いただくようにお願いしたいと思います。
 最後、三つ目の農地利用集積円滑化事業との統合一体化でございます。
 結論から申し上げれば、スムーズに機構事業へ統合一体化することが望ましいというふうに考えてございます。地域で複数の制度が混在し、更新時期もばらばらでは、今後本格的に求められる面的な集約化を図ることは難しく、同じ事業制度の中で一元的、一体的に調整することが担い手の効率的、安定的な経営に資するものというふうに考えてございます。なお、こうした考え方は、機構事業の当県の評価委員会、外部の評価委員会でございますけれども、平成二十九年度の取組に対する意見の際にも提言されていることを申し添えたいと思います。
 現在、当県の円滑化団体は二十三、大体市町村とJAが半々ぐらいですけれどもありまして、このうち十七団体で約五千ヘクタール強の貸付けストックを持っておりますけれども、直近の新たな貸付実績は六団体の約三百ヘクタールぐらいにとどまってございます。
 かつては農協が集積を主導した地域もございましたけれども、今は農地制度に精通した職員も減少しておりまして、そのノウハウを後継者に引き継いでいくにも、実際のところはやっぱりそこまで手が回らないというのが実態でございます。JAの経営上も、農地は機構に任せて、JAは農業生産の拡大なり農業者の所得向上に注力すべきというふうに認識している幹部がほとんどでございます。また、市町村にあっても、特に広域合併していない町村を中心に、やっぱりマンパワーの不足から職員が一人何役もこなしている状況にありまして、今後この円滑化事業を単独で活発に推進していくにはやっぱり現実的には無理があるというふうに考えてございます。
 本県では、既に首長さんなり組合長さん等の理解を得ながら、期間満了を迎えた農地を中心に、随時、円滑化事業から機構事業への付け替えを今進めているところでございます。一方で、円滑化団体の事務をこれまで担っているJAですとか市町村にも、機構からこの中間管理事業の業務を委託しておりまして、統合一体化の素地はおおむね整っているのではないかなというふうに見てございます。
 基本的な考え方として今重要なことは、やっぱりJAや市町村が円滑化団体としてこれまで現場で蓄積してきたノウハウ、これをこれからも機構と一体となった取組の中でしっかり生かしてもらうこと、それによって法の目指す担い手の経営の効率化なり生産性の向上なり地域農業の維持発展、こういったものに資するように努めることであろうというふうに思ってございます。
 もとより、全国的には、北海道さんですとか愛知県さんのように、現に円滑化事業が主体となって集積が行われている地域もありますので、そうした実績ある円滑化団体が配分計画案を作成できるように法律上配慮したことは妥当な措置であろうというふうに思ってございます。
 最後に、私から改めて申し上げるまでもなく、農地政策は農政の中でもとりわけ息の長い永続的な取組が求められます。機構の立場から申し上げれば、農家が先祖伝来守ってきた大事な財産である農地を責任を持ってお預かりして、しかも、それを十年、二十年スパンで担い手に貸し出すことで、その担い手の経営基盤にもやっぱり責任を負うことになるわけです。したがって、今般の見直しも、制度の信頼が損なわれることのないように、また時計の針を戻すような、戻して現場が混乱することのないように、制度の根幹を堅持しつつ、運用面での改善なり改革を図ると、そういった内容であるべきではなかろうかと思ってございます。
 当公社といたしましても、今般の見直し法案が可決、成立した際には、その内容を踏まえまして、本年度からを新たなステージ、第二ステージとして位置付けて、関係機関、団体と連携を更に密にして、鋭意事業推進に努めてまいりたいと思ってございます。
 私からは、意見、説明は以上でございます。ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 佐藤博

speaker_id: 25848

日付: 2019-05-14

院: 参議院

会議名: 農林水産委員会