五百旗頭真の発言 (予算委員会公聴会)

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○公述人(五百旗頭真君) どうも、浅田先生、関西なまりでゆっくりと朴訥にしゃべられるので、非常に何か親近感を感じ、有り難く思っております。
 おっしゃるとおり、米中貿易戦争、経済対立の方は、これはある意味でトランプさんの得意芸だと思うんですね。初めにすごいことを、とんでもない、がんとぶつけておいて、そしてディールですから、やはり両方が納得するところへ、しかし初めに大きくぶっ放しているので、向こうは相当真剣に対応しなきゃいけないと思って譲歩を用意するんですね。それを取ったら収めると、これはトランプさんの得意芸だと思います。そういう意味で、一定の了解というのを今度もつくるんだろうと私は見ております。それを重ねていくでしょう。
 しかし、米中対立、お話しの米中対立は実は経済的な処理だけじゃないんですね。中国が大きく台頭してきている、そしてアメリカがこれまで中心大国であったのを脅かしていると、そういう認識を持ったとき、かつてのソ連に対してもそうですし、日本の場合には単なる経済国家であって、力の体系では全く脅威でも何でもなかったにもかかわらず、やっぱり八〇年代末から日本を抑えるということを考えた。中国はそれが非常に全面的なんですね。ソ連よりも手ごわいぐらいだという挑戦なんです。
 アメリカのグレアム・アリソンというハーバード大学の教授で、キューバ危機について「決定の本質」という本を、すばらしい名著を書いた人で、私がゼミの間、一番度々使ったテキストですけれども。その人が最近、「デスティンド・フォー・ウオー」と、戦争に引き込まれてというんですか、魅入られてと、運命付けられてというふうな本を書きまして、それで、ポルトガルとスペインが地理上の覇権で争った。そのときは、両国は当然戦争になるべきところを教皇の仲裁で平和的に片付いたんですね。それ以後、十六回、大国への挑戦が行われて、十六回のうち十二回は戦争に結局は陥ったという分析なんです。その中には日清、日露戦争も入っているし、日米戦争も入っているんですけれども。
 その中国の現在の台頭ぶりというのは、その十六回の中でもすごいもので、十七回目ですね、十七回目が果たして平和的に収められるか、結局は戦争になるか、これ非常に深刻な問題。本人たちだけじゃなくて、前線にある日本にも火の粉はもう必ず一番ひどく掛かるかもしれないですし、人類史にとっても大変なことなんです。これをどうするか。
 私は、その意味で、長話はいけませんので端的に言いますと、第二次大戦のとき、米ソ両超大国がドイツ、日本と戦うので連携しましたね。だけど、両超大国は物すごくマッチョ同士で、なかなか話付かない。そこにイギリスという斜陽国であります、日本の今の世界に持っている経済的地位より低いと思いますが、チャーチルという大物がトップにいたということもあって、三者になることによって戦後秩序をつくることに成功したんですね。これは非常な教訓だと思う。
 今、米中がしのぎを削ってがんがんやる、それでは難しい。でも、もう第三位に落ちたけれども、柔らかいアプローチをする日本が間に入って、この問題はやっぱり中国さん変えなきゃいけませんよとか、アメリカさんそこまで言っちゃいけませんとかいうふうにして、ある種の了解をつくる役割を日本が果たすべきじゃないかというふうに思っています。

発言情報

speech_id: 119815262X00120190312_183

発言者: 五百旗頭真

speaker_id: 31051

日付: 2019-03-12

院: 参議院

会議名: 予算委員会公聴会