青山幹雄の発言 (経済産業委員会)

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○参考人(青山幹雄君) それではまず、DXが我が国の産業並びに社会全体に及ぼす影響と今般の法律の改正について意見陳述をさせていただきたいと思います。
 お手元資料の二枚目を御覧くださいませ。今日申し上げたいことは、まず三点ございます。
 一つは、DXは、これはデジタル変革というふうに日本語では言っていますけれども、世界的に非常に今大きな勢いを持っております。これによって産業構造が大きく変わるというふうに考えられております。この変革に我々も推進をしなければ、我が国の経済の競争力並びに社会の安全性とか、あるいはセキュリティーを維持できないのではないかというふうに考えられております。
 二点目は、このDXに対して幾つかの成功事例が現れてきております。それらの成功事例を私どもで分析した結果によりますと、経営者のリーダーシップあるいは認識が非常に重要であるというふうに理解しております。さらには、これは企業変革でございますから、業務部門あるいはIT部門が、三位一体という言い方をしておりますけれども、変革を行わないといけないという状況にございます。
 一方では、この変革を実は進めるのはなかなか今、日本では困難な状況にございます。特に、技術負債という言い方を申し上げていますけれども、レガシーと呼ばれる一九七〇年代頃につくられたシステムが依然として例えば六〇%使われているという状況がございます。これは極めて構造的な問題だと思っています。こういった構造的な問題をいかに解決するかというのは、やはり国の制度的に、あるいはその改革は必要ではないかと思っています。
 さらに、それに伴って、経営者の認識とかあるいはリーダーシップを変えていただきたいというのが今回のDXの大きな問題を解決する一つの解であると思っています。そのためには、今回の法律の改正は是非お願いできればというふうに考えております。
 少し内容の方に入っていきたいと思いますけれども、お手元の三ページですね。そもそもデジタル変革とは何かということを、よく御存じかと思いますけれども、改めて理解を共有させていただきたいと思っています。
 一つは、従来のITあるいはICTと違うところは、例えば機械学習、AIとかあるいはIoTを使うことによって、大量のデータに基づいて従来とは違う、予測とか、あるいは人間の判断と同じような技術のことができるようになったということですね。これは極めて大きな違いでございます。これに基づいて、企業経営そのものも今変わってきている。つまり、競争の軸が変わってきているということに大きな変革のポイントがございます。
 これによって、例えば産業構造の変化、あるいは新しい事業の創出と併せて、社会の例えばセキュリティーであるとか防災であるとか、あるいは高齢化、人手不足の解消に資するんではないかというふうに考えてございます。
 その絵を見ますと、従来のITは企業内の効率化ということが中心でした。それに対して、現在のこのDXで求めているものは、社会全体にIT、技術が行き渡ることによって社会全体を良くしていくというふうなことが可能になってきたというふうに理解しております。
 次に、その次のページ、四ページ目でございますけれども、こういうふうな大きな変革にあるにもかかわらず、そこにありますように、多くの我々の国内の企業は、技術負債と呼びますけれども、レガシーという古いシステムをいまだに維持をしてきているというふうな状況がございます。
 こういった問題を共有していただく、あるいは危機感を喚起するために、昨年、レポートですね、二〇二五年の崖という言葉を使わせていただいています。これによって、多くの経営者の方が最近は問題を御理解いただくようになってきてはいるとは思っています。
 しかしながら、次の五ページ目にありますように、実はそのDXは、最近国内では理解が進んだかと思いますけれども、おおむね十年近く前から、特にヨーロッパを中心に研究あるいは検討が始まっています。
 例えば、インダストリー四・〇が二〇一一年に策定されまして、その後、アメリカでも、インダストリアル・インターネット・コンソーシアムという大きな国レベルあるいは業界全体を巻き込んだ運動が、活動が進んでおります。これらの運動では、企業全体の包括的な変革を進めていると。例えば、アメリカのIICというコンソーシアムは、最近はインダストリーIoTというふうなことで、IoTを全産業に進めていくというふうなことを進めております。これに対しては、我が国ではソサエティー五・〇が作成され、昨年、DXレポートというものを発行をいたしました。
 中ほどにビジネスという欄がございますけれども、特に二〇一〇年前後に出てきた、皆様よく御承知の新しいベンチャーは、これまでのいわゆるGAFAと呼ばれている技術志向のベンチャーとは異なって、社会問題解決型のベンチャーでございます。社会の様々な問題を、従来できなかったものをデジタルを使うことによって解決する。多くの社会問題は、人と人、あるいは人と物とか、物と物を結び付ける、いわゆる仲介することが多いわけですね。こういうことを、これまでできなかったような、デジタル技術を用いることによって可能になってきたということが大きな違いでございます。これが新しい事業を生んで、世界的にも大きな変革を起こしているというふうなビジネス面的な側面であると思っております。
 これができるようになったのは、最も大きいのは、恐らくスマートフォンです。皆様方御自身の行動が直接企業に分析できるようになったとか、あるいはIoTによって物と物を、あるいは工場の状況とか、あるいは農場の状況が分かるようになってきた。これは非常に大きな技術的な違いがここに現れております。
 さらに、こういった状況に対して、多くの事例がありますけれども、我が国ではまだまだちょっと立ち遅れているという現状があるかと思っています。
 次の六ページ目に示しているのは、幾つかの先進事例を私どもで分析をいたしました結果、やはりその経営戦略というところですね、企業のトップ、経営者のリーダーシップあるいはその認識が非常に重要であるというふうに考えてございます。
 国内でも、一番下に、これ愛知県の自動車部品メーカーでございますけれども、年商百五十億の会社が、こういったことを社長が中心になって進められている事例もございます。ただし、まだまだこれはある意味では少数にとどまっているというのが現状でございます。
 例えば、具体的な例といたしまして、次の七ページに、これは和歌山県にある有田ミカンの農業生産法人の例でございます。
 この法人では、もう五年ぐらい前から圃場にセンサーを取り付けて、いわゆるIoTの先進的な事例かと思いますけれども、それをクラウドに持ってきて分析をするということを続けておられます。それによってミカンの糖度を上げるということを、さらにはその収穫期を広げる、わせとわせわせをですね、更においしくするということを実際にやられてきています。それによって、世界十か国に輸出されて、年商十億ぐらいですね。今までのミカンと、恐らく十倍ぐらいの値段で販売されている。非常に高付加価値の、高い収益を上げる農業の構造に転換されているというふうに理解しております。さらには、若者が入ってきて、この会社の平均年齢は三十五歳、六歳というふうに聞いております。
 こういったふうに、従来型の農業、あるいは林業とかあるいは畜産でも、こういったデジタル技術を使うことによって構造変革をして、より収益の高い、あるいは若者を引き付けるような産業へ転換していくことは可能であるという事例がございます。
 こういった事例を見ますと、やはり先ほど申し上げました経営者、あるいは業務部門、デジタル部門が三位一体となることと同時に、やっぱり経営者のリーダーシップが一番大事だと思っています。あわせて、IT産業そのものが、現在、恐らくは、大体日本では今一%程度の成長だと言われていますけれども、アメリカですと六%以上、あるいは先進企業では一〇%以上の成長をしています。もっともっと成長できる余地があるのではないかというふうに理解しております。
 最後に、こういった問題を阻害する、いわゆるレガシーというものがございます。これは、今まではIT部門の個別的な問題であるというふうに捉えられがちだったわけですけれども、現在は企業全体のいわゆる経営問題になっております。
 これは、アメリカの研究所の例ですと、今、百万行といいますけれども、あの単位のソフトウエアは大体四億ぐらいの負債になっていると。国内でもいろんな統計データはございます。これがやっぱり経営の下押しになって変革を妨げているという状況にあるというふうに理解しております。
 これをこのまま放置いたしますと、ますます生産性を落とす、あるいは新しいところへ人材を振り向けることができない、多くの人材がレガシーの保守に回ってしまっていると。そうしますと、新しい技術を学ぶとか、新しい領域に人を割り当てるということができない、で、最終的には人手不足というふうになってしまっているというふうな、ある意味では悪循環がここに発生しているというふうに思います。したがって、特に経営者の認識とリーダーシップを喚起しないといけないというふうに私は考えております。
 さらに、最後に、こういったことに鑑みまして、今般の法律案の改正に関して言いますと、先ほどの成功事例から見ますと、やはり経営者の認識とリーダーシップを喚起すべきであるというふうに考えてございます。そのための施策として、今回の法律は資するものであるというふうに理解しております。
 さらに、今回、指針とかあるいはその認定を通して経営者の背中の後押しをするということも可能ではないかというふうに思っています。
 それから、これに基づきます措置内容が幾つか提案されているかと思いますけれども、特にDXの実態とか知見を集約してそれをフィードバックするということで、構造的に良い循環を起こすということで産業構造の転換と、さらにはその成長を促すというふうなことが可能ではないかというふうに思います。
 全体といたしましては、やはり企業の競争力強化並びに国全体の、あるいは社会の安心、安全も含めて、こういったDXを推進をしていかないといけないというふうに思います。
 最後に、まとめでございます。
 DXの現状としては、やはり世界的にこれはもう競争の主軸となって展開されているわけでございますけれども、残念ながらまだ我が国は少し立ち遅れているという状況にあるというふうに理解しております。これまでの知見からいえば、やはり経営者の認識とリーダーシップが非常に重要で、かつそれは、現在ではレガシーのシステムによって残念ながら経営の足かせになっている、あるいはDXの足かせとなっているという状況がございます。
 こういった構造的問題を正すためには、やはり構造的なアプローチ、つまり国によって制度なりあるいは仕組みを変えていただかないとなかなか難しい、個別企業ではなかなか難しいというふうに理解しております。今般の法律の改正によって、こういった問題が解決の非常に大きな助けになるのではないかというふうに私は考えております。こういった法律の非常に重要性というのを御理解いただきたいというふうに思います。
 以上でございます。ありがとうございます。

発言情報

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発言者: 青山幹雄

speaker_id: 20784

日付: 2019-11-26

院: 参議院

会議名: 経済産業委員会