岸原孝昌の発言 (経済産業委員会)
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○岸原参考人 本日は、意見陳述の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラム、MCFの岸原でございます。
まずは、簡単にMCFの御紹介をさせていただきたいと思います。
設立は一九九九年、日本でモバイルコンテンツサービスのiモードが始まった年に設立されております。現在、スマートフォン等におけるアプリ配信事業者を中心に約百社の会員で構成されております。会員としては、中小のベンチャー企業から上場企業まで幅広く含まれております。
当団体が活動領域としておりますモバイルコンテンツビジネスにおいては、プラットフォーマーとの関係性は必須であります。そのため、さまざまなプラットフォーマーとこれまで交渉を行ってまいりました。
古くは、ガラケー時代のiモードやEZウエブ等のモバイルコンテンツプラットフォームにおいて、通信事業者、キャリアと呼ばれておりますが、と交渉を行い、ビジネスを拡大するために公式サイトのオープン化等を進めてまいりました。また、インターネット上の音楽配信に関して、音楽著作権に関する、いわゆるプラットフォーマーであるJASRAC等の著作権団体と料率等の交渉を行って使用料規程を策定してまいりました。
本日は、このような過去の経験も踏まえて意見陳述させていただきたいと思います。
今回対象として想定されておりますアプリストアが介在するアプリビジネスについて、簡単に御説明をさせていただきたいと思います。
技術面ではさまざまな違いがありますが、アプリビジネスの仕組みは、日本が先導したiモード等のビジネスモデルと基本的に大きくは変わっておりません。当時、iモードで公式サイトと呼ばれた機能が、スマートフォンではアプリストアとして提供されておりますが、スマートフォンにおいてはアプリストア事業者による垂直統合がより進んでおる状況でございます。
若干、ちょっと古い端末を持ってきました。これがiモード端末、皆さん懐かしいかと思いますが、これがスマートフォンにどう進化してきたかということを簡単に御説明したいと思います。
これ、多分今お持ちの方は誰もいないと思うんですが、iPod、実はこれはPCから大量のデータを複製するという機能があります。ほぼPCと同じ、ストレージという形で、当時、数千曲の曲をこちらの方に移動して、モバイルができる。これを、ペンパイナッポーアッポーペンじゃないですが、がっちゃんこしたのがスマートフォンという形になります。
現在、これは、今このストレージがクラウド上にありまして、こことの連携をすることによって、スマートフォンのユーザー履歴あるいはデータを分析して、さまざまなサービスを提供するというのが基本的な構造です。
ちょっと脱線しますが、せっかくですので、このiPod、実は、この中身はほとんど日本の部品でした。東芝製の一・八インチのハードディスク、ソニー製の小型バッテリーがなければ、これ自体実現できなかったと言われております。しかも、スティーブ・ジョブズの美意識かどうかわからないんですが、それを実現するための鏡面仕上げ、これがまさしくその美意識になりますが、これをつくっていたのは、新潟県の燕三条のたくみのわざが実現した。イノベーションは結合から生まれると言われておりますが、日本ではスマートフォンが生まれなかったのが不思議なくらいです。
それでは、ちょっと本題に戻りたいと思いますが、多くのプレーヤーとサービスが融合するこれからの社会において、我が国の産業をスケールさせていくためには、効率性と高度化を実現するプラットフォーマーとの共存共栄スキームが重要です。しかしながら、現状は、構造的な問題が存在しており、さまざまな弊害が起きております。
その根本的な原因として、アプリストアに関しては二社の寡占状況で、構造上、アプリストア事業者が優越的地位にあるため、対等な交渉が難しかったということが挙げられると思います。これは、今、大橋先生の方から御紹介があったとおりかと思います。また、グローバル化による文化、コミュニケーション面のギャップも大きくなっております。
このような構造問題を共存共栄の方向に改善するために、今回の法案には非常に期待しております。まさに透明性が確保され、公正性について広く議論できるようになることは大変望ましいと考えております。レポートによる透明性確保から、アカウンタビリティーの履行、それに対するモニタリングレビューとしての評価という改善を促進するプロセスが回っていくことに期待しております。
法案への期待とともに、法運用に関して二点要望させていただきたいと思います。
一つは、共同規制スキームの実効性の確保、もう一つは、プリンシプルベースでの法運用です。
共同規制スキームについては、この後、生貝先生から説明があるかと思いますが、不確実性の高い現代社会においては、民間による柔軟性と法による安定性が両立した共同規制が有効だと思います。
MCFとしても、民間業界団体の柔軟性を生かして苦情対応等に当たっていきたいと考えておりますが、レポートやモニタリングレビューの法運用においては、業界団体との連携を十分に確保していただきたい。
また、民間の自主的な活動の実効性を担保するには、十分な体制整備が必要であり、政府からの支援も必要です。ぜひとも御検討いただきたいと思っております。
また、動きが速いIT業界において法制度を機能させるには、プリンシプルベースでの法運用が重要であると考えております。現状に最適化された仕様規定は重要ですが、不確実な将来にも対応するために原則の明確化が必要だと思います。透明性、公正性の向上を目指す基本理念に関する十分な議論をお願いいたします。
最後に、今回の法案とは直接関係しませんが、現在、新型コロナウイルスによって日本社会は大きな影響を受けております。このような状況に対応するためには、社会のデジタル化、インターネット化が必要であり、ITの積極的な活用による、リアル社会の代替としてのバーチャル社会の構築を促進していくようなビジョンも有効だと思います。
歴史を振り返ってみると、このような危機的な状況においてはメガベンチャーとなる企業が生まれる可能性があります。今回の危機を奇貨として、我が国のオルタナティブなプラットフォーマーの育成を積極的に進めて、規制とのバランスをとるというビジョンも検討していただければ幸いでございます。
以上、私の方からの陳述とさせていただきます。
どうもありがとうございました。(拍手)