生貝直人の発言 (経済産業委員会)

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○生貝参考人 おはようございます。東洋大学の生貝直人と申します。
 本日は、このような貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。
 お手元に配付いただいております一枚紙に基づいて御説明をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、私自身、主に欧州等のこういったデジタル分野にかかわる制度、政策というものを研究対象にするとともに、ただいま既に岸原様からも御言及のございました共同規制という方法論に関する研究を行ってきている者でございます。
 そのような観点から、お手元の紙の方をごらんいただきまして、まず、全体的に、今回の法案に関する総論としての考えを申し述べさせていただきますと、デジタルプラットフォーム、以下DPと記載しておりますが、まさに現代の情報社会の管理者と言っても過言ではない。それが特に、今後、ソサエティー五・〇が進展していく中で、MaaSでございますとかスマートシティーでございますとか、現実空間全体がこのDPの管理下に置かれるということにもなるわけでございます。
 そのような中で、利用者が国内外のDPを高い予見性のもとで安心して最大限に活用し、社会全体でイノベーションを生み出し続けるために、本法案は非常に重要な役割を果たすものというふうに考えております。
 特に、御承知のとおり、影響力の強いDPには海外事業者が非常に多いところで、これまで、日本政府あるいは国内利用者と海外DPの継続的な対話の経路というものが十分に存在しておりませんでした。それが、本法案の情報開示、体制整備、モニタリングレビューに基づく共同規制的手法により、関係者の相互理解の醸成というもの、それから問題が深刻化する前の自主的な適正化というものを促し、公正かつ競争的な市場環境を実現することを期待しているところでございます。
 二番目に、共同規制という概念について簡潔に御紹介をしたいと思います。
 共同規制、英語ではコレギュレーションというふうに表現いたしますが、これは既に岸原様からも若干御説明がございましたとおり、端的に申し上げますと、規制の大枠を法律で定めつつ、詳細を事業者の自主的取組に委ねることで、政府規制の安定性そして自主規制の柔軟性という利点を組み合わせ、イノベーション親和的なルール枠組みをつくり出す規制手法と表現してよろしいかというふうに思います。
 下の表のところに、こちらは英国の情報通信省、OFCOMが二〇〇八年に出した文書から大まかな要約を引いてきているところでございますけれども、できるだけ規制なしで問題が解決されていれば一番望ましい。しかし、それだけで難しいときには、業界に努力をしていただいて、あるいはそこに政府が緩やかな働きかけをして、法律には基づかないのだけれども自主的な規制をしっかりやっていただく。
 ともすれば、それでうまくいかなければ、一気に政府規制という形で細かいところまで決めてしまうという向きが、もしかするとインターネット以前の時代には多かったのかもしれません。なのでございますけれども、市場が万能ではないのと同じくらいに政府は万能ではない。やはり答えは、市場か国家、どちらかの極端ということではなくて、必ずその間にあるはずだ。それが、この間にございます共同規制、自主規制と政府規制の混合措置により問題が解決されている状態を指す共同規制という方法論でございます。
 少し上に戻りますと、特に、やはりデジタル環境というのは、政府で細かく決めてしまうことはできず、他方で市場に完全に任せることもできない、そういった問題が非常に広範に生じるところでございますので、これまで約二十年ほどのデジタル政策、そして、特にここ数年急速に大きなテーマとなってきたデジタルプラットフォーム規制という文脈におきましても、例えば青少年保護でありますとかあるいは知的財産権保護、それからフェイクニュースの対策、そしてこの後後述するEU規則等のDP規制において、広く共同規制手法が適用されているところでございます。
 そのときに、共同規制というものはさまざまな特徴がございますが、最も重要なのは、それが複層的かつ動的、ダイナミックな枠組みであるということでございます。
 本法案は、比較的、恐らくライトタッチな、軽度な、イノベーションに配慮した規制だということが言えるというふうに思います。それは、私自身、現時点の対応として非常に望ましいものと考えているところでございますが、本法案により目的が達成されているのか、まさに法により定められた目的が達成されているのか、そのことを継続的にモニタリングする、そして必要があれば追加的な介入というものを行う可能性、これは、私のような研究者は規制の影というふうに表現することが多いのでございますけれども、それを常に検討しておくことが重要でございます。まさにそれが法の目的を達成することであり、また、そうした前提があることでもって、規制対象の事業者の側としても、法を遵守しようとするインセンティブが生まれるというものでもあろうというふうに思います。
 後で少し、下で触れますEU規則でも、その趣旨を前文の中で明示しておりますほか、EUという国は、二十八カ国から成ります、今英国が離れまして少し数が減っておりますが、加盟国ごとにも法律を制定することができます。そういったようなことも含めて、機敏な対応というものもEUの枠組みでも進めているということであります。
 そのためには、モニタリングレビューの効果的な運用ということはもちろん、経済産業省、公正取引委員会、総務省、そして新設された内閣官房デジタル市場競争本部等、関係省庁のモニタリング体制というものを、専門的知識も含めて強固なものとしていく必要がございます。
 最後に、EU規則でございます。
 御承知のとおり、既に言及もございましたとおり、本法案は、EUの、二〇一九年の六月に採択されましたオンライン媒介サービスの公正性・透明性促進規則というものをかなりの程度モデルにしているものというふうに理解しております。それと本法案を比較してみますと、幾つかの側面がございますが、少なくとも、その中核である情報開示にかかわる規制内容はおおむね同等であると言えるというふうに思います。
 そのようなことにより、特に、上で申し上げました本法案の共同規制手法により、大枠としての法的枠組みを、まさにグローバルな情報空間にふさわしい形で国際的に共通化した上で、そしてまさに、その具体的な対応のあり方といったようなことは我が国の実情を反映する形で調整する、そしてDP事業者にも対応していただくという形での運用が大きく期待されるところかというふうに思います。
 主な相違点と本法案との比較は、以下に簡略にまとめております。規制対象でございますとか体制整備、そして救済・モニタリングというところで若干の相違は存在いたしますが、おおむね、総じて申し上げれば、本法案の方が、若干事業者の自主性に重きを置くとともに、市場状況に応じた柔軟な対応を、特に政令による規律の調整といったようなところを中心として重視されているというところかというふうに思います。
 このことというのは、やはり欧州と日本のデジタルプラットフォームにかかわる市場に対する捉え方、あるいは現実の市場状況といったようなところもあるものかというふうに思いますが、EUの規則というのも、これからまさに施行され、運用が行われていく中、現段階でとるべき対応としては、まさにこのような柔軟かつ機敏な対応を行うことができる枠組みというものを、私としては非常に望ましいものとして理解するものでございます。
 以上です。御清聴ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 生貝直人

speaker_id: 28833

日付: 2020-04-14

院: 衆議院

会議名: 経済産業委員会