小野透の発言 (経済産業委員会)

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○小野参考人 ありがとうございました。
 日本経団連の小野でございます。本日は意見陳述の機会をいただき、御礼申し上げます。
 足元、日本の電力は構造的変化に直面しています。脱炭素化、分散化、デジタル化といった潮流を捉え、再生可能エネルギーの主力電源化や、老朽化した送配電設備の更新、次世代化、安全が確認された原子力の再稼働といった諸課題に対応することが急務になっています。加えて、昨今の自然災害に伴う大規模停電や送配電網等への被害により、安定供給確保のための電力インフラのレジリエンス強化の重要性が再認識されました。
 今般の改正法案は、こうした状況を踏まえ、強靱かつ持続可能な電力供給体制の確立を図るべく、多方面から対策を講ずるものと認識しており、基本的な方向性に全面的に賛同いたします。
 本日の意見陳述の背景を御理解いただくために資料を準備いたしました。お手元の二枚つづりの資料をごらんください。
 まず、図一ですが、東日本大震災以降、日本の電気料金は、原発の稼働停止に伴う化石燃料のたき増しやFIT賦課金などの影響で、産業用特別高圧で約五割、低圧でも二五%も値上がりしています。
 図二に示しますように、日本の産業用電気料金は世界でも最も高いレベルにありますが、これは国際市場において大きなハンディキャップとなっており、国内での事業活動、とりわけ電力多消費産業に甚大な影響を及ぼしています。
 二枚目の図三をごらんください。これは、震災前後、二〇一〇年と二〇一七年の比較でございますが、製造業における購入電力使用額と製品出荷額、従業員数、一人当たりの給与の変化を示しています。
 製造業全体では購入電力コストが二二%上昇する一方で、出荷額、雇用、給与のいずれもプラスとなっていますが、電力多消費産業である鉄鋼関連産業では、電力コストが一四ないし一七%上昇する中で、出荷額は一五%減、雇用も一〇%程度減、給与も下がっており、このため、多くの事業者が廃業や事業所の閉鎖に追い込まれています。なお、これは現下の新型コロナウイルスによる経済影響前の構造的状況であります。今後更に厳しさを増していくものと危惧されます。
 市場がグローバル化し、国内外の競争環境が一層厳しさを増す中、企業の国内投資、ひいては国内での雇用を維持する意味でも、一連の改革がコスト効率的に進み、将来にわたり電力が安定的に低廉な価格で供給されていくことが不可欠と考えます。本日は、こうした観点から、再エネ特措法、電事法の改正法案について意見を述べさせていただきます。
 まず、再エネ特措法についてです。
 再エネは、エネルギー自給率向上や脱炭素社会の実現等に資する重要なエネルギー源であります。我が国の主力電源とすべく適正な事業環境を整備し、一層の低コスト化、安定供給への貢献、責任と規律ある事業運営を実現していく必要があります。
 現行FIT制度は再エネの量的な拡大には貢献しましたが、賦課金による年間の国民負担の総額が既に消費税一%分に相当する二・四兆円に達しています。これは、国際水準から見て割高だった電気料金を一五%以上押し上げることになり、今後も当面、負担は拡大していくものと考えられます。国民負担抑制と産業競争力維持の観点から、FIT制度の抜本改革は待ったなしの状況にあると言えます。
 今般の法改正は、FIP制度の導入を始め、再エネの市場統合を進めるべく、FIT制度を抜本的に見直すものであり、改革の方向性を支持いたします。
 今後の再エネ導入支援に当たっては、将来の自立化を見据えて支援の対象を絞り込むことが当然の前提となります。この点、発電コストの低減状況や地域貢献の程度を踏まえ、電源を競争電源と地域活用電源に区分し、電源特性に応じた支援を行っていくことは一定の合理性があると考えます。
 競争電源について、国民負担抑制の観点から、FIP価格の決定に当たり入札制を導入することや、再エネを電力の安定供給に貢献する電源とする観点から、再エネ発電事業者もインバランス責任を課す制度へと改める方針に賛同いたします。やむを得ず一部の例外や経過措置が必要となるケースがあったとしても、法改正の実効性を損なうことがないよう、慎重な制度設計が必要であると思います。
 地域活用電源については、FIT制度が暫定的かつ特例的な支援であるという前提のもと、レジリエンス向上、地産地消といった趣旨に沿って、その適用対象が限定的になるよう慎重な検討をお願いいたします。
 繰り返しになりますが、FIT制度と今回創設されるFIP制度は、再エネが経済的に自立するまでの経過的な支援制度であります。こうした基本理念を忘れることなく、再エネの市場統合とコストダウンを不断に図る中で、競争電源や地域活用電源の線引き、対象電源の支援のあり方を適宜見直すとともに、一定の年限を付して、制度自体のさらなる見直しを実施していただきたいと思います。
 次に、電気事業法の改正についてであります。
 今般の改正では、電力システムの構造的変化を踏まえ、系統整備のあり方や託送料金改革、配電事業等のビジネス環境整備など、持続可能な電力システムの構築に向けて必要な対応を行うものと理解いたします。こうした考えは、経団連の目指す方向性と軌を一にするものであり、全面的に支持いたします。その上で、期待も含めて、二点申し上げたいと思います。
 一点目は、系統整備、費用負担のあり方についてです。
 送配電設備の老朽化や再エネの大量導入が進展する中、今後、系統整備には多額の費用がかかることが想定されます。
 安定供給に必要な投資を確保することは大前提でありますが、増強判断に当たって適切な費用便益分析を実施することはもとより、エネルギー基本計画にも明記されているとおり、再エネ発電コストと系統コストの合計コストを引き下げることが不可欠であります。
 この点、コスト効率的に系統整備を進める観点から、今般、発電側の個別要請に対応するプル型から、広域機関や一般送配電事業者によるプッシュ型の系統形成に転換する仕組みが整備されることに賛同いたします。
 また、費用負担のあり方について、受益と負担の関係を踏まえて、連系線増強費用の一部を全国負担とすることも違和感はございません。
 今回、山間部等において電力の安定供給と効率性向上が得られる場合、配電網の独立運用が可能とされました。分散型グリッドは、次世代電力システムが向かう一つの方向性ではあると理解しますが、あくまでも全体最適に資するかという観点を常に念頭に置くべきであり、全体最適の中で対象地域の安定供給と経済合理性に資することが必要条件であると思います。特に、平時は主要系統と接続する分散型グリッドについては、現実には乗り越えるべき課題が多いと認識しております。
 二点目は、託送料金改革についてです。
 今般の法改正で導入されるレベニューキャップ制度により、事業者に効率化を促してコストを最大限抑制するとともに、送配電設備の適切な更新、次世代化に向けた投資環境を整備することが可能となるものと認識いたします。国民負担を最大限抑制しつつ、脱炭素化、分散化、デジタル化追求の基盤となる次世代電力ネットワークを構築していく上で重要な対策と理解し、全面的に同意いたします。
 最後に、電力の安価安定供給は、国民生活のみならず、日本の経済や雇用を支える産業の現在並びに将来にとって極めて重要な要件であります。このことは、平常時のみならず、緊急時においても当然求められることであり、中東情勢の不透明化や、近年の大規模な自然災害の発生等を受けて、より一層重要性が高まっているものと認識いたします。こうした状況を踏まえ、エネルギー供給の強靱化に向けた制度的対応は急務であります。
 また、来るべきコロナからの回復期において電力投資が活性化することで、経済浮揚とデジタル化の推進がともに進むことも期待されると考えます。本法案の速やかな成立と着実な実施をお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 小野透

speaker_id: 641

日付: 2020-05-20

院: 衆議院

会議名: 経済産業委員会