福井健策の発言 (文部科学委員会)
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○福井参考人 おっしゃるとおり、ここは割れました。後藤参考人などとの熱い論争を思い出すわけでありますけれども。
私は、不当に害する場合という条件を含めることを意見として持っておりました。これは、一昨年の最初のダウンロード違法化論争の後、中山信弘東大名誉教授など百名以上の専門家たちが共同で発した意見の中にも、パロディー、二次創作を除くということとともに含まれていた意見でもありました。
ただ、一方で、権利者の方々には御懸念も非常に強いところでした。なぜならば、利益を不当に害する場合という条件をつけますと、その立証責任というのは権利者側に負わされることになるのですが、まあそれは何とかなる。なぜならば、このダウンロード違法化は、ありていに言えば、実際の摘発をそれほど予想している制度ではありません。前回の映像、音楽の場合も摘発例は一件もなく、つまり、教育的効果を狙った、抑止力を狙った制度ということが言えます。
そのために、その立証責任を権利者側が負うのは、まあ何とかなるのかもしれないが、これはむしろ後藤参考人にみずからお答えいただいた方がいいのかもしれませんが、私の理解では、それを、本当に悪質な存在である海賊版サイトこそ逆手にとるんじゃないかということの御心配だったような気がする。実際の摘発が必ずしも想定されない例であればこそ、それを使って変な宣伝広告をされてしまうと困る。海賊版というのはいわば試し読みでしょう、試し読みをみんなして、気に入ったら正規版を買えばいいじゃないですか、だから海賊版を試し読みするのは権利者の利益を不当に害しないよというようなことを実際にサイト上で大きくうたう海賊版サイトは確かにいましたので、そういうことを、今後、法律上もそうですよというようなうたい方をされると心配だということを恐らく御懸念された。
一方で、権利者の利益を不当に害しないケースというのは、でも、あり得るじゃないかと。例えば、研究目的で何か論文をダウンロードせざるを得ないケースがあって、ある論文を批判するために、Bという論文がこれを無断転載してネットに上げているというのは、まあまあ見られることだと思うんですけれども、それを検証するためには、両方ダウンロードしないと検証できない。これは違法アップロードだよね、知りながらダウンロードしているからダウンロード違法化の対象になるよねというようなことが懸念例として政府資料にも載っていると思いますが、確かにこういう研究目的の場合は萎縮は心配です。
そこで、かなり意見が割れた結果、では、不当に害しない特段の事情がある場合だったらまとめられるかということで、折衷案というものが出てきたんですね。立証責任を転換する。立証責任を転換するといっても、まあ摘発はそう考えられることではないので、安心材料としてはかなりきくだろう。一方で、特段の事情と書くことで、そういう居直りというのは、悪用は防げるんじゃないかという両方の期待感で折衷案が出て、何とか折衷案でまとまればよかったのですが、両論併記という形。つまり、こんなものは入れないという意見と、折衷案はセーフガードで何とか入れようじゃないかという意見の両論併記という形で結論は出ました。
その後、立法化の作業の中で、政府や与党内において、安心材料はやはり入れていこうということで、この折衷案がとられていったように理解しています。
私は、この妥協案が、まあ、ぎりぎりあり得たところかなというふうに思っているところであります。