新里宏二の発言 (予算委員会公聴会)
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○新里公述人 今御紹介いただきました新里でございます。
本日、公聴会にお呼びいただきまして、発言の機会を与えていただいたことを、大変感謝申し上げます。
私自身は、三十八年、仙台で弁護士を行っております。長らく多重債務の問題に取り組む中で、パチンコで借金を何度もつくって、仕事や家庭、そして最後は自分の命まで失う、そんな悲劇をずっと見てまいりました。
カジノの解禁は国のあり方に極めて大きな影響があるということで、本日は、カジノの設置に反対の立場から意見を述べさせていただきます。
二〇一八年七月、民間賭博であるカジノの設置を認める特定複合観光施設区域の整備法が成立いたしました。IR法又はカジノ解禁法と言っておりますけれども、私自身、この前の推進法のときも含めて、衆参で二度、内閣委員会で参考人としてもカジノ解禁に反対の立場で意見を述べさせていただきました。
今般、あきもと元IR担当副大臣の、中国企業である500ドットコム社からの収賄容疑での逮捕、起訴を受け、もう一度カジノ解禁を問い直すべきと考えておるところでございます。
私のレジュメを一枚あけていただきましょうか。
じゃ、今、各地でどのような状況になっているのでしょうか。
昨年八月の二十二日、横浜市長が山下埠頭への誘致を表明しました。二〇一七年七月の市長選挙では、林市長は誘致は白紙とのことで争点を回避しながら、今回表明したということになっています。ギャンブル依存症問題などから地元横浜港運協会及び市民の間に根強い反対があり、運動が起こっております。
じゃ、横浜以外のことはどうなっているのかと申しますと、今、カジノの設置は三カ所ということになっております。アメリカのカジノ王と言われるサンズ社は、横浜の表明に合わせて、大阪ではなく東京、横浜に参入の意向を表明しました。大阪では夢洲、東京では青海、千葉、愛知、和歌山、長崎、北海道苫小牧という声が上がっていたところでございますけれども、北海道、千葉でもカジノ誘致を断念をしたということになっております。北海道では昨年の十一月の二十九日、そして千葉では一月の七日、後で述べますけれども、カジノ管理委員会が設置されたその日でございますけれども、断念を表明をしております。
今回、元担当副大臣の収賄容疑での逮捕は、驚きとともに、またかという思いをしたところでございます。
二〇一八年七月の十二日の週刊文春は、米国大手カジノ事業関係者が国会議員十五名のパーティー券購入リストについて、脱法献金と報道いたしました。
今回の逮捕は、カジノ解禁は誰のためのものなのかを考え直す重要な事件だと考えます。海外から投資するカジノ業者、建設、ゲーム事業など、カジノ事業周辺では大きな利益をもたらすでしょう。二兆円以上とも言われている投資でございます。では、そこに暮らす住民、誘致自治体の利益になるのでしょうか。
そして、カジノ解禁法の今後の予定でございます。
七月の二十二日に成立をした。条文は二百五十一で、政令などへの委任が三百三十一と、べらぼうに多い法律でございました。そして、カジノ管理委員会は国会の同意人事ということでございましたけれども、選挙の影響を考えたのか、臨時国会へ回り、そして、昨年の十一月の二十九日、初代の委員長に元福岡高等検察庁検事長の北村氏が起用された。そして、述べましたように、一月の七日、カジノ管理委員会が設置をされております。
一月末までに国が基本方針を策定をするんだと言われていましたけれども、逮捕の影響もあって、三月ないし四月にずれ込むと言われております。そして、自治体が事業者を公募、選定、立地自治体での議会での議決、そして二〇二一年一月から七月まで自治体が認定申請をするとされております。そして、二二年は国の認定、二四年には開業かとも言われております。
ただ、カジノ管理委員会の規則、これがいろいろなことを規制をかけるわけですけれども、それがまだいつできるかがわからないというような状況でございます。ただ、大阪等では行動が進んでいるということになっております。
大阪の動きをちょっと見ていただければと思いますけれども、既に募集要項の公表がなされております。そして、四月には提案審査書類の提出期限、そして六月に選定をして、七月には基本協定の締結だと言われております。
では、次に、この法律の目的は何だったのでしょうか。
この法律は、我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展を図るためには、国内外からの観光旅客の来訪及び滞在を促進することが一層重要となっていることに鑑み、健全なカジノ事業の収益を活用して特定複合観光施設区域の整備を推進することにより、魅力ある滞在型観光を実現するため、必要な事項を定め、もって観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資することを目的とすると言われております。公共政策としてのIRとの概念が唱えられているところでございます。
では、公共政策としてのIRの自己矛盾があるのではないかと考えているところでございます。
公共政策としてのIRとして、経済効果の増大が至上命題となっております。巨大な投資、そうすると、投資の回収のため、IRの収益エンジンであるカジノの売上げが不可欠でございます。面積三%で八〇%の売上げを上げると言われております。カジノ事業者の売上げの総体はカジノの負けでございます。カジノ利用者は、七、八割は日本人、日本人の金融資産一千八百兆円が狙われているのではないかと私は考えているところでございます。
そして、では地域に金が落ちるんだろうか。カジノは囲い込みです。後で述べますけれども、コンプという景品を使って囲い込む。そうすると、地域に人が出てこないんです。よく、共食い、カニバリゼーションということを言われていますけれども、地域の疲弊につながるのではないか。私も二〇一五年に韓国の江原ランドの方に視察に行ってきましたけれども、そこでの周辺地域の疲弊というのは明らかなところでございました。子育てをする世代はそこには住めないよという声も聞きました。
そして、三百二十万人と言われるギャンブル依存症の強化、治安の乱れ、暴力団のばっこ、これまで抑え込んできた暴力団がばっこするのではないかと言われております。
そして、何よりも、莫大な経済効果があるよといいながら、じゃ、負の影響はどうしているんですかというと、全く試算されていない。地域によるものだから決まるまではわからないでしょうと言われて、経済効果だけがひとり歩きをしているのではないでしょうか。米国や韓国では、負の影響が利益を相当上回るという報告がきちっとなされております。
そして、カジノ面積規制の緩和。これについても、取りまとめ当初は、絶対値である一万五千平米又は三%という基準が並立していたのですけれども、法案ができて、実際は三%の基準がとられている。これについては参入業者の意向があったのではないかと言われております。
それから、海外からの観光客増加に私はカジノは不要だと思います。皆さんも、やはり政府の取組の中で海外からの観光客が非常にふえているということを実感をして、それがかえって、今回のコロナウイルスで観光客が減ったということで、経済効果が逆に下がっていると言われているところですけれども、日本では、二〇一〇年が八百六十一万人、二〇一八年では三千百十九万人、三・六二倍ふえております。二〇一〇年にカジノを解禁したシンガポールとよく比較されますけれども、カジノのない日本の方が増加が著しいということが明らかでございます。
さらに、旅行・観光競争力報告書、二〇一九年九月、世界経済フォーラム作成でございますけれども、日本は世界四位。スペイン、フランス、ドイツに次いでおります。じゃ、シンガポールはどうですかというと、十七位。日本は一位となっております。
それから、不十分きわまりない入場規制について述べさせていただきます。
カジノは三百六十五日二十四時間営業でございます。これまで公営ギャンブルではなかったことでございます。そして、入場回数制限ですけれども、七日で三回、二十八日で十回、毎年百三十回と認めるものでございまして、ギャンブル依存症を拡大する基準ではないかと考えるところでございます。
例えば、シンガポールでの賭博依存国家評議会による横断的なカウンセリング機能を持った回数制限等の基本的なギャンブル依存症対策もございません。後で述べますけれども、特定資金貸付業務を認めることから、負けた顧客に借金してまで賭博を推奨するもので、カジノ事業者がギャンブル依存症を続発させることを容認していると言えると思います。
次に、まさしくこの特定資金貸付業務でございます。
これまで、公営ギャンブルで事業者がお金を貸すということは認めておりません。また、貸付けは御法度だと言われているのではないでしょうか。時代劇の中でも、賭場で負けると、きょう、ついてないですねといって、じゃ、どうぞとお金を出す。よくあることじゃないですか。これがまさしくこのカジノで認められているんです。
そして、更に言うと、貸金業規制法の適用も排除されております。
貸金業法の改正は、二〇〇六年、国会の中で議論されて成立した法律でございまして、多重債務者対策で非常に機能しております。その中で、収入のうち三分の一の規制ということが非常に大きな力になっておりました。しかし、それがないんです。どういうことかというと、高齢者の方が、収入はないけれども資産がある、その方に大量にお金を貸して、そして負けさせる、それができるのではないか。それの規制をするのがカジノ管理委員会規則ですけれども、まだそれができておりません。どういう内容になるかがわかっていない、その中で事実が進んでいるということでございます。
それから、コンプ、カジノ行為関連景品類への規制。
これについては、コンプというのは何かというと、ここに書きましたけれども、コンプリメンタリー、無料という意味だそうですけれども、カジノへのゲームに費やした金額や時間に応じて割引特典、無料特典が受けられるサービスと言われています。コンプの仕組みが集客力、カジノに関心のない者をカジノに誘導すると言われております。
これについても、法律の中で景表法の適用が除外されております。景表法は四条で、景品は価額の十分の二とされておりますが、これをさせないということは、どこまで景品をつけることになるのか、これもわからない。これも管理委員会規則のことですけれども、まだ決まっていないということでございます。
それから、新聞報道でしたけれども、カジノ所得課税が進むかという議論が報道されておりました。
カジノを含む統合型リゾートで、利用者から、カジノで得た利益に課税するという政府案が示されたというふうに報道されておりました。課税案には、利用者ごとの入場時のチップ購入額と退場時の換金額に加え、個々のゲームの勝ち負けの記録を事業者が保存し、利用者に提供、申告してもらう仕組み、訪日観光客に関しては、出国すると税務調査が事実上困難になることから、源泉徴収を導入することも検討すると言われておりました。
財務省に、これも報道ベースですけれども、米国や韓国でも、カジノ所得に対する源泉徴収の仕組みが採用されていると言われていました。しかし、これについても自民党の先生の方から懸念が出されて、明記が盛り込まれなかったというふうに言われております。
それから、区域整備計画の認定失効による解除。
これは国会の中でも議論がされているようですけれども、例えば大阪府では、今、区域実施方針等に基づいて、募集要項の公表がなされています。その中で、第十、事業継続が困難となった場合における設置に関する事項、二で「協定解除事由と解除時の取扱い」として、「(三)区域整備計画の認定の失効による解除」として、大阪府が認定の申請を行わない場合の補償の規定が、事業者に補償しなければならないという規定が盛り込まれております。
この点は、首長がかわり、議会の構成が変わって、これはまずいよねといってIRを拒否すると、補償を行わなければならない。まさしく、一回協定を結んでしまうと後戻りができないという規定が盛り込まれております。
日本では、これまで民間カジノは解禁されておりません。賭博禁止の、違法性阻却を、法務省が基準を出して議論してきたところでございます。
これまでの法務省の違法性阻却は八要件だと言われています。目的の公益性、収益の使途が公益性のあるものに限ることを含む。運営主体の性格、官又はそれに準ずる団体に限る。収益の扱い、業務委託を受けた民間団体の不当な利潤を得ないようにするなど。射幸性の程度。運営主体の廉潔性、前科者の排除など。運営主体への公的監督。運営主体の健全性。副次的弊害、青少年への不当な影響などの防止等に着目し、意見を述べてきたところであり、カジノ規制のあり方についても同様であるとされております。この八要件から、民間賭博を法務省は認めてこなかったのでございます。
では、このカジノ実施法で違法性が阻却されるのか。
目的の公益性。繰り返しになりますけれども、収益の使途が公益性のあるものに限ることを含むとされております。今回の実施法では、カジノ収益が国際観光の収益エンジンであり、納付金三〇%が公益目的に使われることから、目的の公益性を満たすとされております。
そもそも、先ほど述べたように、収益エンジンには疑問が出ていること、納付金三〇%を除く部分でカジノ事業者に多くの利益が確保され、参入カジノ事業者の株主に多額の配当が用意されることが、これまでの目的の公益性を大きく逸脱するのではないでしょうか。
それから、射幸性の程度、副次的被害の除去。これも、繰り返しになるかもしれませんけれども、貸金業の適用除外をして総量規制を外した中で、借りさせてカジノを行う。これについても、これまでの射幸性の程度、副次的被害を大きく逸脱する、違法性阻却にならないのではないかと考えるところでございます。
これまで述べてきましたように、カジノ参入事業者の意向から規制が骨抜きになっていないでしょうか。
面積規制しかり、入場規制、所得課税、特定資金貸付け、コンプ規制、全てが規制緩和の方向で、世界最高のカジノ規制は実現されていないと言うべきでございます。
そこに、参入事業者の金が政治家に渡り、規制をゆがめられたとすると、ゆゆしき事態ではないでしょうか。
世論の動向でございます。
本年二月実施の時事通信の世論調査で、カジノを含む統合型リゾート、IRの国内誘致について聞いたところ、反対が六二・四%、賛成が二二・八%と、大きく反対が上回っております。
私は、人の不幸、命の問題、このカジノビジネスで日本が発展を図る必要は全くないと考えております。
IR法の廃止をぜひ御検討を実施していただきたいと思い、これで私の発言を終わらせていただきます。(拍手)