予算委員会公聴会

2020-02-21 衆議院 全143発言

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会議録情報#0
令和二年二月二十一日(金曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 棚橋 泰文君
   理事 井野 俊郎君 理事 後藤 茂之君
   理事 坂本 哲志君 理事 葉梨 康弘君
   理事 堀内 詔子君 理事 山際大志郎君
   理事 大串 博志君 理事 渡辺  周君
   理事 伊藤  渉君
      あべ 俊子君    秋本 真利君
      伊藤 達也君    石破  茂君
      今村 雅弘君    岩屋  毅君
      衛藤征士郎君    小倉 將信君
      小野寺五典君    大岡 敏孝君
      奥野 信亮君    鬼木  誠君
      神山 佐市君    笹川 博義君
      武部  新君    根本  匠君
      原田 義昭君    平沢 勝栄君
      藤井比早之君    古屋 圭司君
      村井 英樹君    村上誠一郎君
      山口  壯君    山本 幸三君
      山本 有二君    渡辺 博道君
      今井 雅人君    小川 淳也君
      大西 健介君    岡本 充功君
      川内 博史君    玄葉光一郎君
      後藤 祐一君    辻元 清美君
      本多 平直君    馬淵 澄夫君
      前原 誠司君    矢上 雅義君
      山川百合子君    國重  徹君
      濱村  進君    塩川 鉄也君
      宮本  徹君    杉本 和巳君
    …………………………………
   公述人
   (マネックス証券株式会社執行役員チーフアナリスト)            大槻 奈那君
   公述人
   (特定非営利活動法人情報公開クリアリングハウス理事長)          三木由希子君
   公述人
   (国土学総合研究所長)
   (一般社団法人全日本建設技術協会会長)      大石 久和君
   公述人
   (弁護士)        新里 宏二君
   公述人
   (東京財団政策研究所研究主幹)          小林慶一郎君
   公述人
   (日本労働組合総連合会会長代行)         逢見 直人君
   公述人
   (法政大学教授)     小黒 一正君
   公述人
   (昭和女子大学グローバルビジネス学部長・特命教授)            八代 尚宏君
   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十一日
 辞任         補欠選任
  うえの賢一郎君    村井 英樹君
  河村 建夫君     大岡 敏孝君
  岡本 充功君     山川百合子君
  本多 平直君     矢上 雅義君
  藤野 保史君     塩川 鉄也君
同日
 辞任         補欠選任
  大岡 敏孝君     武部  新君
  村井 英樹君     藤井比早之君
  矢上 雅義君     本多 平直君
  山川百合子君     岡本 充功君
  塩川 鉄也君     藤野 保史君
同日
 辞任         補欠選任
  武部  新君     河村 建夫君
  藤井比早之君     うえの賢一郎君
    ―――――――――――――
本日の公聴会で意見を聞いた案件
 令和二年度一般会計予算
 令和二年度特別会計予算
 令和二年度政府関係機関予算
     ――――◇―――――
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棚橋泰文#1
○棚橋委員長 これより会議を開きます。
 令和二年度一般会計予算、令和二年度特別会計予算、令和二年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を開きます。
 この際、公述人各位に一言御挨拶を申し上げます。
 公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。令和二年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。
 御意見を賜る順序といたしましては、まず大槻奈那公述人、次に三木由希子公述人、次に大石久和公述人、次に新里宏二公述人の順序で、お一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 それでは、大槻公述人にお願いいたします。
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大槻奈那#2
○大槻公述人 ありがとうございます。
 おはようございます。ただいま御紹介にあずかりました、マネックス証券でアナリストをしております大槻と申します。
 主な仕事といたしましては、金融システム、金融、金利等の分析及びそういった投資教育を大学でやらせていただいている次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日なんですけれども、主に三つのことをお話しさせていただければと考えております。
 一つ目に、世界の金融情勢、そしてその財政へのインプリケーションということであります。そして二番目に、今申し上げましたように、個人の方々にもいろいろな形で接しております。そういった個人の方々が財政及び景気に対してどういった見方をしているかということが二点目。そして最後に、僣越ではございますが、金融市場の関係者といたしまして、日本の課題、その中で今回の予算へのコメント等も少し触れさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 一つ目のテーマでございます。お手元の資料の三ページ目の方をごらんいただければと思います。
 こちらが、今私どもが最も気にしていることの一つでありまして、世界の債務残高、史上最多の二京円ということになっております。GDPに換算しますと二二〇%ということで、特に、右側にございますように、政府セクターでの上昇が目立っています。
 これは、足元ですと、新興国も政府セクターで増加をしておるんですけれども、特徴的なこととしては、右側は二〇〇八年のリーマン・ショック後をとっています。リーマン・ショックを一〇〇としているために、そこからの上昇で見ていただいているものなんですが、最初に増加をするのが、こういう金利ショックのときは政府セクターがさまざまな形で金融機関、そして企業を支援するために、こういった形で債務が増加するということであります。
 今は情勢が非常に安定しているために、こういった政府の債務の膨張ということは一部を除いて見られませんけれども、再びこういったことがあり得るのではないか、財政に対する負担ということを気にしている次第です。
 おめくりいただきまして、四ページ目が、金融市場の変化として、直近では、銀行が、マイナス金利の影響もありまして、余剰資金をため込んでいるということを書いています。日米合計で約六百兆円ということで試算をされています。
 そして、次のページからが、その六百兆円のいわば余剰資金、余剰資金の、ここで申し上げている定義といたしましては、預金をどれだけ集めて、それを銀行が貸出しに回せないでいるかということであります。
 これの中身として、五ページ目からがアネクドートでございます。今我々が懸念しているのは、そういった資金の偏在だということであります。ここに、利ざやがあるならどこまでも行くということで書いてありますが、一つ目、クレジットリスクでございます。
 ここにある左側のグラフをごらんいただきますと明らかなんですけれども、アメリカの国債利回りとギリシャの国債利回りを比較したものになっています。いずれも十年物です。ごらんいただきますと、普通で考えればギリシャの方がクレジットリスク的に非常に厳しいということで、上に行けば行くほどそのリスクが市場で意識されているということなので、ここでごらんいただきますと、ギリシャの方、オレンジの方が上にあるのが自然なんですが、去年以降はアメリカ国債よりも下に利回りが来ております。クレジットリスク、ギリシャのリスクということが、もちろんギリシャ自体も改善はしているのですが、それにしても、相当、投資家がこういったクレジットリスクに対して以前ほど意識していないということのあらわれだと思います。
 右側、これは今度はデュレーションリスク、期間のリスクを余り市場が意識しなくなっているということの証左としてお持ちしました。
 スウェーデンです。スウェーデンは、住宅の価格が、一九九〇年以降で見ますと、最も上昇した国のうちの一つなんですが、ここで、二年前ぐらいの法律でございますが、住宅ローンが余りにも長いものが発生したために、百五年までという規制を導入したということであります。長ければ長いほどもちろんリスクは高まるのですが、そういった形で、銀行がデュレーションリスクに対して甘くなっているということかと思います。
 もう一つだけ、アネクドートでございます。
 次のページをお開きいただきますと、今度はコーポレート、企業の方でございます。「利鞘があるならどこまでも…」という続きがございますが、クレジットリスクについてです。左側、レバレッジローン、これは投資適格でない企業に対するローンを指しますが、その中でも、コベナンツ、つまり、条件を緩くしているものの比率がじわじわじわじわと上昇して、七五%になっていると。
 右側は、BIS、国際決済銀行が出しているデータで、ごらんの方もいらっしゃるかもしれませんが、ゾンビ企業、つまり、返済をする元利金を利益では賄えないという企業がどんどんふえていて、史上最高になっているということであります。
 さて、そういったことの一つの要因がマイナス金利でございますが、七ページ目をごらんいただければと思います。今、欧州の一部では、日本ではないわけですが、いろいろな形でマイナス金利が民間に浸透しつつあります。
 一つは住宅ローンです。こちらでごらんいただいている、左側はデンマークの銀行、八月に初めて住宅ローンの絶対金利をマイナスにしております。つまり、一億円借りると、年間で三十万円とか四十万円のお小遣いが来るという形になっております。
 それと同時に、右側、これはドイツのマネー誌の表紙をとっています。ドイツでは、八百ぐらいの中小の金融機関の今や四十一の金融機関でマイナス金利を一般の個人の預金にも導入しているということで、それに対して、これは貯金箱が水面下に沈みかけていますが、どうやって自分の身を守るかと。日本のようなたんす預金も話題になっているんですが、向こうはたんすがないので、マットレス預金というのがはやっております。
 そういったひずみも出ている中で、じゃ、お金が実際どっちに行っているのかというのが、次のページでございます。お気づきのとおり、これは不動産に行っている。資産価値を上昇させているというのが典型例でございます。
 右側の方をごらんいただきますと、アメリカの主要都市、マンション価格の中央値が、一部の地域ではありますが、一億円超ということになっていまして、具体例を下に載せてございます。特にこの右下の例、これもアネクドートにすぎませんが、去年の今ごろ、実際に売買が成立したものの価値は、USドルで二百三十八ミリオン、円にすると二百六十億円ぐらいでございます。一戸です、棟ではなくて一戸。ということで、相当の資産効果を生んではいるものの、価格としては相当上昇しているというところです。
 中国について触れます。
 中国も同じように上昇していますが、少しボラティリティーが、変動が大きくなっており、かつ、問題として、空き家率というのを右側に書いてございます。日本もこれは御存じのとおり話題になっておりますが、中国の場合は、世界一かもしれないという二二%、戸数にすると五千万戸ということですので、この中国の空き家に日本の世帯がほとんど住めてしまうぐらいの空き家になっております。
 次のページ、ここからが少し、中国のリスク、それから足元の、皆さん御懸念と思います新型肺炎についての金融面のことについて述べたいと思います。
 中国の金融システム、実はここが、この件が起こる前から中小の金融機関については経営リスクが高まっておりました。左側にありますように、ストレステストを十一月に発表しておりますが、左側のグラフの八以上のところが高リスクの金融機関とされています。パーセントでは一三%で大したことはないように見えますが、数でいいますと五百八十七金融機関でございます。そして右側は、そういったところが取付けに遭ったりですとか、大きな金融機関の一部に吸収されたりといったことが起こっておるのが、既に新型肺炎以前の問題であります。
 そこへもってきまして、十一ページ目、これが直近の各種支援策でございます。左側が民間の金融機関の支援策、右側が公的な、主には金融政策でございます。
 左側をごらんいただきますと、こちらのデータは二月十一日の昼までです。その後も大きくさまざまな施策が打ち出されていると思いますが、二月一日からのわずか十日間ちょっとで、こちらでごらんいただきますように、円にしますと五・五兆円の金融支援が行われたというふうに報道されています。
 向こうのテレビでも、見ていますと、アプリベースで、わずか二時間で実際に実行されているようなローンがあるということも言われております。
 そして右側、金融政策の支援ですが、きのうも発表されましたとおり、さまざま、かなり迅速にやっているということの印象でございます。これらは、御存じのとおり、金融政策、財政政策ともに余裕を持っているからこその証左かもしれません。
 そして、金融情勢について、最後で、かつ最も重要なアメリカでございます。
 こちらのページにお示ししているのは、いかにアメリカの景気がいいかということのあらわれでございます。
 左側、御存じの方も多いと思いますが、過去最長の景気拡大期、月数でいうと百二十六カ月ということなんですが、より御注目いただきたいのは右側でございます。クレジットサイクルなんですが、企業のデフォルトが多ければ多いほど上にスパイクするという形になって、一時期はこれが十年に一度と言われておりました。それが、この赤い方の線をごらんいただきますと、順調に大体十年に一度、二〇〇八、九年のリーマン・ショックまでは発生しておりました。それ以降ということで、それとちょっと重なって〇五、六年以降のものをもう一つの線で書かせていただいています。赤い線になっているかと思います。
 こちらをごらんいただきますと、途中まではぴったり今までのサイクルどおりクレジットリスクが高まったり鎮静化したりしていたのですが、トランプ政権が発生して、その様相が大きく変わりました。御存じのとおり、税制それから金融政策等がきいているかと思います。
 ただ、十三ページ目の、次のページなんですが、もしここから何かあるとしたら、このショックは、過去も、ここのグラフでごらんいただきますように、これは世界の株価なんですが、緩やかに、サイクルというよりはショックが起こり、回復しということが何度も繰り返されているということに見えるかと思いますが、次に何かあるとしたら、前回以上のショックもあり得ると思っています。
 その理由が、次のページ、新興国でございます。
 新興国の債務は、御存じのとおりドル依存が進んでいて、新興国自体の借入れも、右側にございますように大きくなっております。ただ、十五ページ目に行きますと、それだけではクライシスが、危機が起こるとは思っておりません。危機というのは、必要条件として、十分にさまざまな要素が今申し上げたところから発生していると思うのですが、このページの下の方でございます、何か未体験のネガティブファクターがない限りは多分発生しないのではないかと思っています。そして、これが仮に起こった場合、何ができるのか、財政への影響はということを我々としては考えていかなければいけないのだと思います。
 そして、飛ばしながら、最後のところをやらせていただきます。
 一つ目、個人の不安感ということです。
 おめくりいただきまして、十八ページ目にございます。私どもの、個人のセンチメント調査でございます。
 こちらは年齢別になっておりまして、ちょっと見づらいのですが、一年前よりも家計を締めているか緩めているかということを尋ねてみますと、若年層は比較的、例えばですが、九月の時点は消費税増税のときに大きく家計を緩めており、その後また戻っているという感じでございますが、問題は高齢者の方の、ここでいうと緑色になっているかと思いますが、こちらの方々は、消費性向も上がりませんし、右側の、預金、貯金か投資ということでも、コンスタントに預金、保守的でございます。こういった年齢層がこれから増加していくことを考えると、ここのセンチメントマインドをどうやって高めていくかというのは大きな課題かと思っています。
 では、こういった状況になっていることはなぜかということで、理由を聞いているのが十九ページ目でございます。
 典型的なところとして、一つ目は、これは去年とことしなんですが、大きく数字が上がってしまっている、変化しているところがございます。
 一個目が、やはり二千万円問題といったこともあるのでしょうか、将来の年金不安というのが大きく拡大してしまっています。
 一方で、下から四つ目になります、消費税についてでございます。上がる前の去年の今ごろは、上がるから貯金にしておくということで、少し矛盾した形かもしれませんが、そういった声が聞かれたのに対して、その思い、不安感は鎮静化をしているということが注目をされると思います。
 つまり、長期的な不安である財政だったりとか年金、そういったことは長くセンチメントマインドに残るのですが、比較的短期的なところについてはマインドは変わりやすいということかなという仮説を持っておる次第です。
 そして、最後でございます。
 おめくりいただきまして、二十一ページ目になります。私の主に金融市場から見た中長期的な問題意識ということで、ここに書かせていただいています。
 一つ目は、今申し上げましたとおりの、社会全体のリスク回避志向ということでございます。個人の方は先ほど申し上げました。企業の方も、釈迦に説法ですが、どうしても内部留保にため込むということでありますが、今回取り入れていただきました税制の改正ということで、何らかの形でイノベーションに対しての投資が促進されることを期待したい次第でございます。
 それからもう一つ目、今の点にも絡むと思いますが、イノベーションの相対的なおくれと書かせていただいています。日本にもそれなりにあるということはさまざま聞いておりますが、一方で、アメリカとの格差が広がっているのではないかということを心配しています。
 ちょっと参考までに、次のページなんですけれども、マーケット的に拝見させていただきますと、イノベーションの市場活性化ということについて最近出たデータでございます。
 特に、ここの表題に書かせていただいていますが、過去九十年間、アメリカの市場ばかり上がって日本の市場がぱっとしないとよく言われますけれども、内訳を見ていますと、大抵のアメリカの銘柄は実は大したことがございません。むしろ、上位四%の銘柄が九十年間のダウの値上がりと配当分のほとんどを稼いでいます。つまり、GAFAですとかよく言われますが、そういったスター銘柄が稼いで上がってきていて活性化につながっているというのがアメリカということになります。
 だとしますと、二十一ページ目に一瞬、もう一度お戻りいただきますと、一つには、ひょっとしたら、ここにも書いてございます教育の課題ということがあるかもしれません。今回の予算でいただきました高等教育の一部無償化、こういったことは非常に効果を期待したいところでありますが、加えまして、ひょっとしたら、もっと早いうちからの教育の柔軟化、それには、予算ということに加えまして、何らかの制度の改革といったことも検討に値するのかなということを感じております。
 そして最後に、財政に対する個人のリスク認識の偏りと書かせていただいている点を述べさせていただいて、おしまいにしたいと思います。
 おめくりいただきまして、最後のページでございます。
 私も、個人にこういったお話をさせていただくときに、非常に悩ましい、難しいと思うのが、個人の正しい認識を促すことでございます。
 もちろん、先ほどごらんいただいたように、不安感といったお気持ちは持っているのだと思いますが、一方で、なかなか自分事として痛みを伴うようなことに対しては非常にネガティブに捉えられがちであると思っております。そして、時々、何年かに一度は、いや、財政についてはどんなに拡大しても結局大丈夫なんじゃないかといったような議論もいろいろなメディアで報じられるところであります。
 ということを踏まえまして、自分事としての理解ということ、そして、正確で、記憶に残りやすい数字ということを、我々もそうですし、心がけていかなければいけないのかと思っています。それが、拡散し広まっていくポイントになるかと思っています。
 そして最後に、エコーチェンバー現象、つまり、同じ人々の意見で凝り固まって増幅される、特にSNSなどの最近のメディアの特性もあり、こういった傾向を我々もよく感じるところでございます。
 それであれば、機会もあるということでありますが、一方で、そういったところに対しての発信ということを、さまざま健全化が必要であるということを訴えていく必要があるのではないかなということを感じております。
 いずれにいたしましても、これから先の日本の長い意味でのサステーナブルな将来の財政ということに関しまして、これからも期待をさせていただきたいと思っております。
 私の方からは以上にさせていただきたいと思います。御清聴ありがとうございました。拍手
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棚橋泰文#3
○棚橋委員長 ありがとうございました。
 次に、三木公述人にお願いいたします。
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三木由希子#4
○三木公述人 皆様、おはようございます。
 御紹介いただきました、NPO法人情報公開クリアリングハウスの理事長をしております三木と申します。きょうはよろしくお願いいたします。
 本日はこのような機会をいただきまして、大変感謝を申し上げております。
 私どもは、現在の法人となりましてから今年度で二十年、公的機関における情報公開、知る権利の問題に取り組んでまいりました。その前身から数えますと、今年度末で四十年、この問題に取り組んでございます。
 財政、予算を専門にしているわけではございませんが、財政、予算といいますのは、政府、国会の責任においてやっていらっしゃるということでございまして、その前提となります説明責任の問題、それはすなわち記録、公文書の問題を通じて達成されるものであるという観点から、きょうは意見を述べさせていただきたいと思います。
 初めに、お手元に資料を配らせていただきましたが、簡単なレジュメでございますが、私どもが最初に財政の問題について問題意識を強く、危機感を強く持たざるを得なくなったことをエピソードとしてお話をさせていただきたいと思います。
 それは、財政史と公文書の問題でございました。
 「昭和財政史」というのは、当時大蔵省、現在の財務省が公式な財政の歴史として編さんをして刊行しているものというものでございます。この財政史で、沖縄返還の章に不思議な引用文書があるという問題が以前から指摘をされてございました。
 資料の方に、注として、少し小さい字でございますが、その部分を引用してまいりましたけれども、注は通常、どのような文書を引用したのかという文書名がわかる形で引用するのが常識的な扱いでございます。しかし、一部の文書がファイル名のみしか書かれていないという問題がありまして、何の文書を引用したのかがわからないという引用が財政史の中にあるということで、専門家も含めてさまざまに問題を指摘する声がございました。
 それで、二〇〇六年に私どもの方で情報公開請求をしてみましたところ、廃棄済みで不存在という決定となりました。財政の歴史として財務省が公式に編さんをした文書の根拠となる行政文書が既にないということで、大変驚いたところでございます。
 これは、私どもが情報公開訴訟もしまして、争った結果わかったことであったんですけれども、財政史編さんのためには、関係行政部局から関連する行政文書を集めて、一旦編さんをし、それを用いて財政史を書いた後に、編さん終了後、また関係部署に返却をしているということでございました。返却後に保存期間満了ということで廃棄をしたので、現在はないということでございました。
 こうして、財政について重要な説明責任の機会でもある財政史の根拠がないということで、大変驚いたわけでございますし、それから、裁判所も、その点についてはやはり問題があるというふうに指摘をされたというところでございます。
 ちなみに、財政史に使われた行政文書に関しては、二〇一一年に公文書管理法が施行されて以来、歴史文書としての移管ということは決まりましたけれども、それ以前のものについては、歴史文書として残すということそのものをしていなかったということがわかったわけでございます。
 そうしますと、財政史のような公式な記録だけではなくて、一般的に、財政に関連するあるいは予算に関連する文書がどのように体系的に後世に残されていくのかということについても、やはり問題意識を持たなければいけないというふうに考えたところがございます。
 それで、予算の前提として考えるべきことということで申しますと、それは、政府の信頼性の問題であるというふうに思うわけでございます。
 昨今、公文書管理をめぐるさまざまな問題が問われておりまして、これは、公文書の問題ですとか政府の問題ということもあるんですが、基本的な部分での信頼性の問題だというふうに私どもは考えてございます。
 今問題になっているのは桜を見る会の問題でございますが、その少し前にありましたのが、調査データ問題というものがございました。働き方改革ですとか入管法の改正をめぐりまして、データに問題があるということで、そもそも政策の前提となっているデータそのものがおかしいという問題が指摘をされ、それが国会で初めて政策議論になって明らかにされるという問題があったということでございます。
 それから、毎月勤労統計がそうでございましたが、統計不正の問題があったということです。
 その前にさかのぼりますと、森友学園問題での公文書の改ざん、廃棄、隠蔽問題というものもございましたし、自衛隊の日報の廃棄、隠蔽問題というものもございました。
 こうした問題は、公文書管理の問題としても議論されてございますけれども、問われているのは、基本的には政府の信頼性の問題でございます。政府の活動を記録して根拠を持つということは、権限や立場に対する責任を明確にして仕事を行うということでございます。ここそのものが揺らいでいる、あるいはここそのものに問題があるということが、こうした問題を通じて実は問われていたということでございます。
 行政文書の扱いに問題が生じる、あるいは内容に問題が生じるということを、多くの人は、責任の回避とか根拠の創作というふうにやはり理解をせざるを得ないというところで問われていたということがございます。個別の問題は、現象としては大変政治的な問題として議論されますけれども、本質的な部分は、信頼性の問題、それから権限や立場に対する責任の明確性の問題ということであったということでございます。
 こうした議論の中で、やや行き違っていたというふうに思われますのが、手段と目的の問題であるというふうに考えてございます。
 公文書管理法や情報公開法というものがございます。これは、一般法として、行政文書を適切に管理し、その管理されている行政文書に対して広く何人にも請求権を認めて情報公開を進めるという法律でございます。これは政府が説明責任を全うするための手段として設けられているということで、この手段をどう機能させるかということが大変重要であるということでございます。
 手段が機能するために不可欠なものとして、やはり行政文書が適切に作成、保有されているということが重要である。この行政文書というものは、どのようなものが作成、保存されているかということは、実は政策立案や事業実施の質の問題であるというふうに思っております。単に行政文書がつくられていればいいということではなくて、行政が適切な政策立案や事務事業を行っていれば、おのずと文書の質もよくなるはずだという前提で実は考えるべきだろうというふうに考えています。
 この政策立案や業務プロセスの質というのは、権限のある者の責任が明確で、評価、検証が可能であるということが確保されているということが大前提だろうというふうに思うわけであります。
 先ほど個別の問題に触れましたけれども、例えば入管法の改正をめぐって、調査データに問題がある、アンケートの集計に問題があるということで、さまざまな問題が指摘されましたけれども、こうした問題というのは、そもそもの政策判断の質が問われているということであります。
 どのような根拠に基づいて政策判断をしているのか、政策立案をしているのか、その示した調査についてはどのような調査項目をもとに行ったものかという情報公開を基本的に行うとか、そういうことを、基本的な部分を欠いたまま政策を決めていく、あるいは、政策を体現していくために必要な予算を編成していくということ自体が大変問題があるということではないかというふうに考えてございます。
 それで、私どもは情報公開の問題に長く取り組んでございますけれども、次のところを見ていただきますと、私たちの実感としては、情報公開と公文書管理については、大変なジレンマを抱えながら、外から、私たちに必要な情報、政府に説明責任を全うしてほしいことを明らかにするための努力ということをしてまいりました。
 そのジレンマと申しますのは、市民というか私どもが情報公開を求める、あるいは情報を知りたいと思うときは、大体、行政機関への不信とか疑問とか問題意識とか、あるいは関心というものに基づいて情報を求めるという行為をいたします。一方で、その情報を求める先といいますのは、行政機関が行政文書を保有しており、その行政文書の作成や管理、それから情報公開請求をした場合に文書を特定するということや公開、非公開の判断というものは行政機関がみずから行うということになります。つまり、私たちにとってみると、関心や問題意識の対象に多くのことを委ねないと必要な情報が入手できない、あるいは自分たちが必要と思う情報があるかないかがわからないという状況でやってございます。
 ただし、情報公開、公文書管理は、政府の説明責任を全うするというだけではなくて、そういうことを通じて政府の信頼性を確保していくという一つのプロセスでもあります。ですので、実は、このジレンマを抱えながら、何とか前向きに、政府が信頼をされるように努力をする、私どもも、入手した情報をもとに政府によりよい政策判断や事業実施をしていただくということを、双方で努力をしないと実はうまく回らないというところがあるという仕組みであると思っています。
 今、このジレンマが負の方向に回ってしまっているということが大きな問題ではないかというふうに考えています。それを象徴する問題として、今の国会でずっと問題になっているのが桜を見る会問題ということでございます。
 これが、総理の主催の行事をどう記録するかという問題でも実はあるというところをもう少し議論をいただいた方がいいのかなと思っています。
 現在、招待者名簿があるかないかということは、行政文書との関係では大変問題になってございますけれども、少し考えてみますと、総理大臣が主催をした行事について、誰が参加をしたのかとか基本的なことが体系的に記録されていないということ自体が実は大変な問題であるということが言えるわけでございます。
 例えばということで申し上げますと、比較的資料を入手しやすいアメリカの情報自由法の利用のされ方とか記録管理のことをよく拝見するんですが、大統領の日程表というのがかなり詳細に残されていまして、それをずっと見ていきますと、一日、少ない日で数ページ、多いときは数十ページの記録が残されてございます。それを拝見しますと、夜に会合に参加しますと、出席者リストというのが一緒についてまいります。これが恐らく当然のこととして記録として残っているんだろうと思います。
 ですので、実際には、名簿を何年保存するかという問題ではなくて、本来は、総理大臣の主催した記録がどういうふうに体系的に残されて政治の記録としていくかということが問題なんだろうと思っております。
 それが、招待者名簿が一年未満で廃棄をされたということで、そもそも記録としての価値判断とか政府の責任とか政治の責任というものが今強く問われているということでございますし、それから、文書がない、廃棄をしたということによって説明責任を回避しているかのようなことが繰り広げられていることに対して、多くの人が不満を思うし、不信も思うということであります。こうした記録がないということが、実は政治的責任が実務レベルや現場レベルの責任に転嫁をされていくということになっていくわけでございます。
 本来政治が責任を果たす、説明責任を果たすべきことが、文書があるかないかとか廃棄したかということに関して言うと、政治レベルがみずから文書をつくって廃棄をするわけではないということでございますので、それを行った実務レベルの問題に転嫁をされてしまうということをこの間繰り返しているということが大変残念に思っておりますし、そこの問題をしっかり議論した上で、政治主導なり、それから政治がリーダーシップを持って予算なり財政なり政策を決めるという体制をつくっていただきたいというのが正直なところでございます。
 まとめますと、問題は政治レベルの問題であるということが言えるというふうに考えてございます。
 政治レベルと実務レベルというのは大変分けにくい概念ではございますけれども、かなり雑にまとめますと、政治レベルとしては、政務三役ですとか総理大臣、官房長官ですとか、これらを補佐する役割の者、あるいは各行政機関の幹部のような人たちは、これはかなり高いレベルで政策判断、意思判断をしているわけでございます。こういう人たちの日常が、あるいは活動が記録をされていくということがなければ、これは実務レベルが動かない、あるいは実務レベルが責任を持って記録を残すという体制になっていかない、結果的に責任の所在が曖昧になるということになります。今の問題だけではなくて、将来に向けてもやはり、今政策判断をする者が責任を負うという姿勢を明確にするということが大変重要ではないかというふうに思っております。
 参考までに申し上げますと、記録されない政治レベルということでこの間わかっていることを少し御紹介を申し上げます。
 私どもが大臣の日程表というものを情報公開請求しましたところ、即日廃棄か数日で廃棄ということで、日程そのものは廃棄をされて、なくなるというのが今の状況でございます。
 これは、私どもが毎日実は情報公開請求していまして、五月以降は廃棄ができていない状態で、各行政機関が持っているかと思います。ただし、日程表に関しては具体的な記録が欠落しておりまして、誰とお会いになったかとか、何のレクを受けたのかとか、そういうことが全く記録にないということでございますので、残されているからいいという話でもないということがわかってございます。
 それから、試しに大臣の執務記録のようなものがないかということで確認をしましたところ、未作成で不存在ということで、ないということでございました。
 それから、官邸訪問予約届というものがございますけれども、これも即日廃棄ということでございます。これも、私どもが毎日情報公開請求しておりまして、四月以降は廃棄ができていないかと思います。
 それから、総理や官房長官と省庁幹部との面談記録や資料が短期間で廃棄か記録がないということで、後ろをめくっていただきますと、これは毎日新聞の記事でございますけれども、実際に情報公開請求をして確認をしたところ、総理それから官房長官に内閣官房の幹部が面談をしたことについて記録が一件もないということでございますので、どのような報告をいつお知りになったのかということそのものが記録されないという仕組みに今なっているということでございます。
 結果的に、高い政治レベルになるほど記録がないという状態が今ございまして、それは言いかえると、権限や立場に応じた責任の明確化がなされていないということではないかというふうに思っております。
 最後に、私どもが日本の調査を担当しております財政透明性指数というものを御紹介して終わらせていただきたいと思います。
 これは世界百カ国以上が参加をして調査を行っているものでございます。アメリカに本部がありますNGOが中心になって行っておりまして、一方、お配りしました資料の方で、二〇一七年調査のサマリーをお配りいたしましたので、関心のある方はぜひごらんいただければと思います。これはOECDやIMFなどのつくった財政透明性に関する基準などをもとに調査項目をつくりまして、基本的には証拠があるものをもとに評価をするということで、文書ベースでの調査を行っているものでございます。
 この財政透明性の調査というのは大変おもしろい調査だというふうに私自身は参加して思ったところでございます。
 ちょっと見にくくて申しわけないんですが、一番最後を見ていただきますと、どういうプロセスについて評価をしているのかということを簡単なフローにまとめてございます。
 まず、事前予算説明書という予算の前提となるものをつくって、それを国会で審議をするかとか、市民が参加をして、それに対して何か言えるかどうかということがまずポイントになります。
 それから、予算案について、作成をするだけではなくて、国会の審議とか、あるいは国会において予算案についてどのような評価、検討を行ったのかという報告書をつくっているのかとか、そういうことが質問項目として入っているということでございます。
 それから、予算についても、年度内に予算の執行状況にどのような報告をしているかとか、あるいは年央見直しを行っているかとか。
 そして、決算、監査ということで、決算の国会での審議、監査、これは会計検査院ということになるかと思いますけれども、会計検査院についても独立的な点検が行われているのかということについて、それぞれ文書がつくられているかと同時に、文書をもってどのようにそれを検討、審議し、評価をしているのかということ、更に申し上げますと、それをどのようなタイミングで行っているのかということを一つ一つ確認をしてスコアにしていくというのがこの調査でございます。
 日本は二〇一七年調査から初めて参加をしまして、私どもで調査を担当して評価をしましたところ、最終的に、G7国の中では、透明性調査でいいますと一番スコアが低かったという結果になったということであります。
 この財政透明性の調査は、単に透明性があるかということだけではなくて、権限のある者たちが、適切に文書を持ち、文書を作成し、それに対して検討を行っているということを評価していくというプロセスでございまして、文書の公開が単なる公開ではなくて、それを生かす、生かして適切に責任を負うということを目的としているものでございます。
 最終的には、こういうプロセスを整理することによって、文書が作成をされ、その文書をもとに評価、検討することによって、更にそれが記録をされるという循環を財政においてもつくっていただくということが重要ではないか、これは政治の責任であるというふうに思っているところでございます。
 以上でございます。ありがとうございました。拍手
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棚橋泰文#5
○棚橋委員長 ありがとうございました。
 次に、大石公述人にお願いいたします。
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大石久和#6
○大石公述人 おはようございます。御紹介いただきました大石でございます。
 私は、防災・減災、国土強靱化の視点から、強力なインフラ整備で防災力と我が国の競争力の強化を図っていただきたいというお話をさせていただきたいと思います。
 アフガニスタンで中村哲医師が亡くなりました。彼は、百の診療所よりも一つの用水路という発言をしています。医師としての使命を果たそうと思えば、診療所をつくるよりも、まず用水路をつくることによってよい水を供給する、そして農業を振興するということがなければアフガニスタンを救えない、このように感じたからであります。
 医師である彼がこのようなインフラについて言及したということでありますが、彼は、内村鑑三の「後世への最大遺物」というのを愛読していたと聞いています。
 内村鑑三は、この本の中で、人は生涯をかけて後世のために何を残していくのかということについて書いています。その中に、これは内村鑑三の言葉を使いますと、土木という言葉が出てくるんですが、土木を残していくことは後世のためにとってもいいことではないか、それをやろうではないか、だけれども、それはみんなができることではないねといったようなことを言っているんですけれども、これを参考にしながら中村先生はアフガニスタンで頑張っておられた。その志半ばでお亡くなりになった、こういうことでございます。
 これを前置きとさせていただきまして、インフラに関することを、まず、災害からお話をさせていただきたいと思います。
 もう先生方はよく御存じのとおり、近年、大きな災害が頻発いたしております。
 二〇一七年には九州北部豪雨、これは今までに記録がなかったような流木被害をもたらしました。こんなに流木が出てくるなんというようなことは想定されていませんでした。
 二〇一八年には、西日本豪雨で、岐阜県から鹿児島県に至る広域に総雨量が六百ミリという大変な豪雨がありまして、倉敷市の真備町など、各地で多くの死者を出す大災害となりました。
 昨年の、二〇一九年の十月の台風十九号では、本州の半分になるほどの超大型に発達した台風が東日本を襲い、広範囲に記録的な大雨を降らせて多くの命を奪うとともに、百四十カ所もの堤防が決壊し、水害を引き起こしました。
 しかし、幾ら大型とはいえ、一つの台風が豪雨をもたらしただけで百四十もの堤防が決壊したのは、これは、災害外力に対する防災インフラが不十分であったということを明確に示しています。長野県の千曲川や福島県の阿武隈川などでは、決壊が多発し、多数の死者を伴う大規模な洪水被害が発生してしまいました。
 しかし、南関東では、荒川や利根川はぎりぎり危ないところではありましたが、何とか持ちこたえることができました。それは、東京など首都圏を守るための防災インフラがその機能を発揮したからであります。
 例えば、神殿と言われた大空間の調圧水槽がロケ地などによく用いられて有名な首都圏外郭放水路は、中小河川からあふれ出した水を一時的に貯留し、江戸川に放水するものでありますが、完成後二度目のフル稼働により、下流での洪水を防止しました。これは、小学校の二十五メータープールの水をわずか一秒で放流することができるだけの能力を持っていますが、この能力がフルに発揮されたわけであります。
 また、八ツ場ダムは、本体が完成して試験湛水を行っているところでありましたが、七千五百万立米もの水をためて下流への流下を阻止しましたし、渡良瀬遊水地を始めとする遊水地群も大いに働き、合計二億五千万立米もの水を貯留いたしました。
 また、横浜の鶴見川の多目的遊水地も見事に機能し、何年かに一度の遊水地機能だけではもったいないということから多機能化していたのでありますが、昨年のラグビーワールドカップの日本対スコットランド戦は、ここが遊水地機能を発揮しているときに開催されたのであります。
 広域的に大豪雨をもたらした台風十九号でしたが、南関東、東京では、インフラ整備が洪水を防ぐ機能を発揮したのでありますが、残念ながら、千曲川や阿武隈川の流域では、それが不十分だったということであります。
 この十九号台風で留意したいことが一つございます。
 この台風が、一つには、狩野川台風コースを歩む、こう言われたように、現実に、伊豆半島の狩野川流域、例えば天城湯ケ島では総降雨七百十七・七ミリという、狩野川台風以上の豪雨を経験しました。
 ところが、沼津市などの下流部では、浸水はございましたが、死者が出るとか、大災害が出るというようなことはありませんでした。それは、当然ですけれども、狩野川放水路という放水路が機能して、本川下流への流量を大きくカットできたからであります。これは、昭和二十六年に着手したんだということをぜひ想起していただきたいと思います。
 昭和三十三年の狩野川台風には間に合わなかったのでありますが、多くの国民がまだ空腹を抱えている昭和二十六年に、後世のためにと大事業を始めたわけであります。今回の台風では、その機能を見事に発揮しました。これは、まさしく、内村鑑三の言うように、過去からの贈物であります。じゃ、我々は、後世への贈物をちゃんとやっているんだろうか、十分にやっているんだろうかとの反省があっていい、このように思います。
 なお、蛇足ですが、この狩野川台風の次の年、昭和三十四年の同じ九月二十一日に伊勢湾を襲う伊勢湾台風がやってきた、これは史上最大の台風被害をもたらした台風でありましたが、ということも想起しておきたいと思います。
 こうした、これは今、防災インフラの例を紹介いたしましたが、防災インフラが見事に機能したのですが、ここで申し上げるのもなんですが、残念なことに、日本の政治がインフラの重要性について語ることはほとんどありません。
 海外では、首脳がたびたびインフラ整備の重要性に言及しております。
 その一端を御紹介させていただきたいと思いますが、二〇一八年の一般教書演説で、トランプ大統領は、アメリカ経済には、安全で信頼性が高い近代的なインフラが必要であり、国民はそれを享受する権利がある、少なくとも一兆五千億ドルのインフラ投資法案を要請する、こういう演説をしています。
 また、ことしの予算教書では、トランプ大統領は、十年間で一兆ドルのインフラ投資を提案する、その内訳は、高速道路など陸上輸送プログラムへ八千百億ドル、高速通信などのインフラへ一千九百億ドルの投資をやる、こう言っているんですね。
 これは、先生方はよく御存じのとおり、ことしは一兆ドルを超える財政赤字が出ようとしているアメリカで、二十二兆ドルを超える累積債務があるアメリカが、しかし、強いアメリカをつくるためにはインフラ投資が必要だ、このような発言をしているということであります。
 前の大統領のオバマさんも、発言するたびにインフラに言及しておりましたし、ドイツのメルケル首相も、連立の三党合意文書の中でありますが、ドイツの競争力を保障するものは質の高い交通インフラであるということを言っています。カナダのトルドー首相も、イタリアの前首相のレンツィさんも、イギリスの元首相のキャメロンさんもインフラの重要性について述べ、キャメロンは、イギリスのインフラが二流になればイギリスが二流になるんだ、このような発言もしています。
 また、ごく最近でありますが、EUも、成長を後押しする分野への投資、つまり公共投資でありますが、これは赤字の算入基準の適用外とすべきだといったような議論を行っていて、財政投資、財政出動を催しております。
 我が国の財政制度等審議会は、着実な社会資本整備により我が国の社会インフラは概成しつつあるとの認識を繰り返し表明しています。しかし、我が国は着実な整備など行ってきておりません。また、この認識の方法が間違っていると私は思います。
 この二十五年間で、アメリカは公共投資を一・九倍に伸ばし、フランスは一・五倍、ドイツは一・四倍、韓国は二・五倍に伸ばしてきた中で、我が国は、何と、先進国の中で唯一下げ続け、〇・五七というレベルに落ちています。これは、防災インフラや交通インフラの整備の速度に大きな影響を与えています。
 例えば、道路、鉄道、港湾、空港などの交通インフラは一国の経済競争力と成長力を決定づけるものでありますが、これが概成したかどうかは、我が国が経済的に競争している先進国との間で比較優位を達成できたかどうかで判断できることなのであります。
 時速百三十キロで走ることができるアウトバーンを一万三千キロも持っているドイツと、一万二千キロ程度の高速道路、そのうち本当の意味での高速自動車国道は九千百キロでありますが、を持っており、正面衝突の危険がある対向二車線で時速七十キロしか走れない区間が供用延長の三七%にもなる国と比較して、我が国の高速道路が概成したなどと言えるはずがありません。
 また、世界最大級のコンテナ船が着岸できる十八メーター水深のコンテナバースは、横浜港にワンバースあるだけであります。これで、輸出大国だ、貿易立国だと言えるかどうかということであります。
 また、新幹線でいえば、ドイツ、フランス、中国では既にネットワークになっていますが、我が国では、いまだネットワークにすらなっておりません。
 こうやって見てみますと、陸上交通で、車による移動でドイツと比較してみますと、ドイツは一時間で行ける距離が九十五キロになります。九十五キロ先まで行くことができます。ところが、日本では六十キロ先までしか行けません。これを、百八十キロ先に行くという想定でいきますと、つまり、日本は三時間かかってしまうけれども、ドイツは二時間かからずに行けるということであります。
 労働者の労働時間がどちらの方が長くなるかは明らかでありまして、したがって、ドイツ人の年間労働時間は一千三百六十時間なのに、一人当たりGDPが四万四千七百ドル稼げているのに、日本人は一千七百時間も働いているのに、一人当たり名目GDPは三万八千四百ドルであります。国民の能力を発揮させるための環境整備ができていないと言ってもいいのではないか。
 防災インフラでいえば、凶暴化する豪雨などの自然災害に対抗できるインフラができているかどうかが概成基準であります。つまり、繰り返しですけれども、着実な社会資本整備から、これは実はやってきていないんですが、概成しつつあるという認識に至ることはできない。だけれども、このような認識を述べております。洪水などの自然災害の多発が、防災インフラが概成していないことの証明であります。
 我が国では、この三十年間に、一時間に百ミリという、先が見えないような、恐怖心を催すような雨でありますが、これの発生頻度が一・六倍にふえています。また、八十ミリという雨も一・七倍にふえていますが、何と、防災事業費は半減しているんです。防災事業費は、この間半減している。
 じゃ、もう達成できているからかというと、そうではありませんで、アメリカのミシシッピ川の下流域は、五百年に一度という低頻度の雨、低発生率の洪水に対して八〇%の堤防整備率なのに対して、我が国の荒川は、二百年に一度という頻発する洪水に対して、堤防整備率は七〇%であります。とてもじゃないが、概成しているということは言えない。
 インフラが概成しているかどうかは、我が国が競争している相手国との比較、あるいは我々が、自然災害インフラでいえば、自然災害に対する力をつけたかどうか、こういうことなのだと私は思っています。
 防災・減災、国土強靱化の事業は、三カ年で強化するということでしたから、この二〇二〇年までであります。三年で日本の国土が強靱化できるはずがないと考えています。また、首都直下地震や南海トラフ地震が迫っておりますし、東京湾での大高潮、荒川、淀川などでの巨大洪水の危険が増してきていると言えます。
 長期かつ大規模な強靱化のための交通、防災インフラなどの投資が不可欠だと私は考えております。それがまたデフレからの本格的な脱却につながるのではないか、このように考えているところでございます。
 先生方におかれましては、どうぞ事情を御賢察の上、御配慮くださるようお願い申し上げまして、私のプレゼンテーションとさせていただきます。
 ありがとうございました。拍手
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棚橋泰文#7
○棚橋委員長 ありがとうございました。
 次に、新里公述人にお願いいたします。
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新里宏二#8
○新里公述人 今御紹介いただきました新里でございます。
 本日、公聴会にお呼びいただきまして、発言の機会を与えていただいたことを、大変感謝申し上げます。
 私自身は、三十八年、仙台で弁護士を行っております。長らく多重債務の問題に取り組む中で、パチンコで借金を何度もつくって、仕事や家庭、そして最後は自分の命まで失う、そんな悲劇をずっと見てまいりました。
 カジノの解禁は国のあり方に極めて大きな影響があるということで、本日は、カジノの設置に反対の立場から意見を述べさせていただきます。
 二〇一八年七月、民間賭博であるカジノの設置を認める特定複合観光施設区域の整備法が成立いたしました。IR法又はカジノ解禁法と言っておりますけれども、私自身、この前の推進法のときも含めて、衆参で二度、内閣委員会で参考人としてもカジノ解禁に反対の立場で意見を述べさせていただきました。
 今般、あきもと元IR担当副大臣の、中国企業である500ドットコム社からの収賄容疑での逮捕、起訴を受け、もう一度カジノ解禁を問い直すべきと考えておるところでございます。
 私のレジュメを一枚あけていただきましょうか。
 じゃ、今、各地でどのような状況になっているのでしょうか。
 昨年八月の二十二日、横浜市長が山下埠頭への誘致を表明しました。二〇一七年七月の市長選挙では、林市長は誘致は白紙とのことで争点を回避しながら、今回表明したということになっています。ギャンブル依存症問題などから地元横浜港運協会及び市民の間に根強い反対があり、運動が起こっております。
 じゃ、横浜以外のことはどうなっているのかと申しますと、今、カジノの設置は三カ所ということになっております。アメリカのカジノ王と言われるサンズ社は、横浜の表明に合わせて、大阪ではなく東京、横浜に参入の意向を表明しました。大阪では夢洲、東京では青海、千葉、愛知、和歌山、長崎、北海道苫小牧という声が上がっていたところでございますけれども、北海道、千葉でもカジノ誘致を断念をしたということになっております。北海道では昨年の十一月の二十九日、そして千葉では一月の七日、後で述べますけれども、カジノ管理委員会が設置されたその日でございますけれども、断念を表明をしております。
 今回、元担当副大臣の収賄容疑での逮捕は、驚きとともに、またかという思いをしたところでございます。
 二〇一八年七月の十二日の週刊文春は、米国大手カジノ事業関係者が国会議員十五名のパーティー券購入リストについて、脱法献金と報道いたしました。
 今回の逮捕は、カジノ解禁は誰のためのものなのかを考え直す重要な事件だと考えます。海外から投資するカジノ業者、建設、ゲーム事業など、カジノ事業周辺では大きな利益をもたらすでしょう。二兆円以上とも言われている投資でございます。では、そこに暮らす住民、誘致自治体の利益になるのでしょうか。
 そして、カジノ解禁法の今後の予定でございます。
 七月の二十二日に成立をした。条文は二百五十一で、政令などへの委任が三百三十一と、べらぼうに多い法律でございました。そして、カジノ管理委員会は国会の同意人事ということでございましたけれども、選挙の影響を考えたのか、臨時国会へ回り、そして、昨年の十一月の二十九日、初代の委員長に元福岡高等検察庁検事長の北村氏が起用された。そして、述べましたように、一月の七日、カジノ管理委員会が設置をされております。
 一月末までに国が基本方針を策定をするんだと言われていましたけれども、逮捕の影響もあって、三月ないし四月にずれ込むと言われております。そして、自治体が事業者を公募、選定、立地自治体での議会での議決、そして二〇二一年一月から七月まで自治体が認定申請をするとされております。そして、二二年は国の認定、二四年には開業かとも言われております。
 ただ、カジノ管理委員会の規則、これがいろいろなことを規制をかけるわけですけれども、それがまだいつできるかがわからないというような状況でございます。ただ、大阪等では行動が進んでいるということになっております。
 大阪の動きをちょっと見ていただければと思いますけれども、既に募集要項の公表がなされております。そして、四月には提案審査書類の提出期限、そして六月に選定をして、七月には基本協定の締結だと言われております。
 では、次に、この法律の目的は何だったのでしょうか。
 この法律は、我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展を図るためには、国内外からの観光旅客の来訪及び滞在を促進することが一層重要となっていることに鑑み、健全なカジノ事業の収益を活用して特定複合観光施設区域の整備を推進することにより、魅力ある滞在型観光を実現するため、必要な事項を定め、もって観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資することを目的とすると言われております。公共政策としてのIRとの概念が唱えられているところでございます。
 では、公共政策としてのIRの自己矛盾があるのではないかと考えているところでございます。
 公共政策としてのIRとして、経済効果の増大が至上命題となっております。巨大な投資、そうすると、投資の回収のため、IRの収益エンジンであるカジノの売上げが不可欠でございます。面積三%で八〇%の売上げを上げると言われております。カジノ事業者の売上げの総体はカジノの負けでございます。カジノ利用者は、七、八割は日本人、日本人の金融資産一千八百兆円が狙われているのではないかと私は考えているところでございます。
 そして、では地域に金が落ちるんだろうか。カジノは囲い込みです。後で述べますけれども、コンプという景品を使って囲い込む。そうすると、地域に人が出てこないんです。よく、共食い、カニバリゼーションということを言われていますけれども、地域の疲弊につながるのではないか。私も二〇一五年に韓国の江原ランドの方に視察に行ってきましたけれども、そこでの周辺地域の疲弊というのは明らかなところでございました。子育てをする世代はそこには住めないよという声も聞きました。
 そして、三百二十万人と言われるギャンブル依存症の強化、治安の乱れ、暴力団のばっこ、これまで抑え込んできた暴力団がばっこするのではないかと言われております。
 そして、何よりも、莫大な経済効果があるよといいながら、じゃ、負の影響はどうしているんですかというと、全く試算されていない。地域によるものだから決まるまではわからないでしょうと言われて、経済効果だけがひとり歩きをしているのではないでしょうか。米国や韓国では、負の影響が利益を相当上回るという報告がきちっとなされております。
 そして、カジノ面積規制の緩和。これについても、取りまとめ当初は、絶対値である一万五千平米又は三%という基準が並立していたのですけれども、法案ができて、実際は三%の基準がとられている。これについては参入業者の意向があったのではないかと言われております。
 それから、海外からの観光客増加に私はカジノは不要だと思います。皆さんも、やはり政府の取組の中で海外からの観光客が非常にふえているということを実感をして、それがかえって、今回のコロナウイルスで観光客が減ったということで、経済効果が逆に下がっていると言われているところですけれども、日本では、二〇一〇年が八百六十一万人、二〇一八年では三千百十九万人、三・六二倍ふえております。二〇一〇年にカジノを解禁したシンガポールとよく比較されますけれども、カジノのない日本の方が増加が著しいということが明らかでございます。
 さらに、旅行・観光競争力報告書、二〇一九年九月、世界経済フォーラム作成でございますけれども、日本は世界四位。スペイン、フランス、ドイツに次いでおります。じゃ、シンガポールはどうですかというと、十七位。日本は一位となっております。
 それから、不十分きわまりない入場規制について述べさせていただきます。
 カジノは三百六十五日二十四時間営業でございます。これまで公営ギャンブルではなかったことでございます。そして、入場回数制限ですけれども、七日で三回、二十八日で十回、毎年百三十回と認めるものでございまして、ギャンブル依存症を拡大する基準ではないかと考えるところでございます。
 例えば、シンガポールでの賭博依存国家評議会による横断的なカウンセリング機能を持った回数制限等の基本的なギャンブル依存症対策もございません。後で述べますけれども、特定資金貸付業務を認めることから、負けた顧客に借金してまで賭博を推奨するもので、カジノ事業者がギャンブル依存症を続発させることを容認していると言えると思います。
 次に、まさしくこの特定資金貸付業務でございます。
 これまで、公営ギャンブルで事業者がお金を貸すということは認めておりません。また、貸付けは御法度だと言われているのではないでしょうか。時代劇の中でも、賭場で負けると、きょう、ついてないですねといって、じゃ、どうぞとお金を出す。よくあることじゃないですか。これがまさしくこのカジノで認められているんです。
 そして、更に言うと、貸金業規制法の適用も排除されております。
 貸金業法の改正は、二〇〇六年、国会の中で議論されて成立した法律でございまして、多重債務者対策で非常に機能しております。その中で、収入のうち三分の一の規制ということが非常に大きな力になっておりました。しかし、それがないんです。どういうことかというと、高齢者の方が、収入はないけれども資産がある、その方に大量にお金を貸して、そして負けさせる、それができるのではないか。それの規制をするのがカジノ管理委員会規則ですけれども、まだそれができておりません。どういう内容になるかがわかっていない、その中で事実が進んでいるということでございます。
 それから、コンプ、カジノ行為関連景品類への規制。
 これについては、コンプというのは何かというと、ここに書きましたけれども、コンプリメンタリー、無料という意味だそうですけれども、カジノへのゲームに費やした金額や時間に応じて割引特典、無料特典が受けられるサービスと言われています。コンプの仕組みが集客力、カジノに関心のない者をカジノに誘導すると言われております。
 これについても、法律の中で景表法の適用が除外されております。景表法は四条で、景品は価額の十分の二とされておりますが、これをさせないということは、どこまで景品をつけることになるのか、これもわからない。これも管理委員会規則のことですけれども、まだ決まっていないということでございます。
 それから、新聞報道でしたけれども、カジノ所得課税が進むかという議論が報道されておりました。
 カジノを含む統合型リゾートで、利用者から、カジノで得た利益に課税するという政府案が示されたというふうに報道されておりました。課税案には、利用者ごとの入場時のチップ購入額と退場時の換金額に加え、個々のゲームの勝ち負けの記録を事業者が保存し、利用者に提供、申告してもらう仕組み、訪日観光客に関しては、出国すると税務調査が事実上困難になることから、源泉徴収を導入することも検討すると言われておりました。
 財務省に、これも報道ベースですけれども、米国や韓国でも、カジノ所得に対する源泉徴収の仕組みが採用されていると言われていました。しかし、これについても自民党の先生の方から懸念が出されて、明記が盛り込まれなかったというふうに言われております。
 それから、区域整備計画の認定失効による解除。
 これは国会の中でも議論がされているようですけれども、例えば大阪府では、今、区域実施方針等に基づいて、募集要項の公表がなされています。その中で、第十、事業継続が困難となった場合における設置に関する事項、二で「協定解除事由と解除時の取扱い」として、「(三)区域整備計画の認定の失効による解除」として、大阪府が認定の申請を行わない場合の補償の規定が、事業者に補償しなければならないという規定が盛り込まれております。
 この点は、首長がかわり、議会の構成が変わって、これはまずいよねといってIRを拒否すると、補償を行わなければならない。まさしく、一回協定を結んでしまうと後戻りができないという規定が盛り込まれております。
 日本では、これまで民間カジノは解禁されておりません。賭博禁止の、違法性阻却を、法務省が基準を出して議論してきたところでございます。
 これまでの法務省の違法性阻却は八要件だと言われています。目的の公益性、収益の使途が公益性のあるものに限ることを含む。運営主体の性格、官又はそれに準ずる団体に限る。収益の扱い、業務委託を受けた民間団体の不当な利潤を得ないようにするなど。射幸性の程度。運営主体の廉潔性、前科者の排除など。運営主体への公的監督。運営主体の健全性。副次的弊害、青少年への不当な影響などの防止等に着目し、意見を述べてきたところであり、カジノ規制のあり方についても同様であるとされております。この八要件から、民間賭博を法務省は認めてこなかったのでございます。
 では、このカジノ実施法で違法性が阻却されるのか。
 目的の公益性。繰り返しになりますけれども、収益の使途が公益性のあるものに限ることを含むとされております。今回の実施法では、カジノ収益が国際観光の収益エンジンであり、納付金三〇%が公益目的に使われることから、目的の公益性を満たすとされております。
 そもそも、先ほど述べたように、収益エンジンには疑問が出ていること、納付金三〇%を除く部分でカジノ事業者に多くの利益が確保され、参入カジノ事業者の株主に多額の配当が用意されることが、これまでの目的の公益性を大きく逸脱するのではないでしょうか。
 それから、射幸性の程度、副次的被害の除去。これも、繰り返しになるかもしれませんけれども、貸金業の適用除外をして総量規制を外した中で、借りさせてカジノを行う。これについても、これまでの射幸性の程度、副次的被害を大きく逸脱する、違法性阻却にならないのではないかと考えるところでございます。
 これまで述べてきましたように、カジノ参入事業者の意向から規制が骨抜きになっていないでしょうか。
 面積規制しかり、入場規制、所得課税、特定資金貸付け、コンプ規制、全てが規制緩和の方向で、世界最高のカジノ規制は実現されていないと言うべきでございます。
 そこに、参入事業者の金が政治家に渡り、規制をゆがめられたとすると、ゆゆしき事態ではないでしょうか。
 世論の動向でございます。
 本年二月実施の時事通信の世論調査で、カジノを含む統合型リゾート、IRの国内誘致について聞いたところ、反対が六二・四%、賛成が二二・八%と、大きく反対が上回っております。
 私は、人の不幸、命の問題、このカジノビジネスで日本が発展を図る必要は全くないと考えております。
 IR法の廃止をぜひ御検討を実施していただきたいと思い、これで私の発言を終わらせていただきます。拍手
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棚橋泰文#9
○棚橋委員長 ありがとうございました。
    ―――――――――――――
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棚橋泰文#10
○棚橋委員長 これより公述人に対する質疑を行います。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。奥野信亮君。
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奥野信亮#11
○奥野(信)委員 自由民主党の奥野信亮でございます。
 きょうは、四名の公述人の御意見を聞かせていただきまして、大変気持ちを新たにした部分もあるし、ううん、ちょっと待てよというところもありました。
 それはそれとして、今、世の中を見ると、社会の変化のスピードが物すごい速いんですよね。私は実は二〇〇〇年前後に民間企業の社長、会長をしておりまして、そのときから比べると世の中が随分変わっています。しかし、アメリカに比べると全く、変化のスピードが全然違うというふうに聞いているわけですけれども、多分大方の公述人の方々もその考え方には賛同していただけると思います。その結果として、社会、あるいは経済界、金融界など、おのおのの業界もその変化にまだついていっていない、理想とするべき変化を求めて、変化が必ずしもスピーディーにいっていないというふうに感じるんです。
 特にその変化がおくれているという感じがするのが政治じゃないかな、私はそう思っております。もっと政治家も勉強をして、世界各国はこんなに進んでいるんだぞということを勉強した上で、日本の政治、社会のありようを考え直す必要があるのではないかなというふうに思うわけであります。そういう見方をすると多分野党の方も賛成していただけると思いますが、その延長線上に憲法もあるということだけ、一言つけ加えさせていただきたいと思います。
 そして、新しいものにチャレンジして、サステーナブルな新しい考え方をつくって実行していかないと、更に世界から置いてきぼりを食ってしまうんじゃないかなというような感じがしております。
 そんな中から、許される時間の中で質問をさせていただきたいと思いますけれども、大槻さん、いろいろ事実を引っ張り出していただいたことに対しては感心をしました。
 ちょっと一つお聞きしたいのは、多分、スタンスとしては、国債、債務ですね、政府債務というのは余りふやすものじゃないぞという意識がその中にあると思います。
 しかし、今、日本の国の中では、政府債務なんというのはどんどんふやしていけばいいんだと言う人もいるんですよ。これはよしあしは別にして、私は何も言いませんが、そういう見方をする人たちに言わせると、租税の徴収権は国にある、あるいは通貨発行権も国にある、自国通貨建てだよ、モデレートな国債の発行をしていく限りにおいてはハイパーインフレも回避できる、だからじゃんじゃん発行して、必要なときには発行して、そのお金をうまく使っていけばいいじゃないか、こう言っているやから、やからじゃないよね、グループがあるわけ。ヤジいや、別に野党のことを言っていないよ。
 そういう人たちもいるんだけれども、その見方に対して、大槻さんはいかがお考えですかというのが最初の質問であります。
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大槻奈那#12
○大槻公述人 御指摘、御質問、ありがとうございました。
 私も昔、格付会社というところにおりまして、大分そのディスカッションというので攻められた経験もございます。今もそういった風潮があるというのが、先ほどの最後の方に言ったエコーチェンバー現象ということで、皆さん、そういうところの方々はそういうところの人々の意見だけを聞いて増幅されているということが問題かなと思っております。
 御指摘の点、御質問の点に戻りますと、個人的にはやはり、確かに、今々のところで、数年の単位でもって、財政が破綻して大変なことになる、金利もがんと上がってしまうと、オーバーシュートするようなことがあるというふうには全く考えてございません。
 ただ、こういった形で債務を膨張させていくことによって、次にとれるステップが明らかに少なくなっていくということを気にしております。
 先ほど中国の例も挙げましたし、ドイツも、ここへ来て、今まで財政の健全化を図っていたところから、少し財政出動のような話も出ていますが、いずれも、日本に比べるとやはり余裕があるからこそ、こういった、今私の方でお話しした、クライシスかもしれないようなことが起こったときに備えができるということだと思っております。
 債務はどこまでいっても大丈夫だということが、もちろん日本じゅう、世界じゅうの国債の投資家が思うのであれば、それが果てしなくいけるのかもしれませんが、そうでないという現状を考えると、いざというときのバッファーとして使えるお金に対してどんどん制約が出てくるという意味で、御指摘いただいた国債については、ずっと減らしていくということを、いつまでの時点でやるべきというところについては議論が分かれるかもしれませんが、方向性としては、健全化を図り、一定の枠内でやっていくということを支持したいと思っております。
 ありがとうございます。
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奥野信亮#13
○奥野(信)委員 そこにもっと数字的な目標が出てくると経済学者としては丸だろうと思うけれども、今のようなコメントは評論家ですよね。ぜひ頑張ってください。
 現在の日本の政府の目標というのは、GDPで二%上げようじゃないか、実質で二%上げようと言っているわけですけれども、どうもなかなか上がらないし、この間の十―十二月の実質GDPの伸びを見ても、マイナス六・三%かな、年率で、そういうことですから。その上に、今度の新型コロナウイルスの話が出てきて、中国人が来なくなっちゃっている。その影響というのも、後、大きな影響が出てくると思うんですけれども。
 やはりこういう機会には、ふんだんに金を使えとは言いませんが、そういうことも考えて経済対策を打っていかなくちゃいけないんだろうけれども、やはり用意した金がうまく回るようにしていくためには、特に社会保障の領域なんかでは多いんですけれども、もっとマイナンバーを使ったらいいじゃないか、私はそう思っています。
 例えば健康保険証がやり玉に上がっていますけれども、もっとビッグデータで、所得を全部管理しちゃうとか、ちょっと表現が悪いかな、うまく使って個人の収入というものを把握するということも一つだろうし、免許証もその中に入れたらいいじゃないかとか、そんなようなことも含めてマイナンバーカードをうまく使っていくことがお金の効率的運用にはうまく使えるんだぞということは、もっともっと国民が理解しなくちゃいけないと思うんですけれども、その辺についての考え方があったら、述べてください。
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大槻奈那#14
○大槻公述人 厳しい御指摘、ありがとうございます。
 私、マクロ経済の方全体で見ているものではございませんでして、金融の面なので、そういったところについては、おっしゃるとおり勉強したいと思っております。
 マイナンバーについてですけれども、私も全く同様の考えを持っています。保険証であるとか診察券についての議論というのは聞いておりますけれども、加えまして、結局、皆さんのポケットの中に入っている全てのクレジットカードですとか、社員証、民間のものであればそういったところも含めて、全ては自分が自分であることの証明をしているわけでありまして、それであればマイナンバーカードということが一番近い道であろうと思っておりますし、あと、今、規制改革等推進委員会もやらせていただいていますが、その中のデジタルガバメントの議論の中でも御指摘いただいたとおり、データをどういった形で活用していくかという観点で、マイナンバーの活用というのは重要だと思っています。
 今の一四%という利用率ということについては、おっしゃっていただいたように、やはり民間の方になかなかプラス効果が全く見えていないので、そこら辺の宣伝効果、そして、今回用意されるという二五%、マックス五千円というベネフィットがこれから提示されるということをどこまでアピールできるかなというふうに考えております。
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奥野信亮#15
○奥野(信)委員 もう一人やはり質問しなくちゃいけないと思うんですが、実は大槻さんには、あなたが総理大臣だったら今何をステアリング、切るべきかと聞こうと思ったんだけれども、これはやめます。
 三木さん、私は民間企業で仕事をしていたというのはさっき申し上げたんだけれども、この世界へ入ってみて、公文書管理というのが全くなされていなかった、私がこの世界へ来たときに、そういうことを感じていたんですけれども、数年前に公文書管理法というのができて随分進んだやに見えたんですけれども、実態上は余り進んでいないというのが事実じゃないかなと私は思うんです。野党だけしか拍手してくれないけれども。民間企業と比べても、公文書というか、議事録のつくり方からして余り上手じゃないんです、この世界は。
 そういう意味で、やはりもっとあなた方のような公文書管理について一家言ある人たちは積極的に前へ出てきて、そしていろいろと指導してもらった方がいいような気がするんですけれども、何かその辺について、やってやろうというような意気込みがあったら言ってください。
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三木由希子#16
○三木公述人 ありがとうございます。叱咤激励とも受けとめさせていただきました。
 公文書管理は、情報公開法ができて今の形態ができまして、二〇一一年に公文書管理法が施行されまして法定化されたというのが経緯でございます。
 情報公開、公文書管理の問題をやっておりまして大変難しいなと思いますのは、制度をつくるということとそれがうまく機能するということが大分分かれているということでございます。法律で原則を書いてもそれをどう機能させるかというのが行政組織の中の問題になってくるというところで、私どもは外におりますので、外から中を見る努力をして、それに対して新しい制度をつくるとか新しく改正をするというだけではなくて、いかに既存のものを使ってうまく機能させるかということも考えながら、さまざまな提案とか、できることはやってきているつもりではございますけれども、なかなか力が及んでいないところがございまして、引き続き努力を続けたいと思っております。
 ありがとうございます。
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奥野信亮#17
○奥野(信)委員 期待していますから、せっせとやってください。
 それから、大石さん、大石先生は建設省ですね。
 私は、今やはり日本のいろいろな施設というのが、道路を含め、橋を含め、いろいろなものがもう四十年以上たってそろそろ何とか手を入れなくちゃいけない大事なタイミングに来ていると思うんですけれども、相当、それを一斉にやろうと思ったら人もいなけりゃ金もないということですけれども、どういう順繰りでやっていきゃいいのかというようなことについてももっといろいろと示唆していただいた方が政治が動きやすくなるんじゃないかなという気がするんですけれども、何か意見があったら、ぜひおっしゃっていただきたいと思います。
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大石久和#18
○大石公述人 ありがとうございます。
 御指摘がございましたように、既存のインフラも相当のストック量になってきていますから、これをどのように次の世代に引き継いでいくのかというのが、整備していくのと同様に極めて重要な課題であり、いろいろな分野の技術をこの世界に持ち込んで、今ITだとかAIだとかという技術が相当進歩していますので、公物管理の世界に持ち込めるんじゃないかといったようなことも研究していこうと考えています。(奥野(信)委員「どういう順番がいいですか」と呼ぶ)順番ですか。これはどちらが優先ということはないと思いますね。
 だから、もう管理できないから外してしまえばいいみたいなことをおっしゃる方もいますが、それを外すと確実にGDPが下がります。そうすると、GDPを維持しながら、かつ成長させながらということになると、これは簡単な問題ではないと思います。だけれども、維持も図りながら、しかし足らざるは補っていくということも必要で、イコールのウエートなのではないかと言うと、答えになっていないとお叱りを受けると思いますが。
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奥野信亮#19
○奥野(信)委員 ありがとうございました。
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棚橋泰文#20
○棚橋委員長 奥野信亮君、恐縮ですが、申合せの時間が。
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奥野信亮#21
○奥野(信)委員 新里さんに質問できなくて申しわけありませんでした。
 これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
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棚橋泰文#22
○棚橋委員長 次に、濱村進君。
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濱村進#23
○濱村委員 おはようございます。公明党の濱村進でございます。
 四人の公述人の皆様、貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。
 まず、大槻さんには、世界の金融市場、金融アナリストでございますので、金融市場についてお述べいただいたわけでございます。
 三木さんにおかれましては、情報公開について。公文書管理法、私も、二〇一八年に与党のワーキングチームで公文書管理に対しまして報告書を提出する際にさまざまかかわった者として、今の状態については決して満足しているわけではない、問題意識を共有するわけでございますけれども、まだまだこれから練度を高めていっていただきたいということで、役所の皆さんには期待をしている者の一人であります。
 そしてまた、きょう大石さんには、防災、減災、あるいはインフラ投資についてお聞かせいただきました。ありがとうございます。
 新里さん、内閣委員会の際にもお世話になりましたけれども、今般もまた、IRについてお述べいただいたわけでございます。
 まず冒頭、私、災害対策特別委員会にも所属している者でございますが、ちょっと防災、減災に関連いたしまして、大石先生にお伺いしたいと思います。
 今、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策ということでやっているわけでございますけれども、昨年も非常に大きな災害があって、その中から、もとどおり直していると、また同じことが起きると同じ被害に遭ってしまうということで、そうであってはいけないだろうということで、改良復旧もしていかなきゃいけないだろうという議論が非常に多く上がってきておりまして、私も災害の現場に何度か行きましたところ、やはり改良復旧を進めたいというようなことを首長さんからもおっしゃっていただいたわけでございます。
 しかしながら、この改良復旧は、今の現状でありますと、制約がかかっていたりします。もとの工事に対してそれ以上上回ってはいけないとかというような制約がかかっていたりするわけでございますけれども、こうした考え方について大きく見直していかなければいけない時期に来ているんだと思っておりますけれども、大石先生のお考えをお聞かせください。
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大石久和#24
○大石公述人 ありがとうございます。
 災害復旧ですから、復旧だというのが基本的な考え方でずっとやってまいりましたが、今先生から御指摘ございましたように、単にもとに戻すだけじゃまた同じ被災を受けてしまうんじゃないかといったようなことから、更に改良的な災害復旧があるべきだという議論が今各地で起こっていることは承知しております。
 国土交通省もそういう考え方をもっと取り入れていこうという方向で議論していると聞いておりますが、先生の御指摘のとおり、単にもとに戻すだけじゃなくて、本来の機能は何なのかといったような物の見方が重要だと私も考えています。
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濱村進#25
○濱村委員 ありがとうございます。
 機能がどうであるべきなのか、ここに対してしっかり見詰めた上で、どういう要件を満たせばよいのかとかというような制度設計をこれから国土交通省にしていっていただくということであろうと私も思っております。
 さらに、もう一点お伺いしたいなと思うわけですが、今いろいろきょうの意見についてもお述べいただいたわけでございますが、財政についての考え方も少しお述べいただきたいなというふうに思っております。
 そもそも、建設国債を発行してしっかりインフラ投資を行っていくこと、私も非常に重要であると思っておりますけれども、これはストック効果というようなことも考えれば、後世にしっかりと受け継いでいく、後世への贈物というようなこともお述べいただいておるわけでございますけれども、こうした考え方からも、今、財政をしっかり出していきながら、もっと言うと、デフレの中ではなかなか民間が投資するというわけにはなりませんから、公共事業でしっかりと投資を行っていくということ、そしてまた、それによって乗数効果が上がっていくということが期待されるわけでございますけれども、今そうなってはいないんじゃないかというところも問題意識を持っております。
 こうした観点からも、財政に対する考え方、先生のお考えをもう少しお聞かせいただければと思います。
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大石久和#26
○大石公述人 ありがとうございます。
 私の話の中でも紹介させていただきましたが、なぜ各国の首脳がインフラ整備についてこれだけ熱心な発言を続けているのか。彼らは、競争力の確保と経済成長のためにという言葉がついているんですね。経済成長しなければ税収は伸びませんから、そういう方向でインフラを考えているということは当然のことでありまして、我が国も、これはストックの効果として、そのような方向を目指すべきだというように思います。
 先生が今おっしゃいましたように、この国はデフレから脱却し切れたという状況ではありませんから、当然のことながら、内需の拡大が必要であります。公共事業は、大きい意味で公的固定資本形成は消費側のGDPの重要な構成要素ですから、これをふやしていくということはGDPが伸びるということでもありますし、デフレは民間がお金を使わないという状況ですから、これは政府がお金を使わなければなりません。政府まで節約していたのでは、デフレからは絶対に脱却できません。
 というような意味でいうと、それこそ後世に残るような、後世の人々が豊かに安全に暮らせるようなものを残していくということが、フローの意味でも今極めて大事だ、デフレだから極めて大事だと思いますし、ストックを構成するというその目的も果たせる、このように考えておりますので、私は、今この国はインフラ投資に積極的であるべきだ、こう考えています。
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濱村進#27
○濱村委員 ありがとうございます。全く同感でございます。
 さらに、今、もう少しお述べいただきたい点について申し上げると、乗数効果の点でございます。
 なかなか、今、乗数効果については、民間の試算においてはしっかり提示をされているものもあれば、政府は少し抑制的に出ているようにも見えます。本来であれば、乗数効果というもの、どのようなことが期待されて、このような効果があるということを大石先生のお言葉でちょっとお述べいただければと思うので、よろしくお願いいたします。
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大石久和#28
○大石公述人 先生御指摘のとおり、民間が発表しております乗数効果よりも政府が発表している乗数効果の方がかなり低いんですね。これは、私から見るとちょっとおかしいのではないかというような気もするんですが、御指摘のように、民間が設備投資をしないときに公共投資は乗数効果が大きくなるのは当然であります。
 したがって、民間が言っているような乗数効果があるということを前提に、経済を刺激し、内需を拡大するために今やれることは何なのかを考えると、一番わかりやすい方法の一つがインフラ投資ではないかというように思っております。
 本来はストックを目指すものですから、余り乗数効果、乗数効果とは言いたくないんですけれども、乗数効果がある、デフレのときは乗数効果が大きいというのも事実でありますので、それも強調させていただきたいと思います。
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濱村進#29
○濱村委員 ありがとうございました。
 先ほど大石先生からも、しっかり政府が財政を出していくべきだということで、財政支出をしっかりやるべきだという話がございました。
 次に、ちょっと大槻先生にお伺いしたいんですが、きょうの資料の中にも、冒頭、世界で債務残高はふえていて、政府セクターで増加していますねということでございます。
 これは、世界の市場の中で見てみれば、どのような用途で何に投資しているのか。インフラ投資についてもされていると思うんですけれども、どんな状況であるのか御存じであれば、教えていただければと思います。
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