藤本隆宏の発言 (国際経済・外交に関する調査会)
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○参考人(藤本隆宏君) 東京大学の藤本と申します。マスクをして失礼いたします。(資料映写)
私は、この造船業の、あるいは海運の専門家ではありませんので、どうして呼ばれたのかというのはちょっと思ったんですけれども、それなりに、こういった形で、いわゆる生産管理、技術管理が私の分野ですので、現場を見るというところから始める学問であります。ですから、大体例年五十か所ぐらいの場所は、工場を回っているという感じです。造船も恐らく三十か所ぐらいは見ていると思います。漁船から大きなところまで見ております。その辺の話を中心にお話をしたいというふうに思います。
ですから、本当は私はおまけですので、本当は最後におまけでしゃべるのがよかったんですけど、その辺の話、上田さん、舞鶴市長さん、あれですね、後から直していただきたいと思っております。
まず、現状ですけれども、これはもう国土交通省さんのデータがありますので、どんどん飛ばしていきますけど、GDPの一%程度の産業であって、かなり地域に対する貢献が大きいんです、産業。非常に雇用が安定しているということは特筆されますね。
荷動きはかなりいいんですが、今はやっぱり船が少し余っていて、非常に今厳しい状態にあるということは間違いないと思います。
新造船の建造量ですけれども、ここにありますように、実は、日本が輝いていたと言われているいわゆる七〇年代、この頃三千万総トンぐらいだったんですね。これが一億トンまで行く。これ、ちょっと異常であります、ある意味では。異常値が多分数年続いたわけですけれども、そこからまた下りて、今六千万トンぐらいだと思います。
その中の二五%を日本が何とか確保していると。まだ一応三大造船国の中には入っている、日中韓ですね、であります。これ、だから、長い五十年ぐらいの周期で見ますと、自動車と造船というのはしぶとい産業だと言えると思います。ずっと見ると、何か、駄目だ駄目だ駄目だというのがずっと続いているんですね。ここはやっぱり、暗いお話ばかりではなくて、しぶといということは申し上げられるというふうに思います。
ただし、大手は韓国、中国、これはまあ彼らは補助金付きで追っかけてきますので、どうしてもやっぱり対等な競争にならないですね。なのでやっぱりやられちゃっていまして、なかなか厳しい。逃げるんだけど追いかけられて、ちょっと逃げ疲れちゃっている感じがあります。
それに対して、いわゆる中手がこれはやっぱり潮目を読む、ビジネスモデルを考える、やっぱり経営者の方々、優れた方が多いということ、それからトヨタ的な物づくりがかなり入っております。こういったことでかなり健闘をして、特にこれ、バルク船ですね、いわゆるばら積み船で非常に強いという特徴を持っています。
むしろ、韓国が高付加価値船の方に行っているわけですね、ドリルシップだとかLNGタンカーだとか、そっちへ行っていて、日本はむしろその裏を取って、その下を取りに行っているという、後でこの話はまたしますけれども、こういう状態にありますので、今までの常識、日本、韓国、中国の順番に高級なものを造っているという話ではもはやないということが大きな話。
それから、舶用でやはり設計情報をヨーロッパに握られているということ、これがやはりかなり大きいので、日本の海事クラスターは非常に結束が強くてよいというふうに言われていますが、私から見ると、若干、四面楚歌とまで言わないけれども、三面ぐらい取られている感じがあると。だから、ここをどういうふうにするかというのが大きな問題、戦略論的な問題じゃないかというふうに私は思っております。
済みません、私は業界のことを本当に知りませんので、済みません、好き勝手に私の意見だけ述べますので、もうそういうことだと思ってください。
大事なのは、これ後で出ますが、アーキテクチャー、つまり設計思想をどう考えるか。どうしても技術で強い弱いという話をするんですけど、技術だけ追っかけても、大体、日本の産業が失敗するのは、技術を追っかけて設計思想を見ていないということなんですね。だから、設計思想からしっかり見て戦略を立てていくということが大事だということと、それからもう一つは、地道に物づくりの流れをつくることですよ。今、世界最高の生産性の造船所と言われているのは日本にあります。これはアメリカの大学の調査ではそうなっております。九州の方にあります。ですから、日本の企業は依然として生産性は高い、しかし、コストで、やはり先ほど言ったフェアな競争になっていないかもしれないということはあるんですけれども、まあ二〇%ぐらいは恐らく安い船が中国で造られていて、でも性能は日本が二〇%いいと。だから、性能の方に世の中が動けば日本は有利、コストに動けば日本は不利と、こういう今状況にあるというふうに思っております。
もう一つ特筆すべきは、地域への貢献でありまして、これは後で出てきますけれども、やはり雇用の安定ですね、これ八万人ぐらい、非常に安定していますね。このやっぱり地域の雇用への貢献というのは特筆すべきものであって、やっぱり造船というのは日本になくてはならない産業であるというふうに、ここに来たからじゃありませんけど、私は平生から思っております。
これがいわゆる海事クラスターと言われているものでありますが、造船が左下の方にありますね。ここは今頑張って、特に中手が頑張って、商売は中手、技術は大手みたいな感じだと思いますけれども。
この下の舶用のところですね、ここを欧州勢が非常にうまいというか、ライセンスで、作らないで設計情報を握って、そこでかなり好きにやられちゃうんで、自動車のように自分たちだけで省エネルギーをやることができないという、ここがちょっと弱いところですね。
それから、右上に行きますと、ここに港湾がありまして、これ港湾が余り言われていませんけど、これ港湾のターミナルオペレーターというのはもう海外に完全に取られていまして、日本が余り強くないですね。だから、ここでかなりその標準を握られている。逆に言うと、それについて、例えば自動搬送車みたいなものを港湾に売ろうとしている日本のメーカーさんがいますけれども、やはりここも、やっぱり標準を握られちゃっているんでなかなか入り込めないということがこれありますね。ですから、その辺も含めて少し大きめに海事クラスター考える必要があると思うんですね。
それから、このオペレーター、ここは、日本は海運強いところがありますから、ここはかなり強くて、ここで海事クラスターが強いと言われているわけですけれども、ここも一つ間違うと、もうこういう時代だから安い方へ行っちゃおうという話になりますと、この海事クラスター崩れる可能性があります。だから、ここも要注意ですし。
その真ん中に挟まっているこの船舶オーナーですね、ここに、例えば中東とかギリシャとか、こういう方々、転売目的で買っているような方々がいて、こういう方々はやっぱり安いものを買って回したいというところがありますので、この方々、特にギリシャの船主の方々が相当船の標準に発言力を持っていますので、この人たちをはっきり言って黙らせないといかぬと思っています。だから、SDGの時代だと、そういう、それに反するようないいかげんなことを言ってもらっちゃ困るというようなことは、これは国連を錦の御旗にやるべきじゃないかと。
要するに、これを見ますと、造船は頑張っていて、オペレーターもかなり頑張っているんだけど、ここの結束が崩れますと、もうある意味じゃ三・五面楚歌ぐらいにもうなっていまして、これ下手すると四面楚歌になっちゃうというようなことです。ですから、これは造船だけ頑張ってもしようがないというようなことは申し上げておきたいと思います。
ここで、じゃ、その中でどこが頑張っているかですけれども、やはり御承知のように、中手造船所と言われているところが頑張っています。今、専業という言い方になっていると思いますけれども。
これ、三社ほど私これ全部行って、私、見ていますので、行ったところのお話をしますけれども、これA社、これは一番大きなところで有名なところです。ここは、とにかく司令塔があって、ここの指示の早さがすごいです。びっくりします。
小型のばら積み船を造っていまして、同じ船型二百隻ぐらい。私、これ、いわゆる造船のスーパーカブだというふうに私は申し上げているんですけどね。五杯で大体もうブレークイーブンと言われているところ、二百ぐらい造っているんですからね。ですから、ここは本当にすごいわけでありますが。
私が震災直後に行ったときに、その直前までは、いや、船の値段はいろいろ変わるので、タンカーとかコンテナ船とかばら積み船、いろんなものを造って、ポートフォリオで安定化させるんですよという話をしていたんですけどね。ところが、私が行った二〇一二年かな、いや、もう今、うち九〇%石炭ばら積み船ですと。これ、だから指令がどこかから行って一斉に瀬戸内中の造船所が動くという。もうすごいと思いましたね。
こういう動き方ができる、何というか、造船所がまだ日本にあるということで、これは競争力であります。ですから、ここを、このまさに潮目を読み切ると。別に皆様が海賊の末裔だとは言いませんけれども、本当に潮目を読み切って迅速にかじを切るということができているというのがこの中手。まあ技術力がやっぱりちょっとまだ足りないところがあるんだけれども、この商売する力というのは物すごいと思います。これは全産業見ていても、私はここはすごいなと思いますね。
それから、B社、ここは今ちょっと調子悪いんですけれども、一時期すごかったです。これは、あるお客さんにもう完全に特化してカスタムした、もうそのお客さんだけが使う船を造ったんですね。これは鉄鉱石ばら積み船です。だから、やっていることは全くA社とは違います。全く違います、はっきり言って。
これは、ここにちょっとぞろぞろ書きましたけれども、要するに、これ、社長が全部この絵を頭の中で描いたそうですね。要するに、中国が鉄鉱石を爆食している、ということは、パースと上海の航路は鉄鉱石ばら積み船が何隻あっても足りない状態なはずだと。ところで、パースの港は遠浅だと、何で知っているか分かりませんが、遠浅だと。したがって、大きな船が入れなくて困っているはずだと。ところで、うちは三十万トンタンカーを造るドックがあると、したがって二十五万トンぐらいの大きなものは造れると。しかも、買ってくれるリオティントというこの鉄鉱石メジャーはお金を持っていると、だから恐らく幾らでも買ってくれると。したがって、リオティントが泣いて喜ぶような船を、うち三百人しかいないけど、韓国勢に比べたらはるかに劣勢であるけれども、集中してこれを造れという指示が出たそうであります。そこで集中してやったら、まさにリオティントが喜んで五、六十隻まとめて買ってくれたと。つまり、五、六年分の受注残であります。
こういう、これもすごいですね、本当にね。ここまでの連立方程式を一人の頭の中で考えるという人が、日本にもこういう経営者がいるということがすごいと思います。これ、この後、ちょっと今、次がなくてちょっと雌伏の状態でありますけれども。私は、こういう造船所が日本にあるということですね。
それから、C社、これ九州の方ですけれども、ここは世界最高の生産性と言われております。
ここもやはり潮目を読む社長が昔からずっといたわけであって、これ、やっぱり三十万トンタンカーを造ろうと思って九州行ったんですけれども、結局、石油ショックで受注が全く来ない。ところが、なぜかここの社長さんが、元の社長さんですね、七十メーターあればいい幅を八十メーターにしろと言って、全員反対するんだけど、いいからやれと、八十メーターの幅にする。さあ、それでタンカーの仕事が来ない。そしたら、要するに、これを田の字に切ってみろと、田の字に切れば四隻入ると。といって、四隻の小型ばら積み船を造るという形でやっていますので、船のドック期間というのは大体一か月ですから、毎週進水式という大量生産体制を確立して、しかもトヨタ方式がここは入っていますので、世界最高の生産性と一応言われています。多分中国の三倍以上の生産性で行っていると思います。今賃金は中国の三倍程度ですから、これだったらコストで勝てるわけですね。少なくとも、タイの勝負やったら勝てるわけですよ、今ちょっとタイの勝負になっていない気がしますけれども。
ということで、とにかくここもしぶとくやってきたけど、ここで特筆すべきは、私もよく飲むんですけれども、ここは焼酎造っています。これは要するに、本当に造船不況で人が要らなくなったときに代わりに焼酎造ろうといって、隣で焼酎造っているんですね。こういう、要するに雇用のためにはいろいろやるよという、ああ、芋も作っていますね、芋畑もありますね。こういう、これがやっぱり日本の造船業の一つの社会的価値だと私は思っております。
ということで、この三方よしというのはよく言われますけれども、日本の宝であります。経済は産業と企業と地域の集まりでありますけど、この三つに対して、全部に対して良いことをすることを三方よしと言いますが、特に雇用よしですね、雇用よし、利益よし、お客様の顧客満足よしと、この三つを両方やっていくと先ほどの焼酎の話が出てくるわけであります。
ということで、私は現場を見るのにこういった見方をしております。現場と現物から見ていく。現場の組織能力、例えばトヨタ生産方式の能力。そして、現物のアーキテクチャー、これは設計思想ですが、これを見ていくということであります。技術が高い弱いだけ見ていますと、よく政策失敗すると思うんです。この設計思想から見ていく戦略が非常に重要であります。
まず、競争力から見ていきます。これ、その二つの相性が良いと競争力が付いて日本の産業は残るという考え方なんですけれども。
ここを見ていくと、これ、日本の例えば自動車で見てみますと、裏の競争力というこの現場の競争力のところ、左から二つ目ですが、ここを見ていきますけれども。
自動車は日本は依然として世界一です。これ小さいほどいいんですけど、この数字は。日本はいいんです。じゃ、造船はというと、造船も大体、ちょっと前までは中国の三倍から五倍ぐらいの生産性と言われていました。今は彼らも追い付いてきます。だから、彼らは賃金でも追い付いてきているし、生産性でも追い付いてきていて、コスト競争力が非常に微妙です。どっちが勝っているかよく分かりませんけど、大負けしているわけじゃないというふうに私は見ております。
それから、能力ですね。
このエンジニアリングチェーンとサプライチェーンをぐるぐるよく回していますね。これが非常にお上手だというふうに思います。特に、トヨタ方式というのは二百ぐらいのルーチンから成り立っていて簡単にまねできないんですけど、これ入っています。皮肉なことに、これ入った一つの会社では理由は、造船不況のときに、自分のところで首切りたくないので、応援で中京地域の自動車メーカーにたくさん人を出したんですね。この連中がトヨタ方式を持って帰ってくるわけであります。世の中どうなるか分からないですね。
これが、今見ている、造船の場合のこれは工程フロー図であります。これをやっぱり丹念に改善していく必要があるんですけど、特にボトルネックがこのドックにあります。船台、ドック、特にクレーン能力ですね、この辺りがボトルネックになりますので、これをうまく処理しながら全体の流れを良くしていくということ、これはまだまだやれることはいっぱいあると思います。生産性二倍、三倍はほかの産業でできていますから、これはできると思います。
それから、開発の方も、これは一応自動車と同じような開発のプロセスでやっておりますけれども、これも恐らくバーチャルエンジニアリング、デジタル化ですね、こちらの方向に大いに振れていくんじゃないかなというふうに思っております。
それから、今度はアーキテクチャーですね。
こちらの方ですけれども、アーキテクチャーというのは、例えば船でも自動車でも何でもいいんですけれども、ある製品には機能と構造がございます。この構造と機能の関係を具体的に見るとテクノロジーになるんですけれども、これを抽象的に見ていくとアーキテクチャーになります。つまり、設計思想ですね。この設計思想が極めて大事であります。技術ばっかり見ているといかぬのですね、はっきり言って。だから、技術がいいのに何で負けちゃうんだというのは、大体アーキテクチャーで負けているわけであります。設計思想で負けています。
上はモジュラー型、これはすっきりしていますね、構造、機能関係が一対一関係です。これ、アメリカが得意なのはこれです。それから、中国が得意なのもこれです。アメリカ、中国が何でけんかしているかというと、この同じところでバッティングしているからけんかしているわけであります。
ところが、日本は、この下のぐちゃぐちゃなやつ、こういうのが日本は得意なんですよ、ややこしいやつ。決して技術は強くないかもしれないけど、このややこしい設計をやっているものは日本が強い。そして、つまり、そういった非常に厳しい状況で造っている船というのは大体これになります。
ただし、自動車みたいに簡単じゃないところがちょっとあるんですね。ということで、このクローズドインテグラル、この自動車型、これは日本が強いパターンで、船の船殻は大体この形でいけると思います。ところが、このオープンモジュラーという、これ日本は全然駄目ですね、こういう寄せ集めでできちゃうものは。ですから、デジタルが駄目、自動車強い、これは当たり前であって、設計思想の問題であります。
ただ、これ、船のややこしいところは、一部舶用のところだけはオープンアーキテクチャーになっているわけであります。ここは弱いんですね。だから、こちら側の顔が出てくると日本の造船は弱くなるし、こっちの顔が出てくると日本の造船は強いわけです。だから、これは何とも言えない、今勝負どころなわけですね。
これ、実際に描いてみますと、機関部、船体、居住区とあって、特にこの機関部ですね、ここにしわ寄せがうんと行きます。なぜならば、この下に舶用がぶら下がっているからであります。
こんなふうに、描くと、実際なるんですね。これ実際に描いてみると、この下の機関設計に物すごいしわ寄せが行っているところが分かるんですね。ですから、ここのアーキテクチャーをどうしていくかということで、皆さん、多分造船メーカーさんは大変今工夫をしているところだと思います。
それを見るときに、こういう戦略論で考えるんですね。自分の製品のアーキテクチャーとお客様のアーキテクチャーと両方を考えます。それがすり合わせ型か寄せ集め型かというところで描くと四つになりますね。
これ、それぞれ戦い方が違います。左上は価格設定力を持つこと、右上はシェア一番取ること、左下はビジネスモデルで勝負すること、右下は、これは大体中国さんが強いから余り行かない方がいいと、こうなっています。
実際見てみると、さっきの絵を見ると、A社の小型標準、スーパーカブみたいなやつは、これはもう右上であります。そして、逆に、C社の機関室の中を非常にモジュール化して工夫している、これ多分ほかの会社もありますけど、これは左下になります。そして、B社の先ほどのばら積み船はこの左上なんですね。だから、ほぼ、これで確かに戦略論的にも正しいことをやっていたので、うまくいっていると。だから、別にこんなものを描いてやられたわけじゃないと思いますけれども、実は非常にうまくやっている。
それから、設計の中見ても、船体そのもの、例えば、先ほどA社の船体は右上で、これはインテルと同じ、あるいはシマノと同じ場所ですから、うまくやれば二〇%利益が出る場所であります。左上は船殻設計、ここはお金が掛かりますけれども、お金が取れれば勝てると。左下に機関設計で、ここが一番苦労します。左下の機関設計のところが勝負だというふうに私は思いますね。右上の居住区、ここはちょっとなかなか勝負できないところかもしれません。
ということで、実際見ていくと日本は、これ経産省と一緒に東大で調査をやったんですけれども、実際、すり合わせ度が高いほど日本の輸出比率は高いです。これは統計的に有意であります。
これを見て考えますと、日本はやはりこういった統合力、まとめる力が強い。多能工のチームワークでやっていくから、すり合わせ型製品が強い。だから、船がすり合わせ型製品でいてくれれば造船はまだ勝てます。船が完全モジュラー化しちゃったら恐らく勝てません。だから、ここの勝負だというふうに考えます。
その勝負の行方は、やはりSDG、いかに厳しい環境規制を船に対して出してもらえるかであります。油断していると、ヨーロッパや中国の人たちは、まあいいじゃないですかということを言ってきます。それを許さぬということでありますね。これをちょっと厳しい方へ行くのがまさに、国連が錦の御旗だと、SDGだということであります。
こう見てきますと、中国、韓国、日本って大体この順番に並んでいまして、日本が一番上で、韓国、中国の順番だとなっているんですけれども、実際に調べてみたら、もう韓国が上行っています。彼らは千人以上の造船エンジニアがいますから完全に上に行ってまして、ここに大手はのみ込まれているわけであります。
ところが、下の方に行きますと、この下、黄色いところが日本なんですけどね、これ、裏取っているわけですよ。この下に中国がいますけれども、要するに、先行かせて裏取っちゃっているんですね、これサッカーと一緒です。極めて巧みですね。だから、これで大変利益を出してきたというふうに、少なくともこれまでは、思っております。だから、これがこれから続くかどうかですね。
絵で描くとこうなっています。要するに、韓国、中国が補助金付きでどんどん追っかけてきます。それに対して、この間の隙間のところに入って中手が巧みにこれまで商売やってきた。上のハイテクに行ったんだけど、上がもうなくて、ちょっと寸詰まりな、せっちん詰めになっちゃっているのが大手でありまして、大手はちょっと上で苦しいと。当然これ、上に行かないと中国が追っかけてきますから、上に中手も行かなきゃいけないんですけど、そのときに明らかに大手と中手が結んで、中手が商売力、大手が技術力という形で出し合えばこれはまだ勝機があるというふうに、少なくとも戦略論的に見ればこれは明らかですね、この絵から見れば、ということであります。
ということで、造船で見られる裏取り戦略というのがあります。この裏を取る、まさにサッカーと一緒ですね。中手の造船所がこれをやっております。ほかに、半導体や実は電子回路のこういうしぶとい企業が日本にあります。みんな裏を取っています。
だから、とにかく追っかけられたら逃げりゃいいという話じゃなくて、逃げ切れるか逃げ切れないかは分かりません。逃げ切れれば逃げ切る戦略、逃げ切れなければ裏を取る戦略と、これが実は日本の今したたかな企業はこれをやっているというふうに思います。
ということで、済みません長くなりましたが、日本は現場を鍛えて設計立国で行くべきであると私は思っています。今のグローバル化、それから国際分業型の産業構造、そして微細な細かいところでの産業内貿易、設計に対する厳しい制約条件、これですね、特に四番、これ次第であります、造船は。で、デジタルプラットフォーム化の支配ですね、それからグローバル大災害、今の。
これらの時代にやはり勝っていくためには、まずやっぱり現場をしっかり日本に残すこと。そして、現場と相性のいい、その現場と相性のいい製品で勝負する。それで勝負できるような環境を世界的につくっていくということ。そのために産学官が一緒になって設計立国を目指していく。面倒くさい設計は日本に任せちゃえと、面倒くさいからと、そういうふうに世界中から言ってもらえるようになれば、あらゆる産業で日本はまだ勝機があるというふうに思っております。
以上で終わります。済みませんでした、長くなりました。