藤本隆宏の発言 (国際経済・外交に関する調査会)

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○参考人(藤本隆宏君) ありがとうございます。私のいつも考えていることのエッセンスのところを言っていただきまして、ありがとうございます。
 やはり生産性を上げていかないと。産業の競争はハンディ戦であります、ハンディが付いています。つまり、賃金差ですね。これが昔は二十倍あったわけです、日本が二十万円、中国が一万円。この二十倍のハンディをしょって三十年間のたうち回ってきたのが日本の産業でありますけれども、その中で、もちろん随分なくなってしまった産業もあるんですけれども、残っているところは逆に言うとつわものですよね。そこに造船も入っているわけであります。
 ですから、こういうところを見ても、先ほどのC社の話にもありましたけれども、日本の特に地場の企業というのは本当に、例えば二百人の工場があったとする、二万人の会社。そこで、生産性を上げて何とか生き残った。その結果として百五十人で済んじゃう。じゃ、五十人首切りますかといったら、首切りませんね、絶対。ほぼ絶対切りません。そんなことしたら私あしたから表通り歩けませんからみたいな話になるわけ。これが日本です。そのために、この五十人分の仕事を取ってくるんですね、社長走り回って取ってくると。これを、造船でも私見ましたし、ほかのところでも見ました。
 だから、この考え方は非常に重要、これ実は三方よしなんですけれども、これがなければ従業員は生産性向上に協力しません。当たり前ですよね。いや、百五十人で済んで、おかげで我々生き残った、ありがとう、ところで君たち五十人首ねなんてやったら、次、誰が付いてくるかという話になります。これ、付いてきているということは、これをちゃんとやっている会社がまだ多いということで、これ、実は日本の企業の隠れた強みであります。
 これ、例えば、どういうところにマクロで現れるかというと、リーマン・ショックの後、二〇〇九年の失業率、もちろんこれは雇用調整助成金などの政府の施策もあってのことではありますけど、あれだけじゃ説明できないと思うんですね。つまり、アメリカが一〇%ぐらい行きましたか、ヨーロッパは二〇%近く行きましたね。日本はあのとき五・五%。現在、アメリカが今一五%とか行って、日本は、これからもちろん悪化しますけれども、今はまだ三%ぐらいですか。これは、もちろんそういった政策的なこともありますけど、やっぱり日本の企業がとにかく雇用を守るんだという意思を特に地場の中小・中堅企業持っておられるから、これがこうなっているんだと思うんですね。
 ですから、この力を要するにイノベーションに、つまり、何とかお客さんも満足させる、そして地域も満足させる、そして利益も出すと、この三方よしをやっていくんだという、これをやっていくと、いわゆるイノベーションの力が湧いてくるんですね、自然に。こういうある種の草の根のイノベーションですね。大きいやつはお国の支援でどんどんやるべきですけれども、実は見えないところでやられている小さなイノベーション、これで日本は、これだけひどい目に遭ったのにこのぐらいで済んでいるという言い方でしょうかね、勝ったと言うには程遠いけれども実はこの三十年間で負けていないのが日本の製造業ですので、そこは非常に評価してあげるべきじゃないかというふうに思っております。
 コロナもそうですね。これ、余り言われていませんけど、よく考えますと、世界中で動いている工場はどこにあるのかって、日本ですよ。最後まで動いている工場は日本。最初に動き始める工場も日本。恐らく、六月になって海外動き始めますけれども、動き始めた途端にまた感染で止まる工場がいっぱい出てくると思います。でも、やっぱり動いている工場は日本というふうになるんじゃないかなと私は思っています。
 ちょっと少し強気な言い方になりますけれども、今度のコロナによって改めて日本の工場のある種の感染防止力プラス競争力、これが少し見直されてきているんじゃないかなというふうに思っていまして、造船所も当たり前に動いていますけれども、これ、実はそんなに当たり前のことじゃないというふうに思っております。上田さんの工場もちゃんと動いておられると思うんですけどね、というふうに思っています。
 失礼しました。

発言情報

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発言者: 藤本隆宏

speaker_id: 14185

日付: 2020-06-03

院: 参議院

会議名: 国際経済・外交に関する調査会