松本洋平の発言 (資源エネルギーに関する調査会)
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○副大臣(松本洋平君) 調査会に御指示いただいた項目に沿って御説明させていただきます。
まずは、現下の新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の停滞、それに伴う原油市場の不安定化など、我が国を取り巻く資源エネルギーに関する国際情勢について御説明させていただきます。
まず、油価の動向について御説明いたします。
二ページを御覧ください。
アメリカ、ロシアといった産油国の生産拡大により原油市場は供給過剰となり、OPECの協調減産が進められてきました。そうした状況の中、新型コロナウイルスの感染拡大を契機とし、原油価格を下支えしていた中国での需要が減少に転じ、油価は大きく下落をいたしました。
三月上旬にOPECプラスによる協調減産が試みられましたが、交渉は決裂し、三月下旬には、世界の代表的な原油価格市場でありますブレント原油価格は二十ドル台まで下落いたしました。産油国の経済財政や石油産業への打撃が懸念され、株価も急落をいたしました。
四月以降、協調減産に向けた調整が行われ、四月十二日、OPECプラスは日量九百七十万バレルの減産に合意をいたしました。これは、世界の石油需要である日量約一億バレルの約一割に相当する大規模なものであります。
しかしながら、三ページ目の油価の推移のとおり、原油需要が一層減少する中、協調減産の合意後も油価は下落を続けました。その後、五月初旬以降、欧米諸国による経済活動再開の動きなどが見られる中、ブレント原油価格は三十ドル台まで上昇しています。
当面、油価は不安定な動きが続くことが考えられます。引き続き、原油動向、日本の石油事業者への影響を注視することが必要と考えております。
なお、御説明内容を補足するものとして、OPECプラス減産合意の内容、昨年来の中東情勢について資料を御用意しております。御確認ください。
次に、このようなエネルギーをめぐる国際情勢を踏まえ、日本のエネルギー安全保障を確保するための取組について御説明いたします。
まず、日本の現状について御説明いたします。
七ページには、我が国の原油、LNG輸入の国別シェアを示しております。
我が国は、原油、天然ガスのほぼ全量を海外からの輸入に頼っております。中東情勢の緊迫化といった地政学リスクの高まり、新興産油国の台頭といった供給構造の変化、国際的な資源獲得競争の激化が進むことが見込まれる中、資源の安定的かつ低廉な調達は引き続き重要な課題であります。
我が国は、海外での権益確保、国内の資源開発、燃料の備蓄によってエネルギーの安定供給を図っております。それぞれの取組について御紹介いたします。
八ページは、主な海外権益獲得などの取組をまとめたものであります。
アジアを中心とする新興国の台頭に伴い、需要量減少により我が国の交渉力が低下する中、上流権益の獲得による自主開発比率の向上や資源の調達先多角化の実現といった対策を講じています。
具体的には、二〇一八年二月に世界有数の埋蔵量を誇る油田の権益を再獲得したUAEや、二〇一八年七月に日本企業が主導する初の大型LNGプロジェクトであるイクシスLNGが生産を開始した豪州のほか、シェールガス由来のLNG輸出が増加する米国や、北極圏に豊富な資源のポテンシャルを有するロシアなどと共同プロジェクトを戦略的に推進しています。
次に、国内資源開発について御紹介いたします。
国内資源は、地政学リスクに左右されない安定的な資源であるため、エネルギー安全保障の観点から非常に重要です。
石油、天然ガスについては、我が国周辺の潮流の速い海域など探査実績の少ない海域において、昨年就航した三次元物理探査船「たんさ」を活用するなど、機動的な探査や試掘を実施します。
メタンハイドレートは、小さな体積から大きなエネルギーを生み出す、日本近海に大量に存在するエネルギー資源です。安定的にメタンハイドレートからガスを生産するための技術など、今後の商業化に向けた技術開発をしっかり推進していきます。
十ページを御確認ください。
国内外の積極的な資源開発を行うとともに、有事に備えて我が国は石油を備蓄しております。現在、国内消費量の二百日分を超える量が確保されています。緊急事態が発生した場合においても円滑に対応できるよう、平時より、石油精製、元売各社との連携強化、情報収集、共有を行っています。
次に、日本のエネルギーミックスの進捗状況について御説明いたします。
十三ページは、二〇一八年七月に閣議決定いたしました第五次エネルギー基本計画の概要です。
二〇三〇年に向けて、エネルギーミックスの確実な実現のため、再エネについては、主力電源化に向けてコスト低減の取組強化、再エネの大量導入を支えるネットワークの整備などに取り組みます。
原子力については、徹底した省エネや再エネの導入などに取り組み、原発依存度を可能な限り低減する方針の下、安全最優先で地元の理解を得ながら再稼働を進めていきます。
化石燃料については高効率火力の有効活用などに取り組み、省エネについては省エネ法に基づく規制と支援策を一体的に講ずることとしております。
十四ページは、エネルギーミックスの推移を示しております。
エネルギーミックスは将来の需給構造の見通しです。あるべき姿として、3EプラスS、すなわち安全性の確保を大前提に、安定供給、経済効率性及び環境適合について、達成すべき三つの政策目標をバランスよく達成する姿として示したものであります。上段の棒グラフは日本におけるエネルギー供給全体のエネルギー構成の推移を、下段の棒グラフはその中での電力部門における電力構成の推移を示しております。
十五ページでは、震災前から現在までの電源構成などの進捗を示しております。
二〇一三年度と比較をいたしまして二〇一八年度には、エネルギー起源CO2排出量が十二・四億トンから十・六億トンまで減少、電力コストは年間九・七兆円から八・五兆円まで減少、エネルギー自給率は七%から一二%まで改善いたしました。先ほど御説明させていただいた取組により、いずれの指標についても着実な進展が見られております。
他方、ミックスの達成はいまだ道半ばの状況にあり、確実にミックスを達成するため、引き続き取り組んでまいります。
続いて、再生可能エネルギーについてです。
十八ページを御確認ください。
FIT導入以降、日本の再エネ比率は大幅に拡大しており、着実に再エネの導入は進んでいます。他方、電力の安定供給を確保しつつ再エネの導入を進めるためには、系統制約への対応が必要です。様々な対応を行ってもなお電力の供給が需要を上回る場合には再エネの出力制御を行うこととしており、それを前提とすることで再エネの接続を拡大しています。
九州では二〇一八年度から出力制御を実施していますが、今後の一層の再エネ導入拡大に向けて、電力系統の整備、運用面において更なる対策を講じてまいります。
十九ページを御確認ください。
その対策の一つが日本版コネクト・アンド・マネージの推進です。系統制約の克服に向けてまずは既存系統を最大限活用すべく、一定の条件の下で系統への電源の接続などを認める仕組みであります日本版コネクト・アンド・マネージを導入しており、効果も確認されております。
続いて、二十ページを御確認ください。
二つ目の対策が電力系統の整備です。既存系統の利用には限界があり、今後の更なる再エネ導入拡大には、系統自体の増強が必要となります。このため、既に地域間連系線の増強や、東北北部における電源募集プロセスなどの地域系統の増強を進めています。
さらに、今通常国会において、プッシュ型の系統形成と系統増強費用を全国で支える仕組みを導入するための制度整備に係る法案を提出したところであります。
続いて、二十一ページを御確認ください。
三つ目の対策が分散型エネルギーシステムの構築です。分散型電源である再エネの特性を生かし、地域のレジリエンス向上と地産地消型のエネルギー供給を目指す分散型システム実現への取組を進めております。
具体的には、災害時に自立的な電力供給を可能とする地域マイクログリッドの実証を実施するとともに、配電事業に関する必要な制度整備案を今通常国会に提出いたしました。
続いて、二十二ページを御確認ください。
再エネの導入拡大に向けては、系統制約問題への対応に加え、蓄電池の普及拡大が重要です。蓄電池は、系統安定化のための調整力、自家消費の促進、さらに災害時の電力供給源としても期待される技術である一方、今後の普及拡大には技術面の検証や低コスト化が課題となっております。そのため、蓄電池を導入した実証事業や革新的電池の技術開発を通じ、蓄電池の普及拡大に向けて取り組んでいるところであります。
続いて、二十三ページを御確認ください。
新たなエネルギーの一つである水素は、運輸、産業、電力などの様々な分野での利用が可能であり、余剰再エネの貯蔵機能としても期待されています。二〇一七年に水素基本戦略を策定し、水素の製造、輸送・貯蔵、利用での技術開発、市場創出を実施するとともに、二〇一八年から水素閣僚会議を日本で開催しております。
昨年十二月には神戸で世界初の液化水素運搬船が進水し、今年三月には、世界最大級の水電解装置により、再生可能エネルギー由来の水素製造実証を行う福島水素エネルギー研究フィールドが開始をいたしました。引き続き、水素社会実現に向けた取組を推進してまいります。
このように、再エネを日本のエネルギー供給の一翼を担う長期安定的な主力電源にしていくため、必要な取組を一つ一つ進めてまいります。
次に、具体的な温室効果ガス削減の取組について御紹介いたします。
パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略で示されているとおり、日本は、二〇三〇年度に温室効果ガス排出量を二〇一三年度比二六%削減するとともに、二〇五〇年までに八〇%削減し、今世紀後半のできるだけ早期に脱炭素社会を実現することを目指しています。
日本は順調に温室効果ガスを削減しておりますが、今後の温室効果ガス排出量の大幅な削減は従来の取組の延長では実現することが困難であり、非連続なイノベーションを実現していくことが不可欠です。その具体的な取組を御紹介いたします。
二十五ページの火力発電の高効率化に関する資料を御覧ください。
現在、広島県の大崎上島では、高い発電効率が期待できる石炭ガス化複合発電、いわゆるIGCCにCO2の分離回収を組み合わせた実証事業を実施しています。今後は、IGCCに燃料電池を組み合わせた更に高効率な火力発電である石炭ガス化燃料電池複合発電、IGFCの実証試験も実施する予定です。IGCC、IGFCの実用化により、環境負荷の少ない石炭火力発電が活用可能になります。また、今年度から、大崎上島はカーボンリサイクルの実証研究拠点として整備されております。
二十六ページのカーボンリサイクルに関する資料を御覧ください。
カーボンリサイクルとは、CO2を資源として捉え、回収して化学品や燃料、コンクリートなどの原料に再利用する、日本で考案されたコンセプトです。具体例としては人工光合成やCO2を吸収するコンクリート製造技術などがあり、実用化に向けた技術開発を進めています。
二十七ページのCCSに関する資料を御覧ください。
CCSとは、二酸化炭素を大気に放散する前に回収し、地下へ貯留する技術を指します。CCSは将来の脱炭素化を実現する上で鍵となる技術であり、苫小牧におけるCCSとカーボンリサイクルの実証拠点化を進めます。
このような様々なイノベーションを通じ、世界のCO2の実効的な排出削減に貢献してまいります。
一昨年の北海道胆振東部地震、昨年の台風第十五号、台風十九号等による大規模かつ長期間の停電を踏まえ、強靱かつ持続可能な電力の供給体制の確保が重要な課題となっております。
このため、今通常国会にエネルギー供給強靱化法案を提出しております。その主な内容につきまして御説明いたします。
二十九ページを御覧ください。
一般送配電事業者に対して災害時連携計画の策定を義務付け、事業者間で連携するのみならず、自治体や自衛隊といった関係機関の災害時における連携を強化するための措置を講じます。災害時連携計画とは、台風や地震といった災害時においても電気の安定供給を可能にするために事業者が作成するものです。これにより、電源車の地域間融通など、事業者が柔軟に災害に対応することが可能となります。
次に、三十ページの左の図を御覧ください。
全国の送電鉄塔の多くが建設から四十年から五十年経過しており、既存設備の更新の必要性が高まっております。このため、送電鉄塔などの送配電設備の老朽化の程度を把握しつつ、必要な投資をタイムリーに行うことが電力システムの強靱化にとって重要です。
そこで、一般送配電事業者に対し、送配電設備の計画的な更新を求める制度を整備いたします。さらに、レジリエンス強化のための必要な送配電投資を事業者が着実に実施すると同時にコスト効率化にも取り組むため、託送料金制度改革を実施します。
三十二ページを御覧ください。
昨年の台風第十五号では、東京電力管内の鉄塔や電柱が倒壊、損傷しました。これを踏まえ、鉄塔や電柱に係る技術基準を見直すなど、電力供給設備の強靱化を推進してまいります。
こうした取組を通して、強靱かつ持続可能な電気の供給体制を確保してまいります。
以上が経済産業省からの説明になります。