尾身茂の発言 (内閣委員会)

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○参考人(尾身茂君) 尾身でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、いわゆる特措法のことの前に、少し新型インフルエンザの、感染症の現状について簡単に申し上げたいと思います。
 三月九日の専門家会議の見解で発表させてもらったとおり、感染者数は増加にあるものの、今のところ爆発的感染には進んでおらず、一定程度持ちこたえていると考えております。しかし、当面、増加傾向が予想され、警戒がこれからも必要というのが私どもの考えであります。
 さて、新型インフルエンザ特別措置法についてでありますが、私は、今回の新型コロナウイルスによる感染が急速に拡大する可能性がある中で、そうした事態にあらかじめ準備をしていくことは必要だと思います。
 特措法の本来の目的は、対策を強化することにより、社会経済への影響を最小限にしつつ、国民の生活及び健康を保護することだと理解をしております。これを今回の新型コロナウイルス感染症対策の文脈に置き換えれば、必要な感染症対策を強化することにより、社会経済への影響を最小限にしつつ、重症者、死亡者を最小限にすることだと理解をしております。
 さて、緊急事態宣言についてでありますが、仮にそれを発動する場合には、二つの要件を満たす必要があると理解をしております。
 法律に書かれている一つ目の要件は、国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与える場合と書かれていますが、これを公衆衛生学的な文脈に置き換えれば、病原性及び致死率が通常のインフルエンザと比較しかなり高い場合と考えられます。
 法律に書かれている二つ目の要件は、全国的かつ急速な蔓延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすとありますが、これをまた公衆衛生的な文脈に置き換えれば、感染が蔓延し、感染経路が追えなくなり、国民経済社会への影響が甚大であると考えられます。
 本日、三月十三日の現在の時点で二つの条件が満たすかと言われれば、否だと思います。
 政府が緊急事態宣言を出す場合には、それに先駆けて専門家の意見を聴くという仕組みになっていると理解しております。専門家としては、感染者間のリンクが追えているかを含む感染状況など客観的データを十分分析した上で、我々の考えをお伝えするのが我々の責務だと思っております。ちなみに、緊急事態宣言については、既に七回、政府などが中心になって模擬訓練を行っておりまして、私自身も参加させていただきました。
 さて、特措法の運用についてであります。御承知のように、新型コロナウイルス感染症による死亡者の減少に向けて、既に様々な対策が医療、保健の現場でなされています。
 特措法の運用については、その目的、対策範囲などをあらかじめ明確にしておく必要があると私は思っています。それを公衆衛生学的文脈でいえば、例えば死亡者を減らすために必要な対策であっても、特措法がないために実行できない対策が何なのかなどを今からあらかじめまとめておく必要があると思っております。また、本特措法は、新型インフルエンザなどを想定したために、ワクチンの接種などについて多くのスペースが割かれていますが、新型コロナウイルス感染対策に役立つような仕方での運用をすべきだと思っております。
 以上であります。どうもありがとうございました。

発言情報

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発言者: 尾身茂

speaker_id: 14872

日付: 2020-03-13

院: 参議院

会議名: 内閣委員会