尾身茂の発言 (予算委員会)

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○参考人(尾身茂君) 尾身でございます。よろしくお願いします。
 四点を申し上げさせていただきます。
 まず一点目は、緊急事態宣言発出の効果についてであります。
 四月上旬に爆発的感染拡大、いわゆるオーバーシュートの軌道に接近し、都道府県によっては医療崩壊の寸前の地域もありました。しかし、四月七日の緊急事態宣言発出の前後から、市民の懸命なる努力のおかげで、感染は今のところ確かに終息の方向に向かいつつあります。
 日本は法律的な拘束力を持たず、他国のようなロックダウンもせず爆発的感染拡大を回避できたのは、極めて困難な状況に対しての市民の努力のたまものだと思います。今の感染状況は、東京都を例に取って言えば、三月上旬から中旬の、感染者が急激に増加したその直前のレベルに戻っております。
 二つ目であります。これから何が起こるかについてであります。
 早晩仮に全都道府県が緊急事態宣言から解除されたとしても、あるいは報告者数ゼロが短期間続いたとしても、見えない感染が続いていると考えるべきだと思います。冬の到来を待たず、再び感染の拡大が起こることは十分予測、予想されます。
 社会経済活動を再開した諸外国では、比較的早期に再度感染が拡大した例も報告されています。その際は、徐々に感染が拡大するというよりは、クラスター感染が突然顕在化することがあり得ると考えております。これからは、社会経済活動を徐々に再開しながら、感染拡大防止のための努力を継続することが極めて重要だと思います。
 この三か月で我々は多くのことを学んできたと思います。一つ目、感染のリスクが高く、クラスターが発生しやすい場所、状況が分かってきたこと。二つ目、身体的距離の確保、フィジカルディスタンスの確保、マスクの着用、手洗いの実施など、基本的な感染対策が感染防止に有効であること。三つ目、高齢者施設や病院がクラスターとなっている例が多く、引き続きこうした場所での徹底した感染対策が重要であること。こうした点を十分注意しながら社会経済活動を徐々に再開していくという、言わばめり張りの付いた対策が求められると思います。
 三番目は、各都道府県の知事にお願いしたいことであります。
 感染状況、医療の供給体制、検査の体制などの様々な指標を国の支援を得ながら定期的に評価していただき、感染拡大の兆候があれば速やかな対策を取っていただければと思います。また、感染拡大に備えて、医療提供体制や検査体制の強化、発熱外来の更なる増設、保健所体制の強化など、今までと変わりなく強いリーダーシップを取っていただければと思います。
 最後に、国にお願いしたいことであります。
 医療機関、保健所、自治体の職員の皆さんは、極めて困難な状況の中、日々懸命な努力を続けていただいております。国としては、地方自治体を尊重しつつも、今まで以上にこうした現場に対し支援をしていただければと思います。
 具体的な例を挙げれば、一般の医療機関への感染防御具の供給を始めとして、各都道府県への技術的、経済的支援をお願いしたいと思います。また、迅速抗原検査については、その精度の評価及びPCR検査との役割分担について更なる検討をお願いしたいと思います。抗体検査についても、しっかりと精度管理を行った上で実行されたいと思います。また、市民が期待する治療薬やワクチンについては、安全性と有効性に関する適切な審査を行った上で使用していただければと思います。
 国内が終息方向に向かったとしても、感染が地球規模で終息しない限り、ウイルスの国内流入のリスクが続きます。したがって、特に医療資源の乏しい国々に対しての技術的、経済的支援もお願いできればと思います。
 最後に、これまで日本が取ってきた政策について、諸外国から誤解を受けることがないよう、しっかりとした説明をお願いできればと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 尾身茂

speaker_id: 14872

日付: 2020-05-20

院: 参議院

会議名: 予算委員会