脇田隆字の発言 (厚生労働委員会)
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○参考人(脇田隆字君) 国立感染症研究所の所長をしております脇田と申します。
新型コロナウイルスワクチンに関する意見を述べさせていただく機会をいただきまして、参議院の厚生労働委員会の皆様に感謝申し上げます。
新型コロナウイルス感染症は、今年の一月中旬に日本で初めての感染者が検出されております。それ以降、拡大と縮小を繰り返しながら感染の流行が続いております。新規の抗ウイルス薬とワクチンがない中で、日本の対策は、保健所を含む公衆衛生と医療機関による感染者の対応が行われてまいりました。
廃止となりました専門家会議から提唱させていただきました三密の回避、また、分科会からの感染リスクが高い五つの場面の回避を含めた基本的な感染対策を広く市民の皆様に実行していただくことも重要な感染対策であります。これまでの市民の皆様の協力と、保健所、自治体の関係者、医療機関の関係者の皆様の御努力に感謝申し上げたいと思います。
さて、この新型コロナウイルス感染症の流行を収束させるためには、新型コロナウイルスに対するワクチン、新型コロナワクチンとさせていただきますが、利用可能となった段階でそこのワクチンを接種していただくことが重要と考えております。
もちろん、有効性の高いワクチンは皆が待ち望むものである一方、安全性の確保が極めて重要でございます。
しかし、ワクチンの性質上、一定の健康被害が避け難いこともまた事実でございまして、その点をよく理解した上で、ワクチンによる健康被害を最小化するために、品質及び安全性の確認と副反応への対策をしっかり取っていくことが求められます。
ワクチンの開発には通常長い年月が必要となりますが、新型コロナワクチンにおいては、いわゆるワープスピードにより、これまでにない短期間で開発が進んでおります。また、これまで実用化されたことのない核酸によるワクチン、あるいはウイルスベクターワクチンといった新規技術によるワクチンが最も早く実用化されようとしております。
最近、欧米で開発中のワクチンの第三相試験の評価結果が報道されております。今のところ、ワクチンの接種により新型コロナウイルス感染症の発症予防と重症化予防が期待できる結果であり、また、これまで重篤な有害事象はないと思われます。感染の予防にはどの程度効果があるかは明らかではありませんが、現時点での結果を常識的に考えれば、ワクチンの広範囲の接種によって、個人の発症及び重症化予防のみではなく、社会における流行の防止にも一定程度効果が期待できるのではないかと考えています。したがって、新型コロナワクチンが承認された後に、迅速に広く接種が可能となるように準備を進める必要があると考えます。
しかし、繰り返しになりますが、我が国の承認過程において有効性と安全性をしっかり確認することが重要と考えます。また、承認後においても、臨床の現場での接種が開始されれば、一定程度の健康被害は避け難いため、その被害を最小限にするために副反応の調査及び対応をしっかりと準備しておくこともまた必要と考えます。
開発中のワクチンは、保存温度が超低温が必要であるものもあります。広く接種を円滑に進めるための準備が重要です。複数のワクチンが開発中であり、承認された後に接種が開始されると思いますが、それぞれのワクチンで保存方法が異なります。接種間隔も異なる場合があり、市町村が接種の主体となるわけですが、現場で混乱しないようなオペレーションを準備することが必要と考えております。その上で、新型コロナワクチンについて明らかになった情報は広く周知すべきと考えます。それぞれのワクチンの有効性と安全性の情報、接種の目的について丁寧に説明する必要があります。
この感染症は、八割の方は感染しても軽症あるいは無症状です。二割の方が中等症以上の肺炎を発症し、特に高齢者においては重症の肺炎により命を落とす場合もございます。新型コロナウイルスワクチンの接種の目的は、この感染症による死亡者や重症者の発生をできるだけ減らし、結果として新型コロナウイルス感染症の蔓延の防止を図るということです。もちろん、承認されればワクチンの有効性と安全性の情報が更に明らかにされると考えますので、効果が高く安全なワクチンが我が国において広く接種されることにより新型コロナウイルス感染症の流行が抑制されることを強く望みますし、私の立場でも、可能な限りこのワクチンにおいても開発あるいは準備においても努力をしたいと考えております。
また、今回の新型コロナウイルス感染症のパンデミックで明らかになりましたように、日頃からの新興・再興感染症に対する検査診断、治療薬、予防薬であるワクチンの研究開発の重要性が再認識されました。
米国では、NIHと保健省が支援する官民共同研究のプラットフォームが準備されており、迅速なワクチン開発につながったと認識しております。日本でも、AMEDによるアカデミアを中心にサポートする研究はありましたが、特にインフルエンザやコロナウイルスなど急性呼吸器感染症は更にパンデミックを起こす可能性が高いウイルス感染症です。
感染者がまだ一人もいない段階でも企業がアカデミアと共同で開発に取り組むことができる研究開発体制を平時から準備することが次のパンデミックに備えるためにも重要と考えます。
ありがとうございました。