原山優子の発言 (科学技術・イノベーション推進特別委員会)

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○原山参考人 申し訳ございません。
 もしも何か、もう一回戻ってお話しいたします。
 成功の鍵のところです。ファウンドリーサービスのところなんですけれども、もう一つは、ここの強みというのが、カスタマーとのすり合わせです。そのすり合わせを可能にしたのが、信頼の持てる関係の確立ということです。それは何が可能にしたかというと、自らも最終製品を作っているところではある種競合するわけなので、最終製品を持たないことの強みというものをフルに生かしたのが、このTSMCです。
 先ほども申し上げましたように、シリコンバレーそのものから派生したような企業であるので、そもそも、関係性というのはずっと持っているわけです。人を介した形でシリコンバレーとつながっているということです。
 もう一つ、本当に余談なんですが、シリコンバレーからこういうふうに、台湾のように、ほかの場所でもってファウンドリーサービスが出てきたということの背景なんですが、シリコンバレーそのものにも、結構、半導体産業による環境汚染というものが出てきた。そういうものも一つの一因になっているということが、一九八〇年代の状況です。
 もうちょっと考えたときに、進化のドライバーは何かというところなんです。多分、ここまでのお話ししたところをまとめますと、一つとして言えるのが、搭載する方のプロダクト群が多様化してきたということですね。コンピューターとか計算機のみならず、スマートフォン、車載などなど、様々な分野で使うことが出てきた。これが一つのドライバーになっております。
 もう一つが、次のファクターというのが、まさに今日皆さん本当に耳にたこができるくらいなんですけれども、デジタルトランスフォーメーションです。これがまさに一つの大きな要因になっているのと同時に、社会的要請も高まっているということです。その中には、業務あるいは生産の効率化、自動化、省エネ化、低炭素化、ソサエティー五・〇、SDGsなどなど、社会的要請があって、その中で、これまでの作り方、物の製造の仕方も変わってくる、その中で半導体が必要になってくるということです。
 三ページです。
 じゃ、今日はどこにあるかという話です。半導体デバイスのまさに浸透です。
 それは、情報システム基盤はもとよりなんですが、ほとんどのインフラに埋め込まれているというのが現状です。また、ほとんどの家電に埋め込まれている。そして、サービス提供を下支えするデバイスのほとんどに埋め込まれているのと同時に、人と人のコミュニケーションを下支えするデバイス全てに入っているというのが、まさに今日の状況です。ですので、欠かすことのできないものになっております。
 四ページに参ります。
 ここから少しダイナミクスそのものを理解したいというふうに思います。ここまではどちらかというと半導体産業の方にフォーカスしていたんですけれども、ちょっと引いた形で、マクロレベルで、世の中がどう変わってきたかということを、関連性を持ちながらお話ししたい。
 一つが、産業構造、またビジネスモデルの進化ということが言えると思います。
 大きな流れの一つが、グローバルバリューチェーンと呼ばれるものの台頭です。
 一言で言えば、研究開発に始まって、デザインがあって、購入があって、製造、組立てなど、最終的に商品が売られて、マーケティングがあって、サービス、全ての一連のものが一つの企業、一つの国という可能性もありますけれども、それがグローバルな分業システムと、変化していった。その中で、付加価値の配分も、一つの国だけではなく複数の国の中で行われる。いわゆる比較優位性の原理が働いているわけです。
 ところが、これは非常に効率がいいというふうになっていたんですが、いざ、様々なことを言うと、弱点があるということです。
 その一つが、例えばですが、台湾に起こった地震です。一九九九年です。このときに、半導体の、それこそ先ほどのTSMCがストップしたことによって、全てのバリューチェーンが切れてしまったわけですね。それと同じようなことが、東日本大震災。それから、もう一つ、最近なんですが、気候変動による水不足というのが台湾の課題となっております。などなどで、昨今の一番のところが地政学的リスクというのが高まっているということで、様々な外部要因によって、このグローバルバリューチェーンというのがなかなか機能しないということを体験しています。
 もう一つ、大きな、ビジネスモデルの進化ですけれども、プラットフォームビジネスの台頭にあります。
 これは二〇〇〇年代からなんですが、印象的に思うのは、持たないでもビジネスができるんじゃないか、そこからの高い収益を得るというんですけれども、これを可能にするところのある種の黒子的なところにデータインフラがあるということです。そのデータインフラの中にはネットワークデバイス、それからクラウドサービス、データセンターなどなどと、まさにデータ集約型の物流システムも必要になってくるということで、また半導体のデバイスというのは欠かすことができない状況になっているということです。
 最後ですが、イノベーションシステムの進化ということでお話しさせていただきます。
 ちょっと歴史のところにもう一回戻るんですけれども、一九四〇年―六〇年代におきましては初代スタートアップというのが起こりましたが、その後、一連のスピンオフ企業が出てきています。その辺りでスタンフォード大学とその企業との関係性があるんですけれども、その押さえるべき点は、革新的技術というのはどちらかというと産業界が開発して、それがスタンフォード大学の方に教育研究システムとして流されていった。そこで、一九六〇年代のシリコンバレーを、言うならば、集団学習の場というふうなことも言われておりました。
 その後なんですが、七〇年代になりますと、アップルが出てきます。出発点はマイクロコンピューターというハードだったんですが、昨今の流れというのはまさにソフトの方まで入っています、ストリーミング配信ビジネスなどというふうな形で。ハードの企業も、だんだんソフト的なものも組み込んでいくというのがあります。
 その逆もあるわけなんです。それは、一九九〇年にスタートしたグーグルです。そもそもは、出発点は、サーチエンジンとして大学の中で生まれた技術が、すごいチャレンジだったんですけれども、図書館の蔵書を全てデジタル化するという、当時は考えられないことをした。それの次のところに行ったのが地図情報サービスなどなどで、最終的にはデバイス開発そのものまでも行う。そういうことは、何が言いたいかというと、ソフトから進化していって、またハードまで手を染めるということです。
 最後に、二〇〇〇年、テスラがあります。テスラに関しては、電気自動車というハードなんですが、最終的に行き着くところというのがMaaSですね。まさに、サービスという概念でもってハードのものを使っていく。
 そこで一言、まとめるとすると、領域を超えたビジネスに挑戦しているのがこの状況で、その中でプラットフォームとか社会インフラとしての機能をしているというのが、これらの企業です。
 その影となる、ドライバーとなるのが人であり、まさに、シリコンバレー内での人の動きによってこういう動きが出てきたのと同時に、この流動性と高い関係性というのが、今度はシリコンバレーだけではなくて、外のところとのやり取りがあった。そのやり取りの一つの大きなのが、五ページですが、一九九〇年代になりますと、アジア系のエンジニアまた起業家というのが、シリコンバレーで育った人たちが自分のところに、母国に持って帰るという形で、シリコンバレーのローカルのところとグローバルなネットワークでつながっている。その中に、先ほど申し上げたTSMCがあるということです。
 ここまでがちょっとおさらいなんですが、最後の、六ページのところです。科学技術・イノベーション政策への示唆ということで、少しお話しさせていただきます。これは、まとめです。
 科学技術・イノベーション政策、皆さん御専門なんですが、一つは、ジェネラルなトレンドとして、OECDの話を軸にしていきますと、かいつまんで言いますと、先ほどもお話ししたように、ナショナルイノベーションシステムという概念から政策的な流れが出てきております。その場面では、イノベーションの枠組みというものをしっかりつくることが鍵となっていました。
 それからだんだんと変わってきたのが、二〇〇〇年代になりますと、イノベーション戦略というものが出てきます。科学技術からイノベーションへのシフト、これも日本でも体験したことでございます。
 二〇一〇年代になりますと、今度は課題解決型という政策が出てきていて、その課題解決型へ誘導するためには、マルチステークホルダーあるいはソーシャルイノベーション、インクルーシブイノベーションといった形で、これまでの経済成長だけのイノベーションではないものが出てきております。その中で、OECDで議論されたのが、よりよい暮らしということを目標にする、あるいは経済的課題に関しても新たなアプローチが必要になるということで、二〇一八年になりますと、ミッション指向型の提唱が行われました。これが、動向です。
 日本におきまして起こったことというのは、皆さん御存じなので、ちょっとこれはカットさせていただきます。
 最後に、まとめです。
 科学技術・イノベーション政策を動員することによって、半導体産業に対する何らかの手当てができるかという話です。
 多分、短期的な課題として、これは中馬さん等、皆さんがお話しになると思うんですけれども、生産量の担保、また、委託先の分散、地政学リスクの低減ということが課題となると思います。
 今、様々なファウンドリー企業による投資宣言が行われています。といいつつも、これは実動するまでのタイムラグがあるのと、また、シリコンサイクルというリスクもございます。
 その中でどうするかということなんですけれども、直近のところで、日本の中で考えた場合には、既存の国内のファウンドリーというものをある種仮想ネットワーク化することによって何ができるかということも試してみることが肝腎かと思っております。
 一つなんですが、モデルとなり得るのが、ヨーロッパの幾つかの研究所が行っている、フットノートに書いたんですけれども、ヘテロジーニアス・テクノロジー・アライアンスというのがあります。これも一つのコースだと思っております。
 それからもう一つ、中長期的なビジョンからいうと、多分、先読みしたことを今日投資してやらなくてはいけないという発想です。その中で、やはりデジタルトランスフォーメーションというものを先取りする、できれば、ハイエンドな半導体デバイス開発を二分法のしがらみから解き放った形でもってやっていく必要があると思います。
 一つの考え方なんですが、デジタルトランスフォーメーションをエコシステムとして捉えながら、ターゲットとすべき半導体デバイスを共創していくということです。
 これは、ある種、若手の人たちにチームを組んでいただいて、その中で何をチャレンジするかということを設定していって、やりながら学習するという発想です。
 最後、七ページでございますが、多分、これを可能にするためには、ある種のパイロット的なファウンドリーが必要だと思っております。それは何かというと、アイデアを検証する、そのための試作、あるいは少量生産というところまでもやってみるというところが肝腎だと思っております。多分、このレンジとしては、十年先を見据えた形で今日投資するということです。
 最後の最後です、七ページです。
 科学技術・イノベーション政策の一つなんですが、多分、ここでのレッスンというのは、バリューチェーンが、一つだけのバリューチェーンではなく、複数のバリューチェーンが入れ子になっているというところですね。それが最終製品のところにもあるんですけれども、その中にファウンドリーサービスというのが入っていて、ファウンドリーの中にも細分化したところがあって、装置もあれば、材料もあれば、デザインもあればという形で、幾つかの入れ子になっているバリューチェーンをいかにシステムとして捉えるかということが鍵になっていると思います。
 そういう意味で、一つの半導体の事例から他の分野への展開というものを考えられるのではないかと思っております。
 済みません、長くなってしまいましたが、以上でございます。(拍手)

発言情報

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発言者: 原山優子

speaker_id: 23999

日付: 2021-06-01

院: 衆議院

会議名: 科学技術・イノベーション推進特別委員会