中馬宏之の発言 (科学技術・イノベーション推進特別委員会)
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○中馬参考人 私は、スライドを見ていただきながら説明させていただきたいと思います。
お招きいただき、どうもありがとうございます。
タイトルは、あり得るかと書いてあるんですけれども、難しいかもねというところがあります。でも、二〇三〇年ぐらいはどうだろうか、二〇三〇年ぐらいだったらどうにかなるかもね、運がよければというふうなプレゼンになっています。
それで、プレゼンは大体前半と後半に分かれていまして、前半の方は、産業の米というのは日本人の好きなフレーズなんですけれども、そんなものじゃありませんね、社会発展の原動力なんですよというふうな、そういう説明をやります。これはとても簡単で、失礼なことを言って申し訳ありませんが、皆さんにお分かりいただける部分じゃないかなというふうに思いますけれども、後半は、二〇三〇年ぐらいで何かチャンスがあるのか、ちょっとチャンスが出てきたみたいですよという話は、ちょっと難しいと思います。参考資料の方は見てもさっぱりという部分があられるかと思いますけれども、こういう順序で説明したいと思います。
それで、半導体が、日本人の好きな産業の米ではなくて、もう社会発展の原動力そのものなんですよ、これにもっと早く気づいていただきたかったですねというふうなところが、次のお話になります。
全体の、前半の流れはここにまとめていまして、キーワードというのをあえて拾いますと、下の方の黄色いところなんですけれども、人に社会を合わせるというところが我々にとってはとても重要なことになってきているんですけれども、英語で探しますとマスパーソナライゼーションという形になるかなというふうに思うんですけれども、これを実現するために半導体は不可欠、私たちの社会発展は半導体なしにはあり得ないというところのロジックを次にお話ししたいというふうに思います。
なぜ社会発展の原動力となってきたかというところ。そうすると、先ほどマスパーソナライゼーションというふうに申し上げましたけれども、デジタル技術の最大の便益というのが、社会に人を合わせるんじゃなくて人に社会を合わせるという現代の潮流。ですから、マスパーソナライゼーションというのは多くの人にアピールする言葉かなというふうに思うんですけれども、これを半導体なしで実現はできないんじゃないでしょうかねというのが次のお話になります。
そうすると、じゃ、なぜ、人に合わせるってどんなことというと、恐らく、個性、多様性の尊重、あるいはQOLの向上、ここら辺に必須な技術、それぞれの人の個性や多様性を尊重しながら、しかもQOLを高めるということでしょうかね。今のはやりでいうと、あそこにキャッチと書いて申し訳ないんですけれども、ダイバーシティー・アンド・インクルージョンというふうな言い方もするかなというふうに思います。
それで、なぜ社会発展のために個性とか多様性の尊重、あるいはQOLの向上が貢献が大きいのかというと、そこに下の方に書いてありますのは、私たちが人生を送る個としての人、それから社会、それぞれがどんなふうにして発展していくかというときに、様々な選択肢の幅を広げてくれるのよと。
経営学や経済学では、そういう将来の幅、選択肢のことをリアルオプションズ、リアルオプションという言い方をするんですけれども、ちょっと格好よくリアルオプションとつけたんですけれども、増大する将来の不確実性に対処するための意思決定の選択権や自由度、こういうものを半導体はそもそも確保してくれるわけですよね。
ですから、マスパーソナライゼーションの実現には、半導体なしではほぼ無理ですというふうな形になります。まるで生鮮食品とか、最近、食料自給率の話もまたクローズアップされてきましたけれども、そういうものとほぼ同列のものかな、もっとそれよりもリアルオプションを増やすという意味では重要なものかなというふうに思っています。
そうすると、そういう社会発展の原動力としての半導体、ここで我が国にそれを担う可能性があるか、ちょっと難しいかもねというのが多くの方々が考えておられることだと思うんですけれども、二〇三〇年ぐらいだとどうにかなるかもねというふうな流れがちょっと起きてきていますよ。それが、チャンス一、チャンス二、チャンス三という形で、次の話につながります。
ここで、えたいの知れない、機能組合せ特化型半導体というふうなキーワードを出していまして、ここが、中馬さん、今までとはちょっと違う半導体なのね、ええ、そうなんですよと。
微細化というのがほぼ止まりつつあります。そうしますと、様々な機能を組み合わす形で、新結合型のイノベーションというのが必須になるんですよ。そういうタイプの半導体というのが一つ、二〇三〇年ぐらいになるとクローズアップされてくる可能性があります。
プラス、そういう半導体というのは我々の社会発展の原動力ですから、私たちを支えるもので生鮮食品以上のものになりますので、そうすると、地産地消というのが出てくるというロジックになります。
個性、多様性の尊重も重要ですし、文明、文化の競争になりますし、一方で、サプライチェーンとか安全保障重視だとか、社会発展の原動力ですので、それをいかに国内にどうにか確保するかということが死活問題だというふうに思います。
そうすると、いや、もう無理かもねというときに、二〇三〇年ぐらいだとちょっと大きな構造変化が半導体産業に起こってきているみたいですよ、それを指摘させていただけませんかねというのが、次のプレゼンになります。
ここから文字数も多くなりまして、難しくなるんですね、それは私の説明力の問題だとは思うんですけれども。いろいろな分野の方の間でコミュニケーションを難しくする部分というのが、これからの部分になります。
一つは、先ほど原山さんのところに出てきましたファブレス・ファウンドリー・モデルというのが、様々な限界というのを、TSMCさんには失礼な言い方なんですけれども、幾つかもたらしています。
次のページに行っていただいて、また戻ってきたいと思うんですけれども、これがムーアの法則と言われるようなもので、縦軸が、物理学者が好きなVAXというコンピューターがあったんですけれども、それを一としたときの性能を、時代とともに性能がどういうふうにして上がっていったかということを示しています。これを御覧になると、ああ、何だ、二〇一五年以降は停滞しているんだ、一つのチップのパフォーマンスというのが二倍になるのに二十年もかかるんだというふうな、そういう状況が今訪れています。そうすると、それが、TSMCさんには申し訳ないんですけれども、チャンスみたいですよという形になります。
じゃ、なぜチャンスなのというときに、主原因というところに書いてあるんですけれども、設計、製造コストが増えるし、難度も増えるし、それに対応する投資額も並のものじゃない。
今、半導体の工場を新しく一個造るのに、恐らく一兆五千億円ぐらいかかるんじゃないですかね、工場だけでということだと思うんですけれども。そうすると、難度もどんどん増えてきていまして、ある様々な制約というのに、お作法に倣わないと、うまくいきません。プロの人たちはそういう半導体の工場で作るお作法のことをプロセスデザインキット、PDKというふうな言い方をするんですけれども、これがTSMCだと数千はあるというふうに言われています。しかも、アナログのデバイスだと、用意されているものでは足らなくて、更にTSMCとのディスカッションが必要になります。とても高いものです。
というふうなことが一つありますけれども、そうすると、自由度といいますか、私たちの多様性というのを実現するために多大なコストがかかってしまうということで、今、悶々とされている様々な企業さんというのがおられます。高過ぎるわけですよね。アップルやクアルコムにとっては安いでしょうけれども、中小の企業にとっては、半導体なしでは生きていけないわけです。それが社会発展の原動力ですから。でも、自分たちの作りたいものを自分たちの予算の範囲内では作れないという状況が、特に最先端分野では起きてきていまして、まあ、枯れていけば、それは可能になるわけなんですけれども。
そうすると、どうするということで、さっき見ていただきましたように、ムーアの法則がほぼ終えんを迎えている。そうすると、既存の様々な利用可能な機能というものをうまく組み合わせて、そこで半導体のデバイスを作れないかというお話になります。
でも、こういう話をすると、プロたちは次のような反論をするんですね。中馬さん、マスパーソナライゼーションというのはとても重要だと分かるよ、それが私たちの社会にとっていいに決まっているんだよ、でも、半導体の生産というのは、とにかく同じものを大量に作るというふうな、そういうことでもってもっている産業なのよと。
そうすると、一方でマスパーソナライゼーションが起こって、一方で標準化しなきゃいけない、大量に作らなきゃいけない、その矛盾をどうするの、解決できるのというふうなところが、重要な、まあトレードオフになっているわけですけれども、それをどうやって解決するのというところが、一つ、ここに書いてあるような、新しいタイプのチップなんですよ。
でも、その組合せというものを実現するためには、いろいろな企業とかいろいろな団体が持っている、すり合わせのためのインターフェース、そこではIFというふうに書いてありますけれども、組合せの自由度を高めるためには、あらゆるところでうまく簡単に組み合わされるような、標準化というのが行われなきゃいけません。
実際には、この標準化は、参考資料の三番目の資料に、もう読んでも分からないような資料なんですけれども、いかに今、世界が組合せのために様々な標準化活動を行っているか。それは、グーグルであったり、インテルであったり、アマゾンであったり、様々なところが主導する形で、オープンな組合せ型のイノベーションを実現するためのインターフェースというのをつくっています。これを更に推し進めていかないと、なかなか、私たちの社会発展の原動力としての半導体、多様な我々の欲求に、マスパーソナライゼーションに合致するような半導体デバイスを作れない。
そうすると、この辺りの標準化に日本がコミットできるかどうかという話になるんですけれども、下の方に、ホエア・イズ・ジャパニーズと書いてあるんですけれども、今探してみると、日本企業は一社も見つかりません。基本的に、グーグルを始めとして世界の企業、特にアメリカの企業がこの標準化のところで大きな活動をしていまして、イッツ・トゥー・レートだなというのが大体分かります。
そうすると、じゃ、どこで頑張るのよというと、最終的に付加価値を生むところのマスパーソナライゼーションというところで少し可能性があるんじゃないかなというのが、次のお話になります。
チャンス二のところは、これは、二〇三〇年ぐらいになったときに、私たちのネットワークが、インターネットがどんなふうになっているだろうかというのを明示したものです。
今、真ん中のところにある、エッジクラウドというふうに書いてあるところは、まだ微々たるものです。支配しているのは、上の方の、ハイパースケーラーと言われる、GAFAMと言われるようなところの人たちです。
ところが、5Gになってきますと、転送速度、応答速度が、一桁、場合によっては二桁増します。そうすると、そういうところで、今のインターネットの速度はとてもGAFAMを頼る感じでは維持できない形になります。そうすると、ネットワークの中心が真ん中のエッジクラウドというところに移っていくんですね。IBMの人たちは、そこをクラウドレットというふうに呼ぶ。レットというのは、小さいという意味ですね。そうすると、このクラウドレットが無数にできてくるだろう。例えばコンビニのクラウドレット、あるいは様々な、スーパーマーケットのクラウドレットを含めて、あらゆるところに無数のクラウドレットというのが出てくるだろう。
5Gに関して、様々な、工場間でもそういうものが、ローカル5Gという形でももちろん出てくるわけですけれども、あらゆるところにこういう、今までスーパースケーラーと言われる人たちのところで成立していたパブリックネットワークというのが、もう少し下に落ちてきて、プライベートクラウドとかセミパブリッククラウドというところで、非常にネットワークの中核が移っていくだろうというのが、一ページ前のお話です。
そうすると、こんなところで何かうまくやれないかなと。要するに、最終需要を可能な限り拾って、そこで高付加価値を生み出せるようなデバイスというのを作っていく。
じゃ、さっきの大きなトレードオフがありまして、マスパーソナライゼーションは人類にとってとてもすばらしいこと、でも、半導体産業は大量に作らなきゃいけないのよという、その矛盾をどうやって解決するかというときに、それを解決するための幾つかの方策が出てきつつある。それは、ソフトウェアで実現するかハードウェアで実現するかという二律背反ではなくて、ハードウェアとソフトウェアでできてくるという部分なんですけれども、ここの説明は難しいですね。
簡単に言うと、ソフトウェアというのはハードウェアを動かすものというふうなイメージがあられると思うんですけれども、一方で、半導体の設計では、ハードウェアをソフトウェアで作るという部分があります。ソフトウェアでハードウェアを作るという形で、ソフトウェア・ディファインド・ハードウェアというふうな格好いい言い方もされているようですけれども。
そうしますと、そうやってソフトウェアで作られたハードウェアというのは、バーチャルなものとリアルなものが出てきます。ですから、それも動かせるんですね。その上に更にソフトウェアが出てきます。
そうすると、そういうソフトウェアとハードウェアが、ソフトウェア・ディファインド・ハードウェアみたいな形で、ソフトウェアの柔軟性とハードウェアの柔軟性をうまくそろえるような形でデバイスが生まれるんじゃないだろうか、二〇三〇年頃はというふうなお話になります。
最後なんですけれども、じゃ、そのときに、例えばTSMCが日本に来てくれるの、来ないでしょう、だって、アップルやクアルコムとか、あの手の、下手すると億の台数が出るような、そういうものが日本にないでしょう、そんなところに来てくれるわけないですよというふうなお話になるわけです。
でも、もしかしたら、ユニークなデバイスというのを、組合せ型のイノベーションという形で、さっきの、ソフトウェアの柔軟性とハードウェアの柔軟性を持ったチップが、あるいはシステムができるとすると、TSMC等々も寄ってきてくれるし、日本の工場も再生できるような付加価値が、二百ミリ工場というのは、日本の二百ミリ工場は世界で最も多いわけですけれども、ほとんど使われないようになっているわけですが、そういうところの使い勝手ももしかしたら増えるかもしれないねと私自身は思うんです。プロたちは、中馬さん、それは無理だよというふうにおっしゃっていますけれども。
そのときに、付加価値の高いチップ、あるいはそれに対応するようなソフトウェアを作れるかということになると、もしかしたらそのときには、大衆レベルの能力、こんなことを言って申し訳ないんですけれども、我が国はエリートよりも大衆の方がレベルが高いわけですよね、世界的に見て。ですから、私たちの大衆文化が持っているような、社会発展の原動力として、生鮮食品のようなものとして半導体が重要な役割を果たすんだけれども、そこの領域まで下りてきてもらえると、もしかしたらすごいものを作れるかもよ、そうすると、作りやすいためのソフトウェアツールの開発とかも含めて、そこに政府がちょっと努力するのもいいんじゃないですかねみたいな話が、このお話になります。
それで、最後の方に、湯之上さんもまだまだ現役ですから、例えばそういう方たちというのがまだいっぱいおられますし、ここ二、三年で大変なことになるのかもしれませんけれども、そういうものも活用しながら、あるいは、二百ミリ工場の一部はいろいろな実験場化するという形の、政府のお金とかも、そこに新材料、素子構造、アナログ、無線通信、センサーと書いてありますけれども、例えばこういうふうなところで専門工場みたいなものを造るというふうなことも、一つ政府としてはやれることなんじゃないかなというふうに思うんです。
ちょっと長くなって済みません、もう終わりますけれども、こういうふうにして、とにかく半導体産業の構造が大きく相変化しています。まとめで申し訳ないんですけれども、ムーアの法則がほぼ終えんしつつあります。そうすると、既存のものを組み合わせるというところの重要性が高まってきています。そのためのハードウェア、ソフトウェア、様々な、インターフェースの標準化も含めて、世界中でその方向に向かっています。そうすると、そこで、利用可能なツールを使いながら、私たちの大衆文化のとても優秀なところを、ユニークなところを使って、ユニークな組合せ半導体というのが、もしかしたら私たち半導体産業を再生してくれるかもしれませんよ、でも、可能性は低いんですけれどもというふうなことでしょうかね。
ですから、二〇三〇年プラスを見据えてというふうな形のものだったらこうかな、でも、早くやりたいということだったら、とにかく何十兆円もかけて誘致するという選択肢もあり得るかなというふうに思います。
ちょっと長くなって済みませんけれども、これで終わらせていただきます。(拍手)