山尾志桜里の発言 (憲法審査会)

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○山尾委員 国民民主党の山尾志桜里です。
 コロナ禍と憲法の論点を深めたいのですが、その前に、先ほど北側委員から、今後進めるべきテーマについて、緊急事態における国会機能の維持、そして、デジタルルールについて議論すべきだというお話がありまして、私も全く同感です。
 その上で、コロナにおける国会の出席の問題については、先回、國重委員からも、いわゆる物理的な出席を意味するという立場に立つ長谷部恭男先生の見解、そして、機能こそが大事なのだという立場に立つ宍戸常寿先生の見解の御紹介もありましたので、やはり、こういった違う意見に立つ有識者の考えを早めに聞くということが大切かなというふうに思っております。
 その上で、コロナ禍と憲法なんですけれども、あわせて、やはり、緊急事態には人権侵害が起きやすい、人権保障が危うくなるという前提に立ち、実際に今も、法の根拠があやふやな人権制約がなし崩し的に広がり、チェックせずに放置されている面もあると思うんですね。
 だからこそ、今日の提案は三つで、一つは、やはり、今、進行中に、このコロナと憲法の問題をしっかり洗い出しておく。そして、国際社会がどう対応しているかも、事務局にお願いをして調査を開始することだと思います。
 第二に、その調査に基づいて、平時と言える程度に落ち着いたら、コロナの特措法改正、そして憲法での緊急事態条項の在り方、この具体的な検討を進めることだと思います。
 第三に、あわせて、やはり、緊急事態における人権救済の是正措置として、裁判所が機能不十分だと思いますので、この問題を解決するのに有効と考えられるいわゆる憲法裁判所の議論を進めるべきではないかと思っております。
 皆さんのお手元に、今コロナ禍で何が起きているかという参考資料として、神奈川新聞四月八日付の記事をお配りしました。慶応大大学院の横大道聡教授の記事で、蔓延防止措置は違憲の疑いが強いと評価をしています。
 幾つか黄色い線をつけましたけれども、第一に、感染拡大防止という目的は合憲でも、やはり、一律午後八時までというような時短営業措置や、一律同じ協力金というような制約軽減策は、手段として合理性を欠くのではないか、もし欠くのであれば、それは憲法二十二条一項の営業の自由を侵害する憲法違反の疑いがあるのではないかという提起です。
 もう一つ、第二に、蔓延防止措置の具体的な発動要件が政令に丸投げされているのは、国民の権利を制限するのは法律であるという憲法四十一条にもたがえる可能性があるのではないかという論点です。
 一番上にコメントで、線を引きましたけれども、危機に対応した法整備をパッケージで議論しておく時間的余裕は幾らでもあったのに、それにもかかわらず、その場しのぎの対応でやり過ごしてきた、サボってきたと言ってもいい。これは、立法府である私たちに投げかけられた言葉と受け止めるべきだというふうに思います。
 私たち国民民主党は、この特措法、反対しました。やはり、国民からなりわいを奪うような強い制約をかけるのに、余りにも民主的な統制に欠けて、補償も不十分だというふうに考えたからです。
 改めて、この特措法とその運用に憲法違反の疑いがないかチェックをして、今後の法整備に向けて今土台を整えていくというのが、この審査会に課せられた大きな仕事だというふうに思います。
 そして、もう一点ですけれども、裁判で救済をするというルートが日本ではすごく少ないです。
 フランスの行政裁判所、コンセイユ・デタでは、二〇二〇年、コロナ関連で八百四十件の判決が出ていて、これは前年比の六倍という報告もあります。デモの人数制限とか、無断で体温を測るとか、こういう措置が違憲とか違法とかいう判断がなされて、速やかに司法判断に沿って政令が改正されたりという動的な動きがあります。
 緊急事態に百点満点の人権保障は難しいので、必要なのは、きちっと緊急事態に事前の枠づけをし、そして、人権侵害の疑いがあったら司法がチェックをし、そして、おかしいということになったら政府や国会はそれを是正する、こういう動的なやはり設計をする必要があるというふうに思います。
 日本は、コロナ禍で、報道ベースですけれども、起こされた違憲訴訟は一件だけ。なぜこれだけ少ないのかというと、やはり憲法裁判のハードルが物すごく高いということなので、その要件を少し柔軟にするような、幅広にするような議論をするべきだと思います。
 やはり、司法審査があり得るというのは、行政に緊張感を生んで、人権保障に資するというふうに思います。
 実際、内閣官房からは、東京都などに対してペーパーが出ました。要するに、命令を出すときには、きちっと合理的な説明ができるか、公正と言えるか、ちゃんとチェックしてくださいねという駄目押しのペーパーです。
 やり過ぎたら裁判で説明が求められるという制度設計を、きちっとこの緊急事態において、起きている現象を基に私たちはやっていくべきだというふうに思います。
 最後になんですけれども、前回、投票の手続の議論と、こうした今起きていることについての本体の議論を並行的に進める必要があると考えるか、必要ならどんなやり方があり得るかということについて、新藤委員からはお答えをいただきましたが、山花委員と北側委員からはちょっと機会がありませんでした。是非このことについて御意見を承りたいですし、やはり公開の場でこれはいただきたいというふうに思います。

発言情報

speech_id: 120404183X00220210422_037

発言者: 山尾志桜里

speaker_id: 12435

日付: 2021-04-22

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会