杉崎友則の発言 (厚生労働委員会)

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○杉崎参考人 日本商工会議所で労働政策の担当部長をしております杉崎と申します。
 本日は、このような場を設けていただきまして、誠にありがとうございます。感謝申し上げます。
 育児・介護休業法の改正案につきまして、労働政策審議会の使用者側委員として議論に参加した立場から、また、商工会議所は全国に百二十二万の会員を擁しておりまして、その大宗が中小企業であるということから、本日は中小企業の実態を踏まえて意見を申し上げたいと思います。
 まず、改正法案に対する基本認識を申し上げます。
 今回の改正法案の基本的な考え方となっております男性の育児休業取得の促進につきまして、その趣旨に賛同いたしております。
 女性の育児休業取得率が八〇%を超えて推移している一方で、男性の取得率は七・四八%にとどまっております。家庭内の家事、育児の負担が女性に偏っている現状を踏まえますと、男性も育児休業を取得し、その後も育児を担っていくということは、仕事と育児を両立できる社会の実現はもとより、女性の雇用継続、ひいては女性の更なる活躍に向け非常に重要であると認識しているところでございます。
 一方で、育児休業は、労働者が申し出た場合、事業主は必ず取らせなくてはならない強い権利となっております。企業の立場では、労働者が育児休業を取得した場合、いかに業務を円滑に回していくかということが課題になります。人手不足の傾向が続いている中で、特に、企業規模が小さくなるほど、育児休業を取得した労働者の代替要員の確保など、業務の円滑な継続に困難が生じることが考えられます。
 また、コロナ禍の非常に厳しい経済情勢の中で、多くの中小企業は、雇用調整助成金等の各種支援策を活用しながら事業の存続と雇用の維持にぎりぎりの努力を続けていることから、企業の余力は乏しく、余裕を持って人員を確保しておくということも困難でございます。
 今回、改正法案の取りまとめに当たりましては、労働政策審議会において議論が行われましたが、現下の企業の厳しい実態も踏まえつつ、男性の育児休業取得促進策を真摯かつ建設的に議論した結果、妥当かつ実効性のある結論に至ったものであると認識してございます。
 次に、改正法案の具体的な内容について意見を申し上げます。
 今回の改正法案の大きな柱の一つが、男性について、産後八週の間に四週間分の休業を取得することができる出生時育児休業制度の創設であります。
 男性が育児休業を取得しない理由として、業務の都合ですとか職場の雰囲気を挙げる割合が多いということを踏まえますと、育児休業の取得が進んでいない男性について、柔軟に取得できる新たな仕組みを設けることは有意義であると考えております。
 一方で、現実的には、マンパワーが乏しい中小企業においても、年末などの繁忙期に複数の社員が同時に育児休業を取得する可能性もあり得ること、また、休業する男性労働者の仕事を引き継ぐほかの労働者の負担軽減、例えば、引継ぎに係る準備ですとか体制整備を十分な時間的余裕を持って行うことで、特定の個人に過度な負担がかからないようにするということが重要でございます。
 したがいまして、企業における業務の円滑な継続には、柔軟性を確保することに加えて、現場の実態に配慮した仕組みにしていく必要がございます。
 特に、今回は、出生時育児休業制度について、通常の育児休業よりも申出期限を短縮し、原則二週間にすることとなっております。これに関しましては、義務を上回るような取組を実施することを労使協定で定めた場合には、申出期限を一か月前とすることが可能となっております。
 このように、企業の現場に配慮しつつも、男性の育児休業取得促進を図るような仕組みを設けるということが、今回の改正法案の実効可能性を高めることにつながっており、まさに労働政策審議会で労使が議論して結論を得た成果であると考えております。
 また、今回の出生時育児休業制度については、事前に調整した上で、休業中に就労することが認められる案になっております。一方で、本来休業したい労働者が意に反して就業させられることがないように、労使協定の締結や、個別の同意、労働者側からの条件の申出など、様々な手続や要件を求めております。この点については、労働者の意に反して働かされることを防ぐとともに、男性の育児休業取得のハードルを下げ、育児休業を取得しやすくなる効果が見込めるという点、さらに、中小企業における事業の継続性を担保する点からも評価をしたいと思っております。
 今回の出生時育児休業制度が新設されることにより、これまでよりも男性が育児休業を取得するようになるということが考えられますが、中小企業はマンパワーに限りがあることから、育児休業を取得しやすい環境整備に向けた支援が重要であると考えます。
 このため、労働政策審議会の建議では、特に中小企業においては育児休業等取得に伴う代替要員の確保等の負担が大きいことから、派遣等による代替要員確保や業務体制の整備等に関する事業主の取組への支援、ハローワークにおける代替要員確保のための求人に対する積極的な支援を行うことが適当、事業主の取組への支援については、ノウハウが十分ではない中小企業からの相談対応や好事例の周知も含めて行うことが適当とされたところでございます。
 雇用の七割は中小企業が担っているということから、中小企業において実効性を確保することが重要でございます。こうした形で、国からの支援も受けながら、中小企業においても男性が育児休業を取得できるよう、日本商工会議所といたしましても取り組んでまいりたいと考えております。
 今回の改正法案のもう一つの柱が、事業主に対する、育児休業を取得しやすい職場環境の整備及び労働者への育児休業制度の個別の周知、取得意向の義務化でございます。
 男性が育児休業を取得しない理由として、職場の雰囲気が挙げられております。職場での取組の有無によって育児休業取得率が違ってくるということを踏まえますと、育児休業を取得しやすい職場環境の整備ですとか、労働者への個別の周知、意向確認が求められるということについては理解いたしているところでございます。
 一方で、今回の措置は企業規模にかかわらず事業主に義務づけられるということを踏まえますと、義務の内容については、中小企業でも対応可能なものにしていく必要がございます。
 このため、労働政策審議会の建議においては、育児休業を取得しやすい職場環境の整備の具体的な内容としては、中小企業にも配慮し、研修、相談窓口の設置、制度や取得事例の情報提供等の複数の選択肢からいずれかを選択することが適当である、また、労働者への個別の周知、意向確認の具体的な方法としては、中小企業にも配慮し、面談での制度説明、書面等による制度の情報提供等の複数の選択肢からいずれかを選択することが適当であるとされたところでございます。
 これらの取組を行うことは中小企業にとってなかなかハードルが高いものではありますが、国において、これらの環境整備や周知に関する分かりやすく活用しやすいポスター、リーフレット等を提供していただけるということになってございます。
 これらの国の支援や各種のツールも活用しながら、中小企業においてもこれらの義務を円滑に履行できるよう、日本商工会議所は改正内容の周知に協力していきたいと考えてございます。
 冒頭にも申し上げましたが、コロナ禍の影響もあり、多くの中小企業は今もなお事業の存続と雇用の維持にぎりぎりの努力を続けており、非常に厳しい経営環境に置かれております。
 厳しい経済情勢ではありますが、男性の育児休業の取得促進は、仕事と育児を両立できる社会の実現はもとより、女性の雇用継続、女性の更なる活躍のみならず、少子化対策にも資する非常に重要な課題であることから、その必要性を理解し、労働政策審議会においては、労使共に現場の実情に即した建設的な議論を行ってまいりました。
 今回の改正法案は審議会の議論を踏まえて作成されており、審議会委員の一員といたしまして、この改正法案には賛同いたしております。
 日本商工会議所といたしましても、今回の改正法案が成立した際には、周知に積極的に協力させていただくとともに、男女共に希望に応じて育児休業が取得できる社会の実現に協力してまいりたいと考えてございます。
 説明は以上でございます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 杉崎友則

speaker_id: 569

日付: 2021-05-28

院: 衆議院

会議名: 厚生労働委員会